――2ndEP『咲音』は、本当にバラエティ豊かな楽曲が多く収録されていてワクワクしながら聴かせていただきました。
「ありがとうございます。逆に、“統一感”と聞かれると“?”となりますよね。というのも、僕自身、世界観を決めて制作を始めたわけではないので、タイトルの『咲音』はある意味こじつけなんです(笑)」
――最初から素直な言葉を聞かせていただきましたね(笑)。
「あはは。『咲音』と聴くと、なんとなく花を想像しませんか? それに、花束って、全く違う種類の花が束になることで素敵に仕上がったりするので、このEPもそういった違う曲の集合体ではあるけれど、ひとつになった時に、素敵に感じてもらいたいと思って、このタイトルを付けました。みなさんがこの作品を聴いて、好きな花の色を思い浮かべてくれたら嬉しいです」
――でも、いろんな曲を歌えるということは、すごくおもしろいですし、楽しいですよね。
「そうですね。ひとつのジャンルにこだわってしまうと、違った表現ができなくなってしまうので、このバラエティ豊かなところも楽しんでもらえたら嬉しいです」
――今回はソロアーティストとして初の作詞作曲を手掛けた「Follow」も収録されますね。
「これまで、楽曲提供やほかのユニットでは楽曲を作ったことはあったんですが、伊東健人としては積極的に自分で自作曲をやるつもりはなかったんです。それよりも、自分の枠から出たことを挑戦したくて。でも、自分で作詞作曲ができると、制作の進行もすごく早いんです。だったら、作っておいて悪いことはないよな? と思って作り始めました。実はそれなりの曲数のストックがあるので、これからもタイミングが合えば発表していきたいですね」
――楽曲はどのようにつくられているんですか?
「DTMや楽器など、いろんな方法で作っています。自分が作る楽曲をブラッシュアップするには、とにかく作りまくることしかないんですよね。そうやって出来たの最初の曲がこの「Follow」です。この曲自体は去年の春ごろにはあり、それを膨らませて制作していきました」
――伊東さんの書く歌詞の言葉選びは、とても独特だと感じました。
「これは完全に“癖”ですね(笑)。作詞作曲の一番の才能って、自分が作ったものを許せるかどうか? さらに“いい曲だな”って思えることなんだと思うんです。なので、自分が作る曲がダメだと思ってしまうと、曲が作れなくなってしまうんです。僕自身、自分の曲や歌詞がいいと思えるまで時間がかかりましたし、「Follow」も途中、ものすごく蛇行しましたが、やっと完成することができました。制作の最中は、“もっと曲作りや作詞の勉強がしたい”と思っていました」
――たしかに、作詞の勉強となると、難しいですよね。
「そうなんですよ。正解はないですし、理論立てて書いた歌詞も、あまり考えないで書いた歌詞も、リズムにハマらなかったらまた変えないといけないですし…。今回収録されている「BiT」は作詞だけ担当させてもらったんですが、この曲は今までの作詞の仕方とは異なって、完全にリズム重視で書き始めたんです。それはそれでまた違う難しさを感じながら書いていました」
――「BiT」は韻の踏み方が気持ちよくて印象的でした。
「無自覚でできたものがそうなっていたので自分でも驚いています(笑)。四字熟語が何個も出てくるんですが、“これとこれを合わせられる四字熟語はなんだ?”と考えながら…悩みながら書いていきました」
――そんな中で生まれた曲を、ついにライブで聴ける日が来るんですよね。
「はい。4月14日に豊洲PITで『Kent Ito 1st LIVE~咲音~』を開催します。このライブは、“どれだけ楽しくなれるか?”ということに重点を置いて構成を考えています。今の自分だったら一体何ができるのか、かなり未知数ではあるのですが楽しみにしていてほしいです。さらに、これまでは声優としてライブやイベントに出演させて頂いたことはありましたが、今回は伊東健人としてのライブになるので、何かのキャラクターを背負っているわけではなく、寄りかかる先がないからこそ、挑戦だと思っています。でも、どんな状況下になったとしても、“やってみなくちゃわからないよな”という、その状態を楽しめる性格ではあるので、その場をみなさんと楽しみたいと思っています」
――会場がライブハウスということで、どんなセットリストになるのかも楽しみです!
