──新曲「ジェンガ」はACE COLLECTIONにとって久しぶりのバラードです。制作の経緯を教えてください。
たつや◎(Vo./Gt./Songwriter)「この曲は、ボードゲームのジェンガと恋愛をかけた失恋バラードですが、恋愛ソングを書こうとしていたわけではなくて…。会社周りの人間関係でメンタル的に疲れてしまった時期があって、そのときにいつものように歌詞を殴り書きして、ギターの弾き語りで録ったボイスメモのメロディーが、そのまま「ジェンガ」のAメロになっています。歌い出しの<少しくらい傷ついてもいい そう思っていた 崩れる寸前まで心は保つと思ってた>も、そのときの実感です」
──そう言われると、確かに恋愛がテーマではないように感じられてきました。
たつや◎「そうなんです。それとは別に、以前に作っていたサビだけのボイスメモがあって…それをくっつけてみたら、もともと1曲だったかのようにぴったりとハマって、今の完成形になっていきました」
──歌詞の内容を、崩れる寸前の恋愛にしたのはどういった経緯だったのでしょうか?
たつや◎「もともとあった“ジェンガと失恋”の比喩表現が気に入っていたので、それを広げていきました。僕はもともとディズニーが好きで、フィクションやイマジネーションで物語を作って歌詞を書いていくのが好きなんです。だからジェンガから広げて物語を作っていきました。とは言え、恋愛に固執しているわけではなくて、発端は人間関係で書き始めた曲なので、“積み重ねていって時には崩れてしまいそうになるもの”というコンセプトで書いています。聴いてくれる方の中にも、そういう積み重ねてきたものはあると思うので、それを思い返すきっかけになれたらいいと思いますし、自分自身もバンドをやっている1ページ1ページをより大切にしようと思いました」
──Mochiさん、話を聞きながら頷かれていましたが、共感する部分がありますか?
Mochi(Ba.)「この曲に限らず、たつや◎が書くバラードって普遍的なんですよ。変な話、僕たちがいなくなってからも曲は残って、聴かれますよね? まだ知らない未来の子どもたちの曲になると思っていて…色褪せない魅力があると思います」
──LIKIさん、RIKUさんはこの曲を最初に聴いたとき、どのような印象を持ちましたか?
LIKI(Gt.)「まず“ジェンガ”という視点が最高ですし、曲もキャッチーでメロディも秀逸で。レコーディングでたつや◎が歌うのをブースで聴いて、我ながら“最強な曲がACE COLLECTIONに誕生しちゃった”と思いました。みんな、ライブでこれを聴いたら泣いてしまうんじゃないかな?」
RIKU(Dr.)「まず、恋愛をジェンガに置き換えているところが面白いと思いました。僕はよく恋愛相談を受けるんですが、彼氏彼女とうまくいかなくなったり、別れようか悩んだりする状況ってみんなが経験することですし、その中で1つ1つ崩れていく感じは、刺さる人は多いと思います。個人的には2番サビあとの<今更になって後悔ばかりが頭をよぎる>から始まるところが、共感できますし、畳み掛けるように鳴っていくオケも好きです」
Mochi「そのブロックに<サプライズもうまく喜んであげられなかったな>という歌詞がありますが、RIKUはサプライズをうまく喜べないメンバーとして僕たちの中で有名で…だからRIKUをモデルにしたのかな?と思いました」
RIKU「僕も少しだけ“俺のことかな?”と思いました(笑)」
──(笑)。
──今、RIKUさんから“畳み掛けるオケが好き”という話もありましたが、この曲を演奏するうえで、意識したことやこだわったことを教えてください。
LIKI「今回のアレンジャーさんは、「70億にただ1つの奇跡」でもご一緒した河野圭さんです。曲を大きく変えるというよりは、ニュアンスを少しずつ調整していく感じで細かく詰めました。ギターで言うと、イントロのギターは何度も録り直しました。かなりソフトにしています」
