──この度、アーティスト・ISSEIとして新たなスタートを切ることになりました。まず、今回の決断をするに至った率直な気持ちを教えてください。
「僕は元々ヒップホップが好きだったこともあって、もっと自分で作品を生み出していきたいという思いが強くて。これまでの活動も自分の中では本当に貴重な経験で宝になってはいるんですけど、環境を変えることで、もっと自分らしさの引き出しを作れるんじゃないか?と考えて大きな決断をしました」
──以前から自分で歌詞を手掛けるなど、音楽面で、とても意欲がありましたよね。
「はい。だから、もっと音楽制作に携わりたかったんです。それもあって、“人生は1回しかないんだから挑戦するぞ!”っていう気持ちになりました」
──1st Digital Single「Go Getter feat. AK-69」も、今おっしゃっていたような“新たな道に飛び込んでいく”という思いが、とても出た楽曲になっていると思います。この楽曲はAK-69さんからの提供曲ですが、ずっと好きなアーティストだったそうですね。
「はい。高校に上がったタイミングくらいでヒップホップを聴くようになったんですけど、そのきっかけがAK-69さんでした。前の事務所にいたときにヒップホップが好きな先輩からプレイリストをもらって…そこから僕もヒップホップが好きになりました。その中でもAK-69さんのリリックのメッセージの強さが一番自分に刺さって。ひとつひとつのワードに惹かれましたし、実際にそれをAK-69さんは体現されている方なんです。「7 Targets」(2006年リリース)という曲で7つの目標を定めて、今年、ライブを見せていただいたときにもおっしゃっていたんですけど、AK-69さんは、それを全て達成しているんです」
──まさに有言実行ですね。
「そうなんです。本当に嘘がないので男として憧れますし尊敬しています。だから、自分もそうやって目標をクリアしていきたいです。そのひとつが、“ヒップホップでメジャーになる”。それが「Go Getter feat. AK-69」でも表現されています」
──ということは、今回の歌詞に関しては、ISSEIさんから、“こういう内容にしてほしい”とリクエストしたんですか?
「いえ。実は歌詞に関して、“こうしてほしい”ということは言っていないんです。ただ、自分はAK-69さんの「Flying B」という曲がすごく好きなんです。だから、“そういうイメージでお願いしたいです”ということは伝えました。そしたら「Go Getter feat. AK-69」が届いたんです。この楽曲、イントロがピアノで始まるじゃないですか。「Flying B」もピアノで始まるので、聴いた瞬間、“うわっ、ヤベエ! エモい!”って思いました。もう、あのイントロでクギ付けになると思います」
──でも、ラップが始まると一気にアグレッシブになりますよね。
「結構ハードなことも言っています(笑)。これもAK-69さんが書いてくださったリリックなんですけど、それが本当に自分の気持ちともリンクしていたんです。それだけに初めて聴いたとき、“これぞヒップホップ!”って思いましたし、“今の自分だからこそ歌える楽曲だ“と思いました。自分が決めた道、軸をブラさずに突き進むことは絶対に大事だと思うので、そのためにもヒップホップをやり続けることが必要だと思っています。もちろん、まだまだ僕のヒップホップのスキルは未熟だと思いますけど、スキルアップは常に考えていますし、そうすることで“こいつ、ヤバイな!”、“本当にヒップホップが好きなんだな!”ってわかってもらえると思っています」
──ヒップホップって、アーティスト自身の味やスタイルが大事ですしね。
「そうなんです。特にラップは、ボーカルレッスンみたいにこうやったらうまくなるというものがないので、自分のスタイルを出していかなきゃいけないんです。だから、日々フロウの仕方やどうやったら面白いパンチラインを残せるか?を考えたりしています。中途半端なことは自分の中でも許せないので、大好きなヒップホップをやるからには、とことんやりたいです。その結果、成功するか失敗するかは自分にもわかりません。でも、チャレンジしない限り成功はないと思っていますし、やらない後悔よりやった上での後悔のほうがいいと思っています。ただ、後悔しないためにも“本気で行くぞ!”と思っているので、この「Go Getter feat. AK-69」をいただく前からAK-69さんの楽曲を聴いて練習していましたし、いただいてからは、もちろんレコーディングまで毎日聴き込みました。」
──たくさん聴くことで、楽曲を身体に沁み込ませたんですね。
「はい。1行1行にAK-69さん特有の言い回しがあるんです。だから、すごく研究しました。それに声の出し方も工夫して…。僕、いつもは結構高いんです。でも、今回は低めに落としてあって、それは今までにはなかったことです。違う自分を出せたんじゃないかな?って思うので、そこは以前の僕のラップを知っている方には新鮮かもしれないです」
──フィーチャリングアーティストとしてAK-69さんも楽曲に参加なさっています。一緒にレコーディングしたんですか?
