室龍太、仲田博喜がバディ役で出演する、舞台「ウロボロスー警察ヲ裁クハ我ニアリー」が、10月24日より東京・CBGKシブゲキ!!にて開幕した。神崎裕也原作、2015年にはドラマ化もされ話題を呼んだ本作。幼なじみでありながら対照的な道を歩んだふたりが、ある“真実”を追い求め、警察組織の闇に立ち向かっていく姿を描いたサスペンスドラマだ。開幕に先駆け、囲み取材とゲネプロが報道陣に公開された。

ゲネプロ前の囲み取材には、刑事・龍崎イクオ役の室と、極道の若頭・段野竜哉役の仲田が出席。初日を目前にした心境を問われた室は、「今日本番なんですけど、さっきまでバタバタとしていまして…。落ち着きはないんですけど、(このゲネプロが)本番前にできるラスト稽古なので、いっぱいミスして終われたらいいな、と思います(笑)」と、冗談を交えつつ稽古の様子を明かし、会場を笑わせた。

仲田は「原作マンガが24巻。いろいろなシーン、いろいろなドラマを2時間弱の1本の舞台にするという、役者それぞれ兼ねる役もあり、分量が多い作品」と語り、人気マンガの舞台化に改めて気を引き締めた様子。「アクションもたくさんあるんですけど、まずはケガがないようしっかり確認して、最高の初日を迎えられたらと思います」と、真摯な姿勢でゲネプロへの意気込みを語った。すると室がすかさず「『いっぱいミスしたいと思います!』なんて言った俺が、めちゃくちゃアホなやつみたいやん(笑)!」とツッコミを入れ、再び笑いを誘う。仲田は「これは関係性! イクオと竜哉の関係性みたいな感じでしょ(笑)?」と返し、現場は和やかな空気に包まれた。

すでに相性の良さがにじむふたり。稽古を通じて関係性が深まったかを問われた室は、「ないです」と即答。まさかの返答に仲田がすかさず「うそつけや!」と鋭いツッコミを入れる。「あるでしょ! ありすぎるでしょ!」と声を張り上げて食い下がった。「例えばどんなですか?」と促す室に、仲田は自身の誕生日エピソードを明かす。「僕、先日誕生日だったんですよ。小道具でプレゼント袋があるんですけど、(室が)それをくれてパッと見たら、中身がなかったんですね。すごいイジられたんですけど(笑)、次の日、ちゃんとその袋の中にプレゼントを仕込んで、サプライズでお祝いしてくれるっていう関係値があります」。仲田が語り終えると、室は一点を見つめたまま微動だにせず。すかさず仲田が「お~いどこ見てんねん! そこ、人おらんやろ!」と再びツッコミを入れ、取材会場を笑いに包んだ。

満足げな笑顔を見せた室が語ったのは、初対面のエピソード。ここからふたりの息ぴったりな“漫才トーク”が始まった。
室「初対面はビジュアル撮影。お互い人見知りということで、気まずい時間が最初は流れてたんですけど(笑)。稽古に入ってから、ひろきんぐ(仲田)が、一方的にすっごい(言葉の)ボールを投げてくるんですよ! (会話の)キャッチボールって、投げる、取る、返す、取る、投げるじゃないですか。もう(仲田から)一方的に! だから俺、(グローブでボールをキャッチする仕草をしながら)受けて受けての繰り返し! 最後のほうは傍観で(笑)。すごい言葉数が飛んでくるんで、普段ツッコミなんですけど、ツッコむ隙も与えてくれなかった」
仲田「まあ、良い関係値なんじゃないですかぁ? そういう関係もあっていいでしょ!」
室「(仲田は)おもろいっす。変わってる」
仲田「褒めてます!?」
室「もちろん! 良い意味で変わってる。普段クールな感じに見えるけど、裏ではすごいお喋りだし、ひとりで喋ってるし」
仲田「『ひとりで喋ってる』って一言余計(笑)」
室「ひとりで喋るって、才能ないとなかなかできない!」
仲田「ひとりで喋ってるんじゃないの、(室に)投げてるの!」
ボケとツッコミの応酬に、会場は笑いの渦に包まれた。最後は仲田が「ふたりの関係としては良いんじゃないですかね。僕はすごい信頼してますけどね、僕は」とまとめ、室が「こっちが信頼してないみたいに言うのやめてくださいよ(笑)!」とツッコミを返して、息の合った“漫才”を締めくくった。

イクオと竜哉は同じ児童養護施設で育ち、同じ目的を果たすため、命を懸けて警察の闇に立ち向かう――まさに一蓮托生の関係。ふたりは、それぞれが演じる役柄についても言及した。
室が演じる龍崎イクオは、新宿第二警察署刑事課に所属する刑事。明るい性格の裏に深い傷を抱える、繊細で複雑な人物だ。そんなイクオを演じる上で意識しているのは「僕らしさ」だという。「原作のファンの方もいらっしゃるし、原作の描写も大切にしているんですけど、せっかく僕が演じさせていただくので、僕らしいイクオといいますか…半々くらい! イクオ50、室50のハイブリッドを目指してやってます」と笑顔で語り、「あ、でも“室龍太”は出さないですよ。気持ちの問題! ハーフ&ハーフでやらせてもらってます(笑)」と付け加えた。
仲田が演じる段野竜哉は、イクオと共に追う事件の情報を掴むため、裏社会に身を置いた頭脳派。現在は組の若頭として、イクオの検挙率アップを陰から支えている。冷静沈着でありながら、復讐のために燃える情熱をどう表現するか――その問いに、仲田は静かに言葉を選んだ。「ドラマのほうでは小栗旬さんが演じられていましたが、それとはまた違うというか、舞台でしかできない形で竜哉の人生を表現できたら」と、役に向き合う覚悟を語る。さらに「舞台の良さって、クールだなというところでも意外と感情を出して言ってみたら成立する…それがすごく良いところだと思うので、僕も自分らしくハートフルに演じて、目指せ、ドラマ超え(笑)! この気持ちで竜哉を演じられたらな、と思います」と意気込みを見せた。

