――ソロ名義"KAZ"として初のオリジナル・アルバムになる『STYLE』の制作はいつ頃から考えていたのでしょうか?

KAZ「これまでGENERATIONSでの活動以外に、ソロとして映画の挿入歌や、様々な企画などで歌っていたら、どんどん曲が増えてきたんです。さらにデモなどを作ったりもしていたので、“そろそろアルバムにしようかな?”と思っていました。そんなラフな気持ちから制作をし始めたら、“集大成”のような1枚になってしまいました(笑)」

――たしかに、今の時代に珍しい2枚組という、ものすごくボリューミーな作品ですね。

KAZ「派手な仕様となりました(笑)。アルバムは、これまでカバーさせてもらった曲など既存曲7曲と、新録曲9曲の2枚組になっています。GENERATIONSの活動を経て、“ソロならこんな歌を歌いたいな”という、出てきた欲を詰め込んだこともあって、すごく自由に、作らせてもらったんです。こういったことができるのはGENERATIONSがあるからこそなので、どちらもできることにすごく幸せを感じています」

――そう言えるのはすごく素敵なことですよね。

KAZ「そうですね。帰る場所があるという安心感ってすごく大きいんです。それがあるから、自由に自分の表現をやろうとも思いましたし、グループで活動している時っていい意味で力んでいる部分、構えている部分があって。でも、ソロのKAZとして1人でモノづくりをするときはすごくリラックスして肩の力が抜けているので、アルバムを作ることで、自分の中に違うチャンネルが存在することが明確にわかりました」

――今作には作詞作曲を手掛けている曲も多く収録されますが、制作に集中する時間はかなり多かったのではないでしょうか。

KAZ「はい。それに、ずっと温めていた楽曲もあったので、アルバムの制作期間を設けるというよりも、想いが溢れたら作るというやり方でした。そこで生まれた曲をかき集め詰めていくような作業だったので、追い込まれた印象は全くなくて。あと、アメリカでレコーディングした楽曲もあるんです」

――アメリカは長期で滞在されていたんですか?

KAZ「実は今年の上半期は、グループ活動を一旦お休みして、語学留学でアメリカの学校に通っていて…。その期間に合わせてレコーディングをしていました」

――このタイミングで留学ができるのは最高ですね!

KAZ「最高でした。アメリカは僕自身のルーツミュージックが存在する場所だったからこそ、“このロケーションと、この時間の流れの中で生きていたらこういった音楽が生まれるよな”という、自分が好んで聴いていた音楽への答え合わせがたくさんできた機会でした」

――ちなみに、アメリカではどの曲をレコーディングしたんですか?

KAZ「「Pacific Love Memories」と「No Matter What」です」

――では、「Pacific Love Memories」から聞かせてください。この曲は日本で楽曲を作ってから、レコーディングをアメリカでしたのでしょうか?

KAZ「そうです。留学前に、ある程度輪郭だけを作ってからアメリカに行きました。この曲の歌詞は全て英語詞なんですが、僕が書いた歌詞を、GENERATIONSの「Love You More」の歌詞を書いてくださった岡田マリアさんに英語にしていただきました。僕はサーフィンをするんですが、留学で行った場所も海の近くだったので、日本で“Pacific Ocean”を見ながら作ったこの曲を、カルフォルニアの“Pacific Ocean”を見ながらレコーディングがしたいというプランがあったんです。日本とカルフォルニア、両方の“Pacific Ocean”からインスピレーションを受けながらレコーディングができたので、すごくいい経験になりました」

――サーフィンはできましたか?

KAZ「毎日していました! 留学に海のある街を選んだので、学校が終わったらサーフィンをする生活を毎日していたんです。新録曲の「Go Your Way」は、新しいことに挑戦する人達の背中を押すような曲にしたいと思って日本で作っていたんですが、実際に留学し、やりたいと思ったことに挑戦することは、“年齢は関係ない”ということを心から実感しました。だからこそ、どうしても最後の一歩が踏み出せないなという方たちに、エールソングのように響いたら嬉しいです」

――これからの人生のテーマになりそうですね。

KAZ「はい。この歌詞にある<歳重ねるほどワクワクしたいから>という想いは、自分が一番大事にしていることなので。大人になるとどうしても落ち着いてしまいますし、何をするにしても腰が重くなると思うんですが、そうではない、逆の人生を歩みたいと思ったんです。死ぬまでワクワクしていたいですし、挑戦し続けていきたいですね」

――ターニングポイントになるような留学だったんですね。

KAZ「本当にいい経験ができたので、また必ずいろんな場所に行き、いろんなものを見て、いろんな経験をして、自分の言葉で表現していきたいです」

――海外での生活自体はいかがでしたか?

KAZ「すごく楽しかったです。3か月間、留学生活をしていたんですが、普通に自転車を買ったり、トイレットペーパーなどの生活用品を買う所から始めたんです。僕は上京して、すぐにルームシェアをしていたんですけど、今回もホームスティだったので、その時と感覚が似ていてすごく楽しかったです。最初の1か月は、スイス人の若いカップルふたりとルームシェアをしていました」

――すごい体験ですね!

KAZ「彼氏の方がバスケが好きだったので、一緒にバスケをしたりしてすぐに仲良くなりました」

――でも、別れも辛そう…!

