──This is LASTは、ドラマ『年下童貞くんに翻弄されてます』OP主題歌「火の花」 、ドラマ『北くんがかわいすぎて手に余るので、3人でシェアすることにしました。』オープニング曲「沼超えて湖」、そして、「シェイプシフター」がドラマ『じゃあ、あんたが作ってみろよ』主題歌と、ドラマ主題歌が続いていますが、今回、ドラマドラマ『じゃあ、あんたが作ってみろよ』の主題歌の話を聞いたときはどう思いましたか?

菊池陽報(Vo&Gt)「“めっちゃすごい!”、“マジか!”って」

鹿又輝直(Dr)「“ゴールデンのドラマの主題歌だなんてありがたいな”って」

菊池「最初、何かの間違いか、もしくは試されているのかと思ったんですけど、本当でした(笑)」

──タイアップはもう慣れっこなのかと思っていたのですが、いまでも新鮮に驚いていらっしゃるんですね。

菊池「はい。その気持ちは無くしちゃいけないと思いますし」

鹿又「そうだね」

──そんな驚きや喜びをもった上で、楽曲は、ドラマや原作のどのようなところからインスピレーションを受けて書き始めたのでしょうか?

菊池「原作を読んだ上で第1稿を提出したところ、ドラマサイドから“ピアノをメインにしたい”、“ギターがジャジャーンって鳴る感じはちょっと控えてほしい”という要望をいただいて、それらを落とし込んで…と、綿密にやり取りをして、いろいろな変化をしてここに辿り着きました。歌詞は、料理がキーになる作品だと思ったので、料理をとっかかりにして書いていたんですが、“寄り添いすぎている”と言われて。ドラマサイドからは、“変わりたい人の背中を押していきたい”というオーダーがあったので、僕はそこから“心が変われば未来が変わる”というテーマを加えて、それを恋愛を通して表現しようとしていたのですが、“恋愛に寄り添いすぎなくていい”ともなって。それからいろいろ考えているうちに、自分は、夢や目標に対して、目の前に現実が現れたときにようやく、自分との距離感がわかるよと思って。“今、気付いたところで遅いかな?”と思いながらも、This is LASTでは、そこから巻き返してきましたし、やるだけのことをやって今を生きていると思いました。きっとみんなもそうだと思うんです。だからそれをダイレクトに表現したらいいのかもしれないと思って、今の歌詞の方向性になりました」

──受け取ったメッセージやこのドラマが伝えたいメッセージと、ご自身の感情や経験に落とし込む方向性を、最初とは変えた結果なんでしょうか?

菊池「そうですね。いろんな歌詞を書いて、書いて、書いて…って絞り出して変換して、さらにそれを変換して、濾されて濾されてできた楽曲が「シェイプシフター」です。完成するまでとても苦しかったです」

──たくさん聴いてもらうことで報われたいですね。

菊池「はい、お願いします。そうじゃないと割に合わないので(笑)。とはいえ、曲を作ることは好きですし、こうやって作っていく中で気づけることもたくさんありました。それこそちょうど悩んでいる時期でもあったので、“どのタイミングで自分のダメなところに気付いたって遅くないんだ”と思えて良い経験になりました」

鹿又「この曲を初めて聴いたとき、書き下ろしではありますけど、すごく“菊池陽報節”が入っていると思いました。情けなさとか後悔みたいなものがありつつも、優しさや前に進みたいという力強さもあって。サビの<誰も器用に生きられるわけじゃない>とかはあき(菊池)の人間味が出ていてすごく好きです」

──演奏する上ではどのようなことを意識しましたか?

鹿又「ロックバンド感はあまり出したくなかったので、ドラムは結構デッドな感じにしています。あまり主張しすぎず、歌がしっかり映えるようにしました」

菊池「この曲に限らず、基本的には音数を積みなくないと思っています。その状態でいかに“足りている”と感じさせられる構成をするかというのは、いつもすごく考えています。あとは…少し技術的な話になってしまうんですけど、今回のようにたくさんの人に聴いてもらいたい曲には4分を感じるリズム(1小節に4拍、均一に鳴るリズム)はマストだと思っているので、キャッチーなメロディと、4分を感じさせられるビートというのは意識しました。あとは転調をさせて曲の展開を作って…。少し前までは言葉を畳み掛ける言葉数の多い楽曲が流行っていたんですけど、最近はシンプルなメロディラインが映える曲に流行りが移り変わってきたので、そこも取り入れたりもしました。制作期間も長めだったので、とにかくいろんなことを試行錯誤しました」

