杏子、山崎まさよし、スキマスイッチ、秦 基博など数々の有名アーティストが所属するオフィスオーガスタは、2021年11月2日に設立30年目を迎えます。「この節目の年に、アーティストや共に音楽を届けてくださるスタッフの皆様、そして何よりオフィスオーガスタの発信する音楽を愛し、応援してくださるリスナーの皆様へ、改めて感謝とエールを送りたい」という思いを「MUSIC BATON」と言うタイトルに込め、この一年を通して様々なライブをお届けしていきます。
2021年11月2日に設立から丸29年を迎え、2022年の30周年イヤーに向けて走り出した、オフィスオーガスタ。その大きな節目を控える中、1年を通して所属アーティストたちが様々な形のライブを届けるプロジェクト「MUSIC BATON」が、設立記念日である11月2日にスタートした。記念すべきVol.1は、杏子×山崎まさよし×松室政哉による『Three Of Us』。設立当初から所属する杏子を筆頭に、3人が自然に集うステージに、オフィスオーガスタらしさが感じられる。そう感じられたのは、世代もキャリアも違う3人が横一列に並んだ姿に、時代や流行にとらわれず、いつだってエバーグリーンなグッドミュージックをファンに届けてきたオフィスオーガスタの変わらないスタンスが重なり合ったからなのだと思う。
ライブは、3人だけでパフォーマンスする「星のかけらを探しに行こう Again」で幕を開けた。オフィスオーガスタのスペシャルユニット・福耳の1stシングルであり、発表時から現在まで所属アーティストたちによって歌い継がれてきたこの名曲でライブがスタートしたことから、3人の今回のライブに賭ける思いが伝わってくる。
続く2曲目からはバンドを呼び込み、杏子のソロデビュー曲「DISTANCIA~この胸の約束~(20years After Ver.)」を披露。山崎がリアレンジしたというエスニックテイストのサウンドに合わせ、杏子のダンスステップも映える。この曲について、杏子はMCで「オーガスタがスタートしたときの曲で、玉置浩二さんに作曲をお願いしたんだよね」と語ったが、まさに今回のライブにふさわしい選曲だ。
3曲目と4曲目も杏子のソロ曲が続き、「イジメテミタイ」では山崎&松室のソウルフルなボーカルと杏子の激しいシャウトが絡み合い、最新アルバム「VIOLET」収録の「Heaven’s Door」ではギタリストと2人きりで全編英語詞の歌を聴かせる。
その後は、松室と山崎も順に3曲ずつ自身をメインにフィーチャーした楽曲をパフォーマンスする形でライブは進んでいく。松室の「海月」には山崎がブルースハープで色を添え、そこに杏子のコーラスも加わり、心地良く伸びやかな歌声を響かせた。そして山崎は、大好きな曲だと杏子が語る「Hello ヘヴン」をライブ初披露。続く「根無し草ラプソディー」では、ラグタイムやブルーグラスを思わせるサウンドを聴かせるが、こういったふっと土の匂いがするような曲調が、山崎の歌声には本当によく似合う。そこから微笑ましくわちゃわちゃした3人のMCを挟み、最新アルバム「STEREO 3」にも収録されている「Updraft」で本編は幕を閉じた。
会場には、すぐにアンコールを求める手拍子が鳴り響く。そんな中、ステージ上のスクリーンにはアコースティックギターで奏でられる「星のかけらを探しに行こう Again」のインストゥルメンタルに合わせて、これまでのオフィスオーガスタの歩みを振り返る映像が流れる。この日のステージに立つ3人はもちろん、オフィスオーガスタに所属する多くのアーティストたちの様々な時代の姿が約5分にわたり映し出されていったが、客席のファンたちはそれぞれの思いを馳せながら、この映像に見入っていたに違いない。やがて映像が終わると、会場はファンの温かい拍手に包まれた。
ヒストリー映像が終わると、いよいよアンコールだ。ステージに再登場した3人は、黒のスーツに黒のハット、そしてサングラスという出で立ち。さながら3人組のブルース・ブラザースという印象だが、その衣装で披露したのは、やはり松室と浜端ヨウヘイがコラボした「Rewrite」だった(同曲のMVで、松室と浜端は黒のスーツとハット、サングラスでパフォーマンスしている)。軽快なモータウンリズムに乗せ、間奏では3人が揃ってボックスステップを踏む。その楽しそうな姿に、会場にもハッピーな空気が流れていく。
「Rewrite」のパフォーマンスを終えると、杏子が客席からドラマーのあらきゆうこを呼び込む。福耳を始め、多くのオフィスオーガスタ所属アーティストの作品に参加し、自らもオフィスオーガスタに所属するあらきのサプライズ出演に、声こそ出せないもののファンの熱量がぐっと上昇したことがわかる。タンバリンを携えたあらきを加えて披露されたのは、福耳の「DANCE BABY DANCE」と「イッツ・オールライト・ママ」。どちらも高揚感たっぷりのソウルフルなメロディーが魅力のナンバーだが、最後にまたサプライズが待っていた。
「イッツ・オールライト・ママ」がスタートしてほどなく、山崎が「マイクが壊れた!」と言ってバンドの演奏をストップさせたのである。慌てた様子で舞台袖に下がった山崎だったが、すぐにステージに戻ってくる。その手には、花束。花束を渡す相手は、目の前にいる杏子である。マイクが壊れたと言って山崎が演奏を止めたのは、杏子のソロデビュー30周年をサプライズで祝福するための演出だったのだ。そんな粋な計らいに、思わず涙する杏子。涙を流しながら、設立当初のスタッフに感謝の言葉を述べる杏子に拍手が鳴り止まない。その拍手がそのまま手拍子へと変わり、再び「イッツ・オールライト・ママ」の演奏がスタートする。幸福感に満ちたメロディーは、大団円のラストにとてもとてもよく似合っていた。
杏子×山崎まさよし×松室政哉『Three Of Us』 SET LIST
M1.星のかけらを探しに行こう Again
M2.DISTANCIA~この胸の約束~(20years After Ver.)
M3.イジメテミタイ
M4.Heaven’s Door
M5.今夜もHi-Fi
M6.2人のコンプライアンス
M7.海月
M8.Hello ヘヴン
M9.根無し草ラプソディー
M10.Updraft
M11.Rewrite
M12.DANCE BABY DANCE
M13.イッツ・オールライト・ママ
ハウスバンド:伊吹文裕(Dr)/植松慎之介(Bs)/中嶋康孝(Gt)/井上薫(Key)
┗2021年11月2日(火)@duo MUSIC EXCHANGE
- 取材・文/大久保和則
- 写真/岩佐篤樹
Office Augusta 30th MUSIC BATON Vol.2
出演:大橋卓弥(スキマスイッチ)
日程:2021年12月27日(月)
会場:東京・BLUE NOTE TOKYO
※チケット情報など詳細は後日発表
Office Augusta 30th MUSIC BATON
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