──出会ってから1年以上が経ち、現在は共同生活を送っているというEttoneのみなさん。このメンバーでデビューが決まったときの気持ちは覚えていますか?
anri「この7人でデビューできるのが率直にすごくうれしいです! “早くこの7人で音楽を届けたい”という気持ちでいっぱいになりました」
──一緒に過ごす時間が多い中、“こういうグループになっていきたいよね”っていうイメージや目標を話し合うことも多いのでは?
mirano「そうですね。今もなんですけど、話し合いを随時しているというか…話し合いがすごく多いグループだと思います(笑)。というのも、私たちのスローガンに“私たちはあなたの人生の応援団です”というのがあって、それが決まるまでに本当にいろんなことがあって…例えば、これまでどんなふうに生きてきたのか?や、どんな挫折を味わったのか?など、でも、そのときに“音楽に助けられてきたよね”っていうことを打ち明けあいました。なので、泣きながら話す場面も多かったんですけど、そういうことを話し合ったからこそ、みんなの気持ちを包含したスローガンになったと思っています。今、みんなで暮らしている宿舎にも、このスローガンを紙に大きく書いて、リビングにドン!と貼ってあるんです(笑)。それくらい、私たちの大事なモットーになっています」

──音楽に助けられてきたみなさんが届けるデビューシングル「U+U」。中でもタイトル曲の「U+U」は今お話しにあったみなさんのリアルな経験が詰め込まれた歌詞が印象的です。
anri「この曲は全員が歌詞の構成作業に参加している曲で、コレオはmiranoが担当しています。最初にプロデューサーのALYSAさんからインスト音源をいただいて、それを聴いた上でどういうことをイメージしたか、メンバー内でディスカッションを重ねていきました。そこで出た意見が、“曲調に大きな展開があって、それが人生みたいじゃない?”って。そこから“時計”というモチーフも出てきて、それらを作詞していただくSIRUPさんにお話ししたら、“みんなの人生について聞いてみたい”と言われたんです。そこでいくつか質問された中でも特徴的だったのが、“時を巻き戻せるとしたら、どこに戻りたいですか?”ってことを聞かれて…」
──まさに先ほどお話に出た、これまでの経験、挫折を共有したんですね。
anri「そうなんです。それぞれが自分の人生について話して、“こういうときに戻りたい”って意見が出る中で、ちーちゃん(chiharu)が“後悔をもう一度したい”と言ったんです」


──ドキュメンタリー映像でその言葉を聞いて、驚きました。chiharuさんはどんな想いでその言葉を口にしたんですか?
chiharu「ほんとうに言葉が口からこぼれるように出たっていう感じです。そのときはまだ後悔に引きずられていたというか…。でも、Ettoneに出会ったことで、その経験を肯定できる自分も少しずつ芽生えていたときでもあって。私自身は、“その後悔をもう一度やり直したい”って気持ちも含めた上でお話をしたんですけど、SIRUPさんは、<あの日の後悔をしたっていいと思える「今」が来る>というふうに肯定した歌詞を書いてくださって。その後も<どんな日もどんな君も>と、包んでくれるような歌詞になっているので、大好きな歌詞ですし、心を込めて歌って、パフォーマンスして、届けていきたいメッセージになっています」


──コレオ制作にはmiranoさんが参加されたということで、こだわりや見どころを教えてください。
mirano「完成した「U+U」は、ダンスでは表現しきれない歌詞の深みやサウンドがあると捉えていて。どういうふうに表現するのが一番ふさわしいんだろう?と考えたときに、今までの音楽シーンにないというか、“常識を覆さないと作れないコレオにしたい“と感じて、そこを考えるのに苦戦しました。でも、私がリスペクトしているダンサーの方のお力添えをいただきながら、いい意味で歌って踊る振りじゃないというか…あえてダンサーの方が踊るようなジャンルを取り入れた面白さがあります。それから、この曲は時計をモチーフとして全体のコンセプトが成り立っているので、時計の針を表現した仕草などキャッチーな振り付けも入っています。斬新さとキャッチーさを掛け合わせた目新しいコレオになっていると思います」
──それは楽しみですね! ミュージックビデオでそのコレオを見れたりするんですか?
mirano「ミュージックビデオは撮らせていただいたんですけど、実はそこでは踊っていなくて…」
──そうなんですか!?
mirano「実際にパフォーマンスを観に来ていただきたいので、ぜひライブに来てください!」
──わかりました!


──では、続いてカップリング曲についてもお話をきかせてください。ます、「サイレント・ディスコ」。この曲は80〜90年代のシティポップを彷彿とさせる仕上がりで、作詞にはみなさん全員が参加しています。
anri「“サイレント・ディスコ”って、その場にいる人たちがヘッドホンを通して音楽を楽しむもので、ヘッドホンをしていない人から見ると無音…だから“サイレント・ディスコ”なんですけど、ヘッドホンから流れている音楽はそれぞれ違う曲だったりすることもあるらしいんです。でも、同じ色で光っている人は同じ曲を聴いているから、その人たち同士は通じ合えるっていう。ぴーちゃん(pia)がサイレント・ディスコ経験者だったので、その話を聞いて“面白いね!”ってことから進めていきました」
koyuki「同じ感情を持っている人とか、今、ここにはいないかもしれないけど、いつかどこかで巡り会えるよっていう。それは、私たちのスローガンである“私たちはあなたの人生の応援団です”というのにもすごく合っていると思います。中でも私が好きなポイントがあって…」
──ぜひ教えてください!
koyuki「<月はミラーボール 踊り明かそう>って歌詞の<月はミラーボール>は私が考案したのを採用していただいたフレーズで。それって、日々いろんなことがあって疲れたりするけど、夜に出る月は自分のためだけの光。私がそう思うのと同じように、この曲を聴いた人が、月の光を浴びているときは自分が人生の主役で、輝いていられるといいなっていう想いを込めてこのフレーズを考えたので、意識して聴いてもらえるとうれしいです」