──「シェイプシフター」は妖怪の名前ですが、このタイトルをつけた理由を教えてください。

菊池「“変わりたい人の背中を押す”というドラマサイドから提示されたテーマがあって、自分の中でもそれを受けて“心が変われば未来が変わる”というテーマを持って、ストレートなメッセージを歌詞に込めました。でも、この曲を聴いて“よし、頑張るぞ!”と肩に力を入れてほしいわけではなく…“なんか頑張ろうかな?”くらいの気持ちで物事に向かってほしいと思っています。結局、それくらい楽しんでいる人のほうが強いと思うので。だから、そういう楽しめる要素、遊び心みたいなものを入れたくて。シェイプシフターという妖怪は海外ドラマによく出てくるんですが、そうやっていろんなものに化けたり、変わったりすることを楽しんでいけたらなと思う意味でつけました」

──“変わりたい人の背中を押す”、“心が変われば未来が変わる”というテーマを持って作られたということですが、お二人は、バンドをやる上で、自身が変わった瞬間や、印象的なターニングポイントはありますか?

鹿又「This is LASTの前身はハードコアバンドだったので、やはりジャンルが変わったのは大きな変化点でした。あきが2018年に「殺文句」という曲を書いて、そこからバンドの楽曲の方向性が変わって、自分も叩き方を変えて…」

──そこで“ものすごく大きな音を鳴らしたい”とか“速いビートを叩きたい”という気持ちにはならなかったんですか?

鹿又「あきの歌を届けることがこのバンドの使命だと思っているので、そう思わなかったです。もちろん気持ち的には叩きたくなることもありますけど」

──フラストレーションのようなものはないんですね。

鹿又「そうですね」

菊池「でも、実は…最近そういう曲を作りました」

鹿又「言っちゃうんだ!?」

菊池「このインタビューで言っておけば、リリースせざるを得ないから(笑)。少し前にツアーファイナルを迎えた『This is LAST one man live Zepp tour "Roots"』もそうですけど、This is LASTに対して、爽やかなイメージを持っている方に“俺たちのルーツはここにある”ということを伝えられるライブになっていたと思うので、リリースしたいですね。というのも、一時期、納得いく曲が書けなくなっちゃって。そのときに“好きなものを書こう!”と思って久しぶりにメタルやハードコア要素をThis is LASTに発展させてみようと思って作りました」

──そうだったんですね。その曲を作ったあと、また曲作りはスムーズに行くようになったのでしょうか?

菊池「なりました。だからやっぱり、自分の好きなものを作っていかないといけないと思いました」

──でも「シェイプシフター」のような楽曲を作るのもお好きなんですよね?

菊池「もちろんです。そもそも曲を作ることが大好きなので。その中で、スラッシュメタルやメタルが異常に好きというだけで(笑)」

──今のThis is LASTの楽曲ではハードコアやメタルの要素は前面には出ていないですが、菊池さんの中では、何か共通点はありますか?

菊池「僕、メタルこそ音楽的な要素が大事だと思うんです。わかりやすい例を出すと、メタリカの曲って、分解してみるとすごく音楽的なことをしていて。しかも1曲8分とかあるんですよ! そんな曲が何曲も入ったアルバムをリリースして、ツアーを回ればあれだけのキャパを埋める。それってやっぱり試行錯誤された音楽の要素の組み合わせや、緩急がついているからだと思うんです。そう考えると、勉強になる部分がすごく多くて。今、メタリカを例に上げましたけど、クラシックメタルとか、そうやっていろんな音楽に枝分かれもしていて…すみません、完全にオタクになっていました(笑)。ヘヴィメタルの話はこれくらいにしておきますね(笑)」

──つまり、ヘヴィメタルを聴いて培った音楽的な知識や技術を、This is LASTの楽曲で昇華しているのでしょうか?

菊池「はい。でも、小さい頃から家の中ではMr.Childrenや久保田利伸さんが流れていたので、そういう日本のレジェンドが作ったメロディや歌もルーツにあると思います。そこに、中高生で出会ったヘヴィメタルの熱量があわさって今のThis is LASTになっていると思います」

──それでいうと、鹿又さんの音楽遍歴はどのようなものなのでしょうか?

