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――すっかり時候の挨拶のようになってしまいましたが、3月以降のステイホーム期間中は皆さんどのように過ごされていましたか?

高見沢俊彦「本当は4月からツアーが始まる予定だったんですけど、延期に次ぐ延期で。緊急事態宣言が出てからは3人ともすっかりステイホームでした」

坂崎幸之助「4月、5月のころは、ちょっと延期すれば行けるかなって思ってたんだけどね」

桜井 賢「そうだね。さすがに8月くらいには行けるだろうってことで、「THE ALFEE Best Hit Alfee 2020 春の夢」はリハーサルもきっちりゲネプロまでやって、セットもきっちり組んでもらって、できるとなったらすぐできるように準備だけはしていたけどね。そしたら……」

坂崎「そう。緊急事態宣言が出ちゃったから、こりゃもうだめだなって。いまはようやく外に出て仕事らしきこともさせてもらってますけど、ステイホーム期間中の数ヵ月ずーっと家にいて。そんなこといままでの人生でなかったですから」

――こんなにも長い間ステージに立たなかったのはデビュー以来初めてでは?

高見沢「46年間で初めてですよ。「メリーアン」を出す前でもこんなことなかったよな(笑)」

坂崎「そうそう。あの頃だってライブハウスではやってたからね」

――じゃあ、これからリスタートっていう感じでしょうか?

高見沢「いや、そうでもないです。ステイホーム中はニュースばかり見ていて、多少不安にはなりましたが、その原因はニュースには希望がないこと。ニュースは現実を伝えるだけですからね。で、僕らにとっての希望は一体何だろうって思ったら、もう新曲しかない!それから猛烈な勢いで曲を作りましたよ。それが僕の使命でもありますからね。その中の1曲が今回のシングルです。自粛期間が終わってからは、いきなりスタジオで、密にならないようレコーディングしました。46年やってきましたから、そういうのはリハビリなしでできるんですよ」

――では、新曲の「友よ人生を語る前に」は、このコロナ禍の状況下で制作されたということですね。

高見沢「そうです。まあ、二人とこれだけ顔を合わせなかったのって、出会ってから初めてだったから。そうするとやっぱり、二人のことも考えるし、それ以外の友達のこともちょっと思い出したりして。高校、大学の同級生たちも元気でいるのかな……と。ですから「友よ人生を語る前に」は同世代に向けた“もうちょっと頑張ろうか?”っていうメッセージソングでもあります」

――これまでのTHE ALFEEのメッセージソングって世代を特定していなかったように思うんですが、今回は違いますね。

高見沢「意識的にではないですが、わりと不特定多数に向けた曲が多かったのかもしれませんね。今回はあえて同じ目線で、同世代に語りかけていますが、どの世代にも通じるものはあると思うんですよ。特にいまはこんな時代ですからね……でも、今回のことでいろいろ考えましたよ、“俺たちって不要不急なの?”ってね」

桜井「ことあるごとにあれやっちゃだめ、これもやっちゃだめって言われちゃうとね。いや、いろんな災害がありますけど、どんなときもまずは自分の命を守ること、次に食べるところ、住むところ……っていう状況だと俺たちはまるで役にたたないんですよ。でも復興してゆく段階では、僕らの歌が心に栄養を与えるっていう役割りを果たしていたと思うんです。でも今回のコロナ禍みたいになっちゃうと手の出しようがないなとも思うしね」

