阿部真央らいぶ 2025 15th ANNIERSARY at 東京ガーデンシアター――ライブレポート

オープニングは、“過去の阿部真央から現在の阿部真央がエールを受け取って、前に進む”をテーマにした映像。スクリーンにリアルタイムの阿部真央の姿が映し出された直後、本人がステージに登場し、会場は大きな歓声と拍手で包まれた。バンドメンバー（吉田佳史／Dr、三浦淳悟／Ba、西川進／Gt、和田建一郎／Gt、ミトカツユキ／Key、ぬましょう／Perc.、秋谷弘大／Mnp）とともに放たれた1曲目は「HOPE」。続いて2014年のシングル「Believe in yourself」、「今日は来てくれてありがとう！　15周年ありがとう！　緊張してまーす！」という言葉からデビューアルバムの表題曲「ふりぃ」を演奏。様々な時期の楽曲が披露され、観客のテンションを引き上げた。

「胸がいっぱいで、声が揺れる揺れる(笑)。大一番、上手く歌いたいんだけど、そんなことよりもみんなに会えた嬉しさを噛みしめて。もちろん喜んで帰ってもらうのが大前提なんですけど、私も胸いっぱいの喜びを抱きしめて帰りたいと思います」。

このライブに対する想いを言葉にした後は、弦カルテット（門脇大輔／Vl 1、田島華乃／Vl 2、高橋輝／Vla、村中俊之／Vc）が参加。「君を想った唄」「じゃあ、何故」を高らかに歌い上げた。さらに哀切なラブソング「morning」はアコギの弾き語り、子供への想いを綴った「母である為に」はバンドメンバーの和田建一郎、西川進のアコギとともに披露。そして「いつの日も」ではエモーショナルな歌声を響かせた。
　

2023年3月に所属事務所を離れ、自主レーベル「KAGAYAKI RECORDS」を立ち上げた阿部真央。「近年は一人立ちしたり、いろんなことがあって。次の曲は、そんな最中に書きました。私には力がある。必ずここから這い上がってみせる。そういう歌です」と紹介されたのは、「I’ve Got the Power」。続く「Somebody Else Now」では、「みんなのスマートフォンのライトを照らして、一緒に振ってもらいたいなと思います」という呼びかけに応え、観客がスマホのライトを点灯。サビの「You’re somebody else, now (君は今じゃ違う誰かみたい)」を合唱し、温かい一体感が生まれた。

岡崎体育がアレンジを手がけたアッパーチューン「immorality」からライブは後半へ。カラフルなポップソング「K.I.S.S.I.N.G.」はアリーナに設置された花道で歌唱し、心地よい高揚感を演出した。
「どうしますか、あなたなら」「進むために」とポジティブなナンバーを続けた後は、「モットー。」「ロンリー」と人気曲を次々と披露。オーディエンスも気持ちよく身体を揺らし、祝祭ムードが広がっていった。

「次の曲は、5周年でも10周年でも大きな舞台で歌ってきました。私の願いは、みんなの人生がキラキラと輝くこと。だからいつも“ライブに来てくれてありがとう”に加えて、どうか自分の人生を存分にやって、無理せず、来れるときにいつでも来てくださいとお話しています。いつでもライブに来てもらえるように、私はこれからも歩みを止めず、この活動を続けていく。それが私の目的あり、使命であり、目標であり、人生です。明日からもみんなの人生がキラキラと輝くように、そんな願いを込めて最後の歌を歌います」

心のこもったMCに導かれたのは、「それぞれ歩き出そう」。軽快なリズム、切なさと爽やかさを共存させたメロディ、〈キレイなだけじゃ語れない　足跡を胸にまたそれぞれ歩き出そう〉という歌詞が共鳴し、ライブはクライマックスを迎えた。

“あべまコール”に導かれ、アンコールへ。阿部真央はなんと“特攻服”姿で登場。背中に“輝（KAGAYAKI RECORDS）”のロゴと自作のポエム、表には”変幻自在“の文字。「”特攻隊長“阿部真央です！　まだイケますか！？」と「Ｉ wanna see you」を放つ。「このまま胸キュンな歌を歌いますね」と名バラード「貴方の恋人になりたいのです」を披露。「今日はわたくしがみなさまの応援団長となりまして、この曲を歌いたいと思います」と「伝えたいこと」を手渡し、会場全体を前向きなパワーで包み込んだ。最後に弾き語りで「ストーカーの唄?3丁目、貴方の家?」、ライブだけで披露されている「母の唄」を歌い、記念すべきライブはエンディングを迎えた。
　

6月には横浜、大阪、東京のビルボードライブで「ABE MAO Billboard Live Tour 2025」を開催。そして10月、11月には大阪、福岡、北海道、愛知、東京でホールツアー「ABE MAO HALL TOUR 2025 - On My Way Home -」も決定。この日のライブで15周年を締めくくった阿部真央は、既に次に向かって進み始めている。16周年の阿部真央にもぜひ注目してほしい。

（おわり）

文／森朋之
写真／森好弘、Ryuji Kainuma