Mochi「「ジェンガ」は繊細さが必要な曲なので、楽器も歌も、1つ1つのタッチにこだわっています」
たつや◎「バラードは特にごまかしがきかないからね」
RIKU「そうそう。河野さんとは、これまでバラードを4〜5作品一緒に作っているので、求められることもだんだんとわかってきて…特に意識しているのは、バラードだからこそのダイナミクス、感情の起伏をどれだけ楽器で鳴らせるかというところです。それこそ、さっき話した2番サビ終わりのところは、個人的に一番グワーっとエモーショナルになります」
たつや◎「この曲、「君を誰より愛してんのにな。」のときのスネアのチューニングと同じだったり、「花火大会」で使ったエレキギターを使っていたりと、これまでのオールスターの音が詰まっているんです。デモを作っている段階から、僕には音のイメージがあって、それを研究して積み上げていくことができたので、個人的には音作りが一番うまくいったと感じる曲でもあります」
Mochi「たつや◎が“こういう音にしたい”と言ってから、その音を導き出すまでの時間も今回は早かったです。“経験はて何よりも強い”と思いました。そういう意味では、次、また同じチームでバラードを作るのが楽しみです」
たつや◎「バラードがACE COLLECTIONにとっての1つのアイコンのような存在になっているのは自分たちでも感じています。だからそこをもっと育てていきたくて。ACE COLLECTIONの曲をもっとたくさんの人に届けられるようになりたいですし、バラードはそのための1つの武器になると思っています」
──たつや◎さんは、ボーカルとして歌う上で意識したことやこだわったことはありますか?
たつや◎「レコーディング前は、“こういうニュアンスにしよう”とかいろいろ考えるんですけど、何も考えずにパッと録った歌のほうが良かったりするんです。理屈で固めたものは、これからの時代はAIが得意とするものになっていくと思います。だから人間は、何も考えずに出てきたものを歌う…そいうところで勝負するしかないと思っています。ACE COLLECTIONのバラードは、楽器のレコーディングを“せーの!”で一緒に録っています。だからボーカルも、バンドの音を聴いて自然発生したものを乗せるのが大事だと思いながら歌いました」
──LIKIさんが、“レコーディングブースでたつや◎さんのボーカルレコーディングを聴いてグッときた”と言ってましたしね。
LIKI「1発目のテイクがヤバかったんです。その時点でエンジニアさんと“これ、最高じゃない?”と言い合いました」
たつや◎「喧嘩をしたときって、考えていないからこそ感情が溢れ出ますよね。そういうものが楽曲にも詰まっていたほうが、生々しくて、人間らしさや個性が出ていいと思うんです。それが今回、音源にうまく残せたと思います」
──皆さんもかなり手応えを感じているようですが、「ジェンガ」が出来上がってみていかがですか?
RIKU「僕、めっちゃ聴いています。今日も20回くらい聴きました」
たつや◎「公開前のMVが届いたとき、家のテレビに映して1曲ループでずっと聴いていました」
LIKI「わかる! “いい曲だな〜”って思いながら僕も聴いていました」
Mochi「今までのバラードの中でも一番手応えがあって、シンプルに満足しています。僕個人としても、チームプレーとしても満足です」
RIKU「本当にいい曲なので、たくさんの人に広まってほしいです」
──“ACE COLLECTIONにとってバラードはアイコンであり、武器だ”という話がありましたが、今年の夏はUSEN放送で、「花火大会」がかなり流れていますよね。「花火大会」は2025年リリースの楽曲ですが、皆さんにとってこの曲はどのような存在になっていますか?
