芸人として数々の受賞歴を誇る傍ら、アーティストとしての活躍の場を広げている粗品が、10月29日(水) Zepp Nagoyaにて、全国ツアー「粗品 全国五大都市ツアー「新世界より」の千秋楽公演を開催した。

9月にリリースしたニュー・アルバム『佐々木直人』を携え、10月2日のZepp Haneda (TOKYO)を皮切りに、福岡・大阪・札幌のZeppをまわってきた今回のツアー。ラストの名古屋公演も、これまで同様、痴漢及び痴漢冤罪防止のため、1Fのスタンディングエリアは男女が左右にエリア分けされ、それぞれのスペースで楽しむ趣向だった。

厳かなムードのクラシック・ナンバー「カノン」が流れ、ドラムの岸波藍、ベースの藤本ひかりが順番に登場。最後に、ライヴではおなじみとなったパジャマ姿の粗品が姿を現すと、満員の場内は割れんばかりの拍手に包まれた。オープニングは新作の1曲目である「ギャーン!」。「ようこそこの場所へ 自由に楽しんで」というライヴでのオーディエンスへのメッセージが歌詞に盛り込まれたナンバーで、サビ・パートでは観客による曲名を叫ぶコーラスが響き渡った。

続いて、「ビームが撃てたらいいのに」のインスト・ヴァージョンと「ビームソードで斬れたらいいのに」を連続で披露。今回のツアーでは、前作の1stアルバム収録曲はすべて歌無しのインスト・ヴァージョンで演奏されたが、観客が粗品のかわりに大合唱し、場内は一体感に包まれた。粗品もステージを動きまわり、髪を振り乱しながら轟音でギターをかき鳴らして、観客の熱に応えた。

新作『佐々木直人』は、パンク・ロックをベースにしつつ、粗品の音楽的アイデアをこれでもかと注ぎ込んだバラエティ豊かな楽曲が並ぶ作品だった。それがライヴでどのように表現されるかも注目のポイントだったが、昨年6月の初ライヴ以来、2度のツアーやフェス出演などステージ経験を積み重ねてきた藤本ひかり~岸波藍とのコンビネーションは抜群だった。ステージ中盤には、初のバラード「朝影の宝石」と、「はらぺこジョアンナとマラフーテのたまご」を演奏。後者は曲の後半に複数回のトリッキーなブレイクがあるナンバーだが、3人は見事に息の合ったパフォーマンスを披露した。

小休憩を挟み、ステージ後半は、ファンの気持ちに寄り添った「サルバドルサーガ」と「告白」、亡き父に捧げた「はるばらぱれ」と愛する母に捧げた「直人とお母さんの歌」を、それぞれ続けて演奏した。そして本編ラストは、新作の中で最も激しいナンバーである「粗品のテーマ」。粗品は残ったエネルギーを振り絞るかのような魂のこもった力強いシャウトを繰り広げ、ステージをあとにした。

本編はMC無しのストイックなステージだったので、アンコールでようやく本日初めてのMCタイム。バンド・メンバーとのトークや、観客からお題をもらいそれになぞかけで答える場面もあり、和やかなムードに包まれた。それに続く「毒棘スウィングノート」では、アルバムでは自ら歌っていたゴスペル風コーラス・パートを観客に丁寧にレクチャーした上で、会場全体が一体となってパフォーマンスをおこなった。

これまでのツアーに比べて、オーディエンスとの一体感が一層増したステージで、ライヴ・アーティストとしての粗品のさらなる成長を証明したツアーだった。これ以降は、単独ライヴの予定は今のところ無いとのことだが、次なる一手を期待して待ちたい。

Photo by 渡邉一生

■セットリスト

「粗品 全国五大都市ツアー「新世界より」 

10/29 Zepp Nagoya公演

1. ギャーン!

2. ビームが撃てたらいいのに (inst)

3. ビームソードで斬れたらいいのに

4. 惑乱竜クレイジア

5. オーディンの騎行 (inst)

6. 想起して15度

7. ストケシアの碇星

8. 宙ぶらりん (inst)

9. 朝影の宝石

10. はらぺこジョアンナとマラフーテのたまご

11. サルバドルサーガ (inst)

12. 告白

13. はるばらぱれ (inst)

14. 直人とお母さんの歌

15. 粗品のテーマ

Encore

16. 毒棘スウィングノート

17. 脱兎の如く目まぐるしく動く時間で

■粗品 プロフィール
1993年 大阪府生まれ。
2歳からピアノを始め、13歳からはギター、高校からはDTMに目覚める。
芸人として数々の受賞歴を誇る傍ら、アーティストとしての活動も広がり、2020年にはボカロ楽曲を発表。「#みどりの唄」は公開と同時にTwitter(現X)トレンド入りを果たした。
2021年、音楽活動の本格化に向け、自身のレーベル“soshina”を設立。
同年3月にレーベル第1弾楽曲「乱数調整のリバースシンデレラ feat. 彩宮すう (CV: 竹達彩奈)」をリリース。リリースと同時に、タイトルとMVの主人公のキャラクター名がTwitter(現X)トレンドの7位と8位にそれぞれランクインした。
同年11月には太鼓の達人20周年アンバサダーに就任。記念ソング「大好きな太鼓の音 feat. どんちゃん」を書き下ろした。
2023年4月には、NHK Eテレ放送のアニメ『青のオーケストラ』のエンディングテーマ「夕さりのカノン feat. 『ユイカ』」をリリース。編曲にSyudouを迎えたポップ・ソングで、クラシックの名曲のモチーフを多用し話題に。
2024年4月、ファースト・アルバム『星彩と大義のアリア』をリリースし、オリコン週間アルバムランキングで初登場8位(4/29付)を記録。6月から7月にかけて「粗品 1st ツアー『星彩と大義のアリア』」を全国3か所で開催。秋には「粗品 全国五大都市ツアー 『くるみ割り人形』」を展開。

■リンク
YouTube: https://www.youtube.com/@soshina
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UM公式: https://www.universal-music.co.jp/soshina/

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