今から40年前の1985年4月10日、代々木オリンピック・プール(国立代々木競技場第一)にてブルース・スプリングスティーン&Eストリート・バンドの記念すべき日本初公演が行われた。1985年2月28日新聞発表、3月3日チケット発売。日程は東京が国立代々木競技場第一(オリンピックプール)で4月10、11、13、15、16日、東京以外は京都府立体育館が4月19日、大阪城ホールが4月22、23日。東京5公演、京都、大阪2公演、全8公演のトータル約7万5千枚のチケットは発売とほぼ同時に即完した。当時のチケット代はS席5,000円、A席4,000円、B席3,000円、日本では通常平日の開演時間は19時に設定されることが多いが、スプリングスティーンのライヴは3時間超えのライヴが当たり前だったため、当時としては異例の18時に開演だった。
初日公演の4月10日、約1万人、超満員の代々木オリンピック・プール。定刻の開演時間18時ちょうどに「ボーン・イン・ザ・U.S.A.」でショーはスタートした。バックには巨大な星条旗。今のようにスクリーンは無く、ステージ両脇には巨大なPAの山が築かれていた。当時35歳のスプリングスティーン、全26曲、約3時間半の熱演が繰り広げられ、観客を熱狂と感動の渦に巻き込んだ。このライヴ体験で人生が変わってしまったという人も少なくない。
1985年当時のライヴ・レポートでは、その登場の瞬間についてこう綴られている。
「初日の会場は、開演前から異様に盛り上っていた。会場に流れるテープ演奏が一曲終わるごとに、開始をうながす拍手が起こるのはめずらしくないが、この日はブルースたちがステージに登場する前から、客席の大半が熱波にあおられたみたいに立ちあがってどよめいていた。6時を少し回って照明が消されると興奮と緊張で会場はそのまま宙に数センチ浮き上ったようだった。と突然ステージがライトに照らし出され、レコードよりもズシンと腹の底に響くドラムやベースが聞こえ、光の中にブルースがギターを高く掲げて不動の姿勢で立っていた。イントロが終わり、ブルースが「ボーン・イン・ザ・U.S.A.」のはじめのフレーズをありったけのカをこめてうたいだすと、ぼくは背筋がゾクッとした。てんでばらばら過飽和状態にあった会場の興奮が、次第にステージに焦点を合わせ、ひとつの大きなうねりになりつつあった。歌詞を暗誦している人は、みんな声をかぎりに合唱していた。“ボーン・イン・ザ・U.S.A”のコーラスのところまでくると、合唱の声はひときわ高くなり、ファンのこぶしがいっせいに天井に向かって突き立てられた・・・」(『ボーン・イン・ザ・U.S.A.(40周年記念ジャパン・エディション)』ブックレット北中正和氏の当時のライヴ・レポートより抜粋)
1曲目が終了後日本語で“コンバンワ、トーキョー”。「マイ・ホームタウン」では“ワタシノ フルサトカラ ミナサンノ ココロヘ”など日本語でのMCも交えながら、「ダンシン・イン・ザ・ダーク」では当時話題のビデオクリップのように前列にいた女性がステージに上げられブルースとダンスをするも、女性は失神してしまいブルースに抱えられステージを降りるというハプニングも。「ハングリー・ハート」での大合唱、そしてアンコールでの「明日なき暴走」では会場の全照明が点灯、観客に“ありがとう…俺たちにとって初めての東京公演に来てくれたみんなにお礼を言いたい。感謝している。俺たちがここに来られなかった10年間の間にもこのバンドを支えてくれたことにも感謝しているよ…ドウモアリガトウ”と語りかけ、ラストは“I’m just a prisoner…of Rock ’n’ Roll !(俺はロックンロールの囚人だ)”という雄叫びで終了。その場にいた誰もがノックアウトされ、一生忘れられない感動のライヴ体験となった。
コンサートの合間オフの日には原宿や京都などを観光、広島の広島平和記念資料館も訪れた。日本最終公演、4月23日の大阪城ホール公演でスプリングスティーンはこう語っている。
“ありがとう。今夜が日本ツアーの最後の日なんだ。初めてここに来たとき、俺たちは何の見当もつかなかった。人々はどんな感じなのか、俺たちの音楽をどう思うだろうか。ナーバスになっていたよ…2週間半ここで過ごしてみると、自分のホームタウンと皆さんのホームタウンはそれほど違わないんじゃないかって思ったんだ…ここ日本でやったショウに来てくれた皆さんにお礼を言いたい。本当にありがとう…俺たちには大きな意味のあることなんだって分かってほしい。皆さんに言いたいのは…イツマデモニホンノコトヲ オボエテイマス”。
日本公演終了後スプリングスティーンは「交通遺児母の会」への寄付を行っている。
この1985年の初来日公演の模様は『ボーン・イン・ザ・U.S.A.(40周年記念ジャパン・エディション)』のブックレットに未発表写真とともに詳細なドキュメンタリーが収録されている。
詳しくはこちら:https://www.110107.com/bruce_USA40
1985年4月10日初日公演セットリストのプレイリストも公開されている
https://sonymusicjapan.lnk.to/BS1985JPTourDay1AW
BRUCE SPRINGSTEEN &THE E STREET BAND JAPAN TOUR
4月10日(水)初日セットリスト(国立代々木競技場第一)
(第一部)
