Sakurashimejiの東名阪ツアー『Sakurashimeji Live Tour 2025 ~track [mono]』のファイナル公演が、321日に東京・WWW Xで行われた。

ツアーは全公演ソールドアウト。WWW Xのフロアは超満員で、田中雅功と髙田彪我は歓迎の拍手を受けて登場した。ライブのオープニングを飾ったのは、バンドメンバーとのセッション。そして雅功の力強い歌い出しに、彪我の軽快なギターリフが続き、1曲目の「明日を」が始まった。サビではフロアの明かりをつけ、一人ひとりと目を見て歌うのが、Sakurashimejiの音楽の届け方。演奏が終わると、2人のエネルギッシュなパフォーマンスを受け取ったオーディエンスが、熱量の高い拍手と歓声を送った。

雅功が「どうも、Sakurashimejiです! いい夜にしようぜ!」と挨拶するなか、彪我のギターカッティングが次の曲「なるため」を導いた。ステージ上の2人は、バンドメンバーと音を合わせるのも、観客とコミュニケーションもとるのも楽しくてしかたないといった様子で、自然と笑みがこぼれている。彪我のギターソロに歓声が上がった「エンディング」では、雅功の「歌えますか、渋谷!」という投げかけに観客が応える一幕も。大音量のシンガロングに、雅功は「ベリーグッド!」と嬉しそうだ。

そんな楽しい空気のまま、「いつかサヨナラ」へ突入した。観客と一緒にその場でジャンプしながらアコギを鳴らす雅功は、情熱的でまっすぐなボーカルが持ち味。感情の乗った彼の歌とギターは、ライブだとなお頼もしく、タイムラグなしで聴く人の心を熱くさせていた。対して彪我は、難易度の高いプレイもさらりとできてしまうプレイヤーで、「そのメロディを歌いながら、職人的なバッキングを?」と驚かされる場面が多かった。そして満を持してのソロでは、ギターヒーローとしての存在感を発揮。ここぞとばかりにギターを掻き鳴らす彪我と同じくらい、相方の雅功も嬉しそうにしているのを見て、もはや一心同体である2人の絆を改めて感じた。

開演前、楽屋のモニターから観客が入場する様子を見て、喜びを噛みしめていたという2人。最初のMCでは代表して雅功が、「みなさんの貴重な時間を使っていただき、ありがとうございます!」と観客に感謝を伝えた。次のブロックでは、バラードを中心に披露。この季節にぴったりな「花びら、始まりを告げて」も、雅功のアコギと2人の歌にフィーチャーしたアレンジの「天つ風」も温かな余韻をもたらしてくれた。

8分の6拍子のリズムとともにドラマティックに展開する「生きるよ」を終えると、2度目のMC。ここでは雅功が、次の曲に繋げるためのMCを考えるのに毎公演苦戦していたこと、大阪公演ではChatGPTに考えてもらった内容を話したことを明かしつつ、今回は自分で考えた内容を喋ると宣言。その上で、最近あった失敗談=「洗顔料で髪を洗ってしまった翌日に、シャンプーで顔を洗ってしまった」というエピソードを披露し、「もうこりごりだ」という言葉から、次の曲「Iroto-Ridori」へと繋げた。リズミカルなベーススラップが印象的な、腰でリズムをとりたくなる楽曲だが、フロアのみんなは雅功渾身のMCに笑っているというギャップが面白く愛おしい。その後は、10年以上歩みを共にしてきた今の2人が歌うとなお響く「かぜいろのめろでぃー」、観客の手拍子や歌声も欠かせない「ケセラセラララ」が披露された。

さらに、「いつになく仕上がっている」と自己申告した彪我のハイテンションなMC、「simple」「青春の唄」といったアッパーチューンでスパートをかけていく。ライブの終盤に差し掛かった頃、雅功がオーディエンスに質問を投げかけた。「みなさん、恋はしていますか? どれだけ力があっても、どれだけ賢くても、どれだけお金があっても、どれだけ面白くても、人間みな好きな人の前では無力だと僕は思うんです。自分をさらけ出してこそ、本当の恋だと思いませんか?」――そんな言葉とともに披露されたのは、ライブ当日に配信リリースされたばかりの新曲「ランドリー」。好きな人の前で意地を張って後悔している人が主人公の、不器用だが憎めないラブソングだ。ここにいるみんなも、明日になって後悔しないよう、ライブを心のままに楽しんでほしい。そう伝えるため、まずは雅功が、ロックサウンドに乗っかって感情を解放させるように歌う。そして間奏では、彪我が思いっきり音を歪ませながらギターソロを披露。その痛快なプレイに、観客は興奮とともに歓声を上げた。