続いて、お互いから見た役の共通点について。仲田は「俺からすると、(室は)すごくイクオっぽい」と即答した。「いつも元気なところや優しいところ、人としてすごく気遣いができるところがイクオっぽいなと思います」という言葉を受けた室も頷いて賛同する。「心に傷を負っているという部分以外は、結構似ていると思います。真っ直ぐなところとか。だから(演じる上で)
特に難しかったな〜っていうところはなかったですね」と役作りを振り返りつつ、「ただ、心に傷を負っている部分は…傷、負ったことないんで」とクールに語った。
一方、室から見た竜哉については「ひろきんぐも、スンとしている佇まいは段野やなと思いますけど、喋るとアホやなって思います(笑)」とニヤリ。「ちょっと! さっきは“変わってる”って言ってたのに(笑)」とツッコむ仲田に、「漫才始まってるから(笑)」(室)、「M-1だったら予選落ちだな(笑)」(仲田)、「1回戦負けでしょ(笑)」(室)と再びの応酬! テンポの良い掛け合いに、会場は笑いに包まれた。

最後に、公演を楽しみにしている観客に向けてメッセージを送ったふたり。仲田は「笑えて、ほろっと泣けて、たくさんの人間ドラマがある作品。迫力ある舞台ならではのアクションも盛りだくさんでございます。僕たちが15年かけた復讐のその先の景色を、ぜひ劇場で体感してもらえればと思います」と真摯に語る。
室は「原作はもちろん、ドラマ化もしている作品です。でもあまり比べずに“舞台「ウロボロスー警察ヲ裁クハ我ニアリー」”を楽しんでいただけたら。このカンパニーでしかできないものをお届けしますので、ぜひ劇場に足を運んで、それぞれの楽しみ方で楽しんでいただけたらいいな、と思います」と、舞台版への愛を込めて締めくくった。
物語は、徐々に明らかになる大きな闇と登場人物たちが背負う複雑な事情が交錯。原作が持つ魅力とエネルギーが見事に凝縮され、舞台ならではの臨場感で描かれていた。室は物語の“陽”を担うイクオを、持ち前の愛嬌、哀しみを滲ませた声音、怒りを宿した瞳など、身体全体で表現。仲田は極道であり“陰”の存在である竜哉を、色気ある佇まいと貫禄あるセリフ回しで熱演し、銃を構えるだけで場を支配する存在感を見せる。

室が囲み取材で「今回のアクション、めちゃくちゃカッコいいっすね。よりリアルというか、少年心が躍りました」と話した通り、アクションシーンも見どころのひとつ。軽やかな身のこなしやステップを見せる室、重量感あるパンチやキックを披露する仲田、そしてキャスト全員が入り乱れる銃撃戦が続く迫力は圧巻だ。物語終盤、イクオと竜哉が宿敵を前に共闘するシーンも大きな見どころと言えるだろう。

オープニングではマンガの絵が映し出され、原作へのリスペクトも随所に感じられる舞台「ウロボロスー警察ヲ裁クハ我ニアリー」。スピーディーな展開と、室&仲田の鬼気迫る演技を劇場で体感してほしい。


写真/清水貴志 文/豊泉彩乃
原作:神崎裕也「ウロボロス―警察ヲ裁クハ我ニアリ―」(新潮社バンチコミックス刊)
(C)舞台「ウロボロスー警察ヲ裁クハ我ニアリー」製作委員会

【インフォメーション】
タイトル:舞台「ウロボロスー警察ヲ裁クハ我ニアリー」
公演日程:2025年10月24日(金)~2025年11月3日(月・祝)
劇場:CBGKシブゲキ!!(〒150-0043 東京都渋谷区道玄坂2丁目29−5 渋谷プライム 6階)
料金:¥11,000(税込) ※全席指定 / 未就学児入場不可
チケットURL:https://event.tiget.net/ouroboros
原作:神崎裕也「ウロボロスー警察ヲ裁クハ我ニアリー」(新潮社バンチコミックス刊)
脚本・演出:林明寛
出演者:室龍太 仲田博喜 / 伊藤萌々香 / 伊原農 海老原雄一郎 和成 北川尚弥 黒田篤臣 潮見洸太 瀬下尚人 瀬戸啓太 幸村吉也 百合沙
アンサンブル出演:加藤沙彩 仙波好基 結城琳久也
主催:舞台「ウロボロスー警察ヲ裁クハ我ニアリー」製作委員会
公式HP: https://www.ouroboros-stage.com/

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