<PR>
「ジュルナルクボッチのファッショントークサロン」by SMART USEN



[section heading="2月7日"]

NY(ニューヨーク)到着!1月初旬に上海に行ったので、入国が面倒くさいかなと思ったら、すんなりスルリと入れました。ラゲッジをピックしてホテルへ。午前中なので大丈夫かなと思っていたけれど、こちらも部屋の準備オーケーで即チェックインできてラッキー。今回のNYはなかなか幸先いいぞ!

今日見るショーは19時の「ラグ&ボーン」だけなので余裕のスケジュール。まずは、昼食にミッドタウンのエグゼクティブがランチしているシーフードレストランでサーモンバーガー。2014年まではミシュランの一つ星だったみたい。NYコレクションツアーへの景気づけに豪勢にいきました。

昼食後はバーニーズニューヨークの旗艦店へ。閉店セールを行っていると聞いてバーニーズの最後を見届けなきゃと行ってみると、いつもは凝ったディスプレイをしているウインドーに商店街のセールポスターみたいなものが貼られていて、下には古びたラグの展示。もう退店していて、代わりにカーペット屋が入っているのかと思っちゃったけど、然に非ず、たぶん相当古いラグの在庫を引っ張り出してきて叩き売っているみたい。閉店セールももう終盤ってこともあるだろうけど店内の荒み方が酷い。目ぼしいものは売り尽くされて、後は「やけのやんぱち、もってけドロボー」状態なんだろうけど、荒れた店内とチープなセールポップ、場所によっては黄色い立ち入り禁止のテープが張り巡らされていて、これは何か現代アートのインスタレーションなんじゃないかと思えるほど。NYに行くといつもチェックして勉強させてもらっていたあのバーニーズがこんなになっちゃうなんてとてもショック。幸先良しと思っていた気分が、一気にドヨ~ンとしちゃったよ。

シーフードレストランでサーモンバーガー

マディソンアベニューにあるバーニーズニューヨーク旗艦店の現状。閉店セールの終盤ということもあり荒んだ状況



気を取り直して「ラグ&ボーン」のショーへ。ショー会場はマンハッタンのずいぶん下、ハドソン川沿い。NYコレクションって、ショー会場がだいたいマンハッタンの西側に集中していて、ショー巡りはミッドタウンからロウアーマンハッタンのカナルストリート辺りを行ったり来たりって感じなんですが「ラグ&ボーン」は更に下の川沿い、スタジアム風に客席が組み立てられたかなり大きめの会場でした。ちょっと外れた場所だけど、これくらいの大きさは川沿いまで来ないとないですからね。肝心のショーですが、ウィメンズが良かったな。ポンチョや大判のストール、スエードのロングブーツと随所に見られるノマドなテイストが新鮮!ガウンのように長いカーディガン、ロングのテーラードなどちょっと男前のルックもイカしていました。初日から満足度の高いコレクションが見られて、昼間のドヨ~ンも吹き飛んだ。晩飯は焼き鳥をサクッと食べて早々にホテルに退散でおやすみなさい。

「ラグ&ボーン」2020-21年秋冬プレタポルテコレクション



[section heading="2月8日"]

2日目!今日は朝10時から昼14時まで5本立て続け。タイトなスケジュールで会場間の移動が大変、ランチも食べられない(涙)。ハードだけど地下鉄と歩きで全行程を乗り切るゼ!

1本目のショーはマレーシア人のデザイナー、ハン・チョンの「セルフ・ポートレイト」。彼はロンドンのセントマーチンズ卒業。2016年からNYコレクションに出ているみたいだけど初見でした。基本エレガントですがシャープさと甘い感じのバランスが良かった。バストの部分にリボンをあしらったシリーズが可愛い!これは参考にするところが多いかも。マニッシュなルックも幾つかあって、それも良かったな。

「セルフ・ポートレイト」2020-21年秋冬プレタポルテコレクション



お次は「クラウディアリー」。会場はNYファッションウィークのメイン会場であるスプリングスタジオ。前回のコレクションは可愛かったので期待大でしたが、今回のコレクションは、う~ん…なんか昔の日本DCブランドみたい。シアーな素材のギンガムは新鮮だったな。

「クラウディアリー」2020-21年秋冬プレタポルテコレクション



続いては「ウラ ジョンソン」。このブランドもけっこう長くやっているな。ショーはやったり、やらなかったりだけどNYのファッションシーンではそれなりのポジションになっていると思う。キルトのパッチワークを使ったドレスやタイダイのキルティングコートが良かった。こういったクラフトテイストをモダンに消化するところがこのブランドの真骨頂ですね。

「ウラ ジョンソン」2020-21年秋冬プレタポルテコレクション



「ロンシャン」可愛かった~!良いじゃん。このブランドには、パリの百貨店でアジアの人が並んでバッグを買っているイメージしかなく、バッグのデザインはあまり惹かれるものがなかったけれど、ウェアの方はなかなかGOOD!ノルディック風というのかな。求心柄のニットによくあるモチーフを布帛に刺繍したスカートとドレスがめちゃ可愛い。あとバッグブランドだけあってウェアでもレザー使いが流石な感じ。今回のコレクションはググッとモードに寄ってきて良い結果出せているから、バッグのデザインにも影響出てくるだろうな。期待!