Mochi「“エースの夏の曲と言えば”という夏の定番曲になっています。野外や夏っぽいイベントでのライブにぴったりで!」
LIKI「花火が打ち上がる音を楽器で表現していたりして、音色も含めて夏を感じられる曲です。この曲をライブで演奏すると“夏が来たな”って感じます」
RIKU「僕たちには季節を感じられる曲が多くて。「70億にただ1つの奇跡」は春、夏なら「花火大会」と言う感じで。夏が近づくにつれて、セットリストに「花火大会」が入ってきて、寒くなると別の曲になります。そういう意味で四季を教えてくれる曲です」
たつや◎「作家目線で言うと、バラードに初めてロック要素を入れた、挑戦的な曲でした。それまでのバラードは、オケが控えめで歌を立たせる作り方でしたが、“バンドを感じたい”と思う自分もいて。「花火大会」で初めて歪んだギターを入れました。バラードにダイナミクスを取り入れるきっかけになった曲で、「ジェンガ」にもつながる曲だと思います」
──せっかくなので、「花火大会」に隠されている音のこだわりやお気に入りポイントも教えてください。
RIKU「2サビ終わりのギターソロでは、打ち上げ花火をバンドサウンドで作っています。“ピーン、バーン”、“ドッドッ、バーン”っていう、花火をイメージしたフレーズで。そこは面白いと思います」
たつや◎「デモを作っている段階で“4人で花火を打ち上げるイメージが作れたら面白いかな?”と思ったのがきっかけでした」
Mochi「それ以降、歌詞からサウンドを作り上げるという感覚は身に付いた気がします。「花火大会」のこだわりポイントの話に戻りますが、レコーディング前にみんなでギターを持ちながら2番のAメロにアルペジオを入れたのも印象に残っています。細田守監督作品のような夏っぽいイメージをギターで表現できて個人的に気に入っています」
LIKI「僕が気に入っているのはラスサビです。ライブでやっていて気持ち良すぎるんです。“バンドの勢いを表現してみよう”というのがこの曲の始まりでしたが、実際にライブでやってみると高揚感がすごくて!」
Mochi「ラスサビはそれこそ“ドーン”と花火を打ち上げた後なので、みんなが高揚していて。“バンドらしいな”と感じています」
──初めてのロックの要素を入れたバラードということですが、ボーカルもそれまでとはやはり違うものなのでしょうか?
たつや◎「はい、違います。レコーディングのときはあまりうまく歌えなかった気もします…転調したほうが気持ちいいと思って転調したら、キーがすごく高くなってしまって。でもファンの方にそのスレスレの苦しいニュアンスも好きだと言っていただけたこともあって。今となっては気持ちよく歌えています。当時は自分で作っておきながら“高い音で伸ばすなよ…”と思っていましたけど(笑)」
──ACE COLLECTIONは来年結成10周年を迎えますが、10周年を目前にした現在の心境を聞かせてください。
RIKU「ここまで続けてこられて良かったと思います。2021年には独立をして、何も後ろ盾がない状態だったので、いつバンドが潰れてもおかしくなかったので。それでも続けられて、もうすぐ10年です。よく耐えたと思います」
──“耐えた”という感覚なんですね。
たつや◎「エスカレーターのように“何かに乗っかっていたら自然と進んでいた”という時期はほとんどなかったです。むしろ常に後ろに引っ張られている中で、4人で“ファイト一発!”みたいな気持ちで進んできました。重たい1歩を何百、何千、何万と踏んできた感覚があって、この4人じゃないと今のこの状況はなかったという自信があります」
Mochi「常に4人で目の前のことに猛ダッシュしている感覚で、気づいたら道がすごく長かった…という感じです。普段、過去はあまり振り返らないですが、改めて振り返ってみるといろいろやってきたと思います」
LIKI「いろいろありましたし、本当にいろいろな人に支えられてここまで来られました」
たつや◎「本当に! ACE COLLECTIONとして自信を持たせてくれているのは、スタッフさんやファンの皆さん、1人1人の存在です。もともとYouTubeでの活動から始めて、売れるためのバンドとして視聴回数を追っていた時期は、後ろめたさを感じることもありました。だけど、ACE COLLECTIONの楽曲や投稿を楽しみにしてくれている人、僕たちの楽曲に“救われている”と言ってくださる方が増えてきて、そんな声にも後押ししてもらって、“絶対に音楽を辞めない”と決めました。改めて、いろいろな人たちへの感謝を込めて、これからも音を鳴らしていきたいです」
──いつ潰れてもおかしくなかったとのことですが、10年間“耐えられた”のはどうしてなのでしょうか?