「レコーディングは別だったんですけど、AK-69さんのスタジオでレコーディングしたのでディレクションはしていただきました。いや~、ヤバかったですね。僕、去年も今年もプライベートでAK-69さんのライブを見に行っているくらい、本当にファンなんです。そんな話や、ヒップホップが好きだということ、僕の気持ちが真剣だということも伝えさせていただいて…。しかも、レコーディング前に楽曲を聴き込んできたこともわかってくださったんです。AK-69さんが楽曲を提供してくださったからには、自分としてもAK-69さんが求めているものをなんとか頑張って表現したかった。それでずっと練習していたので、“よく聴き込んでいるね”と言われたときは、すごく嬉しかったです」
──それだけ敬愛するアーティストにデビュー曲を提供していただけたのもすごいことですよね。
「本当にすごいことだと思います。この楽曲のMVも撮ったんですけど、隣にAK-69さんがいらっしゃったんですよ。僕、“これ現実かな? 夢かな?”って思いました(笑)。いつも客席からステージに立っている姿を見ていた人が横にいるので、ガチファン目線になっちゃいました(笑)。でも、AK-69さんの存在が大きすぎるからこそ、自分もかましにいかないと逆に失礼になる。そう思ったので、今の自分の150%でいきましたし、マックスを出し切れたと思っています」
──AK-69さんのラップも素晴らしいアクセントになっていますね。
「めちゃくちゃカッコイイです! AK-69さんが入ってきたバースのところで、雰囲気がガラッと変わりますから。いろんな意味でいかつい(笑)。本当にスタイルがあるなって思います」
──ご一緒して刺激を受けましたか?
「はい。ラッパーの方とお仕事をするのも初めてでしたし、ラッパーの方にディレクションしていただくことも初めて。だから、自分のスタイルもちょっと変わった気がします。AK-69さんの伝え方って、基本的には“こういう感じ”みたいなニュアンスなんですけど、実際に歌って教えてくださったりもしたんです。すごく丁寧でしたし、“全然いけとるやん!”って言ってくださったりもしたので、勉強になりましたし、嬉しかったです。でも、やっぱりブースに入っているときは、とても緊張しました。“そこにAK-69さんがいるんだからミスれない!”って、すごく集中してやりました」
──すごい経験でしたね。
「一生の思い出です。しかも、それがISSEIとしての一発目の楽曲だったので、本当に記念すべき大切な作品になりました。だから、ひとりでも多くの方に聴いていただきたいです。それに確かにリリックはハードなんですけど、本当に元気がもらえる曲にもなっていると思うんです。何か新しいことに挑戦する人の背中を押せる楽曲なので。例えば、まだ決心できずに悩んだりモヤモヤしている人がいたら、この楽曲を聴いて決断してほしいです。僕が新たな決断をしたっていうこととも結び付いて、絶対に刺さる曲だと思います。たぶん昔から僕を応援してくださっているファンの方の中には、“あまりヒップホップを聴いたことがないよ”っていう人もいると思うんです。でも、そういう人にも聴いてもらって、“いいな!”って思ってもらいたいですね」
──ISSEIさんのラップもすごく聴きとりやすくて言葉がダイレクトに伝わって来るので、すごく響くと思います。
