舞台『いつかアイツに会いに行く』が20251010日(金)から東京・紀伊國屋サザンシアター TAKASHIMAYAほかで開幕した。

10日に同劇場で行われたゲネプロ(総通し舞台稽古)を見た。これといった夢もない人生を送る荒川襷(演:今江大地)は、恋人にフラれた直後、脳腫瘍が見つかり、余命宣告を受けてしまう。親友の八千草則人(演:定本楓馬)に連れられ最後の旅行として、高校時代の同級生・新城真(演:陳内将)のもとへ。そこで、ひょんなことからハリウッドの名優・シルヴェスター=スタローンの半生を知った襷は、雷に打たれたようなショックを受けて「死ぬまでにスタローンに会いたい」と夢を抱く。だが、現地の特殊詐欺グループのトラブルに巻き込まれ、走って、走って、走りまくる。そしてラストには予想外の人物が襷の前に立ち塞がるーーというストーリー。

本作の原案・演出・音楽を担う小林顕作が「キテレツトンチンカンなロードムービーギャグハイパーミュージカル」と称するように、所々で奇想天外な展開が続くのだが、細かいところも気にならないぐらいに、ハイスピードかつハイテンションかつグローバルに(!)物語は展開していく。また、ラップ、バラード、ロック、歌謡曲など、劇中で歌われる曲のジャンルも広く、キャッチーなダンスや客席に降りた演出、ちょっとしたアドリブなど、観客を楽しませようとする仕掛けも多い。

主人公の襷を演じる今江大地はほぼ出ずっぱり。これといった夢もなかった襷が、余命宣告を受けたことで、本当の自分の夢を見つけていく過程を等身大に表現。ちょっと抜けているところも含めて、愛嬌があり、ついつい応援したくなる主人公だった。襷の親友である則人役の定本楓馬、同級生の真役の陣内将をはじめ、すべてのキャストのキャラクターの個性が際立つ役作り。冷静に考えれば「夢がない」「失恋」「余命宣告」など重いシチュエーションが描かれているはずなのだが、キャストの振り切った芝居と、中毒性のある音楽、そして手描き風の舞台パネルなどを合わせてみると、すべてがコメディ漫画の一コマのように見えてくるから面白い。

最後に、開幕を控えたキャストのコメントを紹介しよう。

 

 

今江大地 コメント

誰かに会いたい!その気持ちだけで人は動くことができる。僕はそう思っていて、この『いつかアイツに会いに行く』の襷を演じているとほんとうにそう感じます。もしかしたら皆さんにも、会いたい人はいるかな。今、思っているその"会いたい"を大切に行動してもいいんじゃないかな。またこの作品がそのきっかけになったら嬉しいです。なので、観に来てね。劇場でお待ちしております。

 

 

定本楓馬 コメント

いよいよ、舞台「いつかアイツに会いに行く」が開幕いたします。こんなに真剣に大人が汗かいて笑って大声出している舞台はそうありません。そんな姿がとても愛おしくなります。おかしいくらいまっすぐな人達のお話です。そんなぼくらを観て皆さんが少しでも元気をもらってくれたら嬉しいです。心の底から楽しみまくります。お楽しみに!

 

 

陳内将 コメント

いよいよ開幕いたします。舞台『いつかアイツに会いに行く』。今、会いたい人はいますか?「あの時、会っておけばよかった」。そんな後悔をしたことはありますか?僕たちは、あなたに会いたい。そして、あなたにも会いに来てほしい。会えなかった後悔は悲しみや寂しさを伴うけれど、きっと大丈夫。この舞台で過ごすひと時が、少しでもその気持ちを和らげてくれるはずです。一緒に笑い、一緒に今日を過ごし、明日また笑えるように。ぜひ、会いに来てください。

 

 

寺本莉緒 コメント

舞台「いつかアイツに会いに行く」いよいよ開幕いたします!一瞬一瞬を大切に、観てくださる皆さまに最高の時間をお届けできるよう、稽古で積み重ねてきた日々を胸に、舞台の上で全力を尽くせるよう努めます。笑って、泣いて、心が動くようなひとときを感じていただけたら嬉しいです。ぜひ劇場まで、私たちに会いに来てください!

 

 

守屋茜 コメント

ついに、こうして舞台の初日が幕を開けようとしています。日が増すごとにチームで作ってきた空気感がどんどん良くなっているので、千秋楽を迎える頃にはどうなっているんだろうと凄く楽しみです!!日替わりのネタや、コメディ要素満載なシーン、そしてそれぞれのキャストの表情、いつも沢山笑わされています。皆さんの出す舞台の雰囲気が本当に心地良くて、温かくて幸せな現場です。きっと誰かの心にグっとくる、素敵な台詞が出てきます。私自身もその言葉に背中を押されました。沢山笑って、心が豊かになれる、そんな最高な時間を皆さまにも過ごして欲しいです。

 

 

小柳心 コメント

「大人たちが一生懸命走って声出して汗かいて、何をつくったかっていうと・・・ええっと・・・まあそれは置いといて!ボーっと見てパーッと帰ってくれ!この作品を通る人生と通らない人生!私の人生は今後豊かに違いない!誰かが悩んで苦しんでそれでももがいて走る姿ってのは、愛おしいもんですなあ!きっと皆様も帰り道、鼻歌でも歌いながらちょっと小走りになっちゃうかもしれませんよ!キテレツトンチンカンなロードムービーギャグハイパーミュージカル、ここに開幕です!(汗をかくのは我々だけとは限りませんからご注意を)」

 

 

東京公演は1020日(月)まで。大阪公演は1025日(土)、COOL JAPAN PARK OSAKA TTホール。ぜひお見逃しなく!

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