RIKU「たつや◎が作る曲のおかげだと思います。独立したばかりの頃は本当にお金の使い方がわからなくて…。でも、自主リリースした「君を誰より愛してんのにな。」がミリオンヒットになって、今でもランキング上位に入っています。この曲はかなりエースにとって大きかったです」
Mochi「もちろん4人の人間力や周りの支えもありますが、何よりもたつや◎の作る曲が僕たちにもパワーを与えてくれています。悩みがあったり楽しいことがあったりする中で、そのときにたつや◎が感じたことをそのまま曲にしてくれているので。その1つ1つが繋ぎ止めてきたんだと思います」
──皆さんを支える楽曲を生み出しているたつや◎さんの原動力になっているものは?
たつや◎「なんだろう?…メンバーの反応かもしれないです。子供の頃、あまり友だちがいなくて、スーパーマリオのバグ技を見つけて友だちに教えてあげたら、みんながうちに来てくれてすごく嬉しかったんです。曲作りもその感覚に似ていて。1人で作っているからこその孤独な瞬間もありますけど、みんなに聴かせて、“いい曲じゃん!”と言ってもらえたり、リリースに際してたくさんの人が協力してくれたり、ファンの人が聴いてくれたり、ヒットすると喜んでくれたりする姿を見ることが原動力だと思います」
Mochi「そう考えたらすごいことですよね? たつや◎が家でパソコンをポチポチやって作った曲が、何千人、何万人という人に届くって」
たつや◎「だけど、10年耐えた一番の要因は、4人の性格だと思います。みんなは僕が作った曲だと言ってくれましたけど、RIKUはグッズを作ってくれて、Mochiがファンクラブを考えてくれて、LIKIはYouTubeのカバー企画を考えてくれています。人間関係で悩むのが普通の世界の中で、この4人で話し合って活動していることが続けられている理由なのは、間違いないです」
──来年の10周年イヤーも楽しみですね。
たつや◎「はい。来年はファンへの感謝を伝える1年にしようと思っています」
RIKU「皆さんに喜んでもらえることをたくさん考えています。全国ツアーも計画していますし、新曲もリリースする予定です」
たつや◎「新曲は、4人で歌詞を出し合って作ろうと思っています。ファンへの想いを綴った曲にしたくて。でもその前に、まずは今のACE COLLECTIONも見てもらいたいです。最近、ライブの調子がすごく良いんですよ!」
──ライブと言うと、今年の11月から12月にかけて東名阪ツアー『ACE COLLECTION LIVE TOUR 2026 "Re:Vo:Lover"』が控えています。
たつや◎「タイトルの“Re:Vo:Lover”は、“Re”が再起で、“Vo”は声。自分たちが何度も何度も鼓舞して声を上げて立ち上がってきたという意味が込められています。“Vo”には“Voltage(電圧)”と言う意味もあって、“Lover”はファンのみんなです。つまり“Re:Vo:Lover”は、何度も再起しながら声を上げて、電圧を通して愛する人たちのために音を鳴らすツアーです。絶対にヤバいことになるのは間違いないので、楽しみですし、楽しみにしていてもらいたいです!」
(おわり)
取材・文/小林千絵
RELEASE INFORMATION
LIVE INFORMATION

ACE COLLECTION LIVE TOUR 2026 "Re:Vo:Lover"
2026年11月27日(金) 大阪 梅田 BANGBOO SOLD OUT
2026年12月4日(金) 愛知 新栄シャングリラ SOLD OUT
2026年12月9日(水) 東京 Spotify O-WEST SOLD OUT
2026年12月12日(土) 東京 GOTANDA BLAZE ※追加公演

ACE COLLECTION 10th ANNIVERSARY TOUR
2027年4月4日(日)東京・吉祥寺 CLUB SEATAを皮切りに、全21か所23公演の全国ツアー開催決定!
結成10周年イヤーを飾る、これまでの歩みとファンへの感謝を込めた特別なツアーです。





