ついに、Saucy Dogがステージに帰ってきた。2026年1月4日の「A NEW DAWN」京セラドーム大阪公演をもってリフレッシュのためのライブ活動休止期間に入ってからおよそ半年。再開1本目となるワンマンライブ「Saucy Dog ONEMAN LIVE 2026『NOW LOADING...』」が、7月21日、東京ガーデンシアターで開催された。ライブ中、石原慎也はこんなことを言っていた。「半年ぶりにライブをしてみて、最初に思ったんが……クサいけど、俺たちの居場所やなって思ったよ」。もちろんサウシーはサウシーで、何かが劇的に大きく変わったとか、まったく違うバンドになっていたとか、そういうことはない。でもこのしばしの「休暇」を経て、確かに彼らは文字通り「まっさら」な気持ちで音楽を鳴らしていた。メンバー3人のノリも、観客とのコミュニケーションも、どこか初々しさすら感じさせるムードのなかで最初から最後まで進んでいったライブは、Saucy Dogの新たなスタートを告げる、とても気持ちのいいものだった。

開演時刻、ステージ両脇のスクリーンに映し出されたのは「NEW DAWN」から続く物語を感じさせるゲームのロード画面。ドットで書かれた「NOW LOADING...」の文字の下に、ロード状況を示すパーセンテージが表示され、8ビットのサウンドにアレンジされた「ワンダーランド」のメロディが流れる。そしていつものSEとともに石原、秋澤和貴、せとゆいかの3人が姿を現した。そしてドラムを中心に集まって石原の「Saucy Dog!」の掛け声で気持ちをひとつにすると、このシチュエーションにぴったりのタイトルをもつ1曲目「リスポーン」が始まった。レーザーとスモークが幻想的な雰囲気を醸し出す中、石原とせとの声が重なる。「久しぶり! 会いたかったぜ!」。石原が笑顔で客席に声をかけ、「馬鹿みたい。」へ。休んでいたから、というわけでもないだろうが、石原の声はとてものびやかでハリがある。でも力んでいるという感じではなく、石原はもちろん、ドラムを叩くせともベースを弾く秋澤もリラックスした穏やかな表情を浮かべている。

この、リラックスしているのにばっちりソリッドでエネルギーに満ちている感じはライブ全体を通してそうだった。今回のステージセットは近年のツアーに比べるとシンプルなものだったが、それゆえに3人の表情や鳴らす音がはっきりと伝わってくる感じがした。ますますアグレッシヴに鳴り響いた「あとの話」を経て、4カウントから「Be yourself」が始まっていく。「歌える?」という石原の言葉に大合唱が湧き起こる。「最高!」。それこそ最高の笑顔で石原が叫んだ。充電満タンのバンドと、この日を待ち望んでいたオーディエンス、どちらも序盤から全開だ。ここまで4曲を立て続けに披露して、最初のMCへ。せとの「ただいま!」の声に、「おかえりー!」と大声で応えるオーディエンス。「半年ぶりのライブ、すごいソワソワしたしドキドキもしたけど、ステージに立つと今までのライブのことをしっかり思い出せて。『戻ってこれたな』という気持ちになれました」とせとは嬉しそう。石原は「なんかちょっと爽やかになったな」と髪型を変えサングラスをかけた秋澤に声をかける。その秋澤は「はい!」と元気よく返事しつつ、会場の上階まで埋め尽くしたオーディエンスの様子を眺めている。

そして「5階!」「4階!」と各フロアごとに声出しをしてライブは再開。石原がアルペジオとともに歌い出したのは「シンデレラボーイ」だった。切なさとともに力強さも感じさせるそのパフォーマンスがとても新鮮に映る。続けて「俺たちの歌」と「メトロノウム」へ。オレンジ色のレーザーが会場全体を照らし出し、〈走る〉と叫ぶように歌う石原の声がライブをさらに加速させていく。そこに重ねられるのは「いつか」。Saucy Dogの「はじまりの歌」が、朝日のようなまばゆい光の中、美しいメロディとどっしりとしたサウンドをまとって広がった。続いてはこの日がライブ初披露となった「ワンダーランド」。ステージ上方から、ドット文字でデザインされた光るバンドロゴが下りてくる。レイドバックしたリズムに気持ちよさそうに体を揺らす石原と秋澤。〈「もう、さっさとお風呂に入ったら?」〉のシンガロングが巻き起こる。初披露とはいっても、すでにこの曲はオーディエンスの身体に染み付いている。曲の終わりにメンバー紹介を挟み、「魔法が解けたら」へ。丁寧に届けられる演奏が、ガーデンシアターに染み渡った。

