倍率なんと250倍!1,500人のプロ・アマの中から選ばれた奇跡の6人で結成されたディズニーが公認する唯一のアカペラグループ=ディカペラ。全員が全く違うバックグラウンドを持ち、それぞれがソロとしてもトップレベルの実力をもつ奇跡の6人のシンガーたち
アントニオ・フェルナンデス(ボイス・パーカッション)、RJ・ウェスナー(テノール)、モーガン・キーン(ソプラノ)、ケイレン・ケリー(メゾソプラノ)、オーランド・ディクソン(バリトン)、ジョー・サントーニ(ベース)
に、ディカペラ参加秘話、そして、アルバム『マジック・リイマジンド』、3年振りのジャパンツアーへの期待をじっくり聞いた。

――全米が見守る中、オーディションで選ばれたディカペラの皆さんですが、それぞれオーディションを受けたきっかけを教えてください。

モーガン「私の歌手としての一番大きな最初の仕事が、ディズニー・シアターのミュージカルだったんです。その舞台に立った経験もありましたし、もともとアカペラをやったことがあったので、このオーディションにすごく興味が湧いたんですよね。それに、いろんなところに行き、多くのお客さんの前でパフォーマンスをする、そしていろんな人と触れ合うことが大好きだったので、受けてみることにしました。実は、当初は、“グループを結成し、ツアーを1回だけまわる”と言われていたんですよ。それが、1回限りではなく、継続することになったので、生活のすべてが変わりました」

――一度じゃなくなった時は本当に驚いたのではないでしょうか。

モーガン「とても驚きました!グループの一員としてこれまで活動したことはなかったので、大きなチャレンジだと思い、続けることを選びました」

オーランド「僕は、ニューヨークに引っ越したばかリの頃に、友だちにこのオーディションの存在を教えてもらったんです。でも、当時はあまり体調がよくなくて、乗り気じゃなかったんです。でも、友だちと一緒ならということで、動画を撮って送ってみたらとんとん拍子に話が進んでいって。オーディション会場に行って話を聞いたら、“グループを結成して、ツアーをする”と言われて、すごく興味が湧いたんです。実際にグループ活動を始めて、僕も人生が大きく変わりました」

――具体的にどんなところがおもしろいと思いましたか?

オーランド「このプロジェクトがなければ、このメンバーとは出会うことはなかったと思うんです。性格も経験も、バックグラウンドも全然違う人たちがこうやって集まっているからこそ、メンバーから学ぶことがすごく多いんですよね。人生って、生きていて自分に起こることは何か理由があって、意図があって起こることだと僕は信じているので、この活動からできるだけ吸収をして、今後の人生に活かしていきたいなと思っています」

ケイレン「私も友だちにオーディションがあるよと教えてもらったんです。それまではアカペラの活動を4年間プロとしてやっていたんですが、ずっとディズニーの仕事がしたいと思っていたんですよね。さらに私は、フロリダの出身なので、ディズニーワールドのキャストのいろんなオーディションを何度も受けていたんです。でも、これまで受かったことがなかったんですよね。とはいえ、これは夢の仕事だと思って“受けよう!”と決めたんですが、直前に緊張しすぎて、無理だ…と思ってしまったんです。そんな時に、夫に説得されて、締め切り直前に応募をしたんです。私も、このグループに入り、ここまで自分の情熱を注げる仕事に出会えたことに感謝しています。ディズニーの伝統を検証するプロジェクトであると同時に、自分にとっても大切なものを残すための活動だったと実感しています」

――以前からアカペラをしているということでしたが、どんな時に魅力を感じますか?

ケイレン「たくさんあると思うんですが、楽器や伴奏がないアカペラは、人類が一番最初に歌を歌ったことの原型なんですよね。人の声を聴いて、ハーモニーを付けているということが、すごくリアルなリアクションだということに気付いたんです。あとは、楽器で演奏されている原曲を声だけで演奏するときに、歌の部分だけじゃなくて、いろんな楽器のパートにもいろんなメロディやフレーズがあり、それを表現する、しかも楽器に近い音を自分達で探りながら、それを見つけ、再現したときに、こんなメロディがこの曲にあったんだという新しい発見があるんです。それをディズニーの名曲のなかから見つけることができるのも素晴らしいですよね」

――皆さんの息が合わないとアカペラは成立しないと思うのですが、気を付けているところはどんなところですか?

