昨年616日(金)に行われたキャリア初の配信ライブ“おやすみ Live”に続いて2回目となる今回は、この4月から新生活をスタートさせるすべての人々に向けた、期待と不安で揺れる背中をそっと押すような映像作品として企画された。

映像は、峰平 朔良(みねひら・さくら)扮する少女が、生まれ育った実家の風景をしっかりと胸に刻み、「行ってきます」と呟き、自宅を出発するところからスタートした。リュックサックから携帯ラジオを取り出し、ヘッドフォンをつけると、アンビエントテクノのようなSEが流れ始めた。3月まで通っていたであろう学校の正門を過ぎ、地元の神社に新生活の無事を祈り、海沿いの道を歩いて、駅にたどり着く。そして、誰もいない車内でひとり、座席に腰を下ろすと、「ライムライト」が流れ始めた。のちのMCで今回の配信ライブは「ライブセッション用のアレンジでお届けしている」と菅原が語っていたが、ピアノのバッキングを基調にスナップが印象的だった「ライムライト」は、グルーヴィーなウッドベースが前面に出ており、トラップビートやトークボックスが導入されたスペシャルなアレンジとなっていた。そして、菅原が<片道の切符を買った 手が震えていた>という物語にふさわしいフレーズを響かせると、90s R&B調にアレンジされた「ブランケット」では、<やさしい歌を耳元でささやいて>と繰り返しながら、<冷たい青>が混ざった<桃色の春>と<ひとりに溺れる夜の海>の景色を引き連れてくる。この冒頭の2曲で、これからひとり暮らしを始める少女が上京する道中で聞いているラジオを通して、菅原圭のスタジオライブセッションを愉しめる作りになっていることが分かった。

最初のMCでは、「菅原圭の楽曲は恋愛の曲が多いからか、ファンクラブの方のラジオのお便りでは、恋愛相談がたくさんくるんですけど、恋は多種多様な感じ方があると思っていて。私は物語を起点に作っていて、色で例えることが多かったりするんですけど、次の楽曲は味でいこうかなっていう感じです」と語り、「甘かったり、酸っぱかったり、辛くて痛かったり、カフェラテみたいに苦かったり…。ほろ苦い恋をしてる人も多くいるかなと思いつつ」という言葉の後で、トイピアノが弾み、ビートが効いた歌謡ラブソング「キラッテラッテ」が流れる。菅原がガナリを交えながら歌い上げると、少女も次第に身体を揺らしながら一緒に口ずさみ始め、作り手ユニット・有感覚で作曲と編曲を担当しているYKのギターが轟くジャズアレンジの「熱帯夜」では、ドラマチックな歌詞の心情に合わせたように揺れ動く画面の中で、座席から立ち上がって車内で思い切り踊り出し、最後には満面の笑顔を見せた。

ここで、改めて菅原の口から「4月に新生活が始まる人たちに向けて届けられたらなという企画」であることが語られた。「様々なスタートの季節だと思うんですよね。入学式だったり、新学期が始まって、新たなクラスメイトができたり。新社会人になって、就職するために上京してきて、ガラッと環境が変わったり、初めての一人暮らしだったり、いろんな人がいると思います。寂しいなとか、心細いなって思うこともあるのだろうと思っていて。新しいところに飛び込むってなると、今までずっと繰り返していたことがなくなっちゃったりするわけであって。何か心にぽっかりと穴が開く人もいるのかなと思いますけれども、そんな人に寄り添えるようなライブストリーミングになってくれたらいいなと思っています」と画面の向こうの観客に向けてメッセージを送ると、これから始まるであろう、みんなの新生活に思いを馳せ、「皆さんの人生において基盤になっていくような事柄が起こっていくかもしれません。いろいろな生活の糧になってくれたらいいなと思っています」と続け、恋の終わりを綴ったチルソングをピアノの弾き語りで披露した「zoo」からは、菅原圭のセンチメンタルでエモーショナルな奥深い歌声をじっくりと味わえる時間だった。車窓はいつの間にか真夜中となっており、少女は実写からイラストへと変化。さらに、「シャワールームランデヴー」では、また違う絵柄へと変わり、歌詞にある<泡になった彼女>の世界観を表現した映像となっていた。

「ここでサプライズで、このライブセッション限定で新曲を初披露したいと思います。「カーテン」のアンサーソングというか、対になってる、アナザー視点の歌になってます。曲名は「アネモネ」にしました。花言葉が“儚い恋”という意味がありまして、<ああね、もうね、終わりなんだよ>っていう感じと掛け合わせていたり、いろんなところに仕掛けが散りばめられている面白い曲です」

そんなMCを経て披露された未発表の新曲であるオルタナティヴR&B「アネモネ」の画面には、手紙のように歌詞が現れていたが、彼女の言葉通り、<花占い声のない moving>や<カーテンの後ろ貴方気づかないで>など、「カーテン」の登場人物である“僕ら”を想起させるラブストーリーが綴られていた。

