中島隆博(なかしま・たかひろ)

2006年1月、株式会社ウィゴーに入社
心斎橋や三宮などの店長、心斎橋・神戸エリア、東京エリアのエリアマネージャー、東日本ブロックマネージャーを経験し、2021年より現在のウィゴー事業本部サステナブル事業部に異動し現在に至る

「リィエニナルは、昨年の春から試験的なプロジェクトとして活動をスタートし、現在はショップを恵比寿で運営しています」とは、リィエニナル担当の中島隆博さん。元々は営業の部署にいたそうだ。

現代の感覚のストリートと往年の長く愛されるクラシックのミックスが基本テーマ
店内はシーズン毎でテーマを決めて品揃えやレイアウトを考えている

2019年の10月にニューヨークへ視察に行った際、世の中で言われていたデジタルシフトやサステイナブルなど海外の動きに対し、日本との物事の進め方の時間軸に差を感じた経験が大きく、その後のプロジェクトを立ち上げるきっかけの一つになったという。

「帰国後、ちょうど渋谷の開発が活発化している頃、目を向けてみると日本でもデジタルシフトや多様性を表現しようというのが伝わりました。その後、予期せぬコロナの状況が始まって、結果的に遅れていたことが一気に進み、今までの常識が通用しない感覚も大きくシフトしました」。

Tシャツはシーズンに関係なく常時100~200点を展開している
Tシャツは音楽やアートなどカルチャー色の強いものが多い

そんな中で中島さん自身にも心境の変化があり、20年初頭から心境の変化とやりたいことを模索しはじめ、海外での体験も含めて、サスイテナブルと消費を両立させる古着やアップサイクルの活動に携わりたいと思ったとのこと。

「もともと古着は、そのことで理にかなっていると思っていて、弊社の祖業でもあり、ウィゴーだからこそ出来ることが多いこと。今までとは違った形で仕事をしてみたいと相談して、21年春には現在の部署に異動しました。ちょうどその時に本社の1階のスペースが空くこともあって、店舗といいますか、何か接点を持てる活動の場所みたいな形で店舗としてオープンさせたんです」。

ちなみに、サステナブル事業部はその21年から改めて作られた部署だそうだ。

ちょっとした家具やあまり見かけないインテリア雑貨も豊富
70~90年代頃のバッジなど小物も充実

このリィエニナルという名称については、「ウィゴーの二次流通の取り組み指針である6R(リデュース、リユース、リサイクル、リペア、レンタル、リメイク)に基づいたRとRe、それと"絵になる"、自分のスタイルを持つこと、不要なものでもアップサイクルした時に絵になるという意味、さらに"家にある"という自分らしさが集まるスペース、その中に眠っている物があるのではという循環への感化、その3つを組み合わせた造語です」と中島さん。

インテリア小物は気軽に取り入れられるように小ぶりな物を中心に選んでいる

その後、今年2月に開催された展示会「NEW ENERGY(ニューエナジー)」に出展した。

「実際に、外でリィエニナルとして何かをやるというのはニューエナジーが初めてで、展示会がお披露目の場みたいな感じでした。結果としては、古着市場の変化をTシャツというカテゴリーを例に取り上げたコンセプトや古着のセレクト、リメイクに関してもリアクションは想像以上に好感触で、デベロッパーや普段関わることがなかった同業者も多く来場していたこともあって、接点が無い方との出会いから今後一緒に何か取り組めそうな、形になりそうな貴重な機会となりました。」と手応えを感じていると話した。

「海外では既にセカンドハンドの市場が広がると言われていますし、日本もどこかのタイミングで何かしらの変化があると考えます。2次流通の市場に入っていける企業も多くはなく限られていると思うので、弊社の可能性はあるだろうと感じています」と、そこからのビジネスチャンスの可能性も感じているそう。

ニューエナジーでは「This is a T-shirt」というタイトルで古着の市場変化を展示※画像提供:リィエニナル
世界で高騰するビンテージのTシャツ※画像提供:リィエニナル

現在、リィエニナルでは、シーズンごとでセレクトする編集型の展開をしているが、この春から、アップサイクルのリメイクのブランド「CàYC(サイク)」の展開も開始した。

