──アルバム『IM A SINGER VOL.4』がリリースされました。大ヒット企画“IM A SINGER”シリーズでは様々なジャンルの曲に挑戦されていますが、第4弾の制作当初はどのような作品を考えていたのでしょうか?

2年半ほど前に「「愛をとりもどせ!!」」のカバーのお話を頂いたときに、“やっとアニソンシンガーの仲間入りができたのかも”と感じたんです。なので、いつか『IM A SINGER VOL.4』を作ることができるなら、アニソンを中心に歌ってみたいと考えていました」

──Toshlさんにとって、「愛をとりもどせ!!」には、どんな思い入れがありましたか?

「僕が18歳から19歳の頃に『北斗の拳』の連載が始まって、TVアニメもリアルタイムで見ていました。クリスタルキングさんが歌う主題歌「愛をとりもどせ!!」を聴いて、ピアノで弾いて歌いながら、“この声は僕とクリスタルキングさんにしか出せないな”と思ったりしていて(笑)。そこから30年の時を経て、大好きなこの曲を歌えることを非常に光栄に思いました。とはいえ、多くの方にとって思い入れの強いこの曲をリメイクするとなると、かなり“ビビり”ました」

──Toshlさんでも“ビビる”んですか!?

「もちろんです。逆に言えば、ものすごく挑戦しがいのある曲だと思いました。大人になった今、改めてこの曲と向き合い、対峙し、探究しながら練習をして、レコーディングに臨めたのはすごくいい経験になりました」

──どんなに経験を重ねても常に挑戦は大事にされているんですね。

「そうですね。“IM A SINGER”シリーズを始めてから、カバーを歌わせてもらうようになりました。人様の歌を歌わせてもらうということは、そのアーティストの方はもちろん、その方のたくさんのファンの皆さんにも注目されるからこそ、失礼があっては絶対にならないです。ガッカリさせてしまったり、“なんだよ…”と思わせてしまうとダメなので、しっかりとリスペクトを込めて、準備を重ねていきました。このシリーズは僕にとって試練であり、一番素晴らしい事だと思うようになりました。そして今回は、世界中に愛されるアニソンを歌うことで、より熱くて大きな想いがあるからこそ、挑戦させてもらうありがたさを感じていました」

──アルバム『IM A SINGER VOL.4』で選曲された楽曲は、世代を超えて愛される曲から、最新曲まで本当に幅広いアニソンからセレクトされていますが、どのように選んでいったのでしょうか?

「子どもの頃に見ていたアニメの曲から、最新曲まで、最初に数百曲ほどのリストを出して、聴きこみながら選んでいきました。相当な時間がかかりましたが、年代別だけでなく、そこにストーリーができるように選曲をする作業はすごく楽しかったです」

──中でも思い入れの強い楽曲を教えて下さい。

「もちろん、全曲に強い思い入れがありますが、「紅蓮の弓矢」は初めて聴いた時から歌いたかったので実現出来て嬉しかったです。以前からRevoさんの曲が大好きで、コンサートに行かせてもらったこともあるんですよ。Revoさんにしか出せない世界観があって、アニメ『進撃の巨人』の激しく深い世界観をしっかりと表現することの難しさもありましたが、この曲がすごく自分に合っている気がしたので、全力で歌わせていただきました」

──あのドラマティックな雰囲気がToshlさんにものすごくマッチしていました。

「ありがとうございます。この曲は声をたくさん重ねていて、すべてのボーカリゼーションを自分でやりたいと思ったので、ロートーンもハイトーンもすべて歌い、重ねてコーラスを作っていきました。最初は“こんなハイトーンは無理かも”と思いましたが、練習を重ねて出るようになると歓喜して盛り上がったりして、“まだまだいけるな”という気持ちにさせてもらいました」

──歌う時に大事にしたことはどんなところでしょうか?

「やはり、今までファンとして聴くことと、曲を表現するという立場とではまったく違うので、まずは原曲に失礼がないように、自分なりに曲を掴み、消化していく作業になるので、聴きこむ時間、歌い込む時間を十分に取り、さらにアニメを見返したりして挑みました。僕は、こういう作業がすごく好きなんです。鍛冶屋さんがカンカンカンと鋼を打っていくように、自分の声も想いも硬い鋼にして磨き上げていくような作業がずっと好きなんです」