――そうやって自問自答してしまう時間がしばらく続いていたと。

坂崎「音楽をやっている連中だったり、映画や舞台の人たちも同じでしょうけど、そういうことを実感せざるを得ない時期でしたね」

桜井「でも、俺たち、時間を無駄にしなかったよな?」

高見沢「そうだな」

桜井「三密を避けつつレコーディングまでやれちゃったんだから」

坂崎「それに関していえば、いまの時代のいいところっていうか、デジタルの恩恵を感じちゃうよね。3人バラバラでも録れるんだから」

高見沢「THE ALFEEなんてさ、いちばん三密なバンドだと思わない?三密三声(笑)」

坂崎「そうそう。昔はボーカルマイク1本で3人歌っていたからね」

高見沢「しかし「星空のディスタンス」を出した当時は、こんなにディスタンスってことばが流行ると思ってなかったし(笑)」

坂崎「コロナに見舞われるまで、日常会話にディスタンスなんて言葉使ってなかったでしょ?THE ALFEEは36年以上ディスタンスって歌っているからね」

――最近、高見澤さんの『音叉』を読み返していたんですが、登場人物の瀬川さんにこの「友よ人生を語る前に」を聴かせてやりたいと思いました。

高見沢「ははは!なるほどね、ビクトリーレコードの瀬川修造に?」

――ブライト・メイデン・ジャパンの社長まで上り詰めながらも寂寥感を感じてしまっている瀬川さんにぴったりの曲じゃないですか?

高見沢「確かにね。小説「憂鬱な週末」の瀬川は70歳くらいだから、僕らよりちょっと上の世代です。地位も名声も得たけれど、その分犠牲にしたものも多い。あの世代の方々の典型ですね。まさに“人生なんてそんなものだろう”ってタイプでしょう。上を見たらきりがないしね。そうやって一人ひとりがそれぞれの道を生きていくこと。それも人生のかたちでしょうね」

――ステイホーム期間中に、そういう曲のアイデアがふっと湧いてきたんですか?

高見沢「さっき、期間中にたくさん曲を書いたって言いましたけど――作りながら、この曲は桜井がいいな、この曲は坂崎だなって――本当は別の曲をシングルにしようと思っていて、「友よ人生を語る前に」はそれのカップリング曲だったんですよ。でも、作っているうちにどんどんハマってしまって、こっちの方がいいかなって(笑)。あとこの曲はみんなで気軽に歌える歌にしようと思っていたので、シンプルなコード展開になっています。歌詞も53回ぐらい書き直しましたから、かなり思い入れも強い。46年やってきたバンドのメッセージとして、いちばん相応しい曲だと思います」

――すごく真っ直ぐな言葉が綴られていますが、たとえば20代の頃の高見沢さんにも同じ曲が書けていたと思いますか?

高見沢「書けませんね。あの頃は尖っていた分、半面投げやりになっていた時代でしたから……必死ではありましたけど、やることなすこと裏目でしたからね。そういう時代を通り過ぎて来た、いまの自分だからこそ書けた曲だと思います。長く続けてきたバンドの矜持として、いま出すべき曲でしょう。46年間ずっと休みなくやってきて初めて“休みなさい”って言われたんですよ。そんなバンドの存在証明としては最適な曲です」

――こういうシンプルでストレートな曲があがってきて、桜井さん、坂崎さんのファーストインプレッションはどうでしたか?

桜井「“あ、この曲は俺じゃないな”って(笑)」

――誰曲だと思ったんですか?(笑)

桜井「いや、坂崎だろうなって」

坂崎「えー、俺なの?いや、ストレートなわかりやすいメッセージで、しかも“友よ”とか“人生”とか僕らフォーク世代にとっては馴染みのあるフレーズが散りばめられていて、確かに若いバンドからはなかなか出てこない言葉だろうなって思いましたね」

桜井「それができるのはやっぱり、ちゃんと年齢を重ねてきたからでしょうね。バンドとしても50周年が見えてきましたし」

――前作の「人間だから悲しいんだ」もストレートなメッセージソングでしたけど、ここ数年のTHE ALFEEはこういう真っ直ぐな感情表現が顕著ですね。

高見沢「そうですね。来年、3人あわせて200歳だからね。それだけ長くやっているバンドだからこそ、ストレートな曲を歌うってことが必要なんだと思いますよ」

――THE ALFEEとしてはもちろん2020年も例年どおり活動するはずだったわけですよね?