RJ「実は僕たちの中でちょっとした儀式があるんです。毎回公演をする前に、みんなで輪になって、オーランドが先頭に立ち、ちょっとしたお祈りをするんですよ。そこでみんなで気持ちをひとつにして落ち着かせることで、感謝の気持ちを忘れないようにしているんです。そこで結束力を確かめ合っていますね。“我々は今ここにいて、これから人々の前で、この音楽を届ける”というために、この儀式はエネルギーになって、同じ波長になれるんだと思います」

――それはバックステージで?

RJ「はい。僕たちが付けているイヤーモニターにアントニオがお祈りを言ってくれるんです。それをみんなで聴きながら気持ちをひとつにしています」

――その映像があったらファンは嬉しいと思うのですが…。

アントニオ「まさかそんなところまで観たいと思ってるなんて!(笑)人によって信じるものは様々だと思うけれど、みんなが静かに自分を顧みて、感謝の気持ちを忘れないようにする瞬間って特別なことだと思うんです。そこに需要があるならスタッフさんに言ってみようかな?(笑)」

――日本人はドキュメンタリーやバックステージが大好きですから!

RJ「そうなんだね!だったら聞いてみよう(笑)」

アントニオ「ちなみに僕がこのオーディションに応募したのは、音楽の仕事って安定した仕事にありつくのがすごく難しいんです。僕もいろんなオーディションを受けたことがありますし、ディズニーランドでアカペラグループとして活動したこともあったんですね。それもあって、このオーディションも、そういったディズニーランド内のツアーだと思っていたんです。そしたらこんなにも大きなプロジェクトでビックリしました。いま、自分が置かれている状況は、世界中の人たちの心に響くような音楽を届けられるチャンス、機会を与えられたということに驚きを隠せません」

RJ「僕は友だちからこのオーディションについて、“これに関わっているの?”って聞かれたんです。その時に、“こんなに自分にとってぴったりな仕事はない!”って思ったんですよね。フリーランスで声優や俳優、セッションシンガーなど、これまでやってきたことはすべてこのためだったのかと思ったんです。それに、いまアントニオが言っていたように、保証がない世界で、これだけ安定した仕事ができるのは夢の様な事だったんですよね」

――今までいろんな経験をしてきたからこそ感じるディカペラの素敵なところはどんなところだと思いますか?

RJ「みんなのプロ意識が高くて、信頼ができるんです。そもそも人として好きなんですよね。音楽のレベルがすごく高いですし、僕にとって居心地がいいんです。それに、全員それぞれに、ひとつも余計なものがないんですよ」

ケイレン「それ、わかる!みんなそれぞれ個性と役割があるんですよね。音楽的にそれぞれの声が必要だというのはもちろん、経験値や、発想、すべてに関して必要なんです」

――まさに奇跡ですね。

ジョー「そうなんですよね。僕がこのオーディションを受けたのは、ちょうど人生の岐路のような時期だったんです。当時は別のアカペラグループで活動していたんですが、周りがどんどん成功していくうちに、“自分はもう無理なんじゃないかな?”って思っていたんです。そこでどんどん自信を無くしていたんですよね。でも、そんなときに父親が背中を押してくれて、締め切り間近に申し込みました。そこで受かってこのメンバーと出会い、本当に受けて良かったなと思いましたね。今は自分の価値が何なのか、自分がどれくらいのことができるのかが分かりましたし、なにより自信を持つことができました。これからも世界にディズニーを広める、音楽を広めるという、夢の様な仕事ができることに、幸せを感じています」

