DEZERTが、47都道府県ツアーの集大成となるワンマン公演『DEZERT 47 AREA ONEMAN TOUR GRAND FINAL「僕らの音楽について」』を、2026年3月20日に千葉・幕張メッセ イベントホールにて開催した。
47都道府県ツアーの集大成として位置づけられた本公演は、ダブルアンコールを含む約2時間40分にわたり繰り広げられたステージとなり、
ツアーを通して積み重ねてきた感情と音楽を凝縮。新曲「音楽」も初披露されるなど、DEZERTの現在地と未来を強く印象付ける一夜となった。同公演のオフィシャルレポートをお届けする。
2024年12月の日本武道館公演を経て、2025年6月よりスタートした47都道府県ツアー『“あなたに会いに行くツアー”』。
そのグランドファイナルとして選ばれた幕張メッセのステージに立った彼らが辿り着いた答えは、極めてシンプルなものだった。
──「音楽をやる」「バンドをやる」。
その本質を、全編を通して証明するライヴとなった。彼らが見せたステージを、ここに記録しておきたい。
真っ白なレーザーライトがステージへ差し込む中、「真宵のメロディー」でライヴは幕を開けた。
SORA(Dr)とSacchan(Ba)の刻むタイトなリズムに、Miyako(Gt)の浮遊感あふれるギターサウンドが加わり、どこまでも高く、遠くへと広がっていく。
そこに千秋(Vo)の気高くも憂いを帯びた歌声が重なり、DEZERTの音楽が幕張メッセに響き渡る。その神聖なる音と、4人の凛とした佇まいは、ロックバンドの美しさそのものを映し出していた。
「野暮なこと聞きますが、わざわざ幕張まで足を運んだってことはもう楽しむ準備できてるってことだろ? DEZERT始めます」と千秋が開幕宣言し、「「変身」」で一気にギアを上げる。
爆発音と共に光が飛び散り、ライトが激しく点滅する中、ヘヴィなサウンドを放つ。当然オーディエンスのボルテージも急上昇。席など関係ないとばかりに、ライヴハウスさながらの勢いで左右にモッシュ。
「胃潰瘍とルソーの錯覚」で頭を振らせたあとは、「汚い人生も綺麗な人生も、全部ここにぶつけてこい。愛してますよ、あなたの人生」という千秋の言葉から、「「無修正。」」へ。
すべての人の生きざまを肯定する言葉が、キャッチーなメロディーに乗せて届けられた。「明日暗い月が出たなら」が始まるとダウナーなムードに。
ステージは暗闇となり、小さな明かりに照らされるメンバーだけが微かに見える。虚無感と安心感が混ざり合った不思議な感覚に没入させられていくようだ。
曲のクライマックスでは、メンバーの頭上に一つだけ白いライトが浮かび上がり、まるで月明りのように4人を優しく照らしだしていた。
「(このツアーは)さまざまな思いがあって6月から始めて。もちろん喧嘩もしたり、ちょっとだけ仲直りして喧嘩もしたり。
武道館はみんなに助けられたから、今度は会いに行こう、感謝を述べよう、力をあげようって意気込んだんですが、やっぱり力をもらってばっかりですわ。
本当にありがとう。このツアーで13年分のありがとうを言いました。私生活も含めて。心の底からありがとう。
本当はもうあなたが存在してくれるだけでいいんですけど、生きていくのは難しくて、どうしても人間だから周りと比べてしまったりして。
このツアーで、みんなの泣いた顔や怒った顔も見て、吐息も感じる距離でライヴをしていたわけ。俺はその先に行けるのかって自問自答しましたよ。
キャパの大きさとかそんなことじゃなくて、バンドとして、人としての在り方。どこへ向かえばいいんやろうって。わかってる人はいないと思います。
だから一緒に目指そうってわけじゃないけど、その先に行きたいなって。風、吹いてくれへんかなって思ってる、けど……そんないろいろなジレンマを抱えた男たちの歌です」。
ツアーを通して強く感じた感謝の気持ちと、抱え続けている葛藤を、言葉を尽くして伝える千秋。
そんな思いを乗せて歌い始めたのは、「あの風の向こうへ」だった。SORAの打ち鳴らす力強いドラムは、止まってしまった身体をも前に突き動かしてくれるような優しさが宿っていた。
照明でステージが真っ赤に染まると、Sacchanはキーボードを狂ったように弾き、Miyakoは激情をそのまま音にしたような鋭いフレーズを投下。
千秋は轟音と狂気に満ちた空間を切り開くように、花道をまっすぐに歩いていき、センターステージでギターを荒々しく掻き鳴らす。
そして、SORAの生声での咆哮から「神経と重力」が叩きつけられる。4人の音はうねりを上げ、会場全体を怪物のごとく飲み込んでいく。
すさまじい音の嵐に観客は立ち尽くし、この鬼気迫る光景を目に焼き付けるべく、ステージをじっと見つめていた。
「My Unhappy Life」「遮光事実」とハードなバンドサウンドを投下し、ライヴのボルテージを上げていくと、
「はい!少女」からは広いステージやセンターステージを存分に使ってパフォーマンスを繰り広げる。
