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──2020年がメジャーデビュー20周年ということですが、いまのお気持ちは?

「この20年間、DJも現場も続けて来れたし、CDとかも出させてもらったりもして、ずっと同じ状態でやって来れたというのは本当に皆さんのお陰です。感謝しています!これまであまり振り返る事はなかったのですが、今回のこのコロナウイルスの影響もあって、時間が出来て立ち止まって色々考えた時に、私、結構頑張って来たんじゃないかなって(笑)」

──20年間ずっと走り続けて来た感じですよね。

「冷静になって考えてみたら、ずいぶん大人になっちゃいました(笑)。デビューしてからは結果を出し続けないといけないというプレッシャーが常にあったし、自ら精神的に追い詰めていた部分もありましたから、正直辛い時もありましたし、だから“よくできました!”という感じかな。満足しています。いつ辞めてもいいと思いつつも、自分でもまだまだやりたい気持ちもあり、だからこそ今後は楽しみながらDJをやりたいかな」

──この20年間を振り返って大変だった思い出はありますか?

「レコード時代は、体力的にキツかったですよね。それを運びながら地方を回ったり、ヨーロッパを回ったり。もう肉体労働!レコードとか、PCとかを持たないで旅行に行った事がないくらいで、ジュラルミンのレコードケースを3つとかと、さらに自分のスーツケースもあってだし。その前の時代は、ミルククレートと呼ばれる定番のミルクケースにレコードを入れて運んでました。ニューヨーク時代は、盗まれちゃう危険性もあったから、一度、踊り場にひとつレコードケースを置いて、もうひとつを持って上がって……を繰り返してビルの何階までとか(笑)。今はPCでのDJになって本当に助かっていますよ。それと海外だとDJプレイというよりも、いろいろな人たちとビジネスしていかないといけないのも大変でしたね。そういう意味では大変な事が多かったけれど、楽しかったかな。若かったからね(笑)」

──では楽しかった思い出は?

「やはりそれぞれ現場でお客さんを盛り上げている時が、いちばん楽しい。そういう瞬間瞬間の楽しさのお陰で、今までやって来られたかな」

──デビュー当時はニューヨークを拠点にされていましたが、住まわれたきっかけは?

「実は、BUDDHA BRANDのMCだったDEV LARGEさんの影響で住み始めたようなもんなんですよ。元々、彼とは音楽好きの仲間だったんですけれど、私が最初にニューヨークに行った時に色々な人を紹介してもらった事もあって、それで住みたい!と。音楽好きのそういうコミュニティって、当時から世代を超えて色々な人が集まっていたし、いまだにずっと同じ事をやり続けているよね」

──今回、ディズニー音源では初のミックスCDの制作となりましたが

「最初は“自分がやりたいと思っているとおりに作れるのかな?”と。もちろん映画は観たことあるんですけど……でも、実際に音源を聴いてみると、意外な事にほとんどの曲を知っていたんですよ。そして、映画のバージョンだけではなく、いろんなリミックスやバージョンがあって、日本のアーティストによる日本語バージョンも沢山あったり、ダンスバージョンもあったり。そういう意味では音楽的にもかなり幅広さがあって、ここ何年かのディズニー音楽の広がりの凄さを感じましたね。だから、その中から選ぶという行為自体は、それほど難しい作業ではなかったです。それに、日本というマーケットにおいて言えば、今回のミックスCDがいちばんキャッチーじゃないの!?っていうくらい、大人から子供まで楽しめるはず。そんな幅広いジェネレーションがひとつになれる音楽って、凄いと思いません?特に最近はメディアが多様化して、ジェネレーションによって聴く音楽が全く違うわけだし。そんな中で世代を超えて楽しめるのって、ディズニーならでは。音楽的にもクオリティが高いし、幅広いジェネレーションに楽しんでもらえる可能性のあるミックスCDだと思います。だから、ぜひ家族で聴いて欲しいですね」

──トラックリストも英語と日本語、そしてリミックスなど多様性があって魅力的ですよね。

「中元みずきちゃんの「イントゥ・ジ・アンノウン~心のままに」は、私がノリノリのチューンにリミックスさせていただいた音源ですし、m-floだったり、May J.ちゃんだったり、日本を代表する人たちをはじめ、海外含めて色んなアーティストの、ふだんみんなが聴いた事ないバージョンもミックスしたんですが、それがまったく違和感なく楽しんでもらえるようなCDになったかな。今まで聴いていたディズニーの曲とは、また違う楽しみ方ができるのかなと思っています。自分自身で聴いても最後まで楽しめたしね!」

──知っている曲が多すぎるミックスCDだと、どうしても飽きてしまうという部分があると思うんですが、この『DJ KAORI DISNEY MIX』はまったくそれがないんですね。KAORIさんはどういうイメージでミックスを組み立てていったんでしょう?

「最初に何かをイメージしてから作るというのはないかな。ただ音源が集まった時に、だいたいの着地点が見えるというのはあります。もちろんそれは自分がDJをしてきた感覚とか、現場の感覚とか、そういう色々な経験があってのものだと思います。例えば、音源を選ぶ時もそうですが、自分が好きなものを自分なりのいい流れで、その曲がさらに盛り上がって聴こえるようにとは意識しています。とにかく、現場でもなんでも盛り上げたい!というのが前提ですね。あとは例えば、ミックスの時に不協和音にならないようにとか、全体的にスムーズに聴けるようとか、ミックスのバランス。そういう細かい部分にも結構こだわりました」

──現場のDJプレイでこだわっていることって?

