──メジャー2ndシングル「無自覚の天才」がリリースされました。表題曲の「無自覚の天才」は、TVアニメ「転生賢者の異世界ライフ」のオープニング主題歌に起用されています。
田口「まずは原作のマンガを読んで、そこから書き下ろした楽曲です」
──原作を読んで、どこにフォーカスして、何を抽出して作っていったんでしょうか?
田口「原作では、いわゆる社畜でただただ仕事ばかりしているサラリーマンが、急にモンスターがいる世界に転生するんです。その主人公が異世界で就いた職業が、たまたま天才的な強さを持っていて……というストーリーなんですけど、その主人公と僕らは、割と似ているなと思ったんですよね。僕らも、路上ライブをしたり自分たちで会社を立ち上げたりしたけど、ご飯も食べられないような時期がかつてはあって。それが、YouTubeというそれまでとは違う世界に行ったことでいろんな場所でライブができるようになったり、メジャーデビューすることもできた。そう考えると、人の才能は場所や環境によって覚醒したり、覚醒しなかったりするものではあるんだろうし、どこにいるかで認められるかどうかも違ってくる。だから、「無自覚の天才」のサビでは、<僕ら誰もが秘めたる力を持ったモンスター>って歌ったんです。僕らは全員、誰かに天才って呼ばれる可能性があるって」
──田口さんがそんな思いで書いた「無自覚の天才」ですが、レコーディングをするにあたって、2人はどんな受け止めかたをして臨みましたか?
矢野「曲が完成する前に僕も原作を読んでいて、どんな曲ができあがってくるのか楽しみにしていました。できあがってきた曲を聴いた瞬間、アニメの絵が浮かんできてハマっているなと思ったし、曲に自分の声を入れてみるとノンラビらしさもあって。達也くんがさっき話していたようなことは、原作を読んで自分でも感じていたので、いつも以上に感情を載せやすかった部分もありますね」
太我「僕は、あえて原作を読まないでいたんですけど……」
矢野「絶対にあえてじゃないですよ(笑)」
田口「まったく読む気がなかったんだと思う(笑)」
太我「いや、もともとマンガが苦手というか、文字が読めない体質で」
田口「文字が読めない体質って、どうやって生きてきたんだよ(笑)」
太我「でも、アニメがめちゃくちゃ好きなんで!あと、逆に情報ゼロで曲を聴いて、感じたままに叩きたいなって気持ちもあったから」
──わかりました(笑)。じゃあ、自分以外のメンバーの天才ポイントって、どんなところですか?ってテーマトーク行きますか。
矢野「これ、合コンすか !?俺らをどうしたいんですか(笑)」
田口「晴人は、やさしさの天才だと思う。怒ってるところとか機嫌が悪いところは、今まで見たことない。何を頼んでも“やっとくわ”、何も頼まなくても“やっとくわ”って(笑)。お母さんに自転車を買ってあげて、その自転車が倒れて指をケガしても、何事もなかったかのようにしてる!だから、やさしさの天才かな」
太我「確かに、やさしさの天才。やさしすぎて、逆に神経が通ってないのかもしれない」
矢野「通ってるわ(笑)!」
太我「いや、悟りを開いてるっていうか。達也くんは、台本がなくてもめっちゃしゃべれるのが天才だと思う」
田口「誰でもできるよ」
矢野「だとしても、いつでもどこでもできるのがすごいよね。トーク以外も、達也くんは器用。基本的に何でもできる。できない姿を見たことがない。太我は、気遣いがすごいと思う。人のことを、すごくよく見てるから」
田口「太我は、ワードセンスとボケの天才。その言葉はどこから浮かんだのって角度がすごくて、天才しか浮かばない言葉だなと思うし、しかもなんか面白い。お笑い芸人が向いてると思う(笑)」
──カップリングの「恋愛卒業証書」と「豆知識」に就いても聞きたいと思います。2曲とも、「無自覚の天才」とはまた異なるタイプのナンバーになっていますよね。
田口「「恋愛卒業証書」は、恋愛の歌詞にはしているんですけど、実は大切な人との死別が根っこにあった書いた曲なんです。つい最近、身近な人が亡くなる経験があって、その別れを恋愛の別れに置き換えて書いたというか。いきなり死別のことを歌われても困るだろうなって思ったから、この経験を恋愛でうまいこと説明できればなって。そもそも、何かあったら曲にしないと気持ちの区切りがつかないタイプなんですよ。だから、恋愛をして別れたら、バラードを書く(笑)。いつまでも引きずってる場合じゃない、曲にして発信して、自分の経験を誰かにって」
矢野「曲を聴いて、恋愛についてこういう視点で考えたことはなかったけど、そう言われればそうだなって。タイトルは「恋愛卒業証書」だけど、曲を聴いて僕は逆に恋愛がしたくなりましたね」
太我「すごく深くて重い歌だと思いました。これまでのノンラビの中でもかなりダークな曲だと思うけど、これはこれでノンラビらしさだと思うし、今回の3曲の中ではいちばんロックですよね。ドラムを叩いていても、感情を込めてスティックをフルスイングできるというか、個人的にもすごく好きです。僕自身、すごくネガティブな性格でもあるので、感情が乗せやすいんだと思います」
田口「こういうバラードがノンラビらしさのひとつになるのは、ハルの歌声があるから。どうしてハルのボーカルなら行けると思ったかって、悲しさがあるから。悲しさがある声じゃないと人に届かないし、響かないし、極端な話をすると売れないとも思う。僕は泣ける歌を歌うのがプロだなと、ボーカリストに関しては思ってるんです。そこがボーカリストとしての才能というか」
──3曲目の「豆知識」は、タイトルそのままにひたすら豆知識を羅列した歌詞がユニークな楽曲です。<この歌を聴くだけで賢くなる>という歌詞で幕を開け、<1円の材料は3円する>とか<カタツムリの歯は25000本>という豆知識がキレッキレのボーカルで歌われていきます。
田口「3曲目はどうするってなったときに、メジャー1stの『爆誕-BAKUTAN-』に収録されてる「偏見じゃん」みたいな面白い曲はウケたねって話になって、そこから聴いてるだけで勉強ができる曲ってないよなって、「豆知識」という非常にタメになる曲ができました(笑)」
──歌詞の豆知識は、とにかく調べまくったんですか?