「そこは期待していてほしいです。まず、リリースしている曲はほとんど聴けるんじゃないかな?と思っています」
――そして、ソロアーティストとしてワンマンライブをするまでになった今、改めて今後どんな曲を歌っていきたいですか?
「今後は作詞作曲を積極的にやってみたいです。最近はギターをよく弾くようになって。それに…やりたいことが実はたくさんあるんですよ。というのも、いろんな人のライブを見て、“これいいな!”と思うことが増えたんです。最近はオーイシマサヨシさんのライブが武道館でありまして…」
――オーイシさんの武道館ライブに行かれたんですか?
「はい、それがすごく面白かったんです。彼の生き様というか、彼がどう生きるか決めている姿が見えたんです。もともとダンスをするような方でもなかったはずですし、楽器もできるし、そのアグレッシブさ、すごく見習いたいんです。もちろん僕とはまた違うジャンルではありますが、オーイシさんのライブを見たときに、“自分で自分の可能性を狭めたくない”って思ったんです。僕自身、時間と体力さえあれば、おもしろいことはやり続けていたいと思っているので、それがどういった形になるのかというのをオーイシさんがエンターテイメントとして見せてくれた、すごくいいライブでした」
――オーイシさんが本当に多くの方から愛されているのも伝わりますよね。
「そうなんです。彼自身が、エンターテイメントなんですよね。曲を作る、歌うだけではなく、外でどう振舞うかということをしっかりと見せてくれるので、すごくいいなって思ったんです。僕自身、与えられた歌をただ歌う存在にはなりたくないという気持ちがあるので、これから自分らしくあるためにどうすべきかを考えさせられました」
――前回のインタビューでも教えていただきましたが、伊東さんは本当にいろんな方とのコミュニケーションを大事にされていますよね。
「そうですね。お芝居も音楽も、アンテナを広げることってすごく大事だと思うんです。僕自身、いろんな人と話すことが音楽や芝居の勉強に繋がっていくし、戻ってくるものだと思っているので、大事にして行きたいです」
――純粋に楽しいですしね。
「そうなんですよ。すべてが地続きになって、ちゃんと自分のもとに返ってくるのが実感できるので、いろんな分野の天才と会うのはすごく楽しいです。たまに、その実力の差に打ちひしがれますけど、それもまた、経験だと思っています」
――どうやってその人脈を築いていっているんですか?
「特に意識的に動いているわけではなくて、「サッドマンズランド」を提供してもらったキタニタツヤさんや、オーイシさんとも、同じきっかけで知り合ったんです。様々な活動をされている方たちとコミュニケーションが取れていることは、自分の世界をどんどん広げてくれるので、すごくありがたいですね」
――そういった方たちと実際にコミュニケーションを取っているからこそ、自分の可能性を狭めたくないと思うのかもしれないですね。
「その通りです。ただ、そのせいで睡眠時間が削られるんですけどね(笑)」
――そういえば、前回のインタビューで推しだと話してくれたINIの髙塚大夢くんのことを注目の声優としてピックアップしていましたね。
「はい。とある企画で挙げさせてもらったんですが、映画『ストールンプリンセス』で声優をしているのを見て、その表現力がすごく素敵だなって思いました」
――それは推しだから…?
「あはは。たしかに贔屓目に見てしまうところはあるかもしれないですが、INIのコンテンツで朗読するコーナーを聴いて、大夢くんには声優のセンスもあるなって感じたんです」
――今後も、様々なアーティストとコラボをしたり、一緒に挑戦する姿を楽しみにしていますね。
「はい。できるだけ、いろんなことに挑戦していきたいです。まずはライブに足を運んでもらって、現在の伊東健人を見てもらえたら嬉しいです!」
(おわり)
取材・文/吉田可奈
RELEASE INFORMATION
LIVE INFORMATION
Kent Ito 1st LIVE ~咲音~
4月14日(日) 東京 豊洲PIT Thank you Sold Out!
OPEN:17:00/START:18:00
TICKET /全席指定 8,000円(ドリンク代別)