──探求していく作業は、止められないのですね。

「止められないです。それが何よりも好きですし、レコーディングは特別な作業なので。あんなに贅沢なレコーディングスタジオに入ってアレンジャーさん、ミュージシャンの方やエンジニアさんなど、プロ中のプロの方と一緒にお仕事をして作り上げていくことが大好きです。そのために、自分もその場所にいられる技術を持っていたいですし、磨く作業を怠ってはダメだと感じました」

──素敵ですね。さらに、この曲にはGLAYのHISASHIさんも参加されています。

「はい。この曲のアレンジをしてくれた村山☆潤さんがGLAYさんのサポートをやってらっしゃるので、相談して、HISASHIさんに声をかけてもらいました。そしたらすぐにOKのお返事をいただいたので、すごく嬉しかったです。残念ながらスケジュールが合わなくて直接お会いすることはできなかったですが、上がってきた音源を聴いたらアニソン魂をしっかりと込めて下さり、非常に繊細かつ太い、迫力のある音を聴かせてくれていて…おかげで、本当に素敵な楽曲が出来ました」

──さらに「ムーンライト伝説」が収録されていることにも驚きましたし、すごく面白いと思いました!

「僕も面白いなと思いました(笑)。この曲は本当に幅広い世代、親子三代にわたって愛される曲なので。とくに女の子には愛されている曲ですし、もしかしたら『セーラームーン』のグッズをずっとそばに置いていたことがある人もたくさんいると思います。僕にとっての『仮面ライダー』のような、そんな存在なのでは?と思いました。僕がこの曲を歌ったらどうなるのかがすごく楽しみでしたし、たくさん喜んでくれる方がいると思って、選ばせていただきました」

──実際に歌ってみていかがでしたか?

「最初は原曲をどう崩さずにアレンジをするかがすごく難しかったです。結果的にアレンジャーの方が、ロック調で、ものすごく素敵に仕上げていただいたのでとても嬉しかったです。僕はいつも歌うときに、“ファンの人だったらどう思うんだろう?”ということをいつも考えているので、この曲も“歌ったらきっと歓喜してくれるのでは?”と思っていて。それと同時に、『セーラームーン』を見ていた時の気持ちが蘇り、郷愁や感動が新しく生まれたらいいと思って、歌っています」

──そして、Toshlさんのオリジナル曲も2曲収録されています。まずは「運命の閃光」にはどのようなメッセージを込められたのでしょうか?

1年ほど前に、“生きる”ということについて真剣に考えたことがありました。その時に、自分は今、何を伝えたいのか?と考えたら、“歌えること”、“生きていること”、朝、目が覚めることなどが当たり前ではないんだと実感したんです。それから、1つ1つのことに感謝を持って大切にしたいと思ってこの曲を作りました。こういうことって、すごく当たり前のこと過ぎて、生活をしていると忘れてしまうんですが、歌うたびに思い出せますし、それがメッセージとして伝わったらいいと思い書き上げていきました。カバーアルバムですけど、今、僕が感じている最大限の想いを自分の言葉とメロディで添えることで、アルバムが完成すると思ったので、すごく意味があることだと思っています」

──バラードの「煌めきは風」がアルバムのラスト曲です。

「はい。「運命の閃光」は、いろんな人に感謝の気持ちを伝えたいという想いから制作したのですが、その感謝を受け取った側のアンサーソングとして、「煌めきは風」を作りました。以前、羽生結弦さんとアイススケートのショーでご一緒させていただいたときに、羽生さんは“僕はToshlさんの中に入ってこの曲を舞います”と言ってくださったんです。その言葉がすごく衝撃的でした。その時に、極めている方は、表現に魂を入れるということを再確認して。実際にその演舞を見た時は号泣してしまいましたし、光の渦の中に巻き込まれるような感覚がありました。僕は羽生さんのようにはできないですけど、受け取る側になった時に、相手の中に入り、表現する、捧げるというイメージからこの曲を作りました」

──今後、Toshlさんのオリジナル曲が他のアーティストにカバーされることもありそうですね。

「そうなれば、すごく光栄なことです。僕だけが発信するよりも、違う方が発信することで、多くの世代に広がっていく可能性があるわけですから。きっと“曲さん”たちはすごく喜ぶと思います」

(おわり)

取材・文/吉田可奈
写真/中村功

RELEASE INFROMATION

Toshl『IM A SINGER VOL.4』初回限定盤(CD+BD)

2026年71日(水)発売
TYCT-693886,050円(税込み)

初回限定盤(CD+BD)

Toshl『IM A SINGER VOL.4』通常盤(CD)

2026年71日(水)発売
TYCT-693893,630円(税込)

通常盤(CD)

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