「嬉しいです! 実は練習し始めたときは、なかなか言葉が前に出なくて苦戦していたんです。それで低めな発声にして、リリックを立てること、韻を踏んでいるところも立てることを意識しました。“メッセージを届ける”ってことに一番意識を置いていたので、小節ごとに、“ここはこうしよう”とイメージを自分の中で細かく分けてこだわりました。それにAK-69さんは、とても前に出る方。だから、自分もそうしないと何を言ってるのかわからなくなっちゃうんです。そうなったら元も子もないので、“とにかく届けよう!”っていう気持ちでやりました」
──まさにISSEIさん自身が新たな一歩を踏み出した方なので、楽曲に込めたメッセージにも説得力があると思います。
「僕は、自分で言うのもなんですけど、わりとメンタルが強いんです(笑)。“強い男になりたい”と思って生きているところもありますから。“自分はいけるんだ!”っていう強い気持ちがあれば実現できることも増えると思うので、それをちゃんと体現していきたいです。“悩むくらいならいっちゃえよ!”って思いますし、まさに「Go Getter feat. AK-69」もそういう歌詞になっているので、本当に熱い思いが込められました」
──そして2月28日には「Go Getter feat. AK-69」を1st Single(CD)としてリリース。こちらには「BACK DOWN」、「Siren」(CD初回限定生産盤)、「CRAZY」(CD通常盤)、「GOTCHA」(CD通常盤)が収録されます。どのような楽曲になんでしょうか?
「「Siren」と「CRAZY」、「GOTCHA」は提供していただいた楽曲です。「Siren」は、ひと言で言うとダンスミュージックです。本来はひとりで歌うタイプではない、かなり激しい楽曲なので、一人で3役くらいを頑張ってやりました。ライブで絶対盛り上がる楽曲です。「CRAZY」は、この中では一番ポップ。でも、トラックはちゃんとヒップホップで、ライブの終盤とかにトロッコに乗ってお客さんを煽れるような明るい楽曲になっています。「GOTCHA」は、自分の中でも新しい引き出し。ちょっとR&B寄りの楽曲で、オシャレで大人でセクシーな感じです。サビはキャッチーなんですけど、聴かせる系の楽曲になっているので、僕の新たな面が出ていると思います」
──バラエティに富んだラインナップになっているんですね。
「はい。ヒップホップだけではなく、とても幅広い楽曲が収録されているので聴いていて楽しいと思います。1曲1曲キャラクターが違うので、飽きることがないです。“かぶりがない”っていうのがいいですね」
──「BACK DOWN」は?
「この楽曲は、自分でリリックを書きました。しかも、3回くらい書き直したので、一番時間がかかりました。これはヒップホップのトラックで、1曲の中でいきなりビートが変わるんです。かなり展開がある曲になっていて、その中でガッツリとラップしています。内容は、今の自分が伝えたい気持ちや今後の目標。そういったことをリリックに落とし込んでいますし、フロウではISSEIらしさということを意識しました。だから、「Go Getter feat. AK-69」のときのラップとは、またちょっと違う印象も受けるんじゃないかな?って思います」
──リリックを3回書き直したのも、自分の気持ちをちゃんと表現したかったからですか?
