BLUE ENCOUNTの結成20周年ツアー「20th anniversary tour 2024-2025“to B.E.continued”」が2月8日、東京ガーデンシアターでファイナルを迎えた。台北、上海、そして国内11カ所を回った今回のツアーは、これまでリリースしてきたインディーズ時代から最新のシングルまで、約140曲を披露するライブとなる。そのツアー集大成ということもあり、S Eとオープニング映像がスタートすると同時に会場内の興奮と熱気とがぐんと上昇、1曲目となった「LAST HERO」の冒頭“1、2、1、2、3、オーイェー!”という田邊駿一(Vo/G)の叫びで、それまでステージにかかっていた紗幕が落ちメンバーの姿があらわになると観客は大きな歓声をあげ、早くもシンガロングが巻き起こる。「ついてこいよ、東京!」という田辺の声から「DAY×DAY」、さらに「ワンダーラスト」と序盤からパワフルでスピード感のある曲を連投する。重厚感たっぷりのバンド・アンサンブルと躍動感のあるメンバーそれぞれのプレイで、放たれるサウンドはより鮮やかさを増す。「ワンダーラスト」のエンディングでは、ドラム・高村佳秀のもとへと田邊、江口雄也(G)、辻村勇太(B)が集まって、顔を見合わせるようにして締めくくった。自然と笑顔となって音を重ねている4人の姿が眩しい。その4人の楽しさや高揚感が、客席へと広がっていく感覚だ。
「嬉しい景色が広がってます」とアリーナからバルコニー席までを埋め尽くす観客に視線を走らせた田邊は改めて、「BLUE ENCOUNT 20th anniversary tour 2024-2025“to B.E.continued”、東京ガーデンシアターへようこそ。全力でいくから。あなたも全力できてください。最後までよろしく」と挨拶をし、続く「有罪布告」へと突入する。高音のギターリフと、ドラムとベースによるアグレッシヴなビート、サウンドの鋭さを増す照明に手拍子が起こり、続く「HEART」では江口のギターフレーズと呼応するように勢いよくスモークが噴射され、続く「JO IN」とともに歓声やシンガロングを巻き起こした。「JOIN」演奏後、「今の曲知ってる人いる?」と辻村が言うと、客席からは手を上げたり、「知ってる!」という声が返ってくる。この「JOIN」は2013年のインディーズ時代にCDリリースした AIR SWELL×BLUE ENCOUNT×MY FIRST STORY×SWANKY DANKの4バンドによるスプリット・アルバム『BONEDS』に収録された、未配信曲。こうしたレアな曲が聴けるのも、今回の20周年ツアーならではだ。また、そこに続いたファンキーなミクスチャーロック「D.N.K」では、田邊が間奏パート前で曲を止め、ここ数年このパートはソロ繋ぎなどライブ・アレンジでやっているが、オリジナル音源では自分が間奏前の(ちょっとヘンテコな)ギターフレーズを弾いているので、今日はここで10年ぶりくらいに披露したいと宣言。自らハードルを上げ、スポットライトを浴び、メンバーも観客も固唾を飲んで見守るなかでギターを披露し、そこから怒涛のアンサンブルへと突入する遊び心も見せる。コアなファンも、またアニメの曲などを通じて知り最近になってライブに足を運んでいるファンも置いていかない、20周年ライブだ。さらにこの中盤では田邊がギターを置きハンドマイクとなって、アニメ銀魂.のオープニング曲となった「VS」で盛り上げ、江口作詞・作曲による爽快なパンクナンバー「The Chicken Song」でコールを巻き起こし、田邊の半生とBLUE ENCOUNTのドキュメンタリーと言える「city」では一転して会場をエモーショナルなトーンに染めていった。田邊はMCで「この曲(「city」)を歌うと当時を思い出して胸が苦しくなることもある」と語る。バンド結成から12年、2017年に発表された「city」。順風満帆とはいかなかった時期を経て《信じた夢の先で あなたに出会えた》と観客に語りかけるように歌うこの曲は、節目のタイミングにふさわしい1曲だ。
BLUE ENCOUNTには激しい曲ばかりでなくバラードもあるということで、ここからの3曲は、観客に着席してもらいじっくりとブルエンのバラードを味わう時間となった。最初の1曲は、2023年にシングル・リリースして以来、ライブでは初披露となる「DESTINY」。続いて「ユメミグサ」や2013年のミニ・アルバム『NOISY SLUGGER』収録の「YOU」と新旧のバラード曲が並んだ。壮大でゴージャスなサウンドが映える曲から、繊細な演奏のディテールで聴かせる曲、生々しいブレスが響くアカペラで会場を飲み込んでいく曲など、タッチもさまざまなバラードが味わい深い。
