──2020年結成の少年キッズボウイ。活動歴は長い皆さんですが、encore初インタビューなので、改めて少年キッズボウイがどういうバンドなのかもお伺いできればと思います。まず8人の平均年齢は27.5歳くらいですか?
アキラ(Vo)「私は27 ですけど…」
山岸(Gt)「最年長は多分34くらいですね」
──大学の同級生ではないのですね。
アキラ「山岸とベースの服部とドラムのGBは同じ大学ですけど、ボーカルのこーしくんは大学は違って、そこの友だちの友だちみたいな感じでメンバーが増えていって…」
──珍しい集まり方ですね。
アキラ&山岸「(笑)」
──それでここまでメンバーが増えた…?
山岸「確かに徐々に増えて(笑)、8人になりました」
──ここまで増えた理由はどうしてなんでしょう?…音楽性ですか?
アキラ「例えば、トランペット担当のメンバーがいるのは、金物(かなもの)を入れたかったわけではなかったよね? キーボードが欲しくてトランペットのきもすが“ピアノ弾けます”ってオーディションに来たんですけど、あまり弾けなくて、トランペットを持ってきて…みたいな(笑)」
──でもトランペットがいることで広がった感じがありますよね。バンドの音楽性の特徴になっています。
アキラ「うん、そうですね」
──サブスク上で聴ける最も初期の配信楽曲は「海を見に行く」ですか?
山岸「はい、そうです」
──その頃から音楽性の朗らかさとは裏腹に、歌詞では“どう生きていきたいか?”というようなメッセージがあって…結成当初からそんな感じだったのでしょうか?
山岸「はい。“曲は明るく、でも芯を食ったことはちゃんと言いたい”というのはずっとそうかもしれないです」
──初期から最近まで楽曲の作詞作曲はこーしくんさんが?
山岸「ほぼすべての楽曲をこーしくんが作っています」
──楽曲を作るこーしくんさんにフロントマンのイメージは全然ないと言うか…なんだか珍しいですよね?
山岸「そうですね。まぁ、人数も多いので」
アキラ「当初から“コンポーザー的な立ち位置にいきたい、あまり前には出たくない”とは言っていました」
──リーダー的な見え方もしないですし。
山岸「でも、そういうのが少年キッズボウイっぽいよね?」
アキラ「うん。“誰かのバンド”感が確かにないです」
山岸「やっぱり8人いて、この状態で楽しくやっていのが、一番いいっていう…」
──メンバーそれぞれのフェイバリット・アーティストを拝見していると、重なるところもあり重ならないところもあるようですが、バンドをやっていく上での共通認識としてはどんなところがありますか?
山岸「“楽しいことをやりたい”というのがあります。それがこういう音楽性に繋がっていると思いますし、やりたくないことはあまりないかもしれないです。“8人でやっていればそれでいいよね”みたいな(笑)感じはある気します」
──アキラさんは何か、ありそう(笑)。
山岸「楽しいだけじゃダメですか?(笑)」
アキラ「いやいや、格好つけとかは似合わないからやりたくないって思います」
山岸「やりたくないっていうかできない(笑)」
アキラ「そう、できない(笑)」
──でも楽しいだけではなくて、こーしくんさんが書く歌詞の中にある強い意志に共感して集まっているということもあったりしますか?
山岸「そこに惹かれているのが一番大きいと思います」
──じゃあ、楽しいだけではない?
山岸「そうかもしれないです(笑)。“楽しくいたい”という気持ちはありますけど」
──少年キッズボウイの特徴はメンバー全員が社会人とバンドマンを並行しているところだと思いますが、最初は別に言っても言わなくてもいいと思っていたのでしょうか?
アキラ「そうですね。最初は特に押し出していなかったです」
山岸「でも、これだけ人数がいて、全員が働いているというのが…」
アキラ「驚かれていることに気付き始めて、メジャーのタイミングで“言うようにしよう”ってなりました。それで興味を持ってくれる人がいるから。ライブのMCでも、“みんなも仕事帰りだったり学校帰りだったりすると思うんですけど”みたいな。よくMCで山岸が曜日に絡めて金曜の夜のライブだったら“金晩のありがたみを、”とか“土曜の昼が、”とか(笑)」
山岸「“火曜は最悪ですけどね、”みたいな(笑)」
アキラ「(笑)。この間、日曜の夜のライブでも言っていたよね?」
山岸「“日曜の夜もかなり嫌ですよね、”って」
──お客さんの共感は大きいですか?