「現場では、曲をかけて、それをどういい流れでお客さんを踊り続けさせられるか?という部分を大切にしています。フロアで聴いて、踊ってくれている人たちが、最後まで怠くならないで楽しめるように。うまく説明できないのですが、自分の中でのDJの流れがあって、DJをやっていると次の曲が聴こえて来るんですよね。とにかく、退屈な時間を作らないようにしたい、それはフロアでもミックスCDでもいっしょです」

──今回の『DJ KAORI DISNEY MIX』を聴いて、もしかしたらDJ KAORIさんの様なDJを目指す女の子、男の子が出てくるかもしれませんが、そんな彼らに向けてのアドバイスはありますか?

「やっぱり音楽を好きって部分が根本的に大事かな。私もそこから始まっているし。DJを目指したというよりは、気が付いたらDJをやっていたという感じですよね。音楽を楽しんで、自分の好きなものを突き詰めた所にDJがあったのかな」

──いまのコロナ禍の状況では、パーティもなかなかやりづらいとは思いますが、例えば配信イベントなど何らかのアクションは考えていますか?

「配信とニアリーという意味では、TOKYO FMで毎週木曜日の深夜3時30分から「715」という番組を地味にやっている事もありまして(笑)。深夜帯の深い時間ですけど、実はもう20年近く――それこそニューヨーク時代から――やっている番組で、すでにTOKYO FMの中でも2番目の長寿番組になんですよ。これがゴールデンの時間帯だったら、すぐ終わっちゃっていたのかも(笑)。毎週30分間ですが、そこでディスコだったり、90年代だったり、最新のEDMだったり、いろんな時代の音楽を流しているのですが、流れる音楽の時代によってリスナーが全然違うというのも、面白いですよね!最近はradikoで聴いてくれる人もいますし、番組のTwitterにもいろんなジェネレーションの音楽好きの方が集まってくるので、とても楽しいんですよ。よかったらそちらも覗いてみて欲しいです」

DJ KAORI

Photo by Kayoko Yamamoto

――ではDJ KAORIさんにとって音楽とは?

「人とシェアしたり、共通言語じゃないけれど、どんな音楽を聴いていたとしても、最終的には“音楽ってひとつだよね!”という部分はありますよね。いらないもののような気もするけれど必要なもの。空気みたいなものなのかな」

――最後にこのインタビューを読んでいる人たちにメッセージを!

「今回のミックスCD『DJ KAORI DISNEY MIX』は、皆さんを楽しませられる作品だと思うので、ぜひ家族で聞いて欲しいです。私の20年の熱い思いが詰まっていますので。でも、20年間続けて来られたのは、やっぱり良い音楽との出会いだよね。“もう何もやりたくない!”と思っても、“いいね!”“カッコイイね!”という音楽がどんどん出てきてくれるからやっぱりそれは楽しいし、楽しんでいるうちはまだまだやって行きたいし、もっともっと楽しみたいです。続けるってことが大事だとおもうから」

(おわり)

取材・文/カネコヒデシ(TYO magazine)




■DJ KAORI『DJ KAORI DISNEY MIX』
1. イントゥ・ジ・アンノウン~心のままに (エンドソング)
(DJ KAORI Remix) [アナと雪の女王2]/中元みずき
2. レット・イット・ゴー (ペーパーチェイサー・クラブ・リミックス) [アナと雪の女 王]/イディナ・メンゼル
3. パート・オブ・ユア・ワールド (ハウス・ネーション・リミックス・エディット) [リ トル・マーメイド]/Q;indivi
4. 美女と野獣 [美女と野獣]/CREAM
5. いつか王子様が [白雪姫]/cargo
6. ホール・ニュー・ワールド (feat. Matt Cab) [アラジン]/m-flo
7. パーティーサウルス・オーバーフロー [レックスはお風呂の王様]/BT & Au5
8. 彼こそが海賊 (ピートン・レッズ・ジョリー・ロジャー・ラジオ・エディット) [パイ レーツ・オブ・カリビアン]
9. 私の赤ちゃん [ダンボ]/KASKADE
10. リフレクション [ムーラン]/Eric Kupper
11. メインストリート・エレクトリカルパレード [ディズニーランド?]/大沢伸一
12. ミッキーマウス・マーチ [ミッキーマウス・クラブ]/AYUSE KOZUE
13. ホワット・ウィ・ガット (ミッキーのバースデーソング) (Alex Ghenea Remix)/トニー・ フェラーリ
14. 星に願いを [ピノキオ]/MEG x Q;indivi
15. 小さな世界 [ニューヨーク・ワールドフェア]/ヒャダイン feat. 前島亜美 (SUPER☆GiRLS)
16. レット・イット・ゴー~ありのままで~ (エンドソング) (ネームレス エーケーエー エヌエル リミックス) [アナと雪の女王]/May J.
17. イッツ・ア・グッド・タイム
18. 君のようになりたい [ジャングル・ブック]/Little Glee Monster
19. アロハ・エ・コモ・マイ [リロ アンド スティッチ ザ・シリーズ]/SmileR feat. Chika & Natalie
20. みんなスター! [ハイスクール・ミュージカル]/AAA
21. トライ・エヴリシング [ズートピア]/Dream Ami
22. 好きにならずにいられない [リロ&スティッチ]/A★TEENS
23. どこまでも ~How Far I'll Go~ (エンドソング) [モアナと伝説の海]/加藤ミリヤ
24. サークル・オブ・ライフ [ライオン・キング]/RIRI
25. スピーチレス~心の声 [アラジン]/ナオミ・スコット

DJ KAORI

?Disney



DISNEY MIX
DJ KAORI『DJ KAORI DISNEY MIX』
2020年11月4日(水)発売
STCR-1001/1,800円(税別)
Walt Disney Records

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