なお、このセンターステージはツアー初日の千葉LOOKのステージと同サイズであることが後のMCで明かされ、細部にまで行き届いたスタッフの愛情とこだわりが感じられる演出となっていた。
「肋骨少女」でセンターステージに出てきたSacchanが、たくさんのスポットライトを浴びながらベースソロを奏でると、オーディエンスは両手を広げてジャンプしながら大歓喜。
「Hopeless」ではMiyakoがセンターステージに登場し、片膝をついて華麗なギターソロをプレイ。
「生きてるか幕張! かかってこい!」と吠えた千秋は、見えない敵と戦っているかのように暴れ回り、最後には床に這いつくばって蠢きながら、<夢の先に一体何を望める?>と何度も繰り返し呟く。
張り詰めた空気のまま、少し長めの沈黙があり、SORAのタフなドラムがゆっくりとリズムを刻みだし、「Call of Rescue」へ。
絶望の底から救いを求める姿を生々しく表現したこのフェーズは、オーディエンスの記憶に、鮮烈に刻み込まれたことだろう。
「君の脊髄が踊る頃に」では、「あんたの首と、心と、身体、髪の毛、全てここに置いていけ! 本気で言ってんだぞ、おい!」と尖った言葉で煽る千秋。
要求通り、アリーナもスタンドも、この場にいるほとんど全員が髪を振り乱し、ステージから放たれるアグレッシブなサウンドに共鳴。幕張メッセが巨大な渦となり、熱狂的な一体感が生まれていた。
「今日はあなたの声を聴くために準備して、47都道府県ツアーもやってまいりました。ピンとこねーやつもいるだろ。今日、2026年3月20日にここを選んだあなたを全肯定させてくださいよ。
あなた一人だぞ。そこのお姉さん。そこのおじさん。あんた一人に言ってる。あんたがいくらこの世で肯定されてきたとしても、今日は俺が一番肯定してやる。
自分もずっと自分を認めきれなかった。今もそう。お前らを肯定してやるっていってもさ、全然自分を肯定しきれねぇんだよ。
毎日不安なんだよ、こんな自分嫌いなんだよ! でも今日は肯定させてくれ。ちっちゃい声でもいいです。いや、ダメです。声出せないやつは心で出してください。
絶対に今日出したその声が、あなたの人生の糧になると俺は信じて全身全霊懸けて、この4人で次の曲、今日、僕らの音楽を鳴らしたいと思います」。
ひとりひとりの顔を見つめ、語りかけた千秋。彼の誘導で、オーディエンスは「ウォーウォーウォー」と一斉に歌いだす。
その声が最高潮に達した瞬間、このライヴのタイトルの由来となった「僕等の夜について」が鳴り出した。DEZERTと“あなた”を繋げる特別な音楽だ。
客席を遠くまで見つめるメンバーの優しい表情も、頼もしく掲げられるたくさんの拳も、ステージを照らすあたたかな光も、
突き抜けるような心地よい音も、全部が尊く愛おしいと思えるような瞬間が、確かにここにあった。
「14年間、この手で夢というものを握って、メンバーにも強要して、時には来てくれた誰かを傷つけて。でも夢があるんだってずっと言ってきた。
手を開いたときに夢はあったよ。でも強く握りすぎていた。粉々になっちまった。そう思ったとき、6月から始まったこと、いやその前のことも、全部夢だったんじゃないかって思うときがあって。
でも考えた。そんな中、俺はいま何がしたいか。何を目指したいか。答えは簡単でした。いくら夢から覚めても、俺はバンドがしたいです! あなたと見たい景色があるから、このバンドで!」
そう勢いよく叫んだ千秋は、「ラスト、DEZERT始めます」と改めて宣言し、「「火花」」へ。
彼らの情熱を表すような炎が噴き出す中、<泣きそうでも苦しくても進まなきゃいけない あなたと見たい未来があるから>と力強く伝える4人。
ここから新たなDEZERTの旅が始まる。そんな予感と大きな感動を残し、本編は幕を下ろした。
アンコールでは、MiyakoとSacchanが「ステージに来るまでの階段が辛い」「足腰に来る」というなんとも現実的な話や、SORAが浮かれたカップルにつられて夢の国方面に行きそうになった話、
千秋が幕張といえばGLAYの伝説の20万人ライヴを思い出すという話など、リラックスしたトークで盛り上がる場面も。
「Stranger」をしっとりと聴かせたあとは、「「遺書。」」で再びボルテージ全開。
シンガロングパートでは、広大な会場に合唱団のような美しいハーモニーが響きわたり、千秋も「最高です!」と満足顔を見せる。
畳みかけるように投下された「「秘密」」で熱狂はさらに加速。オーディエンスが全員しゃがんでヘッドバンギングをする直前に、
千秋が「多分今この瞬間、俺たちが世界で一番かっこいい」と早口に、しかし誇らしげに言い放っていたのも印象的だった。
「もう頑張れんとき、音楽聴けんとき、それでもDEZERTの音楽を聴こうって思えるような音楽をしたいんで。よろしくな。生きててくれよ、絶対俺の方が早く死にたいから。
