──3rd Digital Single「トワイライト」は、ヒューマンビートシンガーのYAMORIさんとプロデューサーのALYSAさんに加え、anriさんとshionさんも制作に参加されています。まずはどんなところから着手し始めたのでしょうか?

anri「最初にビートだけの素材をいただいて、そこから“どういう雰囲気に感じる?”というところから2人でアイデアを出しあいました。本当に“0から1”ですよね。一緒に住んでいるので家でも話をしていました」

shion「“気分を変えようか”って、ちょっとオシャレなカフェに行ったりもしました(笑)」

anri「2人でアイデアを固めてから、YAMORIさんとALYSAさんにお見せしたものがあります。それが、A4の画用紙に自分たちの考えるアトモスフィアを体現したような画像だったり、“あの頃のカラフルだった視界を思い出そうよ”みたいな言葉だったり、文章だったりをクレヨンで描いて持っていきました」

shion「私たちの間で一致したのが、幼少期のキラキラした思い出です。“センス・オブ・ワンダー”みたいなものを思い浮かべたので、“これ、クレヨンで描きたくない?”って。子供の頃を思い出させるようなイメージでした」

anri「この曲を書くにあたって、私たち自身が子供の頃にやっていたことを取り組むことで、曲にリアリティが増すというか…そもそもこの曲を作る過程が“トワイライト”でした。ちょっと哲学みたいですけど(笑)、そう思います」

anri
shion

──anriさんとshionさんが描いた画用紙は他のメンバーにも共有されていたのですか?

mirano「2人が描いたときに見せてもらいました。そこからは2人とYAMORIさんとALYSAさんにお任せする形で、私たちは完成系を楽しみに待っていました」

──完成した「トワイライト」を聴いた印象を教えてもらえますか。

yuzuki「“あ、もう、カッコいい!”って(笑)。ビートもヒューマンビートシンガーのYAMORIさんが作ってくださったので、すごく新しい感じもありながら、歌詞には<靴はマジックテープ>とかあって懐かしいですし。歌詞を見て、“当時の無邪気な気持ちを忘れないでいたい”と思いました」

mirano
yuzuki

chiharu「この曲に入っている“17時の防災チャイム”のような音を聴いたとき、子供の頃に聞いたのと今とでは少し違うように感じました。アーティスト写真を撮影するときも、その頃を忘れているというか…今とは違う感覚だったことを思い出して、子供の頃の記憶に頑張って戻していました(笑)」

pia「私はオーストラリアで育ったので“17時の防災チャイム”は聞いたことがなかったんです。でも、この楽曲を通して自分のバックグラウンドとはまた違う、日本の子供時代を生きている感じがしました。レコーディングでもアーティスト写真の撮影のときでも、“日本の学校に通っていたらこうしたかったな”というのをアウトプットするのがとても楽しかったです」

koyuki「2nd Digital Single「東京劇場」がカッコいい感じだったので、口笛から曲が始まるのが“おっ!”と思いました。最初は、“ビートボックスと歌をミックスさせるって、とても斬新で面白い”と思っていたんですけど、“こうしてこういう歌詞になったのか”とか、この曲を作った背景を聞くと、昔の思い出が蘇ってきて…ほっこりした気持ちにもなりましたし、少し切ない気持ちにもなりました。この曲を聴いて、“子供の頃のような楽しい心を持ってみよう”って思いました」

chiharu
pia
koyuki

──みんなが話している間、anriさんとshionさんはニコニコでしたね。

anri「はい! 伝わったのがうれしくて!」

shion「メンバーに細かく説明した感じでもないんです。だから、曲を聴いて、一緒に体現しようとしてくれる過程でそういう思考に至ってくれたことに感動しました」

──レコーディングではどんなことに意識しながら臨みましたか? 苦戦したところなどありましたか?

yuzuki「レコーディングにはYAMORIさんとALYSAさんもいてくださって。歌入れで私がYAMORIさんに言われたのが“掃除機をかけているみたいにして歌って”って(笑)」

──掃除機ですか!?

