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全国ツアーの2公演が終了した直後、残りの全公演の延期が決定――という事態に直面した昨年のオメでたい頭でなにより。その後も有観客ライブがなかなかできない状況が続いていたが、彼らは我々の前に帰ってきた! 『Zeppワンマン~笑うしかできない全席デリケートゾーンライブ』というタイトルを掲げて、1月23日・Zepp Osaka Bayside、1月30日・Zepp Tokyoで行われたワンマンライブ。最終日の東京公演の模様をレポートする。

 公演のタイトルに盛り込まれている「デリケートゾーン」とは、ゆっくりとライブを楽しみたい人のためにオメでたが毎回用意しているスペース。ソーシャルディスタンスを保つために椅子をフロアに並べて、観客同士の間隔空けるように配慮されていた今回のライブは、まさしく全席がデリケートゾーンだった。そして、声を発することができない状況に対抗して全観客に配布されていたのは、ボタンを押すと笑い声が鳴り響く装置「爆笑ボタン」。限定Tシャツとリハーサル招待がセットになった「オメコンボチケット」も販売されるなど、開始前のお楽しみも用意されていたが、本編はどのようなものとなるのか?

ワクワクしながら深夜放送風音声コンテンツ『オールナイト転換』を聴きつつ過ごしている内に迎えた開演時間。SEとオープニングムービーが流れる中、ひとりずつ登場した赤飯(Vo)、ぽにきんぐだむ(G・Vo)、324(G)、mao(B)、ミト充(Dr)を大きな拍手が出迎えた。そして、「ザ・レジスタンス」がスタートした瞬間、拳を突き上げるオメっ子(ファンの呼称)の感無量の想いが、熱い波動となってステージへと押し寄せるのを感じた。メンバーたちも素敵なエネルギーを噛み締めていたに違いない。続いて、2曲目「日出ズル場所」。爆音、重低音を全身で感じる悦びを、本当に久しぶりに味わった気がする……。朝焼けのように爽やかで雄々しい生命力に溢れていたサウンドが、悶々とした想いや災厄を打ち砕いているように感じられた。

昨年リリースされたアルバム『オメでたい頭でなにより2』で存在感を放っていた「哀紫電一閃」「God luck -運神-」「頑張っていきまっしょい」なども立て続けに披露されて、高鳴る胸の内を全身の動きで示し続けていたオメっ子たち。そして、遊び心に満ちた曲も大盛り上がりとなった。メンバー全員が振り付けを踊る場面を交えた「推しごとメモリアル」の後に届けられた新曲「推しどこメモリアル」は、このライブの中盤の山場だったと言えよう。鍵盤を弾きながら赤飯が歌い始めて、しっとりとしたムードを醸し出したと思ったら、懐かしいアイドルソング風味へと唐突に変化。メンバー全員がローラースケートで滑りながら踊り、個性豊かな歌声を響かせる様は、とにかくインパクトが絶大であった。オリジナルグッズのサイリウム「非常灯」の5色の光を放ちながらオメっ子たちが大喜びしていたフロアは、まるでアイドルのコンサートのようなキラキラした様相を呈していた。

インストナンバー「今いくね」を経て、「踊る世間もええじゃないか」を皮切りに突入した後半戦。《ダルマさんは転ばないっ》と歌った瞬間、演奏と観客の動きを止めるのが恒例となっている「ダルマさんは転ばないっ」は、爆笑ボタンの笑い声をピタリと止めたり、フロア内で笑い声のウェイブを巻き起こしたりする新スタイルが導入されていた。そして、マスクはしっかり着用しているものの、一糸纏わぬ姿になったかのような解放感を噛み締めさせてくれた「スーパー銭湯~オメの湯~」も届けられた後、本編を締めくくったのは「オメでたい頭でなにより」。曲の途中で赤飯から届けられた「離れててもきみらのどっかにあるであろう爆笑ボタンのスイッチをずっと探し続けようと思います。その結果、またこうやって思いっきり一緒に声出して叫べる日が来たらいいよね? お前らの爆笑スイッチのボタン、甘々に設定しておいて。押し続けるから!」というメッセージがとても印象的だった。その言葉を受け止めた瞬間、フロアの全面で美しく揺らめいたオメっ子たちのダブルピース。再会を約束する気持ちがステージに向かって届けられているのを、まざまざと感じた。

「俺たちとあなたたちのこの場所は不要不急なんかじゃない。そう確信しました。この場所を守り続けるから、またいつでも帰ってきてください!」というぽにきんぐだむの言葉が温かい拍手を浴びてからスタートしたアンコール。「ピーマン」が披露された後、「俺たちが今日、みんなに一番伝えたかったメッセージをこの曲に込めて!」という言葉を赤飯が添えた「金太の大冒険」は、やはり特大級の衝撃だった。ふたつのミラーボールが横並びで回転しながら金色の光を放ち、その真下でエレガントに美声を響かせた赤飯。背後で流れるアニメーションとサウンドがシンクロしながら、金太の波乱に満ちた冒険譚が描かれる様が非常にシュールだった。オメっ子たちの頭の中では、様々な妖しい空想が広がらざるを得なかったはずだ。そして、この曲がラストを華麗に飾ったのかと思いきや……本物の最後の曲として披露されたのは「えんがちょ!」。激しいヘッドバンギングを誘うこの曲だが、厳しい状況の中で奮闘しているオメっ子たちへのエール、災厄を払う開運祈願の想いと共に響き渡っているのを感じた。

こうして終演を迎えた『Zeppワンマン~笑うしかできない全席デリケートゾーンライブ』東京公演。粋なアイディアの数々、確かなスキルに裏打ちされた全力投球の歌と演奏、無限の遊び心が、全編できらめいていた。観客が無我夢中で歓声を上げる従来のような形での公演が再開できるまでには、まだしばらく時間がかかるだろう。しかし、楽しい場所が世の中から失われていないことを全力で実証してくれたライブであった。

Text by 田中大

オメでた

Photo by ゆうと。

オメでた

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