<囲み取材レポート>
ゲネプロの感想と初日を前にした心境を尋ねられ、生駒は「それぞれのチームの色があると思いますが、初日チームとして、これが朗読劇『ROOM』だというのをお客様に伝えたいです。お弁当が美味しいやつだったので、しっかり頑張りたいと思います!」と笑顔で語る。
瀬戸は「26日まで様々な組み合わせで上演します。毎回違うものになると思うので、いろいろな回見にきていただけたら嬉しいです」と話し、馬場は「いろいろな舞台をやらせていただいていますが、朗読劇は頭も精神力も使います。半太さんのジェットコースターのような物語を楽しんでいたらあっという間に終わってしまう90分。出演するたびにメンバーや演じるキャラクターが違うので、たくさんの方にいろいろな楽しみ方をしていただけたら嬉しいです」とアピールした。
古川は「舞台の経験もあまりない中で、朗読劇ってこんなにカロリーを消費するんだと衝撃を受けました。疲れますが、とにかく楽しくて、目まぐるしくストーリーも役柄も展開していく。求められる技量もあるし、姿も見られている気がします。必死に食らいついているので、いい初日を作れたらと思っています」と意気込む。
脚本・演出の木下は「すごく頑張ったと思いますが、さらにエネルギーを振り絞ってより良い本番にできたら。去年初めて朗読劇を描いて、面白いものを作ろうと思った結果、振り切って落語にしようと思ったんです。動く朗読劇も多いですが、基本は座ってやる。極端に言うとお客さんが目を閉じても頭の中で絵が浮かぶような本と演出にし、そこに想像力を刺激するような照明と音響をつけました。お客さんの頭の中で役者とお客さんが共同作業するようなエンタメになれば楽しんでもらえると思います」とこだわりを語った。
この作品ならではの楽しみ方について聞かれた生駒が「今回はみんなが話ごとに違う役を演じるし、男性・女性も入れ替わるので見え方が予測不能。さらにお話も面白いので、やっていても笑っちゃう。隣ですごく必死にやってて」と話すと、キャスト陣から笑いが起き、瀬戸が「必死ですよ!」と返す。生駒は「そういうところも見どころになると思います。面白かったです」と笑い、瀬戸は「今回4本のオムニバス形式で、朗読劇を見慣れていない方も見やすいと思います。自分が一番好きな作品を選べると思うし、動きがないぶん声に集中しているので、耳が幸せになれるかと」とおすすめポイントを挙げた。
今回は公演ごとに様々なチームで上演される。初日メンバーのチームワークについて聞かれ、馬場は「稽古をしたのが結構前で不安もあったんですが、めちゃくちゃいいチームだと思いました。絆が生まれる本でありキャラクター。古川くんとは初めましてですが絆が生まれた気がします。化学反応が楽しいですね」と答える。
稽古は1日だけだったそうで、木下が「朗読劇は稽古しちゃダメという流れがあります。今回も、多い人は3日くらい稽古しているけど1日の人もいるし、本番で初めて顔を合わせるチームもある。それが朗読劇の面白さなんじゃないかと言うことで、稽古は少なめにしています」と語る。
さらに、古川は朗読劇への出演が初めてだという。「事務所内の作品で、動き回る朗読劇をちょっとやったことがあります。今回はストイックな作品。でも、1日しか会えていなかったのが逆に良かった気がします。ハードなスケジュールを4人で乗り越えるために頑張ることでグッと距離が縮まった。いい初日を作れそうでワクワクしています」と自信を見せていた。
最後に生駒が「皆さんの推しも出ていると思いますし、初めて見る俳優さんもいると思います。1日限りの化学反応が今回1番の見どころだと思います。半太さんの脚本しかり、俳優たちの一期一会の命をかけた演技も楽しみにしてください」と締め括った。
<ゲネプロレポート>