坂崎「そうですね。このまま50周年まで突っ走ろうかなって思ってたところの出鼻をくじかれた感じです」

高見沢「ほんと、“人生なんてそんなものだろう”ってことでしょうね」

――2019年は45周年イヤーということで、アルバムのリリースや幕張メッセでの「THE ALFEE 45th Anniversary Summer Best Hit Alfee 2019 夏の乱 Battle Starship Alfee」開催など話題の多い年でした。特にメッセは壮大なセットにも目を奪われましたが、フラットな空間で見るTHE ALFEEがすごく新鮮でした。

高見沢「そうかもしれませんね。武道館も、国際フォーラムも、横浜アリーナもそうだし、僕らは、こう見下ろされる感じの会場が多いですから」

坂崎「そういえば放送関係のかたが、幕張メッセをあれだけ上手く使ったアーティストは見たことがないって言ってたな」

――そう思います。あのブリッジが客席にせり出してきて、僕はラッキーなことにそのすぐ近くの席だったので、手の届きそうな距離でお三方を背中側から見るという貴重な体験をしました。

高見沢「去年は『Battle Starship Alfee』というアルバムをリリースしたので、アルバムのテーマに相応しい演出ができたと思いますよ」

――ツアーでも披露されていた「STARSHIP -光を求めて-」は僕のなかでは鉄板曲で、『SF新世紀レンズマン』も当時映画館で観ました。

高見沢「え!あの映画観たんだ?相当なマニアだね(笑)。日本初のCGアニメってことで話題になったんだけど、原作の『レンズマン』はSF小説の古典で、スターウォーズ・フリークの人たちにとってはバイブル的存在ですからね。いま観ても面白いんじゃないかな」

――すみません、脱線してしまいました。えーと、何が言いたかったかというと、「STARSHIP -光を求めて-」の発展形ともいえる『Battle Starship Alfee』や幕張メッセの演出は、あの曲をリアルタイムで聴いた世代にはたまらないってことです。

高見沢「まあ、幕張メッセのライブは、ファンのかたがたのそういう思いを意識した部分はありますよね」

――そして、秋の国際フォーラムを挟んで、冬は代々木体育館。こちらもTHE ALFEE史上初の会場でしたね。

桜井「武道館が改装中で使えなかったからね。でも代々木体育館、よかったでしょ?」

――はい。ステージがすごく近かったです。

坂崎「センターステージにしたんでね。僕も海外のアーティストが来日すると代々木体育館で見たりしますけど、ステージが遠いんですよね。自分たちのコンサートではそれをなんとかしたかったので」

――会場が代々木体育館というだけですごく新鮮な冬フェスでした。贅沢な話ですが、武道館でのステージを見慣れちゃうアーティストというのもなかなかいないですね。そんなふうに2019年を締めくくり、2020年を迎えたわけですが……

高見沢「年が明けたら世界中が大変なことになってしまいましたから。先日、僕らも「THE ALFEE 46th Birthday 夏の夢 2020 SUMMER8.24-25」という無観客配信ライブを開催したんですが、僕らなりの配信のかたちを模索していこうかなとは思ってます」

――そのかたちって、通常のライブの発展形なのか、あるいは全く違う角度からのアプローチなんでしょうか?

高見沢「うーん……「夏の夢」は前者でしたね。いつもオーディエンスの前でやっているライブを無観客でやってみたという。でもね、そのときに気付いたんですよ。オーディエンスがいるかいないかでこれほどまでに違うのかってことに。いままでどれだけお客さんに助けられてたんだろうってね。手応えが感じられない。マインドもそうだし、フィジカルの疲れ方も違うよね?」

桜井「もう全然違ったね。オーディエンスのパワーっていうのは計り知れないなって」

坂崎「知っていたつもりだったけど、あらためて思い知らされましたね。達成感というのもあまり感じられないし、じゃあ、これをそのまま続けていくか?って言われたら、それは違うでしょうってね」