──shionさんはどうですか? お気に入りのポイントなどありますか?
shion「歌詞とサウンドのギャップですね。歌詞は私たちが考えたので、例えば<ノイキャン外して>とか、Z世代に向けたキャッチーな言葉を取り入れています。でも、サウンドは80年代、90年代のシティポップ。私たち世代には少し新しく聴こえつつ、80年代や90年代にそういう音楽を聴いていた方たちにはすごく懐かしく聴こえるみたいな、幅広い世代の方が聴いて楽しめる楽曲になっているのがいいなって思います。あと、ダンスにもディスコポーズが実際に入っていて。そこにもぜひ注目してほしいです!」


──そして、カップリング曲がもう1曲。「Roses」はR&B色の強いミディアムバラードで、みなさんのハーモニーも心地いいですね。
yuzuki「「Roses」はテーマが“愛”と“感謝”になっていて、薔薇をモチーフとした歌詞が全体に散りばめられています。作詞には私とchiharuとanriが参加したんですけど、最初は英詞だったんです。そこから日本語の歌詞に変えていくのに、“日本語の美しさも取り入れていきたいよね”っていうことで、響きを大切にしながらみんなで言葉の候補をあげていきました。1から3人で考えて、愛について語った曲になっている歌詞にも注目しながら聴いていただきたいです」
koyuki「メンバーに向けてね!」
yuzuki「そう。メンバーに向けて、すごく愛を語っています(笑)。愛もですし、リスペクトする部分も各々すごくあって。それを伝えるのにこの曲はピッタリというか…普段は恥ずかしくて言えなかったりすることも、歌にすることで伝えられるかな?って。あと、サウンドがR&Bポップで、すごく開けた音楽になっているので、早くライブで歌いたいです」


──piaさんが感じているこの楽曲の魅力はどんなところでしょう?
pia「「Roses」の歌詞は日本語と英語がほぼ半々になっていて、英語の発音にはかなりこだわりました。私は英語がネイティブなので、他のメンバーのレコーディングのときは、私が“OK!”って言うまで何回も何回も練習してから歌ったりしていました。1stシングル『U+U』に収録されている3曲は、どの曲も歌い方や発音の仕方が全然違っていて、「Roses」も他の2曲とはまた違った雰囲気になっているので、ぜひ聴いていただきたいです」
──「Roses」にも振り付けがあるんですか?
pia「はい。「Roses」のコレオはyuzukiと私が参加しました」
yuzuki「「Roses」はビートがすごくきれいというか…R&Bを感じさせる強めの音が入っているので、そこを取ったほうがいいんじゃないか?とアイデアを出させていただきました。みなさんが真似できるような動きも盛り込んでいるので、みんなで一緒に盛り上がれるように作れたと思います」


──みなさんのこだわりが詰まった1stシングルに仕上がったんですね。まもなくデビュー日を迎えますが、これから先に叶えたい夢や目標はどんなことを掲げているんですか?
mirano「具体的な目標としては、“自分たちで一つの作品を完成させたいね”と話しています。今はALYSAさんをはじめ、たくさんのプロフェッショナルな方々からご教授いただきながらみんなで作り上げている最中なんですけど、それぞれの技術力をそのレベルまで上げることができれば、きっと私たちオンリーで作りたい楽曲、作りたいクリエイティブを意のままに作り出せると信じているので。なので、“いつか私たちだけで、納得のいく作品を作り上げる“っていうのが今の目標です!」
yuzuki「ビートとかを作れるメンバーもいるので。楽曲にしても、“0から1を作りたい”っていうのは強く思っています」

──デビュー後の9月30日にはスペシャルショーケースイベントが開催されます。どんなライブにしようか?というのも、やはりみなさんで話し合っているんですよね?
anri「すごく話し合っています(笑)。つい昨日も夜9時からリハーサルをやっていました。どう伝えるのか?…“ただ見せるだけじゃなくて、伝わる表現ってなんなんだろう?“っていうことを話し合っています。ピッチだったり、リズムだったりの技術力ももちろん大事なんですけど、その部分を調整した先にもう一つ、私たちの心の情熱をどう揃えていくか?というところもあって。技術をすごく意識するとマインドのほうが縮こまってしまうし、でも逆にマインドを意識すると技術が少し疎かになっちゃう…みたいな。そこはもうミリ単位で調整して、ベストなところを探っています。それは多分、自分たちが制作に携わっているからこそでもあると思うんですけど、すごく熱意を持って調整している最中なので、どんなパフォーマンスになっているか、楽しみにしていてほしいです!」
(おわり)
取材・文/片貝久美子
写真/野﨑 慧嗣