日本ポップス界の巨人・大滝詠一(1948 - 2013)によるレーベル「ナイアガラレコード設立から50周年を迎え、東京都神保町・NewGalleryでは、その歴史に新たな一歩を加える特別企画展『Eiichi Ohtaki’s NIAGARA 50th Odyssey』を開催中。会期は7月11日から8月3日まで。

同展では、“もしも今、東京・神保町に「ナイアガラレコードの事務所があったら…”というコンセプトをもとに、蒐集家としても知られる大滝が集めた愛蔵品や、レーベルの印象的なアートワークを多数展示する。大滝の美意識がにじむ空間は、時代を越えた「ナイアガラの世界を体感できる構成となっている。

キービジュアルはコラージュ・アーティストの河村康輔が担当。大滝作品のジャケットをコラージュし、異国感と郷愁を漂わせながらもモダンなビジュアルの一枚となっている。自身も熱心な「ナイアガラー」である河村は、「もし大滝さんが見ていたとしてもOKと言ってもらえるように」と、レーベルの歴史に敬意を込めて仕上げたという。

注目の展示のひとつが、没後に発表されたアルバム作品『DEBUT AGAIN』のジャケットを再現したコーナー。事務所の社長机に置かれた小物は、生粋のナイアガラーでもあるイラストレーター・菅原芳人と、造形作家のNaOが制作。タイプライターや黒田武士人形は同じ型を特定して取り寄せ、現物が残っていないアイテムも、写真を手がかりに一から形に起こしたそう。
また、菅原が手掛けたフィクション・ポスター『ナイアガラ夏まつりコンサート’85』も必見。「音頭モノ」の集大成としてのコンサートが開催されていたらという架空の設定と、その「架空のライブ盤の宣材ポスター」というテーマの本作は、隅々にオマージュやパロディを散りばめただけでなく、その大滝のライブコンサートやプロダクトを考証した「フィクション」として、現実に肉薄するものとなっている。

ほかにも、福生スタジオにあった実物のジュークボックスや、初公開写真を含む大滝のレコード・映画コレクションなどが展示。大滝のミュージシャンとしての側面だけでなく、文化全般をこよなく愛し、アーカイブした知の巨人としての側面も感じられる。

会場では、河村康輔やステレオテニスの手掛けるデザインTeeをはじめとしたアパレルアイテムやハンカチーフ、アクリルキーホルダー/スタンド、ロゴステッカーなどファン必見の本展限定グッズを展開。

そのほか、ナイアガラ盆踊りグッズや大滝詠一関連書籍に加え、会場限定「福生ストラット」切符つきとなるナイアガラとのコラボ版の福生銘菓「ふくうむ」、妄想シングル盤「朝からゴキゲン」、わたせせいぞうの版画およびグッズなどナイアガラに関連する多数グッズも取り扱い。あわせて、7月7日にリリースしたばかりの50周年記念リミックス盤『Eiichi Ohtaki’s NIAGARA 50th Odyssey Remix EP』を販売中。参加アーティストはCornelius、スチャダラパー、Night Tempo、原口沙輔、千葉大樹(from Kroi)、Mega Shinnosukeと、大滝以後の日本ポップスの更新者たちが名を連ねる。
貴重な資料と新たな作品が交わり、2025年に立ち上がる「ナイアガラレコード」の風景。そこには、歴史をたぐり寄せながら自らの音楽を拓いた大滝詠一の精神が、今も息づいているだろう。

特別企画展『Eiichi Ohtaki’s NIAGARA 50th Odyssey』概要


タイトル:Eiichi Ohtaki’s NIAGARA 50th Odyssey

会期:2025/7/11(金) - 2025/8/3(日)*月曜休廊(7月21日を除く)

開館時間:12:00 - 20:00

入場無料

会場:New Gallery | 東京都千代田区神田神保町1-28-1 mirio神保町 1階


主催:Niagara Records / New Gallery

1973年のはっぴいえんど解散後、自身のレーベル“Niagara”を1975年に創設。シュガー・ベイブ等のプロデュースワークに加え、自身も多彩な作品を発表し続け、現在のジャパニーズ・ポップスの礎を築く。1981年発表の歴史的名盤『A LONG VACATION』は累計出荷300万枚を記録。世界的なシティポップ・ムーブメントを代表する作品として海外からの評価も非常に高い。2025年に「大滝詠一ナイアガラレコード50周年を迎える。

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