yuzuki「“家を掃除している感じで歌ってみてほしい”というディレクションをしていただいたので、“面白いな!”と思いました。想像しやすくて楽しかったですし、こういうふうに想像しながら歌うのは大事だと思って、とても学びになりました」

anri「しかもYAMORIさんのディレクションがメンバーごとに違うんですよ! 各々に合うようにと言うか…」

koyuki「私は、“子供が歌っているような、ヘタウマで歌ってみて”ってディレクションをしていただきました。うまいけどどこか適当。“子供がランランランって歌っている感じで”って」

shion「私、“広めに”と言われました。だから、(両手を広げながら)こうやって歌いました(笑)」

anri「私には“とにかくエモく”って。頑張りました!」

mirno「私は“演歌っぽく”。ラストのサビとか、アウトロでshionとの掛け合いでフェイクをアドリブで入れているところがあって、一番エモさを表現したい部分でのディレクションは、“演歌”がキーワードでした」

──面白いですね〜! chiharuさんとpiaさんのキーワードも気になります。

chiharu「私はトーンのニュアンスで言われたことが印象に残っています。私のチャームポイントに“陽だまりスマイル”というのがあって、それをYAMORIさんが知ってくださっていて、ディレクションの際に“もうちょっと陽だまりスマイルを混ぜて!”と言われました(笑)」

pia「私は、“缶を開けてパーン!って感じ”と言われました(笑)」

anri「YAMORIさんのすごいところは、全員に違うディレクションをしているのに曲としてまとまっているところだと思いました。同じパートの、同じラインを歌っているにも関わらず、それぞれに合ったディレクションによって個々のラインが最大化するディレクションをされているのを、完成した曲を聴いて感じたので“すごい!”と思いました」

──どんな振り付けになるかも楽しみです。

mirano「振り付けは私が担当して作っているんですけど、絶賛作り込み期間中です(※取材時)。今はリリース後に公開するパフォーマンスビデオ用の振りを作っています。歌詞に<10円ガム>とか<秘密基地>とか具体的なワードがあるので、観ている人に映像を通してそれが伝わるような振り付けにできるように考え中…です。それこそ子供の頃にやった手遊びがそのまま反映されるかもしれないので、楽しみにしていてほしいです」

──MVも撮影していて、こちらもまだ編集中とのことですが、どんな内容になっているのでしょうか?

anri「私たち2人(anrishion)は今は大学生で、この曲をいただいたのがちょうど周りが就活を始める時期と重なっていました。周りを見ていると、みんな社会に属そうとして履歴書のガクチカ(学生時代に力を入れたこと)の欄に“どう自分をよく見せようか?”を考えて、そのために自分の中のものを塗り替えている…もちろんそれを否定するわけではないですけど、それがある種の苦しさに繋がっているように思えたりもして。そういうリアルを見ながらこの曲を聴いて、どこか懐かしさを感じたときに、子供の頃ってもっと視界がカラフルで、自分を押さえ込むことなくワクワクしていたなって。効率とか合理的に物事を考えるのではなくて、ただ楽しい、ただきれい、ただワクワクする。それだけで一歩目を踏み出していたと思って。大人になると考えすぎて結局やめてしまうことも多いですけど、心を開くことで見える景色が変わることってたくさんあるから…。それを体現したMVになっていると思います」

shion「そんな私たちのイメージを汲み取ってくださって作られたMVになっています。主人公の男の子がいて、幼少期から学生時代、社会人と、その子の人生を描いていて、私とanriは彼の同級生役で学生時代の“記憶”として登場しています」

──「トワイライト」の歌詞の端々から感じられるような、ふとした瞬間に昔の記憶が蘇ってくることってありますよね。みなさんも日常生活の中で、“この音楽を聴くと”とか、“この匂いを嗅ぐと”とか、“この風景を見ると”とか、あるきっかけでふと思い出す出来事はありますか?