現状ライブでしか聴けない新曲「who!」でも、2人の歌声とギタープレイがオーディエンスを熱狂させた。バンドメンバーが順にソロを奏でる間奏も最高。そして「それじゃあ、次はみなさんの番!」とバトンを渡された観客が手拍子をしてアンサンブルを繋ぐと、続けて雅功が、曲中繰り返し登場する「君」という言葉を強調して歌い、観客一人ひとりへ想いを届けた。

「同じ雲の下」、「わがままでいたい」を経て、ラストナンバーは「大好きだったあの子を嫌いになって」。〈こうやって歌ってるんだよ 僕は僕のために〉というラストフレーズに胸を震わせた観客が、2人の想いに応えようと声を張り、歌声がこだまする感動的なエンディングとなった。止まない歓声に呼ばれて再登場したSakurashimejiは、アンコールとして2曲を披露。2人は最後まで観客に感謝を伝えていたが、その想いは音楽とともにしっかり届いたはずだ。2人が去ってからもしばらく続いていた拍手が、熱演の証明だった。

田中雅功
髙田彪我

なお、Sakurashimejiは、4月に対バンツアー『Sakurashimeji Live Tour 2025 ~track [poly]』を開催する。この記事でレポートしたワンマンツアー『track [mono]』、そして来月行われる『track [poly]』は2つ合わせて初めて完成するとのことで、どのようなステージが展開されるのか非常に楽しみだ。

写真:鈴木友莉
文:蜂須賀ちなみ

セットリスト

1.明日を
2.なるため
3.エンディング
4.いつかサヨナラ
5.花びら、始まりを告げて
6.天つ風
7.生きるよ
8.Iroto-Ridori
9.かぜいろのめろでぃー
10.ケセラセラララ
11.simple
12.青春の唄
13.ランドリー
14.who!
15.同じ雲の下
16.わがままでいたい
17.大好きだったあの子を嫌いになって
EN1.ただ君が
EN2.ひだりむね

RELEASE INFORMATION

Digital Single「ランドリー」

3月21日(金)配信

「ランドリー」各配信サイト

LIVE INFORMATION

Sakurashimeji Live Tour 2025 ~track [poly]

<公演詳細>
【東京】渋谷クラブクアトロ
2025年4月18日(金) 開場17:45/開演18:30
w/ インナージャーニー
【大阪】梅田クラブクアトロ
2025年4月23日(水) 開場17:45/開演18:30
※パーカーズ
【愛知】名古屋クラブクアトロ
2025年4月24日(木) 開場17:45/開演18:30
※w/ なきごと

<席種・料金・年齢制限>
スタンディング: 4,900円(税込)
※3歳以上はチケットが必要となります。3歳未満のお子様のご入場はお断りさせていただきます。
※整理番号順でのご入場となります。入場時、別途ドリンク代が必要です。

詳細はこちら

Sakurashimeji「明日を」インタビュー

活動10周年を迎え、さくらしめじからSakurashimejiへ

2024年6⽉14⽇に結成10周年を迎え、10周年イヤーがスタートしたさくらしめじ。新曲「明日を」のリリースを機に、アーティスト名表記を“さくらしめじ”から“Sakurashimeji”に変更した2人=⽥中雅功、髙⽥彪我にじっくりと聞いた!
インタビューはコチラ >>
(2024年8月25日 掲載)

Sakurashimeji「明日を」 × radio encore
インタビューアフタートーク

アーティスト名表記を“さくらしめじ”から“Sakurashimeji”に変更し、新曲「明日を」のリリースした2人=⽥中雅功、髙⽥彪我にインタビュー。その直後に収録したアフタートーク=radio encoreです。
インタビュー直後のSakurashimejiトーク
をお楽しみください
radio encoreはコチラ >>
(2024年8月27日 掲載)

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