いつもならこのあたりで恒例のアコースティックコーナーが入るところだが、この日はなし。その代わり、たっぷり間を取って、次の曲が始まっていく。大きく息を吸った石原が〈あのね〉と歌い出したのは、そう、「シーグラス」だ。青い光と、ステージの至る所から噴き出す白いスモーク。開放的なサウンドにオーディエンスが手を叩き、腕を振り上げて応える。石原は「楽しい!」と絶叫。秋澤は笑顔でリズムを取りながらベースを奏でている。せとの打ち鳴らすシンバルもとても晴れやかだ。ここからライブは一気にギアを上げていく。「回せ! 回せ!」という石原の言葉にタオルが舞った「エデンの部屋」に、力強いセッションから急加速で突入した「ゴーストバスター」。そして「2曲目の新曲」として「オレンジ」を披露。シンプルだけど強度の高いバンドアンサンブルと、聴いている人すべての手を引っ掴んでぐいぐいと未来に連れていくような歌詞。今のSaucy Dogの充実ぶりが伝わってくるパフォーマンスが、東京ガーデンシアターをどこまでも熱くしていくのだった。

その「オレンジ」を終え、ライブは俺たちの居場所だ、と笑顔で言い切った石原が、観客に「半年、何してた?」と尋ねる。「仕事!」「勉強!」と口々に応えるオーディエンス。「寝てた!」と叫ぶお客さんに「俺も、俺も!」と返す石原はとても楽しそうだ。「待っててくれるやろうなと思った。だから早く帰ってきたいなと思ってたの。和貴がいちばん言ってたもんな、『早くライブしたい』って」。秋澤はどうやらSNSで流れてくる人のライブ情報を目にしてはライブ欲をふつふつと高めていたらしい。その秋澤は「楽しいっすね」と笑顔で言いつつ、せとに「どうすか?」と振る。その様子に「お前が回すんかい!」とツッコみながら「仲いいでしょ?」と自慢げに語る石原。ラフで自由なその雰囲気を見るに、半年のリフレッシュはバンド内の空気も少し変えたようだ。

しかし、せとが「久しぶりなもので、いつものワンマンよりちょっと少なめのほうがいいかもってなって、そんなセトリを組んでしまったためにですね……」と名残惜しそうに話すように、ライブはもう最終盤。「残り2曲やねん。一瞬やったな」という石原の言葉に、当然ながら客席からは「えー!」という声が飛ぶ。それを聞いた石原は「他の曲練習してないねん」と言いながら、「練習で1曲やる?」と提案する。そして協議の結果、3人は完全なアドリブで「ナイトクロージング」を鳴らし始めた。音も照明もそのまんま、素朴に鳴らされる初期曲。そのサウンドが、このライブのムードを象徴しているようだった。その後、「気持ちを切り替えて、これからまたガンガン進んでいこうと思うので」と告げて「まっさら」を届けると、最後は「怪物たちよ」。迫力のあるサウンドと意思に満ちた言葉が会場を震わせると、暗転とともにライブは終わりを告げた。

その後、アンコールに応えてステージに戻ってきた3人。ここで、本編ではやらなかったアコースティックでのパフォーマンスが行われる。せとが秋澤にグッズのキャップを被せたり、石原のヘアバンドにヘアクリップをつけたりして遊ぶ中、お客さんと会話を繰り広げ、披露されたのは「コンタクトケース」。久しぶりのライブを駆け抜けてほっとしたような表情の3人に大きな拍手が送られた。そして本当の最後の曲、「優しさに溢れた世界で」が始まっていく。「久しぶりに会えて本当に嬉しいし、またこうやって会えたらいいなって思ってる。あなたのいちばんになれなくても、あなたがSaucy Dogを聴いているときにちょっとでも『幸せやな』『元気もらえたな』って思ってもらえたらめっちゃ嬉しい。これからも本当の意味で、よろしくお願いします」。そんな言葉とともに歌い始めた石原の歌声に、せとと秋澤のコーラスが重なり、その歌はオーディエンスに広がっていく。大合唱とともに曲を締めくくると、石原はギターをかき鳴らしながら「Saucy Dog、完全復活!」と叫んだ。その通り。ロードを完了したサウシーは、ここから「強くてニューゲーム」を始めていく。

Text By 小川智宏
カメラマンクレジット:日吉”JP”純平

■セットリスト
「Saucy Dog ONEMAN LIVE 2026『NOW LOADING ...。』」2026年7月21日 東京ガーデンシアター
01. リスポーン
02. 馬鹿みたい。
03. あとの話
04. Be yourself
05. シンデレラボーイ
06. メトロノウム
07. いつか
08. ワンダーランド
09. 魔法が解けたら
10. シーグラス
11. エデンの部屋
12. ゴーストバスター
13. オレンジ
14. まっさら
15. 怪物たちよ
<アンコール>
16. コンタクトケース
17. 優しさに溢れた世界で

<リリース情報>
Saucy Dog
DOME LIVE「A NEW DAWN」20260104 KYOCERA DOME OSAKA

2026年9月16日(水)ON SALE
<Blu-ray>  9,900円(tax in) AZXS-10001  
<DVD> 7,700円(tax in)AZBS-10001 

<商品予約>
https://saucy-dog.lnk.to/A_NEW_DAWN_20260104_KYOCERA_DOME_OSAKA

<Teaser映像> 
https://youtu.be/EaphERyg840

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