koyuki「あります! 窓際で太陽に当たりながら干したてのタオル…私、小さい頃からずっと使っているタオルがあって、それを顔に当てながら寝ていると、子供の頃にこの小さなマットにくるまって寝ていた夏休みを思い出します。兄妹もいたので、メンバーのワイワイした声とかが聞こえるとさらに懐かしい気持ちになります」

mirano「私は高校生のときの通学路で、渋谷で井の頭線から東急線に乗り換えるときの経路があって。そこを特に67月あたり…ちょっとジメジメした空気だったり、ヘッドホンから当時好きだった曲を聴いたりする条件がマッチすると、すぐに高校生の自分に戻れる感じがします」

yuzuki「私は北海道出身なので冬は雪があるのが当たり前だったんですけど、東京はそうではないので“違うな”と思っていて。でも今年、雪がある時期に北海道に帰ったとき、よく晴れた日に雪の道を弟や妹と走りながら“あ、ヤバい、これ!”と思って(笑)。小さい頃、めっちゃ走り回っていたことを思い出して、すごく癒されましたし、“こういう気持ちを忘れたくない”と改めて思ったことがありました」

anri「つい昨日のことですけど、実家から届いた荷物を開けた瞬間、“実家の匂いがするー!”って(笑)。しかも、お願いしていた夏服のほかに、私が子供の頃に好きだったお菓子とか食べ物がたくさん入っていて。泣きそうになるくらいエモい体験でした」

shion「最近音楽アプリのマイページを遡ったことがあったんですけど、そこにいつ作ったのかわからないプレイリストを見つけて。日付を見たら2年前でした。プレイリストって、だいたい作ったそのときくらいしか聴かないじゃないですか。試しに流してみたら、“うわぁぁぁ!”って気持ちになりました(笑)。あのときの気持ち…“ちょっと辛かったのかな?”とか、“これで運動したかったのかな?”とか(笑)、いろんな記憶が混ざってすごくエモくなりました」

pia「いろいろあるんですけど…最近だと、昔住んでいたオーストラリアの街の空気を日本で感じた瞬間があって。私が住んでいたのは大きな川が海に繋がるところで、そこで見える空の色はパステル系の薄い青で、風も“ふわっ”て感じで涼しくて。日本に来てからその景色は見れていないですけど、この間、koyukiと桜を見に行ったとき、たまたま吹いてきた風がその風と同じで、空の色も一緒で、“うわぁ、懐かしい!”ってなって、その風の肌触りで実家のことを思い出しました」

chiharu「私の母が車で移動しながら仕事をする人で、小さい頃は車に一緒に乗って過ごすことが多かったんです。そのときに車内でかかっている音楽がだいたい同じアルバムだったので、当時も次に流れる曲とか、その歌い出しとか、全部を覚えいてました。だから今、そのアルバムをたまたま聴いたりすると、お母さんとのドライブのことを思い出してノスタルジックな気分になります」

shion「一つ思い出したんですけど、「トワイライト」のMV撮影が学校で、控え室が教室だったんです。それだけでもエモいのに、週末だったから外から野球部の声とか、カキーンって音が聞こえてきて。“ヤバい! 懐かしい〜”って(笑)。致死量の青春でした(笑)」

──今みなさんがお話ししてくれたのと同じように、この「トワイライト」もきっと誰かの記憶を呼び起こすきっかけとなる曲になると思います。では最後に、Ettoneとしての今後の目標や挑戦したいことを教えてください。

chiharu「私、Ettoneの曲にはストーリー性があって、一つ一つが粒立っている歌詞も素敵なので、ドラマの主題歌とかで際立たせてみたいという願望があります」

yuzuki「私たち、適任だと思います!(笑)」

anri「あと、今取り組んでいるのが、自分たちだけでビートから歌詞から作り上げることです。映像作品にまで持ち込めたらな…って話になっているんですけど、“まずは1曲、完成させよう!”という取り組みを進めている最中です」

──前回のインタビューでもお話ししていましたよね! それが進行中なんですか?

anri「そうです、そうです! それがいよいよ完成しそうです。あと、SoundCloudで私たちのミックステープをアップしていて、そこに全員で作った曲をアップできたら、まずは目標達成です。頑張ります!」

(おわり)

取材・文/片貝久美子
写真/野﨑 慧嗣

RELEASE INFORMATION

Ettone「トワイライト」

2026年422日(水)配信

Ettone「トワイライト」

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