鹿又「僕は家で音楽が流れているようなことはまったくなくて。中学生までスポーツばかりしていて、音楽には興味がありませんでした。だけど、よくYouTubeで見ていたゲーム実況の実況者が、ドラムの動画も上げていて。その方が、ONE OK ROCKELLEGARDENを演奏していて、それを見て“ドラム、かっこいいな”と思って、高校で軽音楽部に入ってドラムを始めました」

──ドラムを叩いている姿から、音楽に。

鹿又「そうなんです。ドラムをやっている姿がカッコよくて“やってみるか!”って」

──ありがとうございます。では話を戻して、菊池さんの自身が変わった瞬間や、印象的なターニングポイントを教えてください。

菊池「お客さんは気付いていないと思うんですが、自分は歌に向き合い続けているので、歌に対して革命が起き続けています。バンドの思想と心が強くなればなるほど、音も締まって強くなってきていて、その中で歌うので。生半可な歌ではThis is LASTのボーカルは務まらないんです。逆にいうと、メンバーからの“このアベレージを超えてこいよ”ということでもあると思いますし。そのアベレージのままで、なおかついろんな声色や表情を作っていかないといけない…だからずっと成長し続けていると思います」

──ではお互い、相手の変化や成長はどう見ていますか?

鹿又「Zeppツアーで、あきのステージ力も上がったと思いますし、フロントマンとして、クラップを煽ったり、歌ってほしいと伝えたりするようになって。そこはかなり変わったと思います」

菊池「てる(鹿又)は少し前から、ドラムに対して考え方を変えていて、明らかに音も変わっています。“本当に同じ人間か?”と思うくらいです。サウンドも、ビートの縦(拍の合わせ方)も全然違うので面白いです。10年以上一緒にやっていますけど、この10年でこれほどの変化を感じるのは2回目くらいかな? 今、すごい変化をしているので、この先さらにThis is LASTの表現力が上がっていくと思っています」

──鹿又さんの中ではどのような変化が起こっているのでしょうか?

鹿又「いつも一緒にレコーディングで音を作ってくれるテックの方がいるんですが、その方のレッスンを6月から受け始めました。そこで“4分を踏むときに浮いている感じがする”という相談をしたら、体の使い方を教えてくれました。そこからすべてが変わった気がします。結局、体の使い方が良くなれば音色も良くなるんだと思いました」

──そもそも、レッスンを始めたのはどうしてですか?

鹿又「うまくなりたかったからです。あと、体の使い方を見直さないと、体が壊れちゃう可能性があると感じたからでもあります」

──それぞれが自身と向き合った結果と、菊地さんの音楽知識やさまざまな研究の成果が現れてきているのが今のThis is LASTなんですね。

菊池「そうですね。でも知識はまだまだないです。いまだに勉強中です。ただ、僕は自分が表現したいものをイメージする力はあると思っていて。だけど“これをしたいんだ”とて思ったときに、それを実現するための知識や技術がなくて…だから勉強していく、というのを繰り返しています。「シェイプシフター」でいうと、転調も、スムーズに転調することが目的じゃないということに行き着きました。今回取り入れている転調は遠隔調といって、元々のキーから遠いキーへの転調です。普通の転調のほうがスムーズに移調できるのに、あえて遠隔調にしたのは、“夢や目標に簡単には届かない”というメッセージを表現したかったからで。サビではブラックアダー・コードという濁ったコードを一瞬取り入れているんですが、これも、この曲に“変わっていく中で生じる葛藤も楽しいんでほしい”という想いを込めたくて入れたものです。普通のコード進行にしたらきれいに夢が叶っちゃうように感じたので、どこか濁らせたいと思って入れまし。歌詞はもちろんですけど、音楽家として、音でも表現ができたらと思って、曲を作りながら勉強しています」

──今おっしゃっていた、“葛藤も楽しんでほしい”という考え方がすごく素敵だなと思ったのですが、その考えに至ったのはどういった経緯だったのでしょうか?

菊池「僕自身、「シェイプシフター」を作るのが本当に苦しかったんです。だけど、制作過程で「シェイプシフター」がどんどん形を変えて良くなっていくことが、苦しくも楽しくて。そう考えると、楽しんでいるからこそ得られるものがあったと思いますし、逆に楽しんでいないとそれらを得られなかったままでした。だから自分がどれだけその状況を楽しめるかが一番必要なことだと思って。どれだけボイストレーニングをしても、どれだけドラムの練習をしても、それだけではたどり着けない領域って絶対にあって…というか、やるのは当たり前で、その上で、それをやることも楽しめる人にならないと、自分が目指している目標はたどり着けない領域だと思いました」

──それを、「シェイプシフター」を作るなかで体感したというのがすごい運命的ですね。

菊池「本当に。“変わりたい人の背中を押す”というテーマですけど、この曲が一番、完成するまでに姿を変えたので」

──そう思うと、すごく説得力を持った曲になりましたね。

菊池「はい。でも絶対に一人では作れなかったと思います。ドラマサイドの要望があったり、いろんな人が助けてくれたりしたおかげで、この形に行き着きました。今までとは全く違うアプローチをしている楽曲なので、新しく僕らに出会う人が増えてくれたらうれしいですし、それとあわせてライブも変わっていくはずなので、新しくライブを作っていくのも楽しみです」

──今、ライブのお話がありましたが、2026年3月からは長いワンマンツアー『This is LAST one man live tour 2026』が始まります。どんなツアーにしたいですか?

