──まずCROWN HEAD結成の経緯とビジョンを訊かせてください。

hiroto(Gt)「もともとそれぞれバンド活動やプロデュース、SNSの活動をしていたんですが、最初に出会ったのは僕とTasukuでした。一緒にやっていたバンドが解散して。それから、プロデュース、ミキシングの他、ベース&ボーカルもできるLumelに最初はサポートで参加してもらって…活動する期間も長くなって、自然と3人で活動するようになりました。さらにハンドボーカル的なボーカリストがいた方がバンドとして締まるんじゃないか?ということで、3人の音楽性に合うボーカルを探していたときに、僕の幼馴染のMotoに声をかけました。学生時代に少しだけバンドを一緒にやったこともあって、人間性もですし、声質も、作っていた曲にすごく合うと思ったんです。ちなみに声をかけたとき、Motoは音楽活動もやっていたんですけど普通に会社員として働いていて。でも幼なじみの勘で多分、参加してくれるだろうと(笑)」

Moto(Vo)「夜中に突然、連絡がありました(笑)」

hiroto「いろいろと作業が急ピッチで進んでいたので、Motoには1週間くらいしか決断の猶予がなくて…。でも、このメンバーでなら絶対に面白いことができるという確信があったので、、“迷わず来て欲しい”とお願いをして、その後すぐに東京で住む家を決めて、こっちに出てきてもらいました」

──Motoさんは人生を賭けるような展開は大丈夫だったんですか?

Moto「結果的には人生が変わるポイントだったと思うんですけど、話をもらったときは自分の中で重大感やプレッシャーよりも、“挑戦してみたいという気持ち”の方が強かったです」

Tasuku(Dr)「なんならこの3人のライブをお客さんとして観ていましたから」

Moto「そうですね。その頃はまだ深く知り合ってはいなくて、人となりまでは分かっていなかったんですけど…“カッコいいバンドだな”って思っていたので、声をかけてくれたのは純粋に嬉しかったです」

hiroto(Gt)
Moto(Vo)

──皆さんそれぞれ異なる音楽的バックグラウンドをお持ちですが、Lumelさんのルーツについても聞かせてください。

Lumel(BaVo)「中学生の頃に音楽をやろうと思ったきっかけはメタリカやMUSE、オアシスなどバンド系の音楽で、音楽大学に入学してからかなりR&B系に惹かれるようになって…最近も聴いていて好きなのはそんな音楽です。ミュージシャン活動と並行して他のアーティストの楽曲をプロデュースしたり、エンジニアとしてミキシングやマスタリングもしたりしますけど、もちろんメインはバンドでの活動です。過去に制作していたソロ音源も、いずれタイミングが合えばきちんとリリースしてみたいですね」

──韓国のミュージックシーンの影響は?

Lumel「韓国のインディーズレーベルと契約していた時期があり、その頃は空気感に合わせて、カフェで流れるようなチルで聴きやすい楽曲を意識的に作っていました。そういった環境の中で、音楽の届け方やスタイルの多様性につい色々と学べたと思います。ただ最近はもともと好きなロック、ロックスターに気持ちが向いてます(笑)」

──CROWN HEADの魅力のひとつに、それぞれ異なる音楽的ルーツを持っていることがあると思います。Tasukuさんは、どんな音楽的なルーツをお持ちですか?

Tasuku「僕は小中学校はずっと美術をやっていたんですけど、高校でカナダに行ったときに学校の先輩に憧れてドラムを始めました。だから日本の音楽を全然聴いたことなくて、レッド・ホット・チリ・ペッパーズやニルヴァーナなど海外のアーティストばかり聴いてたんですけど、12年前くらいに日本戻ってからはアニソンやJ-POPも聴くようになって。それからは日本の歌詞にも興味を持つようになりました…“バズっているアーティストほど歌詞を大事にしている”と思って。このバンドで自分が貢献できることのひとつは歌詞作りだと思っています」

──CROWN HEADのInstagramで洋楽とJ-ポップ、K-ポップとJ-ポップをマッシュアップした動画をアップしていますね。

Tasuku「そうですそうです。せっかく韓国人のボーカルと日本人のボーカルが一緒のバンドにいるので、“どっちも歌えるんだよ”というか、両方の良さを出したいと思ってあの企画を思いつきました」

──Tasukuさん個人でやっている英語インタビュー動画『たすまる。』はあくまでバンド活動の為なんですか?