「協業デザイナーには、大阪の再構築ブランド「ink(インク)」を起用しています。サイクは、サイクルのサイクと細工から取っていて、循環と細工をコンセプトに立ち上げました」。

廃棄寸前のリーバイスを再生したヤマサワプレスの「ヤマサワファブリック」を使用したデニムパンツやB品、そのままでは売れにくいものなどを素材として使用したパーカー

リィエニナルの現在の営業形態については、「今年は外部でのポップアップなどで認知拡大を積極的にやっていきたいと考えています」。

また店舗の拡大に関しては、「直近は実店舗もあり、ポップアップやオンラインストアもあるので、そこに注力はしていきますが、将来的にタイミングを見計らって、チャンスがあればという感じです。ウィゴーとしての通常の古着セレクトのビジネスと比較して、リィエニナルは普段ウィゴーを利用していない方の利用も多く、展示会などでの反応を見てもウィゴーとは違う客層にもアプローチできる可能性を感じています」と店舗展開の可能性も考えているそうだ。

古着ならではのハンドメイドのパッチワークが施されたビンテージデニム
使えなくなった電子部品とクロス(十字架)という全く別の素材や物をひとつの画角の中でコントラストを表現し、レイアウトしている

「僕自身、このコロナ禍で世の中の変化に対して"何かをやらなければ"という思いからスタートしています。サステイナブルというワードがある意味バズワードになっている状況ですが、まだまだ実際には難しいことや消費者との合致もまだまだ先だと感じています。ファッションに関しては環境負荷などの問題でネガティブな面も浮き彫りになって、世の中の風潮も変化してきているので、まずは自分たちで出来ることから、古着という軸で物を長く使うことや既にある物に目を向けて、幅広く多くの方の選択肢の一つになることが目的です。僕はファッションが好きでずっとこの仕事をやってきているので、ビジネスとしてもしっかりと消費もしながら、意味のある楽しい消費や、長く使えるノウハウ、工夫などを伝えたい。ファッションは絶対に必要で、自己肯定や個性、自由といった別のパワーを持っていることも変わらず伝えていきたいですよね。色々な方法でリィエニナルを接点として発信していきたいです」とこの事業への思いで締め括った。

ファッションとサステイナブル、様々な企業がビジネスとの両立を目指し、試行錯誤を繰り返している現状。
古着を中心にサブスクリプションサービスやアップサイクルな展開を広げるリィエニナルは、今後の循環するファッションへのきっかけとなるかもしれない。

写真/遠藤純
取材/久保雅裕(くぼ まさひろ)
取材・文/カネコヒデシ

リィエニナル

住所:東京都渋谷区恵比寿南1-16-3 1F
営業時間:13:00-19:00(土日祝 13:00-18:00)
不定休(定休日:月曜/火曜)

久保雅裕(くぼ まさひろ)encoremodeコントリビューティングエディター

ウェブサイト「Journal Cubocci(ジュルナル・クボッチ)」編集長。杉野服飾大学特任教授。繊研新聞社在籍時にフリーペーパー「senken h(センケン アッシュ)」を創刊。同誌編集長、パリ支局長などを歴任し、現在はフリージャーナリスト。コンサルティング、マーケティングも手掛ける。2019年、encoremodeコントリビューティングエディターに就任。

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カネコヒデシ

メディアディレクター、エディター&ライター、ジャーナリスト、DJ。編集プロダクション「BonVoyage」主宰。WEBマガジン「TYO magazine」編集長&発行人。ニッポンのいい音楽を紹介するプロジェクト「Japanese Soul」主宰。そのほか、紙&ネットをふくめるさまざまな媒体での編集やライター、音楽を中心とするイベント企画、アパレルブランドのコンサルタント&アドバイザー、モノづくり、ラジオ番組製作&司会、イベントなどの司会、選曲、クラブやバー、カフェなどでのDJなどなど、活動は多岐にわたる。さまざまなメディアを使用した楽しいモノゴトを提案中。バーチャルとリアル、あらゆるメディアを縦横無尽に掛けめぐる仕掛人。

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