物語はとあるホテルで小説家のオサム、新婚旅行中の夫婦、バックパッカーの青山が偶然出会うことから始まる。
まずは、スランプに陥っているオサムの身に起きた不思議な物語である『缶詰』。結婚をせがむ彼女からの電話、通販番組のコールセンターとの間違い電話、「最後に誰かと話したかった」という自殺志願者からの電話という3つの電話に翻弄されるオサムを軸に物語が進んでいく。それぞれが演じるクセの強いキャラクターに、客席はもちろんキャストも吹き出している場面が多数あり、緊迫感がありつつコミカルな雰囲気に仕上がっていた。
続いては、オサムが書いている小説のさわりを3人に話す……という流れで語られる『家族旅行』。吸血鬼一家を主人公に、夫婦の倦怠期、子供たちの成長と自立など、親近感を覚える物語が意外な方向に進んでいくのが面白い。馬場は父親の空回りを愛嬌たっぷりに演じ、古川はクールだが色気のある母親、生駒はしっかりものの長男を好演。瀬戸はおませな妹に加え、彼女と電話するじいじ・ばあばを演じ分ける。家族の関係性や個性が伝わる芝居と、キャラクターに負けないインパクトのある展開に驚かされた。
3つ目は、小説のネタを探すオサムに新婚夫婦の妻が語る『旦那デスノート』。夫に対するストレスを溜めた妻たちが、ある投稿サイトを知ったことをきっかけにサスペンスが繰り広げられる。ゲネプロでは男性陣が女子会を行う妻たち、生駒が夫役を演じた。華と毒のある妻たちのブラックなやりとり、ちょっとズレた努力をする夫のすれ違いに、ハラハラしつつ笑ってしまう。
そして、バックパッカーの青山が語るのは、特殊詐欺に手を染める男が予想だにしない展開に巻き込まれる『スイート』。次々に起こるおかしな出来事に「どういうことだろう?」と考えさせられ、ラストに向けて様々な謎が解けていくのが爽快だ。小学生から老人まで、登場するキャラクターの幅が広い上に場面やキャラクター同士の関係・立場が次々に変わっていくため、キャスト陣の演じわけを楽しめる。
4つの物語はそれぞれ独立しているが、同時に全体で一つの物語になっている。多彩なカラーのミステリーを楽しめる本作は、2024年5月16日(木)~5月26日(日)までこくみん共済 coop ホール/スペース・ゼロにて上演。各公演のキャストの組み合わせ、それぞれが演じるキャラクターは公式HPにて確認しよう。
【ROOMとは】
鬼才・木下半太が書き下ろした4つのミステリーを、木下自身の演出で送る新感覚朗読劇。戦慄が走る恐怖のストーリー、クスっと笑えるオシャレなストーリー、意外な展開にあっと驚くストーリーなど4つの部屋(ROOM)で起こるミステリーを、光と音を駆使した新感覚の朗読劇としてエンターテインメント化。
【木下半太プロフィール】
木下半太
小説家・脚本家・演出家・映画監督
CRG(Creative Guardian)所属
2006年に「悪夢のエレベーター」で作家デビュー。
同作は、テレビドラマ、舞台、映画化され話題に。
代表作でもある「悪夢」シリーズは累計80万部の人気シリーズになる。
映像化作品も多数あり「サンブンノイチ」は、品川庄司の品川ヒロシが3作目の監督作品として本作を映画化し、2014年に公開されている。
「鈴木ごっこ」は、自身も監督を務め主演 斎藤工で映画化。
自伝的小説「ロックンロール・ストリップ」もメガホンを取り、2020年に劇場公開となり、翌2021年に、新作小説「ロックンロール・トーキョー」(小学館)が刊行された。同年、仮面ライダー生誕50周年記念作品『仮面ライダーリバイス』のメインライターを務め、自身初の特撮作品へ参加を果たし話題に。
小説・舞台・映像・漫画原作など多方面に渡り活躍するクリエイターである。
【開催概要】
・公演名: ROOM
・開催期間:2024年5月16日(木)~5月26日(日)
・場所:こくみん共済 coop ホール/スペース・ゼロ