Tasuku「そうですね。2年半前に始めたんですけど、シンプルにドラムだけだと食べていけない現実があったんです、海外ではライブハウスにお金を払う文化はあまりなくて、そこも全然違ったので、“バンドだけやっていても生きられない”と感じました。昔からどのバンドでも僕はSNS担当をしていて。どうやったら音楽で自分のやりたいことをしながら生活できるかな?と思ったときに、英語が喋れるのも一つの武器だと思ったんです。それで、『たすまる。』を始めて2週間後にバズって、2年経っていまのフォロワー数になったんです。でも、やっぱりどこかで音楽につなげたいと思っていて、しゃべっている後ろにドラムセットを入れたりして“この人、ドラマーなんだ”って印象づけはずっとしていました」

──“ドラムやってるんですか?”って訊いてくれたり?

Tasuku「訊かれることも増えました。今はメジャーデビューをして『メジャーデビューしたたすまる。』になれたのかな? だから“たすまる。さんのバンド”と言って貰ってもいいですけど、今後はCROWN HEADとしてどんどんバズって、“この曲も有名になったドラムのあの人でしょ?”とかがいいです。今はシフトチェンジのタイミングだと思います」

Lumel(Ba、Vo)
Tasuku(Dr)

──hirotoさんは、いちばんギタリスト然としていて、ストイックなミュージシャンという印象がありますがいかがでしょうか?

Tasuku「そうですね。ギターに人生捧げてるタイプです」

hiroto「(笑)。きっかけはレッチリの二代目ギタリストのジョン・フルシアンテさんに惹かれて、小学5年生のときギターを買ってもらいました。すごく田舎で周りに何もないので独学でギターの練習をしていてたんですけど、高校生になってちゃんと習わせてもらうようになって。その頃、“音楽でやっていけたらいいな”と決心して専門学校に入りました。(TasukuLumelは)そこからいろいろなバンド活動をしていた中で出会ったメンバーではありますけど、他のバンドのサポートやレッスン業もやっています。今でもTasukuも一緒なんですけど、高校の部活動の顧問みたいなことも…」

Tasuku「軽音部の先生」

hiroto「都と契約して半公務員になってます、今」

──えーっ!?

hiroto「そういうのもやりながらですけど、“ギターで生活したい“という気持ちの中でもアーティストであることはやはり特別なんです。(ギター)プレーヤーとして生活していくとか、いろいろな方法がありますけど、その中でもアーティスト、しかもバンドでっていうのは、すごい憧れというか…」

Tasuku「それ、ずっと言っています」

hiroto「だからこそ、このメンバーに出会えて、サポートしてくださる事務所、レーベルの方々がいて、活動出来ている現在の状況はすごくありがたいと思います。悪い意味でのプレッシャーじゃなく、いい意味で“もっと自分を出していかないと“と、特にこの2ヶ月は感じる日々でした。この気持ちを常に持ち続けていければ、CROWN HEADはもっと多くの人に知ってもらえるバンドになれると思っています」

──Motoさんは?

Moto「子どもの頃から歌うこと自体が好きでした。スイッチが入ったのは映画の『Beck』を観た時で、同じ時期にグリーン・デイの「バスケット・ケース」のミュージックビデオも観てギターロックに惹かれました。ちょうどその頃幼なじみの彼(hiroto)がギターをやっていたこともあって、一緒にギターを買いに行ったりしました。その頃からバンドやボーカルに憧れはあったかと思います。その後、20歳くらいから弾き語りの動画をInstagramに上げ始めて、YouTubeとかTikTokにも現在進行形でアップしています」

──1st Digital Single「Hidden」はデビュー曲でいきなり話題のドラマ『天久鷹央の推理カルテ』オープニングテーマに抜擢されました。これはどれくらいドラマのテーマに沿って書いたんですか?

hiroto「物語の世界観に寄り添えるように、そして主人公・鷹央のテーマ曲となることを意識して制作しました。歌詞に関してはTasukuMoto2人が担当していて、ドラマの内容だけでなく、ボーカルのMotoLumel、それぞれのキャラクター性も踏まえて丁寧に作ってくれました」

Tasuku「歌詞は8割くらい出来てはいたんですけど、でもMotoにも加わって欲しくて。僕には出せない彼の魅力があるんです。他の楽曲の歌詞はそれぞれで書いたりする事が多いんですが、このデビュー曲だけは一緒に作りたかったんです」

──「Hidden」には“医療系シャーロックホームズ”というドラマのテーマにリンクするような歌詞もありますね。

Tasuku「そういうシーンを思い浮かべながら二人でかなり考えて…冒頭のバースはほぼMotoなんです。結構難しい言葉とかを使っているんですけど、そこがいいんですよね」

hiroto「Motoは国語の教員免許持ってるんです」

Moto「免許だけは(笑)」

──とてもアカデミックな集団ですね。

Tasuku「教員バンドだね?」

Moto「(笑)」

hiroto「日本語に加えて、英語と韓国語も使えるので、歌詞に関しては、メロディーに一番自然にハマる言葉を選んで織り交ぜることができるんです。言語の切り替えがスムーズにできるのは、僕達の強みでもあると思います。やっぱり日本語と英語では、リズムの乗り方や響きが全然違うので、その違いを感覚的に使い分けられるのは大きいですね」

──ドラマのストーリーもあると思うんですけど、バンドの曲としてどんな主人公でどういう状況を想定しましたか?