これは願いじゃなくて、覚悟でもなんでもない。ただ今日ここに集まってくれたあなたと僕らの曲です」。
そんな千秋の言葉と共に届けられたのは、「The Heart Tree」。2024年にリリースされたメジャー1stアルバムの表題曲だ。
リリース以来ずっと伝え続けてきた、<この場所があなたの居場所になりますように>というメッセージを、彼らはツアーの終着点に改めて刻み込んだ。
余韻に浸る間もなく、「ラストです!!」という千秋の雄叫びと共に「「君の子宮を触る」」が繰り出されると、オーディエンスは再び暴れ狂う。
千秋がセンターステージへ向かうと、Sacchanも合流。さらに、メインステージにいるMiyakoへ大きく手を振り呼び寄せる。
3人が集結したセンターステージで、千秋が「SORAくんも! 心はここにいるから!」と叫ぶ姿は、バンドで結ばれた4人の絆を象徴する光景だった。
この日、DEZERT初のWアンコールも実施され、ラフなTシャツから黒いスーツに着替えて登場したメンバー。千秋は改めて今の思いを言葉にした。
「何を目指したいかってなったときに、俺は東京ドームって言った。でもほんまに目指してんねんけど、なんかちゃうなって。
そこでツアーが始まって、千葉LOOKでやったとき、(会場の)大きさとかじゃなくて、幸せになりたくて、バンドやりたくてやってんのに、囚われすぎてんじゃないかなって思った。
毎日いいライヴして、みんなのハッピーな顔を見ても、やっぱり不安の方が勝つ。俺はなにをもっとできるんだろう。
でかいところに連れていくとかよりも、すぐ出たのは“バンド”っていう3文字。バンド好きだもんな。俺も大好き。
大好きな場所を、大好きな仲間……仲間って言っちゃった。キャラじゃねぇな。でも本心で仲間だと思ってんだよ。
仲間と上目指して、こけたり、ミスったりして、そこに音楽が通じてて。最終的には、別に俺らが(池袋)Blackholeに戻ってもいいんだ。
で、死ぬ間際に余裕があったら、『DEZERTと出会ってよかったな、私の人生特別だったな』って思ってもらえたら、なんて素晴らしいんだって。やっと腑に落ちました。
上目指しましょうよ。やれることやりましょう。でも大事なのは音楽です。この音楽が消えてしまえば、ここに来たことも意味がないんだよ。病気で消えてしまう人もいるし、失ってきた人も多いでしょう。
それを俺らが復活させてあげることはできないです。かといって、今日のライヴだけで明日から一年間ポジティブに生きるのも無理だよね。
またすぐ闇は来るよ。でもその闇の中で、『DEZERTがいてくれてよかった』『DEZERTの音楽がもう一回聴きたいな』ってちょっとでも思って、
仕事がんばって、子育てがんばって、学校がんばって、生きるのがんばってくれれば、僕は本望です。
覚悟なんて言葉はもう使いません。音楽やります。バンドやります。これからもDEZERT、よろしくお願いします」。
そして、Ken(L'Arc-en-Ciel)をプロデューサーに迎えて制作した新曲「「音楽」」で、ラストを飾る。
<僕以上に僕の声を愛してくれたから あなたは特別だと証明したい><消えないでいて 僕たちの音よ 忘れないでね 僕がいたこと>。
DEZERTを選んだ全ての人へのラブソングとも受け取れる真っすぐな思いは、この夜を共に過ごした全ての人の胸に届いたことだろう。盛大な拍手と客席で涙するファンの姿が、それを証明していた。
約9か月の長い期間を経て完遂した、47都道府県ツアー。そして見つけた、「バンドがしたい」という一つの答え。
決して綺麗ごとでごまかさないDEZERTだからこそ、その言葉には確かな重みがあった。
早速、コンセプトライヴ『study』の東名阪ツアー、そして7年振りのホールツアーの開催も発表され、DEZERTの2026年はまだまだ怒涛の動きを見せるようだ。
その歩みがどこへ向かおうとも、DEZERTの音楽はあなたの味方でいてくれる。
たとえ闇の中にいたとしても、たった一人の特別なあなたへの光となって届くはずだ。
ライター:南 明歩
DEZERT 47 AREA ONEMAN TOUR GRAND FINAL『僕らの音楽について』
2026年3月20日 幕張メッセ 幕張イベントホール
SETLIST
- 真宵のメロディー
- 「変身」
- 胃潰瘍とルソーの錯覚
- 「無修正。」
- 明日暗い月が出たなら
- あの風の向こうへ
- 神経と重力
- My Unhappy Life
- 遮光事実
- はい!少女
- 肋骨少女
- Hopeless
- Call Of Rescue
- 君の脊髄が踊る頃に
- 僕等の夜について
- 「火花」
<アンコール>
- Stranger
- 「遺書。」
- 「秘密」
- The Heart Tree
- 「君の子宮を触る」
<ダブルアンコール>
「音楽」
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