山岸「ですね。あと、働きながらでもメジャーデビューできるということをやっぱり言いたかったんだと思います。それで、こういう楽しいことが大人になってもあるんだっていうところを見せたいですし、働きながらメジャーデビューさせてくれたので、そういうところを見せていかないといけないっていう想いもあって、どんどん言うようにはしています」
──メジャーデビューからほぼ1年が経ちました。この間の変化は?
アキラ「忙しくなりました」
山岸「忙しくなりましたし、働きながらやっているとメンバーが出世しはじめて…(笑)」
アキラ「普通に仕事も忙しくなって、どっちが忙しいのかよくわからない(笑)」
──メンバー全員が集合するのは至難では?
山岸「みんな職種がバラバラなので。シフト制の人と土日休みの人が半々くらいだよね?」
──アキラさんは映画館支配人ですよね? それはもう仕事が充分ハードすぎる気がします(笑)。
アキラ「(笑)。支配人って肩書が大層なだけで(笑)。全然そんなことないです」
──仕事もバンドもどちらも好きなことやっているのが素晴らしいです。
山岸「メンバーみんなそうですけどね、電車の運転士をやっていたり、アパレル店員をやったりとか」
──運転士のお仕事はすごくストレスありそう…。
アキラ「どうなんでしょうね? 残業とかは一切ないみたいですけど。でも、お酒を飲むのはあまりできないみたです…“前日から何時間前はダメ”みたいな規則が結構あるみたいで」
山岸「だからたまに飲めるとすごく嬉しそうです。バンドを組んで5〜 6年経ちますけど…」
アキラ「数えるほどしか一緒に飲んでいないです(笑)」
山岸「きもすは、いまだに“少年キッズボウイと飲めて嬉しいわ”って言ってます。(笑)」
──メジャーデビュー後はリリースのスケジュールもより厳密になったと思いますが、その辺はどうですか?
山岸「でも8人いるので、“出れる人たちで回していこう”って(笑)。そこは強いです」
アキラ「なので今日も2人です(笑)」
──取材は対応できるけど、曲作りとかレコーディングは?
山岸「曲作りをするときはみんなで最低限、集まります。でもどうなんだろ?」
アキラ「データのやり取りもしてるよね?」
山岸「でもドラムとベースはやっぱり一緒にいないといけないので。言ってしまえば、そこの2人のスケジュールが合ったら、“あとは来れる人でやっていこう”みたいな感じでやっています」
──大元の曲のアイデアは今もこーしくんさんですか?
山岸「今、少しずつ作曲者を増やしていこうと思っています。「Kids in the Park」の作曲はこーしくんですが、去年から僕も作るようになったりして曲作り自体もみんなでやっていこうという方向になりつつあります」
──確かに、「Kids in the Park」のクレジットはバンド名義ですし。そうやってゼロイチを作る人も増やしていこうと言うことですね。そもそもの話に戻りますが、皆さんは“仕事をしながらバンドを続ける”という感覚と“人生の中にイーブンでバンドも仕事もある”という感覚だと、どちらが強いですか?
山岸「最初は働きながらバンドをやっている感覚のほうが強かったと思います。でも、今はわからなくなってきました。両方、もうそこに違いはないというか…」
──ご自身の人生の中の主要な二つという感覚なのでしょうか?
アキラ「そうですね。“メインが仕事”という感覚はないです。“バンドが副業”というのも、会社に副業申請を出しているからですけど…」
──働いている人の心情がわかるということの他に、両方やっていることの良さやバンドに反映できることって何でしょうか?
山岸「働いているからそこがわかるというのが一番ですけど、仕事がある生活の中で生まれてくる曲ですし、仕事帰りでライブやったりしているというのが、やっぱり伝わっていると思います。自分たちも働きながらやっている、ある意味、普通の人たちというか。それでもこういう楽しい時間を過ごせるということを伝えられていると思います」
──“生きて行く上で大事なことをどちらも諦めない”という言い方もできますね。
山岸「そうですね。そうかもしれないです。やっぱり働かないと生活できないですし、でもそれだけだとダメになっていくと思うので。そうですね、どちらも諦めないで目一杯楽しむ、です!(笑)」
──どちらも捨てていない感じがしているのが、希望になると思います。
アキラ「他の人たちも是非、やってほしいです」
──バンド活動の中でどういう時にバンドならではの楽しさを感じていますか?