田口「“豆知識 珍しい”とかで検索しまくって、その中から面白いと思う豆知識を書き出して、メロディーに当てはめていった感じです。歌詞にしていない豆知識も、まだまだたくさんありますよ(笑)」
──じゃあ、「豆知識」の第二弾もすぐに書けたりする?
田口「全然かけますね(笑)。もし今回バズったら、すぐに第二弾をリリースします(笑)。で、それもバズったら第三弾も! それぐらい無限にできるっていうか、豆知識って歌詞になりうるんです」
──矢野さんは、ボーカルとして今回の「豆知識」に何を感じましたか?
矢野「何を感じたかって(笑)。あのー……仮歌とかひとりで家で録ってるんですけど、途中で俺は何を歌っているんだろうっていうのは感じてましたね(笑)。外に漏れたら、ヤバいなとか(笑)。でも、やるからにはやり切らないとかっこ悪いんで、腹を括って全力でやりました」
──ボーカルもサウンドも、かなりかっこいいですもんね。
田口「サウンドは、海外のHIP HOPを聴き込んで、かなりこだわりましたね」
矢野「いかに真面目にやるかっていうのが、こういうのって大事ですから」
──太我さんは、「豆知識」からどんなことを感じましたか?
太我「マンガとか小説はダメなんですけど、この歌詞は全部読んじゃいましたね」
──体質的に文字が無理な太我が !?
太我「はい(笑)。これ、一行一行で完結しているので、読みやすくて。あと、めっちゃ勉強になりましたね。ドラムを叩くときも、“これは実践しよう!”とか思いながら叩いていましたから。この歌は誰にでも、音楽をあまり好きじゃない人にも伝わる歌だと思います」
──ちなみに、太我さんはどのあたりの豆知識を実践しようと?
太我「例えば、<喉の痛みにはマシュマロが効く>とか、いいですよね」
──なるほど(笑)。でも、新たなノンラビの武器じゃないですけど、太我さんが言っていたように音楽ファン以外にもリーチする可能性がある曲ですよね。
田口「そうなるといいんですけど。曲を作っている時間より、豆知識を調べている時間のほうが長かったですから(笑)」
──8月からは、東名阪を周る「無自覚とじゃ言いつつ多少は自覚がある天才ツアー2022」がスタートします。
田口「ものすごく楽しみです。ファンに対して、今まで応援してきて良かったと思ってもらえるライブにしたいですね。アニメの「転生賢者の異世界ライフ」の放送スタートから1ヵ月以上経ってますけど、いちばんいい場面で「無自覚の天才」を披露したいなと思ってるし、各会場で自慢げにパフォーマンスしたいですね」
矢野「ツアーではありますけど、東名阪だけなので、ひとつひとつのライブを丁寧に噛み締めながら周って、久々のツアーでもあるので、全部が記憶に残るようにしたいです」
太我「ツアーでライブをすると、その土地によってお客さんのノリが違うので、その違いを味わうのが楽しみです。大阪のファンはちょっと大人しいイメージなので、今回のツアーでは元気に盛り上がってくれたらいいなと思っています!」
──2022年もすでに下半期がスタートしていますが、どんな下半期にしたいですか?
田口「一気に行くんじゃなくて、息の長い活動をして地道に進んでいくのが理想なので、その理想に一歩一歩進んでいけるような下半期にしたいですね」
矢野「2023年からはバンバンライブができると思っているので、心も体もその準備をしっかりとしていきたいです」
太我「心にも肉体にも余裕を持って、楽しくやるのがお客さんにとっても自分たちにとってもいちばん大事だと思うので、楽しむことを忘れずに活動していきたいと思っています。バンドって、やっぱり楽しいものなので」
田口「今、見出しになるようなことを言って、巻き返しにきてない?」
太我「そんなことない。やっぱり、忙しかったりするとネガティブになるから、適度にサッカーをする余裕は持っておきたい。サッカーで調子がいいとドラムもいい感じだし、逆にドラムが良くないとサッカーもダメだから、いい方向の相乗効果を生むためにもサッカーは定期的にプレイしたいなと」
──サッカーは、やるだけではなくて見るのも好き?
太我「見るのも大好きなんですよ!だから、11月からのワールドカップがめちゃくちゃ楽しみです!」
──ずばり、優勝国はどこだと思いますか?
太我「ドイツだと思いますね。ヨーロッパの最終予選も全部見ましたけど、最強だなと思いました。この予想、載せておいてください(笑)」
──ドイツはサッカーファンの間でも本命視されていますけど、ここで大穴を当てたらサッカー関連の仕事が舞い込むかもしれません。
太我「そうですよね!じゃあ、大穴はチュニジア!今年の日本との親善試合を見たんですけど、チュニジアはワンチャンあると思いますね。これ、マジで太字でお願いします!」
田口「サッカー雑誌じゃないんだから(笑)!」
(おわり)
取材・文/大久保和則
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