「そうです。最初に書いたのは、少し前だったんです。でも、「Go Getter feat. AK-69」のレコーディングやMVを経て、またいろいろ思いついたりしました。だから、変えて変えて変えてって書いていって、やっと、“これだ!”っていうのが見つかった感じです。韻も踏み倒しているので、楽しみにしていてほしいです。“マジでビビるんじゃないかな!?“っていうくらい納得いく楽曲になったので、「BACK DOWN」も自分にとって大切な曲になりました」
──そこまで1曲にこだわる姿勢も素晴らしいと思います。
「最初にも言いましたけど、今、僕の中にあるのは、アーティストとして活動すると決めた以上、自分でなるべく制作に携わってやっていくっていうことなんです。だから、提供していただいた「CRAZY」、「GOTCHA」、「Siren」に関しても、フェイクやガヤは自分で考えて、“こういうのどうですか?”って提案してレコーディングしました。そうすることで“ISSEIっぽいな”っていうものになると思いますし、そうしないと意味がないと思うので、提供曲でも僕らしさは出ていると思います」
──そして、3月6日、7日に東京ドーム、4月6日、7日に京セラドーム大阪で開催される『to HEROes ~TOBE 2nd Super Live~』にISSEIさんも出演。アーティスト・ISSEIのお披露目の場になると思いますが、どんなパフォーマンスを見せたいですか?
「まだ打ち合わせもしていない(取材時)ので、現状は何も決まっていないんですけど、やっぱりお披露目なので全力を出し切ろうと思っています。今、自分にできることは、この熱さをどれだけステージで出せるかだと思っているので。もちろんクオリティやスキルは、今後もっと求めていかなきゃいけないと思っているんですけど、まずは、“こいつはこういうことが言いたいんだな”っていう熱量を響かせたいです。先輩たちもたくさん出演するので、お客さんも自分のファンじゃない人がほとんどだと思うんです。でも、その中でも“これがISSEIだ!”っていうのを見せたいです。先輩方がすごくパンチのあるパフォーマンスをすると思うので、自分も僕にしか出せないヒップホップのラインで攻めたいです。そうすることで今まで僕を知らなかった人にも顔と名前を覚えてほしいですし、なんなら“この子、いいじゃん!”って言わせたいです。本当に楽しみです!」
──最後に、今後ISSEIとして目指すものや、ファンのみなさんに、これからの自分に期待してほしいことを教えてください。
「今後、自分が目指すのは新たな存在です。今までのファンの方にもISSEIを認知してほしいですし、ヒップホップが好きな人にも認知してもらいたいです。“今までにない存在”って言うか…“こんなやついなかったな!”っていうアーティストを目指していきたいです。あと、自分がリスペクトしているAK-69さんもそうなんですけど、歌とラップの二刀流も目指したいです。両方の武器があるっていうところを見せていきたいので。それでEPにもR&B寄りの「GOTCHA」を収録していたりするので、そこは期待していてほしいですし、これからもっと練習して、さらに引き出しを作っていきたいと思っています。特に最近はソロアーティストが少ないじゃないですか。だからこそ、“やってやるぞ!”って火がつきます」
──そのためにも経験を積むことが必要ですよね。
「はい。だから、どんどんフェスとかにも出たいと思っていますし、ゆくゆくは日本以外の人にも認められるようになりたいです。そうやってアーティスト・ISSEIというものを確立していきます!」
(おわり)
取材・文/高橋栄理子
写真/野﨑 慧
RELEASE INFORMATION
1st Single「Go Getter feat. AK-69」
2025年2月28日(金)発売
初回生産限定盤(CD+GOODS)/TBCT-0750/1,870円(税込)
通常盤(CD)/TBCT-0751/1,320円(税込)
LIVE INFORMATION
to HEROes ~TOBE 2nd Super Live~
公演スケジュール
3月6日(木) 開演18:00 東京 東京ドーム
3月7日(金) 開演16:00 東京 東京ドーム
4月6日(日) 開演18:00 大阪 京セラドーム大阪
4月7日(月) 開演13:00 大阪 京セラドーム大阪
出演
三宅健/北山宏光/Number_i/IMP./ISSEI/CLASS SEVEN/wink first(TRAINEE) /TRAINEE
※wink first(TRAINEE)は両公演、TRAINEEは東京公演のみ出演
※出演者は変更となる場合がございます。