後半へと向かうMCでは、江口、辻村、高村の3人が中心となってトークを展開。この20年のなかでバンドにとって大きなトピックは、2023年春から辻村がアメリカへと拠点を移したこと。以降、サポートベーシストを立ててライブを行ってきたが、今回の20周年ツアーは辻村が帰国し4人で回っている。改めて「ただいま!」と観客に挨拶をした辻村は、現在語学学校に通いながら現地のミュージシャンとセッションをしていると、ニューヨークでの生活を語った。また江口は、今回の登場SEは初めて辻村と高村が共作で作ったものだと明かし、高村は家で作っていたものがこうした大きな会場で響くことに緊張したという。曲を作ったり音を合わせたりする楽しさを語らうメンバーの姿には、初々しさとでもいうか、いい具合に肩の力が抜けた柔らかな空気を感じる。アンサンブルにもそのいい空気感、信頼感がより表れていて、サウンドの包容力を増している。コロナ禍があったりと変化に富んだ近年だったが、出来事すべてがバンドの滋養になっていることが感じられる。辻村の渡米を発表した際は賛否両論あり、ブルエンは終わったなという声も聞かれたと田邊は語った。しかしこうして2025年も変わることなく4人で、BLUE ENCOUNTとして、いろんな景色を見ていくことを改めて力強く宣言した。そこから続いた後半戦、1曲目となった「chang[e]」の《胸張って吼えろ 『これが僕だ』って》のフレーズはまさに今の、堂々たる4人の姿そのものの叫びとなった。
後半戦は怒涛の展開に。ずっしりとヘヴィなキックと、興奮のメーターを振り切っていくようなギターフレーズによる「バッドパラドックス」で会場を揺るがすような観客一体となったジャンプを巻き起こす。曲中、アグレッシヴなプレイで魅せる辻村の肩を引き寄せた田邊は、「帰ってきてくれてありがとう。聞いたところによると、今年1年(日本に)いるらしいな。よろしく!」と言うと、歓喜に沸く観客のジャンプはさらに高くなっていった。スピードも興奮も加速していく「Survivor」から、細やかなタッチのギターに観客のコブシが上がり、シンガロングが起きる「ポラリス」が続く。大きく手をあげ、懸命に歌う観客の姿に、想像以上の景色が広がっていると田邊は感謝を述べた。そしてこの20年を思い返すかのように、今の思いを語った。人は弱いままでもいい、弱いからこそこうして出会えたメンバーがいて、ひとりでは弱くても同じ弱さを持った者同士が一緒になることで立ち向かえる強さがあるという。そんなMCに続いた「ANSWER」ではスクリーンに歌詞が映し出され、語るような優しさで歌われた。《世界をもっと抱きしめてよ 強くなるには弱さを知ろう》。その力ある言葉を観客も口ずさむ。ともに同じ時を分かち合えている喜びをバーストするシンガロングをより大きくしたのは、ラストの「gifted」。多幸感たっぷりに観客が声を上げるシンガロングに金テープが降り注ぎ、照明が明るくなった会場内で、ステージ上の4人も観客もこの日いちばんの笑顔で声を張り上げる。20周年のアニバーサリーツアーを締めくくる、最高の歌声が会場に響きわたった。
アンコールでは、高村によるテンションは高いが全然商品を紹介してくれない物販紹介というお馴染みのコーナーに続いて、2月5日に5年ぶりとなる5thアルバム『Alliance of Quintetto』がリリースとなったこと、そしてアルバムを携えたツアー「BLUE ENCOUNT tour 2025“Meet the Quintetto”」がスタートすることがアナウンスされた。5月から12月まで続き、全国25カ所を回るこのツアーは、本編でも触れられていたが辻村も交え4人で回るツアーとなる。アンコールで「Bloody Liar」、「POISON」、そしてこの日のラストにふさわしい曲として《確かに僕たちはあの場所にいた》と歌う「はじまり」を披露し、ツアーの終わりとその先に広がるそれぞれの新しい明日とをつないでいった。今回の20周年ツアーで全曲披露をしたことで、なんでもできる“無敵のバンドになった”と田邊は語った。そのたしかな手応えをサウンドに、歌に宿した、温かで力強いBLUE ENCOUNTを感じたツアー・ファイナルとなった。
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