2020年頃からYouTubeや各種ストリーミングサービスにオリジナル楽曲を投稿し始め、2022年にはSpotifyが躍進を期待するネクストブレイクアーティスト「RADER:Early Noise 2022」に選出。同年12月14日には、「2020年から現在まで発表してきた曲達を凝縮したベストアルバム」というコメントを寄せた1stデジタルアルバム『round trip』をリリース。 今回の“おやすみ Live”は「菅原圭の歌声を聴くと眠くなる」という声から生まれた企画で、素顔や本名、年齢などの実像を一切明かしてこなかった菅原にとっては初の配信ライブとなっていた。「参加した各々がベッドルームで寝落ちしてもらえるように……」というコンセプトのもとで、この日のためだけにアコースティックアレンジされた全6曲をパフォーマンス。日本だけでなく、海外からも多くのファンがリアルタイムで参加。画面越しではあるが、彼女が初めて人前で歌う姿を見届け、コメント欄には<最高!><好きすぎる>という興奮と賛辞の声が飛び交っていた。
金曜日の夜10時。冒頭はドアノブがかちゃりと音を立てて下り、扉を開いた菅原が部屋へと足を踏み入る場面からスタートした。カーペットが敷かれた床には懐かしいガラケーや古本が転がっており、窓際には赤いラジカセが置かれている。そして、ソファーに腰掛けた彼女は大振りの指輪を外し、机の上に置いてあったマイクを手にし、1999年〜2000年初頭に発売されていたカラフルポップな楕円形のiBookのキーを押した。1曲目は2021年10月に配信リリースされ、YouTubeでの再生回数が148万回を超える人気曲「シトラス」だ。アコースティックギターを基調にしたメロウでアーバンなR&Bナンバーで、憎みたい相手の涙を見てしまったことで揺らぐ複雑な心境を表情豊かな歌声で表現。続くオルタナティブR&B「カーテン」はタイトル通り、カーテンの寄りから始まった。夕方の光が差し込む窓は少し空いており、カーテンが風で微かに揺れる中、菅原は足でリズムを刻みながらエモーショナルな歌声を響かせ、ボカロP・johnとしても知られる気鋭のシンガーソングライターTOOBOEが提供した「ABAKU」ではグルーヴも熱量も上昇。苛立ちや怒り、倦怠感といったネガティブな感情をマイクにぶつけながら、<愛を教えてください>と懇願。初めて見た人でも一瞬で惹きつけられるような優しくも力強い歌声の魅力を発揮した。
ここで、菅原はソファーから立ち上がり、窓際に置いてあったラジカセのスイッチを入れると、この配信ライブ限定の番組“おやすみRadio 特別編”が流れ、寄せられた手紙をもとに、画面に映っているテーブルを囲んで菅原とリスナーが会話をしているような時間が設けられた。
再び部屋に戻った菅原がラジカセのスイッチを切ると、窓の外にはいつのまにか夜が訪れており、ルームランプが灯されていた。「lien」からはしっとりと聴き入るモードへと変えていき、リスナーの心と体を歌声でゆっくりとほぐしていく。しかし、一転して、ブラウン管テレビに砂嵐の映像が流れた「crash」では忘れたいのに忘れられない相手に対する狂おしいほどの感情をダイナミックに切実に歌い上げ、「ということで、みなさん、菅原圭、初めてのライブを開催させていただきました。次の楽曲で最後の曲となります」と画面越しのオーディエンスに話しかけ、ラストナンバーにして、2020年11月に初の配信シングルとしてリリースした始まりの曲である「フライミ」へ。“感傷的な歌声と切なさを持ったハイトーンが特徴的”と称される彼女だが、この曲での歌いっぷりには、心にグッとくるブルージーな調べのような魅力も感じた。そして、<こんな夜更けに愛があるなら/心 ずっと離れない>というフレーズを聴き手一人一人の心にまっすぐに届けた彼女は<さよなら>という歌の言葉と共に、「ありがとうございました。それではみなさん、よい夜をお過ごしください。おやすみなさい」と微笑みを湛えた声で呟き、画面の向こうの観客にも別れを告げた。
なお、本ライブはライブストリーミング終了後からアーカイブ配信が行われており、チケットを購入すれば、6/30(金)23:59まで何回でも視聴することができる。果たして、菅原圭の歌声を聴くと、リラックスして癒され、本当に眠くなるのか。それとも、過去の辛い失恋を思い起こして、胸が痛くなり、涙を誘われるのか。もしくは、「一度聴いたら忘れられないエモーショナル・ボイス」と評される彼女の歌声の味わい深さに引き込まれてしまうのか。少しでも気になる方はぜひ試してもらいたい。
(おわり)
取材・文/永堀アツオ
菅原圭 Live Streaming “おやすみ Live”
SET LIST
M1 シトラス
M2 カーテン
M3 ABAKU
M4 lien
M5 crash
M6 フライミ
┗2023年6月16日(金)開催
菅原圭 Live Streaming “おやすみ Live”Live Streaming full ver. (有料配信)
視聴チケット代:1,500円(税込)
販売期間:6/9(金)0:00〜6/30(金)22:00
※アーカイブ期間:6/30(金)23:59まで何回でもご視聴いただけます。
※チケット購入者全員に【菅原圭 “おやすみ Live” Magnet & Ticket】プレゼント。
配信アーカイブ期間終了後にご自宅へ届きます。
さらに、応募者の中から抽選で5名さまに”おやすみ Live チェキ写真”がランダムで当たります。
(応募フォームはお届けしますTicketに記載されています。)
PROFILE菅原圭 [ スガワラケイ ]
一度聴いたら忘れられない中毒性の高いエモーショナル・ボイス。
中性的かつ感傷的な歌声と切なさを纏ったハイトーンが特徴的で、作詞・作曲も自身で行うアーティスト。ほろ苦い繊細な言葉で紡がれる歌詞や、心の奥底の琴線に触れるメロディーラインによって、多くのリスナーを虜にし、圧倒的“見つけてしまった感”とインターネット上で注目を集めている。2020年11月に初の配信シングル「フライミ」をリリースして以降YouTubeやストリーミングサービスを中心に続々とオリジナル曲を発表・リリース。2022年1月にはSpotifyが選ぶ2022年に活躍を期待する次世代アーティスト「RADAR:Early Noise 2022」に選出される。YouTubeの人気企画”MAISONdes”でのTani Yuukiとのコラボレーションや、PEOPLE 1「Ratpark feat.菅原圭」への歌唱参加、声優の花澤香菜へ楽曲提供を行うなど、活動の幅を広げる。昨年12月に1stデジタルアルバム「round trip」を発表。2023年3月に1stデジタルEP「one way」をリリースした。オトナとコドモの狭間で揺れ動きながら“いまの時代”を赤裸々に浮き彫りにし、感度の高いティーンやアンテナを張ったミュージックラヴァーを魅了中。急速にフォロワーを増やしている要注目の新しい才能だ。