アキラ「曲をレコーディングしてる時とライブが一番高まるものがあります。リリースされた日も嬉しいです。やっと聴いてもらえる!って。」
山岸「僕はライブの日ってリハをしてから本番までかなり時間あるんですけど、そういう時にみんなでファミレスとか行ったりするんですけど、そういうときに思います。“バンドやってて良かったな”って(笑)」
アキラ「あと、そうやって楽しくバンドを続けていると奇跡みたいなことが起こるんですけど、今度7月22日に日テレのDayDay.に出演して「Kids in the Park」を歌唱させてもらうことになりました。」
──すごくいいですね(笑)。
アキラ「そんなことも含めて“一緒にいてなんかやってるってすごく尊いことだ”みたいな。」
山岸「特別だよね。仕事仲間とも違うし」
アキラ「同じ学校とかだったら絶対に友達にはなってなかったと思うんです、タイプが違いすぎて。でもライブの前に一緒に古着屋さんに行ったりとかするんですよ」
──“音楽があるから”というのも事実なんでしょうけど…。
山岸「やっぱりそれだと思います。“一緒に音楽を作っている”っていまだに信じられないというか(笑)、すごいことだと思います」
──大人になっていかないといけないけれど、仕事仲間とも違う話ができたりするのでしょうか?
山岸「ある程度大人というか、責任を持たないと曲も作れないですし、いろんな人が助けてくださってバンドをやれているので責任は持ちつつ、それでも無邪気にやれるというのがバンドのすごいところなんだと思います」
──少年キッズボウイの曲は理想主義的なところもありながら、理想だけではなくて実際に“どう生きていこうぜ”というところがありますよね?
山岸「そこはそうですよね」
──このバンドだから歌えるメッセージであったり?
アキラ「そうですね。気持ちが乗りやすいと思います。このバンドだから歌えていると言うか、自分の心に合っています」
山岸「“少年キッズボウイだったらこういう歌にするよな”という想いでアレンジしたりライブをしたりしています」
──そう考えるとなんかロールモデルがなさそうですよね。他にこんなバンドいないですし。
山岸「いや、そうなんですよ。嬉しい!」
──昨年のMajor 1st EP『もっと少年キッズボウイ』以降、ライブを重ねていく中で今回の「Kids in the Park」のアイデアが出てきた感じですか?
山岸「そうですね。毎回ワンマンライブをやって、「次はこういう曲があった方がいいよね“、”もっとこういう曲が欲しいよね“とか、”こういう曲もやったらいいんじゃない?“というのはあって、そこからまずは「Kids in the Park」を作ってレコーディングすることになりました」
──初期の「海を見に行く」のニュアンスにも近いと思いました。
アキラ「それはあるかも…「僕らのラプソディー」とかも」
──具体的にはどんな発端から?
山岸「“RIP SLYMEとかRHYMESTERのムードをこのバンドでやってみよう”っていう(笑)」
──それはまたストレートな(笑)。
山岸「そんな曲があると楽しいよね?というお題があって、作った曲です」
──それは分解してみるとどんな感じなんでしょうか?
山岸「まずラップ(笑)。ゼロ年代の日本のラップです」
アキラ「コードがラテンぽいとか、そういう感じじゃなかった?」
山岸「あと、いい感じに体が揺らせるミドルテンポですね」
──グッとヒップホップとソウルに寄っている印象がありました。
山岸「嬉しいです。意識してそういうゼロ年代の日本語ヒップホップを目指して作ったんですけど、みんなが共通的に好きな要素が全部入っている気がします。さっき言っていただいたソウルとかもそうですし」
──ネオソウル的な要素もありますね。
山岸「ネオソウルはトランペットのきもすが大好きです。ロバート・グラスパーとか」
──歌詞は少年キッズボウイにずっと通底している、強い言葉で言うと反戦歌的な部分もあるように思いました。明るく歌ってらっしゃいますけど…。
山岸「そうですね。<泣いてる子供>とか」
──アキラさんはどういうところに共感しますか?
