“BEYOOOOONDS”と“SYMPHONIC”の融合から生まれた「BEYOOOOOPHONIC」だが、そのタイトル通り、BEYOOOOONDSとオーケストラが響かせる新しい音楽の世界で会場を訪れた2000人のファンを魅了した。

ポップスとオーケストラを融合したコンサートとして昨年の夏に姫路で行われた「HimeFes2022」以来、2回目となるオーケストラとの共演。1回目の公演でオーケストラ、指揮者ともにBEYOOOOONDSとオーケストラの親和性が非常に高いと感じ、今回の企画が実現したという。さらに今回のコンサートでは新たにシンフォニック・アレンジをしたものだけでなく、シークエンスデータを使ってドラムの音などを合わせ、より完成度が高いものに仕上がった。

ステージにパシフィックフィルハーモニアポップス東京の団員が登場すると会場からは大きな拍手が。しかし楽器のチューニングが始まると一転、会場は静寂に包まれふだんのライブとは異なる雰囲気に。その後、指揮者の藤原いくろうとBEYOOOOONDSのメンバーが登場すると、再び大きな拍手が。オーケストラとの共演ということで、メンバーは燕尾服をベースにしたフォーマルな装いで登場。それぞれのメンバーカラーがアクセントとなっており、かっこよさの中にかわいらしさも感じられる衣装も印象的だった。

ライブは1stアルバムの1曲目に収録されている「OOOOOVERTURE」でスタート。壮大な世界観のインストゥルメンタルとオーケストラの演奏が相まって、同曲の持つ可能性をさらに感じさせる仕上がりに。ここで、メンバーによる楽器紹介も行われた。

曲終わりにはメンバーがステージ前に集まり「今夜は、このメンバーでシンフォニーをお届けしたい!」とファンに挨拶。続いて4月12日に発売されたばかりの最新シングル「求めよ…運命の旅人算」、3rdシングルの「ハムカツ黙示録」をパフォーマンス。鍵盤ハーモニカや鉄琴などといったオモチャっぽい音が散りばめられている「求めよ…運命の旅人算」、そして“はぁ...ムカつく!”と“ハムカツ...食う”などといった言葉遊びが印象的な「ハムカツ黙示録」といったBEYOOOOONDSらしさ全開のユニークな楽曲も、オーケストラとの共演でいつもと違った装いに。また、「ハムカツ黙示録」の冒頭では、指揮者が指揮棒ではなく、ハムカツを持つという遊び心のある演出で会場の笑いを誘う一幕も。

CHICA#TETSU
雨ノ森 川海
SeasoningS

MCを経てBEYOOOOONDS各ユニットのターンへ。CHICA#TETSU「待ち合わせはJR梅田駅で」、雨ノ森 川海「循環」、SeasoningS「Get Back!ビニール傘の大冒険」を披露。それぞれのユニットの持つ魅力が凝縮されたパフォーマンスが続く。

最後はメンバー全員で、前田こころ演じる眼鏡をかけた男の子をめぐる寸劇が繰り広げられるメジャーデビューシングル「眼鏡の男の子」を演じ上げる。そして、第一部の最後は「今回のBEYOOOOOPHONICのために作った新曲を披露します。BEYOOOOONDSとオーケストラでしか披露できないでっかい宇宙をご覧あれ!」と、新曲「恋する銀河」をサプライズで披露した。

小林萌花

第二部は、メンバーによる指揮者体験でスタート。指揮者の藤原いくろうの指名で、西田汐里、島倉りか、平井美葉がブラームス作の「ハンガリー舞曲 第5番」の指揮に挑戦。西田汐里は「手が震えた」というコメントするが、3人とも笑顔を見せる。藤原いくろうが「ブラボー!次の曲からは僕の代わりに指揮をしてほしい」と絶賛。また、来場者には光る指揮棒が配られており、会場を訪れたファンも一緒になって指揮者体験を楽しんでいた。

ここから再びライブコーナーへ。4月12日発売の新曲「夢さえ描けない夜空には」と、19世紀を代表する作曲家の一人であるショパンの「英雄ポロネーズ」を軸にした「英雄~笑って!ショパン先輩~」を、この春音楽大学を卒業したばかりの小林萌花のピアノとオーケストラが夢の共演。観客席のファンも真剣な眼差しでステージに見入っていた。

ここからはBEYOOOOONDSらしさ全開のラストスパート。きのこ派とたけのこ派の壮絶な争いを歌う「きのこたけのこ大戦記」を披露した後、高瀬くるみが「指揮棒をカスタネットに変えよう」と会場のファンに呼びかける。すると、ファンは一斉に持参したカスタネットを準備。楽曲に合わせてファンがカスタネットを叩くライブの定番曲「涙のカスタネット」へ。BEYOOOOONDSメンバー、オーケストラ、そしてファンによるカスタネットの演奏という今夜だけの特別なセッションに会場のボルテージが最高潮を迎えていた。今回はオーケストラ演奏に堪えうる音響設備を備えた会場のため、ファンの叩くカスタネットも通常のライブ以上に響き渡っていたのが印象的だった。

その勢いのまま、「アツイ!」でたたみかける。パフォーマンス後に里吉うたのは「定番の盛り上がり曲だけど、オーケストラとやると雰囲気が全然違う。“アツイ!”の厚みもBEYOOOOONDSの可能性も広げてくれた」とコメント。最後は「伸びしろ.Beyond the World.」を歌い上げ、本編が終了。その後アンコールを経て、メンバーは再びステージ上へ。