そして、ラストナンバーを前に、今回のライブセッションを振り返りながら、菅原が視聴者に向けてゆっくりと語りかけた。

「新しいことをするということは、何か古いものをみんな捨ててると思うんですよ。いろんな不安があるかもしれないんですけども、その分ね、たくさんのものを得れる機会でもあるなと思っていて。すごく不安で、すごく傷ついちゃって、すごく疲れちゃったときはね、休めるときは休んで、自分を大切にしてください。みんなが頑張ってるから頑張らなきゃっていう気持ちは、私的にはちょっと重いから、みんなもしんどいときもあるんだな〜、私だけじゃなかったんだなと思うだけで軽くなる気持ちもあると思っていて。私もね、ちょっと心の自己管理が甘い部分があるので、皆さん同様にこの不安な4月、新生活を乗り切っていこうかなと思っています。一緒に頑張りましょう。ま、頑張らなくていいときもあるんですけどね。そのとき一緒に弛れましょう(笑)」と呼びかけ、ライブはクライマックスへ。本編ラストは、2019年にYouTube上で発表し、2022年にセルフリメイクした「エイプリル」。車内に桜の花びらが舞い散る中で、ニューウェーブのようなバンドサウンドが情熱に駆られるようにテンポとエモーションをあげていった。やがて、<ねぇ エイプリル無色透明で>というフレーズが響き渡り、ブレーキのような弦弾きのベースとともに、電車はついに多くの人で賑わうホームに到着。四月の風に吹かれた少女の最後の表情は何を物語っていたのか。新生活に対する期待と不安がない混ぜになったあやふやな表情は、本格的に始まる人生の色々に思い悩みながらも、全てはまだあやふやで焦点を結ばない「これから」の人ならではの特権であり、そこに共感する人も多いのではないかと思う。ぜひ、スタジオセッションによるスペシャルなアレンジとともに、楽曲と重ねた心情の変化、映像演出にも注目して見てもらいたい。

なお、この配信ライブのチケットは4/5()22:00まで購入可能で、アーカイブ映像は4/5()23:59まで何回も視聴可能となっている。
4月という季節にさまざまな想いを乗せながら、菅原圭の音楽がきっとあなたの生活にそっと寄り添ってくれるだろう。

(おわり)

取材・文/永堀アツオ

April with Kei Sugawara Live Session
SET LIST

M1 ライムライト

M2 ブランケット
M3 キラッテラッテ
M4 熱帯夜
M5 zoo
M6 シャワールームランデヴー
M7 アネモネ(新曲)
M8 エイプリル


┗2024年3月30日(土)夜開催

April with Kei Sugawara Live Session

Live Streaming full ver. (有料配信)
出演:峰平 朔良
※今回、菅原圭は歌・音声のみでの出演となり映像内には登場いたしません。

視聴チケット代:2,000円(税込)
販売期間:3/15(金)18:004/5(金)22:00
※アーカイブ期間:4/5(金)23:59まで何回でもご視聴いただけます。
※チケット購入者全員に【菅原圭 “おやすみ Live Magnet & Ticket】プレゼント。
配信アーカイブ期間終了後にご自宅へ届きます。
※チケット購入者全員に【“April with Kei Sugawara Live Session Magnet & Ticket】プレゼント。4月下旬頃順次、ご自宅へ届きます。
さらに!Sugawara House会員限定で、応募者の中から抽選で5名さまにオリジナルチェキ写真がランダムで当たります。(応募フォームはお届けしますTicketに記載)

Live Streaming full ver. (有料配信)

RELEASE INFORMATION菅原圭 「キラッテラッテ」

2024年214日(水)配信

菅原圭 「キラッテラッテ」

PROFILE菅原圭 [ スガワラケイ ]

一度聴いたら忘れられない中毒性の高いエモーショナル・ボイス。
中性的かつ感傷的な歌声と切なさを纏ったハイトーンが特徴的で、作詞・作曲も自身 で行うアーティスト。
ほろ苦い繊細な言葉で紡がれる歌詞や、心の奥底の琴線に触れるメロディーラインによって、多くのリスナーを虜にし、圧倒的“見つけてしまった感” とインターネット上で注目を集めている。2020 11月に初の配信シングル「フライミ」をリリースして以降YouTube やストリーミングサービスを中心に続々とオリジナル曲を発表・リリース。20221月にはSpotify が選ぶ2022 年に活躍を期待する次世代アーティスト「RADAR:Early Noise 2022」に選出される。
YouTubeの人気企画”MAISONdes”でのTani Yuukiとのコラボレーションや、PEOPLE1Ratpark feat.菅原圭」への歌唱参加、声優の花澤香菜へ楽曲提供を行うなど、活動の幅を広げる。昨年12月に1stデジタルアルバム「round trip」を発表。20233月に1stデジタルEPone way」をリリースした。オトナとコドモの狭間で揺れ動きながら“いまの時代” を 赤裸々に浮き彫りにし、感度の高いティーンやアンテナを張ったミュージックラヴァーを魅了中。急速にフォロワーを増やしている要注目の新しい才能だ。

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