2019年、2021年、2022年、2023年とこれまで4度、世界最大のアニソンフェス「Animelo Summer Live」(アニサマ)で鮮烈なパフォーマンスを披露してきたReoNaが、デビュー6年目最初のライブとなる2024年9月1日、「Animelo Summer Live 2024 -Stargazer-」DAY3に出演。錚々たるアーティストからのバトンを受け継ぎ、DAY3のヘッドライナー、熱狂の3日間を締めくくる“大トリ”アーティストとして、珠玉の4曲を届けた。

茅原実里のパワフルなステージの熱気が残るなか、暗転したメインステージの真ん中にアコースティックギターを抱えたReoNaがポップアップから登場し、白いスポットライトに包まれて凜と立つ。ドッと沸き起こる歓声、そして静寂。再び起こるReoNaを呼ぶ声。沈黙を守るReoNaは降り注ぐ光の中で身じろぎもせず、その声を静かに受け止め、時が満ちるのをじっと待つ。彼女の出現から約1分10秒。ReoNaがギターをストロークして《Goodbye 旅に出ようか》と歌い出すと、時を止める魔法が不意に解かれたように、客席に赤いペンライトが大きく揺れ始める。
最初のナンバーは神崎エルザ starring ReoNaとして、ReoNaのお歌が初めて世に出た曲、TVアニメ『ソードアート・オンライン オルタナティブ ガンゲイル・オンライン』挿入歌「ピルグリム」。静かな弾き語りに、荒幡亮平(Key)率いるバンド――山口隆志(Gt)、Ommy(Gt)、二村学(B)、今村舞(Dr)、篠﨑恭一(Mani)がインし、鮮やかな色をたたえていく。生まれ変わる日まで、たとえ暗闇の彼方へでも、行き先を決めずに旅立とう、と紡がれるこの“お歌”は、彼女のアーティストとしての物語の幕開けを紡いだ曲でもある。柔らかな微笑みを浮かべ、唯一無二の湿り気を帯びたスモーキーな歌声を響かせると、客席は一気にReoNaワールドへと姿を変えた。

大地に水を与えるように始まったReoNaステージ。「こんばんは、ReoNaです。お歌の世界、1対1。最後まで楽しんでもらえますように」と、普段のワンマンライブと同じように挨拶を交わすと、再び歓声が起こる。「もう二度と会えないと分かっていても、それでも会いたい人っていませんか?」と呼びかけ、告げたタイトルは、TVアニメ『シャングリラ・フロンティア』第2クールEDテーマ「ガジュマル 〜Heaven in the Rain〜」。荒幡亮平(Key)の美しいピアノの音が響くと、会場は暗転。スクリーンにアニメの名場面を綴った『シャングリラ・フロンティア』とのSPECIALコラボムービーが流れ出す。ゆるやかに流れるストリングス、オーガニックで雄大なバンドサウンドに寄り添うように、大切な人に大切な言葉を伝えられなかった後悔を、切々と歌い上げるReoNa。光に浮かび上がり、目を伏せた彼女に大きな拍手が贈られた。

そしてReoNaは、今、この場所に立てていることへの感謝を語る。アニサマの歴史を守り、紡ぎ続けてくれているスタッフ。それを彩り続けてきたアーティスト達。そしてアニメが好きでアニソンが好きな“あなた”がいるからこそ、今日ここに集えているのだと。
「すべてのあなたに、ありったけのありがとうを込めて。魂を……ありったけの魂を込めて、お歌をお届けします。だから、あなたのありったけの魂を、どうか、燃やして」

そう告げて放たれたのは、湧き上がる想いを絞り出すような《魂の色は 何色ですか》のアカペラから始まったTVアニメ『ソードアート・オンライン アリシゼーション War of Underworld』2ndクールOPテーマ「ANIMA」。張り詰めた糸を断ち切るようにノイジーなギターが放たれ、重厚でスリリングなバンドの音が重なり合って、激しく渦を巻く。赤と青が交錯するライトと放射されるレーザー。時に身体を折り曲げ、時に顔を歪め、時に口元に妖しい笑みを浮かべながら歌うReoNaは、一人一人の胸を貫くように“あなたの魂は何色なのか?”を問い続ける。そんな彼女が向けたマイクに、魂の咆哮をぶつけるオーディエンス。吹き上がった熱の渦は、幾重にも降り注ぐ青い光の中に、鮮やかに溶けていった。

「私が初めてこのアニサマを知った頃、まだ学生でお金もなくてチケットも取れなくて、映像でしかこのステージを観ることができませんでした。その場所に今日、立たせていただいています。今年は“絶望系アニソンシンガー”……アニソンシンガーである私が、最後にもう1曲お届けしたいお歌があります」
そして、ピアノの音を聴きながら言葉を続ける。
「私の大好きな作品が10周年を迎えた時、この物語がどうか終わらずに続いて欲しい。この物語に寄り添い続けたい。そう願って作ったお歌。そんな願いを今日、みんなが大好きなアニサマに乗せて。Stargazer……星に願いを。終わりまで、果てまで、いつまでもこのアニサマが続いていきますように……〈Till the End〉」

「Till the End」は、『ソードアート・オンライン』原作小説刊行10周年テーマソング。客席から喜びの声が挙がり、深い青のライトの中から、歌い始めるReoNaの姿が浮き上がる。バンドの音が重なった瞬間、ステージが明るく照らし出され、ReoNaの背後に総勢51名におよぶゴスペル合唱隊「コーシーズ・マスクワイヤ」が姿を現し、壮大なコーラスを朗々と響かせる。2023年3月、ReoNa初の日本武道館公演「ReoNa ONE-MAN Concert 2023 "ピルグリム" at 日本武道館 ~3.6day 逃げて逢おうね~」で体験した、圧巻の光景が蘇る。静と動、光と闇が入り乱れ、圧倒的な熱量が襲い来る「Till the End」。ReoNaの歌声は魂を揺さぶり、揺らす身体からは静かな熱がほとばしる。歌い終えたReoNaは、晴れやかな表情でマイクを持った手を高々と挙げ、客席を大きく頷きながら見渡した。

バンドと共にステージ前面に歩を進め、改めてメンバーを紹介して「ありがとうございました!」と深々と一礼。ReoNaを呼ぶ声、拍手を浴びて、DAY3の出演者をステージに呼び込む。「それでは最後に、みんなで一緒にこの歌をお届けしたいと思います」というReoNaのリードでスタートしたのは、アニサマ2024のテーマソング「Stargazer」だ。アーティスト全員と声を合わせて、ReoNaはにこやかに歌い、ペンライトを振った。

ReoNaがまだ何者でもなかった頃から、憧れとして心にあり続けたアニサマのステージ。この日、ラストアーティストとして紡いだReoNaの物語、アニソンを愛するみんなの一人一人とReoNaが重なり合ったかけがえのない時間は、彼女が常にライブで語り続けてきた“一期一会”の瞬間に他ならなかった。だからこそ、その出会いは静かに雄々しく心に残り続けることだろう。

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