鹿又「どんなツアーになるかな?」

菊池「これから考えるので、まだわからないですが…これまで、This is LASTはロングツアーを経てバンドの底力が上がってきたので、今回もツアーをしながら、音楽的な部分や演奏が研ぎ澄まされていくと思います」

鹿又「そうだね。僕たちはライブハウスが好きなので熱量だけで突っ走りたくなってしまうんですが、熱量だけでいかないようにしっかりコントロールして、バンドの底力を上げていきたいです。あとは健康に気をつけて」

菊池「確かに!」

──そしてツアー後の2026年10月には日本武道館公演が決まりました。現時点での心境を聞かせてください。

菊池「まだ実感がないです」

──日本武道館というのはバンドとして目指していた場所ですよね?

菊池「はい。2018年にcoldrainを日本武道館に見にいったんです。coldrainが埋めた日本武道館を見ながら、隣のてるに“これだったらすぐ埋まるよな”って言ったのを覚えていて…そのときの自分をぶん殴りたいです(笑)。“お前、そこから死にものぐるいだぞ!”って。だけど、その時からずっと変わらずに“自分たちなら大丈夫。ラストは絶対に売れる”という気持ちを持ち続けていたからこそ走り続けてこれました。日本武道館を目指しながらも、日本武道館はゴールではなく、その先のアリーナなどさらに大きな会場でも通用するサウンドを作ろうと思ってやってきて、いざ通過点としての日本武道館が夢ではなくなると、急に実感がなくなっちゃって(笑)」

鹿又「あはは(笑)。あきも言いましたけど、日本武道館をゴールにはしたくないですし、日本武道館を発表してからら、ありがたいことにいろいろな方から“おめでとう”と言っていただきました。でも、日本武道館を埋めて、いいライブをしてから、ちゃんと自分で本当の“おめでとう”を言いたいですね!」

(おわり)

取材・文/小林千絵

RELEASE INFORMATION

This is LAST「シェイプシフター」

2025年108⽇(水)配信
(TBS火曜ドラマ「じゃあ、あんたが作ってみろよ」主題歌)

This is LAST「シェイプシフター」

LIVE INFORMATION

This is LAST one man live tour 2026

2026年3月1日(日) 千葉 LOOK
2026年3月6日(金) 神奈川 F.A.D YOKOHAMA
2026年3月13日(金) 埼玉 HEAVEN'S ROCK さいたま新都心
2026年3月18日(水) 東京 Spotify O-Crest
2026年4月4日(土) 東京 Spotify O-EAST
2026年4月11日(土) 鹿児島 CAPARVO HALL
2026年4月12日(日) 熊本 B.9 V1
2026年4月18日(土) 岐阜 Club-G
2026年4月19日(日) 新潟 LOTS
2026年4月25日(土) 長野 CLUB JUNK BOX
2026年5月9日(土) 広島 CLUB QUATTRO
2026年5月10日(日) 岡山 CRAZYMAMA KINGDOM
2026年5月16日(土) 札幌 PENNY LANE 24
2026年5月17日(日) 札幌 PENNY LANE 24
2026年5月23日(土) 大阪 Namba Hatch
2026年5月24日(日) 神戸 VARIT.
2026年5月30日(土) 静岡 LIVE ROXY SHIZUOKA
2026年6月5日(金) 福岡 DRUM LOGOS
2026年6月6日(土) 周南 RISING HALL
2026年6月12日(金) 京都 KYOTO MUSE
2026年6月13日(土) 奈良 EVANS CASTLE HALL
2026年6月20日(土) 松山 WStudioRED
2026年6月21日(日) 高松 DIME
2026年6月27日(土) 盛岡 club change WAVE
2026年6月28日(日) 仙台 Rensa
2026年7月11日(土) 大阪 BIGCAT
2026年7月12日(日) 名古屋 DIAMOND HALL
2026年7月19日(日) 東京 Spotify O-EAST

This is LAST one man live tour 2026

This is LAST one man live at 日本武道館

2026年1015日(木) 東京 日本武道館

This is LAST one man live at 日本武道館

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