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SMART USENの「ジュルナルクボッチのファッショントークサロン」、第32回のゲストはmercibeaucoup,の宇津木えりさん!



――宇津木さんと久保さんのファーストコンタクトは?

宇津木えり「久保さんがまだ『senken h(センケン アッシュ)』にいたころだから……」

久保雅裕「宇津木さんはFRAPBOIS(フラボア)時代ですね。mercibeaucoup,(メルシーボークー、)を立ち上げる前です。いや、宇津木さんはその頃と全然変わっていないからびっくりなんだよね」

宇津木「え、みんなそんなに変わらないでしょ?」

久保「いや、スタジオでメイクしているときの待ち時間とかもこんな感じでずっとおしゃべりしながら笑ってるし、当時からそういう印象は変わらない。だって、ショーの前のデザイナーさんって神経質になっていたりするじゃない?」

宇津木「ははは!だから私、“三キャラ”なんですよ」

――二の線、三の線で言うところの三ってことですね?先ほど代官山店での撮影中にお客様と気さくにおしゃべりしている姿が印象的でした。

宇津木「自分から進んでお客様の間に入っていくっていうね(笑)」

石田紗英子「なかなかないですよ。ああやってブランドのデザイナーさんとおしゃべりできるチャンスって」

宇津木「でしょ? “アイ・アム・デザイナー!ユー・アー・ラッキー!”って話しかけちゃうんですよ」

久保「そりゃ、お客様は“ワオ!”ってなるよね」

宇津木「そうなんですよ。代官山店は外国人のお客様も多いのでみんなよろこんでくれるし」





石田「ショップの暖簾にも大きなカンマをあしらっていますが、mercibeaucoup,の最後にカンマが付いているのはなぜですか?」

宇津木「ああ、あれはですね、“どうもありがとう!そして……”って、話が続くようにっていう意味なんですよ」

――そういう宇津木さんのキャラクターがそのままメルシーボークー、のブランドイメージになっている気がします。

久保「そう、デザインに出ちゃってる。僕がさっき衝動買いしたクビモコもそうだし、定番のうしろまえデニムとかも一捻りしてるというか、シャレが効いてるよね」

――ああいう発想って、ある日突然降ってくるものですか?

宇津木「んー、どうかな……うしろまえが生まれたのはメルシーボークー、を始めて3年目くらいだったかな。そのときはスラックスを仮縫いしていたんです。そしたら、なんだかかたちが定まらなくて。パタンナーとふたりでああでもない、こうでもないって話してて、“ねえ、これ、後ろ前反対に穿いてみて”ってモデルさんに穿いてもらったら“これいいじゃん!”って。そのときはデザインだけじゃなくてパターンもちゃんと後ろ前になってたんだけど。そのスラックスをコレクションに出したときに“これをデニムで出したらみんな絶対よろこんでくれるはず!”って思ったんです。それが本当に大ヒットして、じゃあMD的なことも考えましょうってなって、パターンはそのままでデザインだけを後ろ前にしたらより多くの人が穿きやすくなるんじゃない?って改良を重ねて、定番化していった感じですね」

久保「なるほど。パターンも後ろ前にしちゃうと、歪んだり、攣れたりするわけですよね?」

宇津木「いや、そのシルエットがいいんですよ(笑)」

久保「あ、そうなの(笑)」

宇津木「そう、初期のうしろまえはそれはそれでよかったんですけどね。ちょっと個性的なサルエルっぽく見えるでしょ」





――個性的といえば、クビモコもそうですよね。実はさっきまで完全に女の子アイテムかと思っていたんですが、久保さんが着ているのを見たら全然ユニセックスですね。

宇津木「最近はちょっと女性寄りにシフトしていますけど、メルシーボークー、ってもともとが男女兼用のブランドなので。実はお客様も結構男性が多いんですよ。さっきお店にいらした外国人のカップルも、男性のほうが買われていたでしょ?」

久保「ああ、そういえば、もうひとりアジア人の男性も試着してたよね」

――今シーズンはKappaやMIZUNOとコラボレーションしていますし、オリジナルのスニーカーも人気ですが、いま宇津木さんのなかでスポーティーなアイテムが来てる?