山﨑夢羽は「オーケストラとの共演は自分がプリンセスになったような気分になれる。オーケストラの演奏でパフォーマンスすることはあまりなかったので、自慢していきたい!」、岡村美波は「こんなBEYOOOOONDSはなかなか見られない。いつものコンサート会場とは音の反響も違うので、反響込みでいつもと違BEYOOOOONDSを楽しんでいただけたと思います!」、清野桃々姫は「(藤原)いくろうさんの優しい指揮からオーケストラのみなさんも優しい演奏が伝わって、私たちにも届いた。本当に優しい世界だなって、このステージを通じて改めて思いました」、島倉りかは「楽しすぎて終わって欲しくない。光る指揮棒をふる皆さんが楽しそうでした! オーケストラの演奏はBEYOOOOONDSの楽曲をより素晴らしものにしてくれる。BEYOOOOONDSで良かったなと改めて思いました」、
高瀬くるみは「初めての経験がたくさんあるコンサートでした。自分たちのこれからにつながる公演になったと思います」と、大表メンバーがそれぞれに感想を語っていた。

最後に「オンリーロンリー」を歌い、BEYOOOOONDSのライブ感にあふれた楽しさと、オーケストラの演奏による楽しさが見事に融合した、メンバー12人とオーケストラメンバーでしか紡ぎ出すことのできない最高のライブは終了となった。

デビュー時に「他のハロー!プロジェクトのグループとは違う存在になりたい」「今までにないグループを目指したい」とメンバーが声をそろえてきたBEYOOOOONDS。その言葉通り、東京芸術劇場コンサートホールという日本を代表する芸術文化施設のひとつで、オーケストラと共演する単独公演という新しい1ページを刻んだ。

5月15日は2度目となる単独での日本武道館公演『BEYOOOOONDS CONCERT TOUR「NEO BEYO at BUDOOOOOKAN!!!!!!!!!!!!」』が控えている彼女たち。既成の枠組を超えて、自由に未来へ大きく“ビヨーン”と伸びてほしいというグループ名に違わぬさらなる躍進を期待させる公演だった。

(おわり)

LIVE INFO高瀬くるみ、小林萌花ショートインタビュー

――公演を迎えた心境を教えてください。

高瀬くるみ「前回のHimeFes2022の時に、私たちの楽曲のテーマや音などに改めて気が付くことができました。オーケストラとの親和性みたいなものをすごく感じたんです。実際に今回の音源をいただいて、その壮大さにびっくりしたし、これをたくさんのお客様に見てもらえることが本当に嬉しい! なにより、BEYOOOOONDS、パシフィックフィルハーモニアポップス東京、指揮者の藤原いくろうさんたちと一緒にひとつの大きいチームができたみたいな感覚がしているので素敵な公演になると思います」

小林萌花「「HimeFes2022」でオーケストラと共演させていただいたときに、こういったコンサートを実現したいと強く思ったので、今回、形になってすごく嬉しいです。ファンの皆さんに、私がずっと好きだったクラシック音楽というものをBEYOOOOONDSと融合した形でお届けできて幸せです」


――注目して欲しい点は?

高瀬くるみ「オーケストラアレンジで音の種類とかも変わっているので、そこを楽しんでもらいたい。私の所属する雨ノ森 川海が披露する「循環」は、全く踊らないで歌とオーケストラの音で勝負しようみたいな挑戦的な試みをしています。自分的にもドキドキしているんですけど、それを乗り越えたら、さらに成長した私たちになれると思います!」

小林萌花「ブラームス作の「ハンガリー舞曲 第5番」の指揮体験コーナーをリハーサルでやった時に、これがクラシックだ!って思ったんです。私たちの曲を編曲してオーケストラバージョンでやると、やっぱり映画音楽みたいな、クラシックというよりはポップなオーケストラ音楽みたいな感じになるので。またBEYOOOOONDSの曲のポップスっぽい感じのものと、指揮コーナーではクラシックの音の違いや、揺れの違いを楽しんでもらいたいですね」

SET LIST「BEYOOOOOPHONIC」――2023年5月2日(火)@東京芸術劇場コンサートホール

M1. OOOOOVERTURE
M2. 求めよ…運命の旅人算
M3. ハムカツ黙示録
M4. 待ち合わせはJR梅田駅で(CHICA#TETSU)
M5. 循環(雨ノ森 川海)
M6. Get Back!ビニール傘の大冒険(SeasoningS)
M7. 眼鏡の男の子
M8. 恋する銀河
M9. 夢さえ描けない夜空には
M10. 英雄~笑って!ショパン先輩~
M11. きのこたけのこ大戦記
M12. 涙のカスタネット
M13. アツイ!
M14. 伸びしろ~Beyond the World~
M15. オンリーロンリー

LIVE INFO

Hello! Project 2023 Spring CITY CIRCUIT
BEYOOOOONDS CONCERT TOUR「NEO BEYO」

5月4日(木)NHK大阪ホール
5月5日(金)岡山市民会館
5月7日(日) 日本特殊陶業市民会館 ビレッジホール (愛知)
5月20日(土)下関市民会館 大ホール
5月27日(土)トークネットホール仙台(仙台市民会館)大ホール

BEYOOOOONDS CONCERT TOUR「NEO BEYO at BUDOOOOOKAN!!!!!!!!!!!!」
5月15日(月)日本武道館(東京)

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