7年ぶりに活動を再開したGalileo Galileiのメンバーは、尾崎雄貴(Vo/Gt)と尾崎和樹(Dr)のオリジナルメンバー2人に加え、2012年にGalileo Galileiを脱退するも、尾崎兄弟の別バンド、BBHFでサポートメンバーとして活動を共にしていた岩井郁人(Gt/Key)、同じくBBHFのサポートメンバーでGalileo Galileiには初参加になる、岡崎真輝(Ba)の4人。今回のツアーでは、この4人に加え、サックス、フルート、キーボード奏者の大久保淳也が参加している。

この日のチケットはソールドアウト。会場となったZepp Hanedaは約7年ぶりのGalileo Galileiワールドを堪能しようというファンで超満員。開演を待つステージのスクリーンには、静かに波打つ海の映像が流れている。その映像に合わせて、会場を包む波の音。やがて場内が暗転すると、大きな拍手が沸き起こる。まだ暗いステージにメンバーのシルエットが現れると、その拍手はさらに大きくなった。ステージ中央で、雄貴が大きく手を広げる。

1曲目は、5月にリリースされた7年ぶりのオリジナルアルバム『Bee and The Whales』の1曲目に収録された「ヘイヘイ」だ。スケールの大きなナンバーを高らかに歌い上げると、雄貴は「ありがとう!」と一言。会場を大きな歓声が包む。2曲目に披露されたのは、アルバムの曲順同様、「死んでくれ」。ステージの照明がぐっと明るくなり、軽やかな爽快感が魅力のナンバーを鳴らすメンバーを照らし出す。その光の強さに同調するように、歌も演奏も徐々に熱を帯びた。2ndアルバム『PORTAL』に収録されたインストナンバー「Swimming」を挟み、雄貴がトイピアノでイントロを奏でる。2ndミニアルバム『Babhy, It’s Cold Outside』に収録された「リジー」だ。言葉を噛み締めるような歌と幻想的な演奏が、会場にやさしく響く。そして、力強いドラムのビートが刻まれ、活動終了前のラストアルバムとなった『Sez and The Darkness』から「恋の寿命」がパフォーマンスされる。

その後のMCでは、「あらためて、Galileo Galileiです。今日が最高の一日になるように、全エネルギーを注ぎます」と雄貴が宣言。牧歌的なメロディが美しい「車輪の軸」、ゆったりとしたテンポの中で繰返されるキーボードのリフが心地いい「くそったれども」、風通しのいいサウンドに力みのない歌声が乗る「ウェンズデイ」と続く。そして、9曲目のイントロが流れ出すと、喜びに満ちた声が会場に巻き起こる。3rdシングルとしてリリースされたスマッシュヒット「僕から君へ」だ。メロディとバンドアンサンブルが、大きなうねりを持って迫ってくる。そんな「僕から君へ」の演奏が終わると、場内は大きな拍手に包まれた。そこから続くMCでは、メンバーの4人が再始動にかける自分の思いを語る。それぞれ、時にユーモアを交えながら正直な気持ちを語っていたが、尾崎雄貴の「この日のために、みんなに会うために再始動したんだろうなと思う」という言葉と、「今が、今までに一番最強のGalileo Galilei」という岩井の言葉が特に印象に残った。

そこから、チルな魅力を放つ「ピーターへ愛を込めて」、ハンドクラップで会場中が一体となった「バナナフィッシュの浜辺と黒い虹」、大らかなメロディが幸福感を放つ「あそぼ」、感動的なミディアムバラード「燃える森と氷河」、そして劇場版『あの日見た花の名前を僕達はまだ知らない』の主題歌「サークルゲーム」と続け、再びMCへ。

尾崎雄貴は、「7年ぶりだけど、7年という時間をあまり感じていない。それは、みなさんの心の中でGalileo Galileiの楽曲が生きていて、一緒に過ごしてくれていたから」という意味のことを語った。そんなMCのあとには、静かな高揚感の中で2本のギターが絡み合い、サイケデリックな音世界を表出させる「色彩」、コーラスに力感がみなぎる「Birthday」、うつむき加減のボーカルが後期スーパーカーを彷彿とさせる「星を落とす」、ドラマティックなバラード「Sea and The Darkness Ⅱ」を披露し、ライブ本編は幕を閉じた。

本編が終わると、すぐにアンコールを求める手拍子が巻き起こる。ほどなくメンバーがステージに再登場し、アニメ「あの日見た花の名前を僕達はまだ知らない」のOPテーマ「青い栞」をパフォーマンス。どんどん上昇していくメロディが快感を呼ぶ、ダンサブルな人気ポップチューンに、会場に多幸感が満ちてゆく。アンコールの2曲目は、デビューシングルの「夏空」。7年ぶりの再始動ライブツアーのファイナルのアンコールラストで、デビューシングルを披露した意味は、メンバー4人それぞれにあるのはもちろん、きっとファンにとっても十人十色であるだろう。こうして、再始動ライブツアーのファイナルは、美しく幕を閉じたかに思われた。

が、アンコールが終わっても、Galileo Galileiを求める手拍子が鳴り止まない。すると、その熱量に応えて、再びメンバーが登場する。大きな歓声の中、尾崎雄貴は「おそらく、Galileo Galilei史上初のダブルアンコール」と笑顔で話し、演奏がスタート。最後の最後にパフォーマンスされたのは、再始動を発表してから最初にリリースされた楽曲「4匹のくじら」だった。演奏を終え、万雷の拍手に送られながら、ファンに向けて大きく手を振るメンバーたち。この日のMCで、尾崎雄貴は「聴いた人がぶっ飛ぶ、最強のアルバムを作りたいという夢がある」と、ファンに語りかけた。その夢に向けて、Galileo Galileiは大きな一歩を踏み出した。次の一歩は、この日のライブで発表された、北海道、大阪、東京を巡る11月のツアー「Galileo Galilei Tour 2023 “WINTER HARVEST” -冬の収穫祭-」だ。

(おわり)

取材・文/大久保和則
写真/Hideyuki Seta


INTERVIEW
Galileo Galilei『Bee and The Whales』インタビュー――ずっと素敵でいたい

LIVE INFOGalileo Galilei Tour 2023 "WINTER HARVEST" -冬の収穫祭- 

2023年11月6日(月)PENNY LANE24(札幌)
2023年11月13日(月)なんばHatch(大阪)
2023年11月15日(水)豊洲PIT(東京)

Galileo Galilei オフィシャルサイト

DISC INFOGalileo Galilei『Bee and The Whales』

2023年5月31日(水)発売/配信
POCS-23032/3,520円(税込)
Virgin Music Label & Artist Services

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