――そんなみなさんが制作した来日記念CD『マジック・リイマジンド』が発売されました!オススメの曲を教えて下さい。

ケイレン「「スーパーカリフラジリスティックエクスピアリドーシャス」です。『メリー・ポピンズ』の曲なんですが、すごく楽しくてみんなで踊りたくなるような曲なんですよね。このCDでは、現代風にアレンジしたバージョンが楽しめますし、コンサートで一緒に盛り上がれる曲になっていると思います」

オーランド「「酒場のバンド」(『スター・ウォーズ/新たなる希望』より)のMUSIC VIDEOは、ディズニー・ワールドのスター・ウォーズのカンティーナで撮影をしたんです。この曲は基本的にインストがメインなので、歌詞がほとんどない曲を声だけで表現するのは、100%声ということも証明できると思いますし、コンサートで観たら驚いてもらえるんじゃないかなと思っています」

ジョー「「Nobody Like U」(『私ときどきレッサーパンダ』より)は、70年代のボーイズバンドをイメージしているんです。なので、バックストリート・ボーイズなどのアレンジを意識しているんですよね。男性陣みんながソロを歌っていて王道ポップスなところは楽しんでもらえると思います」

――ライブで楽しみにしていることはどんなことですか?

アントニオ「今回は、新しい曲も演出もたくさんあるすごくフレッシュなコンサートになっているんです。どの曲も日本のお客さんに気に入ってもらえると思いますし、選曲にも関わりました。あとは、観たこともないようなこともチャレンジしていますし、逆により身近に感じられる演出もあるので、ぜひ楽しみにしていてください!」

モーガン「このアルバムには入っていないんですが、「カラー・オブ・ザ・ウィンド」は、RJがアレンジをしているんです。RJがピアノを弾いて、私が歌うというセクションを気に入っているので、ライブでも挑戦しようと思っています」

RJ「日本では『アナと雪の女王』が人気なので、「レット・イット・ゴー/雪だるまつくろう」のマッシュアップや『アナと雪の女王2』の「イントゥ・ジ・アンノウン」を披露するのも楽しみにしていただきたいですね。「サークル・オブ・ライフ」もかなり盛り上がるアレンジをしています」

アントニオ「最初のツアーの時は、自分達が見せ場だと思っていたところと、お客さんが盛り上がった場所が違うところもあったので、今回コンサートを見たら、おもしろかったところをSNSで知らせてくれると嬉しいですね。早くみなさんの感想が聞きたいです!」

(おわり)

取材・文/吉田可奈
写真/野﨑 慧嗣

ディズニー・アカペラ・コンサート「ディカペラ」――コンサート・レポート

その名も、ディカペラ。「100%ヴォイス、100%ディズニー」をコンセプトにした、ディズニー初の公式アカペラ・グループだ。2019年に初来日を果たし、会場を連日超満員にした彼らが再来日し、東京、大阪、広島、福岡、鹿児島、名古屋、札幌と回る大規模な全国ツアーをスタートさせた。その最初の舞台となる東京公演が、8月5日に渋谷の東急シアターオーブにて開幕。
コンサート・レポートはコチラ >>

Release Informationディカペラ 『マジック・リイマジンド』

好評発売・配信中
CD:UWCD-11003,000円(税込)
Walt Disney Records

ディカペラ 『マジック・リイマジンド』CD

Live Informationディズニー・アカペラ・コンサート「ディカペラ」

■東京公演 85日(金)〜21日(日) 東急シアターオーブ
■大阪公演 825日(木)〜28日(日) オリックス劇場
■広島公演 830日(火) 広島文化学園HBGホール
■福岡公演 92日(金) 福岡サンパレス
■鹿児島公演 94日(日) 川商ホール(鹿児島市民文化ホール)第1ホール
■名古屋公演 96日(火) 日本特殊陶業市民会館フォレストホール
■札幌公演 99日(金) 札幌文化芸術劇場 hitaru


ディズニー・アカペラ・コンサート「ディカペラ」

関連リンク

こちらもおすすめ!

一覧へ戻る