Tasuku「歌詞では“天才であるが故にあまり人と深く分かち合えない、天久鷹央の孤独感”を最初のバースでは書いていて、サビでは、“でも、それでも希望はあるよ”というメッセージを込めました。どんな状況にあっても、希望は捨てずに持っていたいという想いを重ねました」

──主人公の天久鷹央の立場にフォーカスして?

Tasuku「そうですね。かなりドラマの主人公の気持ちに寄せた歌詞ではあるかもしれないです。でも、それは彼女だけの話ではなくて、現実にも理解されない孤独を抱えている人っていますし、特に東京のような都会にはたくさんいると思うので、ドラマに寄り添いながらも、聴く人の心にも届くような、そういう人に刺さる曲にもなっていると思います」

──作曲はメンバー全員プラスhaku2さんですね。

Lumel「そうです。haku2は僕の知り合いなんですけど、作曲チームとして愛情深く全曲のアレンジとかをしてくれています。「Hidden」は“メンバー全員で作った“ってことに意味がある曲だと思っています。アレンジの過程とかもみんなでアイディアを出して行きました」

──強みであるところのツインボーカルですけど、曲が出来てから歌い分けを考えるのでしょうか?

Tasuku「だいたいメロディが出来てからみんなで決めています。僕なりにイメージもあるので、“ここはLumelが歌って”とか、英語と日本語の歌詞があるので、そこはアイディアを言ったりします」

Lumel「“Motoにはここを歌ってほしいな”とか考えながら作るところもありますね」

──特定のジャンル感に縛られないバンドだと思うんですが、これからのCROWN HEADの目標はどういうところにあるんでしょうか。

Tasuku「このバンドはインターナショナルなので、いろんな方々に聴いていただきたいと思っています。それこそ僕のやっているコンテンツでいろんな国の人に僕たちの音楽を聴いていただきたいですし、それこそ韓国語も日本語も英語も入れていきたいと思っています。実際に韓国やカナダに行って僕たちの曲を届けたいというのが目標ですね」

──最近、韓国で開催されるイベントやフェスはジャンルの幅が広いユニークなものが増えていますよね。

Lumel「いろんな方が出演してる感じがありますね」

Tasuku「だから本当、“うちらなんじゃないの?”って。日韓バンドだから行かないと!」

hiroto「今日イチ声が大きいね(笑)」

──期待していますし、実現することを楽しみにしています。そして既にSOUD OUTしていますが、CROWN HEAD初のショーケースライブ『SECRET SHOWCASE “Climbing”』の抱負を聞かせてください。

hiroto「このメンバーでやる初ライブなんです。デビュー後一発目とかではなく、本当にライブ自体がこのバンドで初っていう…」

一同「(笑)」

hiroto「もちろんリハーサルでしっかりと感覚を掴んでいるんですけど、やっぱリハーサルではわからない、やってみないとライブの感じって出ないじゃないですか。でも“この4人だったらいいライブが生み出せる“というワクワクがあるので、今はSNSを通じて知ってくださっている方が多いとは思いますが、実際に会ってバンドの音楽を肌で感じてもらえたら嬉しいですね」

──ちなみに現時点ではオリジナル曲が「Hidden」しかないんですけど…。

Tasuku「これ、隠しているんです、Hiddenしちゃってるんですよ」

hiroto「言うと思った(笑)」

Tasuku「まだいっぱいあるんです」

hiroto「なので、初めて聴いてもちゃんと歌詞も伝わるような演出とかも用意しているので、その辺はライブで“次はどんな?”というのも込みで楽しんでもらいたいです!」

(おわり)

取材・文/石角友香

SECRET SHOWCASE “Climbing”
初のショーケースライブ encoreオリジナル ライブレポートは近日公開!

SECRET SHOWCASE “Climbing”

2025年66日(金) 東京 代官山 Space Odd 予定販売数終了

RELEASE INFORMATION

CROWN HEAD「Hidden」

2025年520日(火)配信

CROWN HEAD「Hidden」

LIVE INFORMATION

2nd ONEMAN LIVE「Red Riot」

〈日時〉2025年8月9日(土) 開場18:30/開演19:00
〈会場〉代官山Space Odd
〈料金〉スタンディング ¥3,000(税込)
〈チケット情報〉https://eplus.jp/CROWNHEAD/

CROWN HEAD 関連リンク

一覧へ戻る