「ロンシャン」2020-21年秋冬プレタポルテコレクション



本日のラストは「ティビ」のプレゼンテーションへ。ショーを楽しみにしていたけれど今回はプレゼンテーション形式。「ティビ」は23年もやっているんだ~、凄い!今やミニマル&リアルなルックでNYファッションの代表格になっていると言っても過言じゃないね。ソーホーにも立派なお店があって、今回はそこでプレゼンテーションを開催。テーマは「過去、現在、未来」。先シーズンからファッション業界でもサスティナブルが重要なテーマになっていて「ティビ」もそれを強く意識したコレクションになっていました。元々ミニマルなスタイルなので、デザイナー自身もこれまでのシーズンアイテムを着回してきたそうで、そういった定番的な過去のアイテムと今季のコレクションを並べるプレゼンテーションに。確かにそれってファッションに於いてはサスティナブルなアプローチだし、実は皆もけっこうやってますよね。普通にも思えるけど、毎シーズンコレクションを発表してビジネスにするブランドにとっては革新的かもしれないな。筋が通ったコレクションって感じでした。

「ティビ」2020-21年秋冬プレタポルテコレクション



ノンストップ5本はキツかったなぁ。乗り切った自分へのご褒美にディナーはイーストビレッジでフレンチ「Papilles」。ここは友人が「DEAN&DELUCA」の創業者からオススメされたとのこと。なんかごっつい感じかなと思っていたら、こじんまりとした素敵なレストランでした。ワインとペアリングのディナーが美味かった~。

2018年にオープンした、イーストビレッジのモダンフレンチ「Papilles」。



[section heading="2月9日"]

3日目!今日は昨日と打って変わって午前中に1本以外は夕方に立て続け。でも今日は4本なんで少しは楽かな。初見のデザイナーばかりなんで、それぞれがどんなコレクションを見せてくれるか楽しみ。

まずはNYの老舗オークション会社フィリップスが会場の「ジェフリー・ドッド」へ。場所はミッドタウン、イーストサイドのパークアベニューで1階のギャラリースペースにはバンクシーとカウズがずらりと展示されてて、金の匂いがぷんぷんするぞ。バリッとしたスーツを着たギャラリストが高級レストランでランチしながら商談とかイメージしちゃう(偏見?)。ショーはダークなインダストリアルミュージックがガンガン流れる中スタート。コレクションは何ていうんだろう。エッジが効いてるけどちょっと若さがない?良いなってルックもあるけれど、総体的にいうと垢抜けない。ライトなゴステイストが音楽には合っていたけどね。

「ジェフリー・ドッド」2020-21年秋冬プレタポルテコレクション



次のショーまで時間があるので、ロウワーイーストサイドをリサーチ。ラファイエットの「KITH」でオンラインマガジン「Highsnobiety」がコレットのドキュメンタリーの完成を記念したポップアップをやってた。惜まれつつコレットが閉店してから2年。依然としてファッション業界にとっては大きな影響を残し、今旬なファッションピープルから最大限のリスペクトを受けているコレットって凄いですね。

これまでのコレットの歩みを追ったドキュメンタリー番組「コレット,マン アムール」の公開を記念したポップアップストア。「KITH」とのコラボレーションアイテムも同時に発売した。



コレクションの続きは「コリーナ ストラダ」から。ネオヒッピーな感じでメッセージが色強いし。サステイナブルやダイバーシティを意識したコレクション。タイダイ、花柄、白人、黒人、黄色人種、おばあさん、妊婦さん、子連れと色んな意味でカラフルなショーでした。

「コリーナ ストラダ」2020-21年秋冬プレタポルテコレクション



お次は水着のブランド「クロマット」。水着なのに秋冬のコレクションもやってるのが凄いな。今回はウォール街のジムでトレーニングウェアのコレクションをプレゼンテーション。ちょっとオリンピックへの目配せも入ってるね。本気で鍛えてる人って露出度高いから、こんな感じが合うんだろうな。

「クロマット」2020-21年秋冬プレタポルテコレクション



本日のラストは「キム シュイ」このブランドのショーは異様な熱気だったんだよね。何でだろう?服は大したことないし会場も小さいし、大物デザイナーではないと思うんだけど。コレクションで印象的だったのはスカーフをヒジャブぽく使っているところ。このスタイル、他のデザイナーでもちょろちょろ見る。トレンドなのかな。あと、フロントローにコレクションよりインパクトがあるお客さんがいました。

「キム シュイ」2020-21年秋冬プレタポルテコレクション



夕方からの怒涛のショー巡りを終えてぐったり。1人韓国料理を食べながらツイッターを見てたらアカデミー賞の速報でパラサイトが作品賞!びっくり&大興奮!!ぐったり気分も吹き飛んで韓国の友人に思わずメッセージを送っちゃった。しかしファッションウィークとアカデミー賞、今週のアメリカって盆と正月が一緒に来たって感じでしょうか。笑

(つづく)

取材・文/南馬越一義(ビームス創造研究所長シニアクリエイティブディレクター)
写真/南馬越一義



株式会社ビームス
ビームス創造研究所シニアクリエイティブディレクター
南馬越一義





「ジュルナルクボッチのファッショントークサロン」by SMART USEN





アプリのダウンロードはこちらから

Get it on Google Play
Get it on Google Play
一覧へ戻る