「優しさと希望があり、素晴らしい」「演技に息を呑む」世界が絶賛!

忘れたい記憶を抱え続けている女と、忘れたくない記憶を失っていってしまう男。NY・ブルックリンを舞台に、記憶に翻弄される不器用なふたりが出会い、新たな人生と希望を見つけていく、観る者の心を温かく抱擁する愛のヒューマンドラマ。監督は人間の内面を真正面から、時に観る者を不安に陥れるほど暴力的な描写で描いてきたメキシコの俊英ミシェル・フランコ。主演は、『女神の見えざる手』(16)や『355』(22)などで知られ、『タミー・フェイの瞳』(21)でアカデミー賞主演女優賞受賞を果たし、名実ともにハリウッドのトップスターの一人となったジェシカ・チャステイン。わずかに残る遠い記憶を慈しむ若年性認知症を抱えるソールを演じたピーター・サースガードは、その難しい役どころを情感豊かに体現し、第80回ヴェネチア国際映画祭にて最優秀男優賞を獲得。その他、シルヴィアの妹オリヴィア役にメリット・ウェヴァー。シルヴィアの娘アナにブルック・ティンバー。シルヴィアの母親サマンサ役にジェシカ・ハーパーなどが脇を固める。また、全世界で1000万枚以上を売り上げた大ヒット曲であるプロコル・ハルムの「青い影」のエモーショナルな旋律が、登場人物たちの心情を際立たせる。

ジョン・レノン、松任谷由実も絶賛した名曲”青い影”の旋律が男女の凍った心を溶かしていく――

劇中で若年性認知症を患うソールが、唯一記憶に残っている亡き妻との思い出の曲として繰り返し耳にするのが、「青い影」だ。バッハの「G線上のアリア」をベースにして制作された、イギリスのロック・バンド、プロコル・ハルムのデビュー曲で、全英シングルチャートで1位を獲得し、6週間その座に留まった。アメリカのビルボード・ホット100でも初登場5位を記録し、全世界で1000万枚以上を売り上げた大ヒット曲。ジョン・レノンは「人生でベスト3に入る曲」、「この曲以外は聴く価値がない」とまで語り、日本でも松任谷由実は「青い影」を音楽活動の原点とし、山下達郎も影響を受けたと公言している。他のアーティストによるカバーバージョンは1000曲以上あるとされ、1977年のブリット・アワードではクイーンの「ボヘミアン・ラプソディ」とともに「ベスト・ブリティッシュ・ポップ・シングル 1952-1977」の共同受賞に選ばれた。ローリングストーン誌では「史上最高の500曲」のリストで57位にランクイン。2009年には、英国の公共の場で、過去75年間で最も再生された曲として報告された。日本人にとっても、70年代のディスコのチークタイムでその曲で踊った人も沢山いるだろう。今なお人々の記憶に残り続けている名曲だ。

ミシェル・フランコ監督はこの曲を使用したことに対し、「昔から大好きな曲だったということもあるんだけど、メランコリックなものが伝わりやすい曲だと思ったんだ。何のことを歌っているかわからない歌詞というのも重要だよ。歌詞によって変な意図を観客に感じてもらいたくはなかったからね」と話す。


STORY:世間を恐れていたふたりの心の殻は、ゆっくりと溶けていくー

ソーシャルワーカーとして働き、13歳の娘とNYで暮らすシルヴィア。若年性認知症による記憶障害を抱えるソール。それまで接点もなかったそんなふたりが、高校の同窓会で出会う。家族に頼まれ、ソールの面倒を見るようになるシルヴィアだったが、穏やかで優しい人柄と、抗えない運命を与えられた哀しみに触れる中で、彼に惹かれていく。だが、彼女もまた過去の傷を秘めていた─。ソールは、消えていく記憶の中でこの曲だけは忘れずに、お気に入りの部分を繰り返し聞いたり、思いを寄せる女性に聴かせたり、大切に新鮮に曲を咀嚼し続けている。1967年のリリースから半世紀を経た今もまったく色褪せないエモーショナルな旋律が登場人物たちの心情を際立たせる映画『あの歌を憶えている』は2月21日(金)公開。

監督・脚本:ミシェル・フランコ

出演:ジェシカ・チャステイン、ピーター・サースガード、メリット・ウェヴァー、ブルック・ティンバー、エルシー・フィッシャー、ジェシカ・ハーパー

2/21(金)より新宿ピカデリー、Bunkamuraル・シネマ 渋谷宮下ほか全国公開

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