アキラ「<しあわせにはもうなれないかも>というところが好きです。かなり暗いことを言っていて、本当にそんな空気が垂れ込めていますけど…でも絶対そうは思っていないところとか」
山岸「そこが核心じゃないですよね。その<かも>がいいと思います」
アキラ「<みんなそんなこんなでおとなになったのでしょう>というところも“確かに!”と思いますし」
──大人の目線ですよね。
アキラ「そうですね。子供自身の話はしていないというか、それを大人から見ている的な。なので、ジャケット写真は私がイメージを描いたんですけど、遠巻きに子供を見ている大人のイメージです」
──その着想を聞くとこのジャケットがすごく身近に感じられます。
アキラ「嬉しいです。公園で子供を見ている瞬間って誰しもあるじゃないですか。それがパッと思い浮かびました。普段、殺伐とした気持ちでも、公園で子供を見ている時とかは“幸せでいてくれ”と思えるというか…」
──「Kids in the Park」の軸はその視線ですね。
アキラ「“愛はあるよ”という感じかもしれないです」
山岸「ジャケットもそうですし歌詞もそうですけど、“遠い世界の全然関係ない人たちを見ているわけではない”という曲なんだって今、話していて思いました。それと、少年キッズボウイでキッズを曲名に出したのは初めてな気がします」
──それは象徴的かもしれないですね。ここでの“Kids”は実際の子供でもあるし、皆さんのことでもあるというか…。
山岸「少年キッズボウイというバンドの存在自体も言ってしまえばそういう存在ですから。社会人が少年キッズボウイって名乗りながら(笑)、バンドをやっていて。でもそれが大事な気がするんです。大人になって集まっている人たちが少年キッズボウイと名乗っているというのが…なんだか上手く言えないですけど、大事な気がします」
──しかも“少年”と“キッズ”と“ボウイ”ですから。
山岸「3回言うともう願いみたいに聞こえてきます(笑)」
──それをゼロ年代の日本語ラップという、皆さんが子供の頃の音楽を参照しているのがしっくりくるという…。
山岸「それもそうですし、当たり前に30℃を超えるようになってきたような夏の感じが出せたんじゃないかな?って思います。自分たちの夏というかゼロ年代の夏を」
アキラ「そうだね。自分の子供時代の匂いがあるよね。最近の夏はこういう匂いではないかもしれない…」
──「Kids in the Park」をリリースしたばかりですが、秋には『少年キッズボウイのひるはライブハウス、よるは酒』というライブを企画されていますね。
山岸「昼にライブをすれば“夜、飲めるよな。ゆっくり”っていう(笑)」
アキラ「いつも夜にライブをすると次の日が仕事だと睡眠時間が短くなってしまうので(笑)」
山岸「社会人に嬉しい時間帯で楽しめます(笑)」
──社会人の参加の障壁を下げて(笑)。
アキラ「そうですね。特に11月の下北沢編は2会場往来にするので、いろんな人にふらっと来てもらいたいです。自分がお客さんだったら絶対このフェスに行きたくなるような感じに仕上がっていて、すごく好きなメンツになりました」
──この後も発表されるラインナップに注目ですね。さらにリリースもいろいろと控えていらっしゃるようですね。
山岸「はい。今まさに制作中なので楽しみに待っていてほしいです」
──最後に山岸さんとアキラさんに最近気になっていることを、音楽以外でも音楽でもいいですが教えてもらっていいですか?
山岸「健康ですね。市民プールにもう半年くらいですけど通っています。やっぱり体力がないとやってけないですし、働きながらバンドをやっているからこそ、“健康でやっていく”というのも大事だと思って。プールはいいですよ(笑)」
アキラ「私の仕事的にはミニシアターが去年今年で3つくらい閉館が決まってしまって、“ミニシアターをなくさないで!”と思っています。悲しいので。シネコンももちろん好きですけど、あなたの街の近くのミニシアターにも行ってね!ってみんなに言いたいです」
──そうやって仕事のある日常が還流してくるものがあると思うので、バンドの末永い活動を期待しています。
山岸「そうですね。これからも生活しつつやっていきます」
(おわり)
取材・文/石角友香
RELEASE INFROMATION
LIVE INFORMATION

少年キッズボウイのひるはライブハウス、よるは酒 〜新代田編〜
2026年10月10日(土) 東京 新代田FEVER
時間:12:00op / 12:30st
出演:少年キッズボウイ、ポップしなないで※ツーマン

少年キッズボウイのひるはライブハウス、よるは酒 〜下北沢編〜
2026年11月23日(月・祝) 東京 下北沢BASEMENTBAR&THREE往来自由イベント
時間:11:30op / 12:00st
出演:少年キッズボウイ、アマイワナ、カラコルムの山々、他 ※全6組出演!!!!!!