高見沢「ただ無観客ってことじゃなくて、僕らなりの発信のしかたがあるんじゃないかって気付いたんですよ。観ているかたはスマホとかパソコンで観てるわけじゃないですか。それでも生の臨場感を感じてもらえるような方法を考えなくちゃいけないだろうと」

――手応えがないってことは、ひたすら素振りしてる感じですよね。

高見沢「ははは!素振りだね。いや、本当にそんな感じ」

坂崎「まさに。歌番組の収録に近い感覚だよね。お客さんの反応が見えないっていうね」

桜井「あ、そうかもね。俺、昔はTVの収録って苦手だったんですよ。そりゃ、ライブで目の前にお客さんがいるほうがしっくりきますけど、でもあるとき“ああ、このカメラの向こう側でたくさんの人が見てるんだな”って気付きましたから。変な話、人が見てないところで歌ってると腰にくるんだよね(笑)。オーディエンスの合いの手があるかないかで全然違うから」

高見沢「それわかる!変なところに力が入っちゃうんだよ。この前の無観客ライブのとき、生まれて初めてギターが重いって感じた。リハのときに、弾きづらいとか重いとかってあったけど、ツアー本番では全く感じたことなかったから。やはりオーディエンスの力ってすごいよね」

桜井「やっぱり俺たち、オーディエンスに生かされているんだよ。だってさ、いつもライブで最後の最期は疲れ切ってるけど、アンコールの声が掛かってステージに戻るとその日の疲れがぱっと消えちゃうから。それがあるから次の日もツアーが続けられるんだよ」

坂崎「見てる方の側の意識もそうじゃないのかな。コンサート会場で見てるのと、ふだんの生活環境のなかで見てるのでは全然違う感覚だと思うし。ライブだと、近い席の人も遠い席の人もいて、見え方は違うかもしれないけれど、それでもみんなが同じ空間にいて、同じ空気を吸っているっていうことがライブの醍醐味だから」

――ライブそのものが楽しいのは確かですが、九段下の駅から地上に出てお堀端から薄暗い田安門をくぐって……という会場にたどり着くまでの高揚感だったり、帰り道の“ああ、今日も楽しかったなあ!”という時間もライブの一部ですから。

高見沢「それはありますね」

桜井「そういう当たり前のことが、当たり前じゃなかったってことに気付かされたよね。ここ数ヵ月の間に」

坂崎「だからこそだよ。さっき高見沢が言っていたように、THE ALFEEらしいことをかたちにしなくちゃね」

高見沢「そう、僕ららしいこと、僕らにしかできないことをね。近いうちにお見せできると思いますので」

――2019秋の乱のツアーブックのなかで高見沢さんが言っていた「発想と行動の距離の短さ」というTHE ALFEEのストロングポイントが試されている局面なのかもしれませんね。

高見沢「そうですね。THE ALFEEって、誰かに引っ張られて成り立っているわけじゃなくて、3人が対等に存在しているグループですから、いまこそその強みを発揮できるはずなんですよ。いま“新しい生活様式”ってよく言いますけど、同じように“新しいかたちのライブ”ってものが出てくるんでしょうね。もしそれが正しいことなら、コロナ禍が収束した後も、いままでのライブと“新しいかたちライブ”の両輪でやっていけるはずなんですよ」

坂崎「そう、今回の出来事はたぶんきっかけに過ぎないんだよ。これがなかったとしても、そろそろエンターテインメントの新しい道っていうものを考える時期だったんじゃないかな。それを僕ら自身が考えていかなくちゃいけないんだろうね」

桜井「今年ももう8月か……たぶん50周年なんてあっという間に来ちゃうんだろうな」

高見沢「そうだね。“人生を語る前に”もうちょっとだけがんばろう!(笑)」

(おわり)

取材・文/高橋 豊(encore)





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