KAZ「それが、週末に仕事でロサンゼルスに行って帰ってきたら、もう出て行ってしまっていて…。翌月、また違う子と入れ替わっていたのが、めちゃめちゃ切なかったですね(笑)」

――あはは。その期間、自身としっかりと向き合ったからこそ、歌にも変化が訪れたと思うのですがいかがでしたか?

KAZ「今作は、GENERATIONSのライブでギターをずっと弾いてくれているSho Kamijoさんをはじめ、仲間たちと作ったアルバムです。Shoさんとは、どうしても自分一人ではできなかったところを相談しながら作らせてもらったり、“この曲は誰にお願いしたらベストか?”ということを相談したりと、本当に信頼している方なんです。さらに他の曲もすべて繋がりのある方たちに、自分がどんな世界観で、どう歌いたいかを伝えたうえで表現した曲ばかりなので、すごく統一感があります。それもあって、どの曲もすべて自分の言葉のようにしっかりと歌うことができました」

――特にに自身が重なった曲を教えて下さい。

KAZ「「Second Wave」です。この曲はGENERATIONSで昔からお世話になっていた和田昌哉さんが作ってくれたんですが、歌詞の内容が本当に“自分のことだ!”って思えました。さらに僕が海を好きなことを知ってくれているので、新しいスタートを波に例えてくれたんです。海に入っているときに、すごく良い波が来たなと思って乗ろうとすると、違う人に乗られることって多々あるんです。でも後ろからきたセカンドウェーブに乗ってみたら、その日一番の波だったってこともよくあって。それって、すごく人生と似ているよなと思っていて…。焦ることも大事だけれど、1度見送って、後ろのレールに乗ってみたら実はそっちが正解だったってこともたくさん経験してきたので。だからこそ、すごく素敵なタイトルだと思いました」

――様々な経験をするにしても、ただ楽しいだけではなく、そこに学びがあるのは素敵なことですね。

KAZ「はい。海には本当にいろんな魅力があって。見ているだけでインスピレーションをもらえますし、エネルギーももらえるんです。これからもサーフィンはし続けたいですね」

――サウンド面ではどんな挑戦がありましたか?

KAZ「「Hush Hush」を作ってくれたstyさんは、先輩の三代目J SOUL BROTHERSさんの「R.Y.U.S.E.I.」や、僕たちGENERATIONSではDiamonds」を手掛けてくださっているので、EDM調の曲や、エッジが効いた曲が得意分野だとみなさんに認知されているんですが、実はR&Bもすごく素敵なんです。僕はもともとstyさんが作るR&Bのファンだったこともあって、今回、アルバムを作るとなった時に、“ぜひ2000年代ごろのR&Bを歌いたいです!”とお願いさせていただいて制作してもらいました」

――すごく素敵な曲ですし、リリックも共感度が高いように思いました。

KAZ「ありがとうございます。僕は今、31歳なんですが、年齢を重ね、コロナ禍を経て、大きな心境の変化がありました。以前はパーティ大好きな夜型人間でしたが、今は完全に朝方の人間になったんです。(笑)この歌詞は、そんな心変わりとなったきっかけを伝えて書いてもいました。歌詞に<孤独は自立の親友なのだろうか?>というフレーズがあって、そこに本当にグッと来たんです。もちろん、そのせいで失ったものもありますが、それ以上に自分の時間を大事にすることを選んだ時に、すごくこの言葉がフィットしたんです。曲全体を通しても、大人っぽい切なさもあり、心変わりの葛藤も描かれていて、本当に素敵な曲で感動しています」

――そして、アートワークもすごくこだわりが詰まっているように感じました。

KAZ「このジャケットに描かれているのは僕の愛車です。さらに、fustyworksKen Sugiharaさんと、Love ear artgenさんにお願いして、ジャケットを合作という形で書いていただきました。こんなにも素晴らしい絵にしていただいて、ものすごく嬉しかったです」

――本当に、大好きな方たちと一緒に作られた作品になったんですね。

KAZ「ありがたいです。本当に特別な1枚になりました」

――今作をリリースした後は、どんなビジョンを掲げていますか?

KAZ「それが、全く焦っていなくて(笑)。普段から自分が表現したいことや、残しておきたいと思うことは常にたくさんあるんですが、1人でドームで歌いたいか?と言われたら、そうではなく…。それよりも、仲間たちと一緒にギターを背負って、アメリカに遊びに行って、モーテルの横についているバーで楽しくセッションをして歌ったりするようなことがライフスタイルのひとつとしてKAZというプロジェクトが続けていけたらいいなと思っています」

――最高じゃないですか!

KAZ「最高です! なので、レコード会社の方がどう言うかわからないですが(笑)、また長期で海外に留学したいですね」

(おわり)

取材・文/吉田可奈
写真/野﨑 慧嗣

RELEASE INFORMATION

KAZ『STYLE』

2024年124日(水)発売
[A]AL2枚組+DVD2枚組/RZCD-671478/BC8,500円(税込)
[B]AL2枚組+Blu-ray2枚組/RZCD-6714950/BC8,500円(税込)
[C]AL2枚組/RZCD-6715124,500円(税込)

KAZ『STYLE』

EVENT INFORMATION

『STYLE』発売記念リリースイベント

2024年125日(木)17:00~ 千葉県 イオンモール幕張新都心 グランドモール グランドコート
2024年127日(土)①13:00~ ②16:00~ 埼玉県 アリオ鷲宮1階 太陽の広場

GENERATIONS 関連リンク

一覧へ戻る