森山愛子 デビュー20周年記念コンサート「ありがとう そして明日へ」
2024年5月17日(金) @けやきホール
開演時間の17時になり、場内は、「愛ちゃ〜ん」コールの嵐、そして、空港から飛行機が飛び立つSEからのオープニング曲、デビュー20周年記念曲「雨の空港」を熱唱して、コンサートの幕が上がった。
超満員の会場のお客様に「今日は20年分の感謝を込めて歌いますので、最後まで楽しんで下さい」と挨拶して、「会津追分」、「尾曳の渡し」、「伊吹おろし」とカラオケでも評判の旅情演歌三部作を一気に歌い上げた。続いて、バンドのメンバーをステージに呼び込み、7名のバンドメンバーから20本のバラを受け取り、「バラは2番目に好きよ」って、一言。次のパートに進む予定だったが、次々にプレゼントを渡すお客さんが後を絶たない状況で、「まだ、4曲しか歌っていないのに、すみません。ありがとうございます。」と照れながら挨拶する森山愛子の姿に、20年を共に歩んできたファンとの強い絆を感じ取れる瞬間だった。バンドの生演奏で「イムジン河」、「悲しくてやりきれない」、そして、森山愛子の新たな扉を開けた大切な楽曲でもある「約束」へと続いた。お酒にまつわる様々な物語を朗読したのち、「父さんのウイスキー」、「時代おくれ」、「酒場にて」とお酒をテーマにした曲を披露した。
第一部の最後は、「大好きな、ちあきなおみさんの歌をお聞きください」と言って「冬隣」を歌った。約15分の休憩をはさんで、白いドレスに衣装替えして、元気いっぱいに「愛子のソーラン節」を大盛り上がりの客席の中で歌いながらスタート。観客とのレスポンスである合いの手も完璧に決まっていた。続いて、ここまでの20年から特に思い出深いオリジナル曲を7曲厳選してメドレーで披露した。「風樹の母」、「恋酒」、「雨の信濃路」、「喜連川」、「みれん花」、「ぞっこん」、「おんなの神輿」愛子のヒストリーを辿るような構成であった。そして、バンドのメンバーが再登場して、「愛子の名曲ベスト7」と題しデビュー以来、テレビの音楽番組等でたくさんの名曲にチャレンジしてきた中から、思い出に残る7曲を「大利根月夜」を皮切りに「もう一度逢いたい」まで一気に歌い切った。
ここで、森山愛子から、突然ですが報告がありますと切り出し静まり返る会場で発した言葉は、誰もが予想していなかった休養宣言だった。「ちょうど20年前の5月19日に歌手デビューして、ここまでやってきましたが、20年という区切りの年を迎えて 心に浮かんだのは、このまま皆さんのお力に甘えて良いのかということでした。この機会に、いま一度、自分自身を見つめなおしてみたい‥そう思い、少し長いお休みをいただきたいと考えました。本当に私のわがままで申し訳ありません。小さな頃から歌が大好きで、いつか歌手になれたらいいなぁと思った私ですが、幸運なことに、水森英夫先生と巡りあうことができました。水森先生は、ありったけの情熱で 私に歌う事の楽しさや厳しさを教えてくださいました。どんなに感謝してもしきれません。
そして、歌手デビューさせて頂くことになりました。レコード会社やプロダクションの皆さん、そして事務所の先輩である坂本冬美さん‥皆様の力強い応援をいただき、たくさんの真心を頂いて、様々な場面で歌うことができました。感謝の気持ちでいっぱいです。
この20年の間にファンの皆様との出会いがありました。私にとっては、かけがいのない出会いです。みなさんの応援があったから、大好きな歌をいつも楽しく元気よく、歌ってくる事ができました。苦しい時や辛い時もありましたけど、いつも側で本当のファミリーのように暖かくいつも包んでくれたのは、ファンの皆様です。私の宝物です。本当に、本当にありがとうございます。ごめんなさい。突然の報告になってしまって、でも、どうしても皆様には、自分の口から伝えたかった。でも、今日、辞める訳ではありません。今年いっぱいは一生懸命歌います。また、皆様とお会いできたら嬉しく思います。前向きなお休みです。結婚はしません。それだけは申しておきます。どうぞ皆様、時々は思い出して下さい。」と語り、恩師水森先生作曲の「陽は昇る」を万感の思いを込めて歌い切って本編は終了となった。
そして、アンコールでは「人生一路」を歌唱して、大好き、大好き、大好きと連呼して、最後は、私の始まりの1曲です。デビュー曲「おんな節」をお聴き下さいと語って、デビュー曲「おんな節」を精一杯に歌い上げて、森山愛子のデビュー20周年記念コンサートの幕は下りた。