1. Born in the U.S.A.
2. Out in the Street
3. Darlington County
4. Working on the Highway
5. Johnny 99
6. Atlantic City
7. The River
8. Prove It All Night
9. Glory Days
10. The Promised Land
11. My Hometown
12. Badlands
13. Thunder Road
(第二部)
14. Cover Me
15. Dancing in the Dark
16. Hungry Heart
17. Cadillac Ranch
18. Downbound Train
19. I’m on Fire
20. Pink Cadillac
21. Bobby Jean
22. Racing in the Street
(アンコール)
23. Born to Run
24. Ramrod
(アンコール2)
25. Rockin’ All Over the World
26. Twist and Shout~Do You Love Me
初来日から40周年を迎える記念すべき年に、完全未発表ニュー・スタジオ・アルバム7作(1983年~2018年) をフィーチャーした前代未聞の7CD超豪華ボックス『トラックスII:ザ・ロスト・アルバムズ』が6月27日に発売となる。未発表音源が82曲、うち、一度も世に出たことのない未発表曲74曲、様々なセッションからの別バージョン8曲、そしてアルバム未収録1曲と全83曲収録。第一弾シングル「レイン・イン・ザ・リバー」のリリック・ビデオが新たに公開されている。
それぞれ7枚のアルバムごとに新たなデザインと特色あるパッケージングが施されている。アーカイヴからのレアな写真、エッセイストのエリック・フラニガンによる“失われたアルバム”各タイトルについてのライナーノーツ、そしてスプリングスティーン本人自らこのプロジェクトの紹介を収録した、100ページにも及ぶ「布装豪華ハードカバー本」とともに、マスターテープを模した超豪華ボックスに収納。日本盤は輸入盤国内仕様で2000セット限定。日本版ブックレットには五十嵐正氏によるハードカバー本の完全翻訳と日本版ライナーノーツ、そして三浦久氏による全曲対訳と訳者ノートを収録。“失われたアルバム”を紐解く充実した内容となっている。
詳細はこちら:https://www.sonymusic.co.jp/artist/BruceSpringsteen/info/572622
*スプリングスティーンが『トラックスIIザ・ロスト・アルバムズ』について語る新しいトレイラーのご試聴はこちらから:
https://brucespringsteen.lnk.to/TLATrailerPR
トレイラー訳:https://www.sonymusic.co.jp/artist/BruceSpringsteen/info/572771
*「レイン・イン・ザ・リヴァー」のご試聴はこちら:
https://brucespringsteen.lnk.to/RITRPR
対訳公開!:https://www.sonymusic.co.jp/artist/BruceSpringsteen/info/572769
*『トラックスII:ザ・ロスト・アルバムズ』のご予約はこちら:
https://brucespringsteen.lnk.to/TheLostAlbumsPR

【プロダクツ情報】
前代未聞の未発表アルバム7枚収録、歴史的超豪華ボックス!
●ブルース・スプリングスティーン 『トラックスII:ザ・ロスト・アルバムズ』
Bruce Springsteen / Tracks II : The Lost Albums
2025年6月27日 (金)発売予定 【2000セット限定】
完全生産限定盤 輸入盤国内仕様(詳細な日本版ブックレット付)
SICP-31767~73(7CD超豪華ボックス・セット) 税込:¥35,750 (税抜:¥32,500)
ブルース・スプリングスティーン本人とエリック・フラナガンによるライナーノーツ/布装豪華ハードカバー本封入/英文ブックレット翻訳&日本版ライナーノーツ:五十嵐正/対訳&訳者ノート:三浦久
DISC1 : 『LA Garage Sessions ’83/LAガレージ・セッションズ‘83』
DISC2 : 『Streets of Philadelphia Sessions/ストリーツ・オブ・フィラデルフィア・セッションズ』
DISC3 : 『Faithless/フェイスレス』
DISC4 : 『Somewhere North of Nashville/サムウェア・ノース・オブ・ナッシュヴィル』
DISC5 : 『Inyo/イニョー』
DISC6 : 『Twilight Hours/トワイライト・アワーズ』
DISC7 : 『Perfect World/パーフェクト・ワールド』
収録曲など詳しくはこちら
https://www.sonymusic.co.jp/artist/BruceSpringsteen/info/572622