宇津木「そうですね、コラボについてはご縁があってのものですけど、スポーティーが求められている時代かなとは思いますね。メルシーボークー、自体はカジュアルでありつつもフェミニンさとスポーティーさという要素もあるので」

久保「あのスニーカー、シルエットも色遣いもすごくかわいいよね」





――ですよね。一方で、草木染めを取り入れたアイテムがあったり、土に還る素材でショッパーを作っていたり、番組内のトークでも塩麹なんていうキーワードが登場していましたが、公私ともにサステイナブルな取り組みもされていますね。

宇津木「私、自然栽培にハマっちゃってて。いま自宅の庭で畑をやってるんですよ」

久保「え!自宅でですか?」

宇津木「そう。駐車場1台分の地面を引っぺがして自家菜園作っちゃったの(笑)。そうやって食から入って、いろいろ勉強してるんですけど“ファッションではなにもできてないじゃん!”って反省しているところ。長く着られる服を作らなくちゃいけないな、作り過ぎちゃいけないな、って思ったりして。だからアンコールシリーズとして在庫品をリメイクしたり、染料もいいものを使おうと思って草木染めにも出会ったし。もったいないの精神で生地も無駄なく使おうってことで、パタンナーといっしょに型紙を見ながらテトリスみたいに“あ、ここにハマった!”ってやっていますよ」

――なんだか楽しそうですね。さっき言っていた「無理をしても楽しくなかったら意味がない」ってそういうことですよね?

宇津木「そうですよ。“サステイナブルやってます!”ってげっそりした顔で言われてもねえ(笑)。そんなの見せられてもみんな真似しようって思わないじゃないですか」

久保「うん、楽しまなくちゃね。だからこそ持続可能なんだし」

宇津木「そう、つらかったら“ごめん!ありがとう”って言って逃げちゃえばいいのよ」





――逃げるってネガティブに捉えがちですけど、宇津木さんのそれはポジティブシンキングですよね。軽やかなステップで躱している感じ。

宇津木「ははは!ただ単に忍耐力のないやつって思われちゃったりしてね」

――そんなことないですよ。先ほど本編でお聞きしたパリ留学時代のエピソードが象徴的ですが、とことんポジティブだと思います。だからこそ日本人的なコンプレックスを覆してくれるような体験や出会いがあったり、それがその後の人生の糧というか、こころの拠り所になっていたりするわけですよね。

宇津木「そう!さっきもお話しましたけど、フランスの人は、日本人の黒髪をすごく不思議がっていて、でも同時にそれを美しいとも思っているんですよね。私もフランスに行く前は“緑色のスカーフは日本人の髪の色には似合わない”って思ってたのに“あれ?フランスの人にはこの着こなしが素敵に見えているんだ!”ってことに気付いたから」

久保「そうなんだよね。海外に行くと日本人が思う常識が世界の常識じゃないってことに気付くからさ」

宇津木「うん、そのとおりだと思いますよ。みんな若いうちに海外に行ったほうがいい。ほんの3ヵ月でもいいから。海外で別のカルチャーを感じて欲しいな。きっといろんな気付きがあると思うから」

(おわり)

取材協力/mercibeaucoup,代官山店
取材・文/高橋 豊(encore)
写真/柴田ひろあき



■宇津木えり(うつぎ えり)
デザイナー。女子美術短期大学卒業後、エスモードジャポン、パリのステュディオベルソーを経てBIGIなど数社でデザイナーを務める。2001年、FRAPBOIS(フラボア)設立。2006年、メルシーボークー、を設立し現職。

■久保雅裕(くぼ まさひろ)
ウェブサイト「Journal Cubocci(ジュルナル・クボッチ)」編集長。杉野服飾大学特任教授。繊研新聞社在籍時にフリーペーパー「senken h(センケン アッシュ)」を創刊。同誌編集長、パリ支局長などを歴任し、現在はフリージャーナリスト。コンサルティング、マーケティングも手掛ける。



■第32回のゲストはmercibeaucoup,の宇津木えりさん!




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