──大ヒットアルバム『GUNDAM SONG COVERS』シリーズのスピンオフ作品『GUNDAM SONG COVERS -ORCHESTRA-』が発売されます。このシリーズの続編がリリースされてとても嬉しいです!

「ありがとうございます! 2022年に『GUNDAM SONG COVERS 3』をリリースしたときに、本当にピリオドのつもりで、最終章として発表したんです。でもその時点でもう早くも“まだまだ歌ってください”、“そう見せかけて本当はこの後もあるんですよね!?”と言っていただくことが多かったんですよ。当時は具体的に考えてはいなかったんですが、その後も求めていただけることに喜びと驚きでいっぱいでした。その声に応えるべく、今作を制作させていただきました。こんなにも鳴り止まないアンコールのお声を頂けるということは、“ガンダムの楽曲は、私たちにとって、本当に永遠の希望なんだな“って再確認したんです。時代が変わっても、様々な形で繋がることができることを実感しました」

──今も、ガンダムはシリーズは制作され続けていますしね。

「そうなんです。今回、「ETERNAL WIND ~ほほえみは光る風の中~」をセルフカバーさせていただいたんですが、作詞作曲をしていただいた西脇唯さんが、1991年当時に、“ガンダムはこれからも絶対に続いていく作品だろう”、“森口さんも、歌手として永遠に歌っていくだろうという想いを込めて、「ETERNAL」というタイトルをつけた“と言ってくださって、嬉しくて号泣してしまったんです。それが言霊となり、今も続き、ずっと愛されていることを今作でも証明できて、すごく感慨深いです」

──今作は、オーケストラアレンジによるスピンオフ作品となります。選曲にはかなり悩まれたのではないでしょうか?

「悩みましたね。普通のカバーとは違って、オーケストラという軸があってのコンセプトだったので、それに相応しい曲を選んでいきました」

──ガンダムの初期作品の曲はもちろん、中島美嘉さんの「FIND THE WAY」が収録されているのも嬉しかったです。

「この曲は、オーケストラ映えしますよね。大勢のストリングスを奏でたときに、イントロの壮大なストリングスから涙を誘う仕上がりになっています。Aメロから粛々と力を抜いてそっと歌っていくんですが、オーケストラだからこそ、緩急をしっかりとつけたり、のびやかで爽やかたおやかな世界を意識したりと、かなり難しかったです。さらに、他の曲もオーケストラに合わせるために、歌い癖をとる作業も大変でした。これだけ長い間、同じ曲を歌っているとどうしても癖が出てきてしまうんです。とはいえ、その癖を全部取ってしまうと、私らしさがなくなってしまうので、いい塩梅で歌うようにしきました」

──特に意識したのはどんな所でしたか?

「「ETERNAL WIND ~ほほえみは光る風の中~」では、最後の<熱い瞳にやきつけて>というフレーズを、オリジナルでは素直に音符通りに歌っていたんです。でも、ライブを重ねていくうちに、音が一度上がる、フェイクっぽい歌い方になっていました。今ではむしろそれが当たり前になっていたんです。そこをつっこまれた事もなく。今回、ボイトレの時に先生に“ここはちゃんとオリジナルに戻した方がファンの人この曲を愛してくれているファンの人達も嬉しいと思います”と、指摘されて、そうだった!と初心に帰ったんです。練習をして譜面通りにレコーディングしました。実は先日、イベントでこの曲を歌う機会があったんですが、そこで練習の成果があったのか、意識することなく、当時の譜面通りに歌えました。すると、終演後にファンの方が“今日の「ETERNAL WIND ~ほほえみは光る風の中~」は、本当に泣きました! オリジナルに戻っていましたね!”と言っていただいて…! ファンの皆さんは、原曲をじっくりと聴き込んでくれていることをもちろん認識していましたが、戻った事に感動してくれている姿に感動しました。アニソンは本当にみんなの心の中に大切に残っていることも再確認しました。それからは、今まで以上にひと言ひと言を大事にしていこうと思いました」

──すごく嬉しいですね。

「本当に嬉しかったです。それに、機動戦士ガンダム30周年のイベントの際に、富野監督は、“歌声や声質が変わることは何の問題もない”と言ってくださったんです。特にデビュー曲「水の星へ愛をこめて」は、17歳の私が歌っているので、どうしても子供の声なんです。でも大人になるにつれ、声も大人になってくるのは当たり前で。それに対しては何の問題もなく、それよりも“その曲をもらった時の新鮮な気持ちを忘れないでほしい“と言っていただきました」

──年齢を重ねるごとに歌は深みを増しますからね。

「そうなんですよね。ファンの皆さんも、私と同じく年齢を重ねて大人になっているので、“歌詞の内容がより伝わってきます”と言っていただいて。私自身も、17歳の時は、歌詞を理解したつもりで、漠然と地球に愛をこめて、“みんなが平和でありますように”と想って歌っていました。でも今になって、より歌詞が哲学的であることに気づいたんです。さらに、10年前に作詞をしていただいた売野雅勇さんとやっとお会いできた時に“Aメロの<蒼く眠る水の星>って、ガガーリンの地球は青かったという写真を見て生まれたんだよ”と教えて下さったんです。それから、“天地創造の世界をこの曲で描きたかった“と言っていただいて、よりこの曲の深みを感じて、歌詞のすべてが美しく深く感じられるようになりました」

──40年の時を超えて、改めてさらにその曲の魅力に気づけることは、本当に素敵なことですね。

「素晴らしいですよね。なので、10年後も、まだまだこの曲の新しい魅力に気づくと思います」

──歌声を聴いていると本当に歌が大好きなことが伝わってきます。歌への想いはどう変化していきましたか?

「子どもの頃は単純に好きで歌っていたんですが、40代くらいから、好きや嫌い、続けたいや続けたくないという次元ではなく、“これは私にとっての幸せな使命だ”と思っています。もちろん人間なのでコンディションがすぐれない日もありますが、歌に生かされていることを感じるんです。そんな日でもステージに上がると、ファンの皆さんから頂く拍手が頓服に! 一気に元気になるんです! きっとテレビ番組での私しか知らない方は、私のライブを観たことはないと思うんですが、1年間でかなりの数のライブをさせていただいて、はじめましての方も、おいてけぼりにしないコミュニケーション満載です。このエネルギーの交換が大好物! ライブは私にとっての生命線です」

──ライブを意識し始めたのはいつ頃からですか?

「私のライブの原体験は、子どもの頃に参加していた、全国放送のちびっこものまね紅白歌合戦でした。小学1年〜6年までそこで生バンドで毎年歌った時に感じた快感が忘れられなくて歌手になったので、もはや生き甲斐であり、譲れない居場所です。だからこそ、音にもすごく敏感になってしまって。今作もレコーディングの後のトラックダウンやマスタリングにも参加して、声とサウンドのバランスまでこだわらせていただきました」

──オーケストラのこだわりのサウンドが堪能できるInstrumental Versionが初回限定盤のCD–DISC2に収録されていますね。

「これが素晴らしいんです! 改めてガンダムソングのメロディーライン以外の美しさも堪能できますよ!こんな旋律が流れていたんだって。それとよく、“モーツァルトを聴くと、自律神経が整う”と言いますよね。私もモーツァルトを自宅でBGMにしていて、すごくリラックスできるんです。今作のInstrumental Versionのオーケストラのサウンドも、絶対にその効果もあると思うんです! ぜひ試してみてください」

──「ETERNAL WIND ~ほほえみは光る風の中~」のMVも、壮大で素敵でした!

「ありがとうございます。この曲は34年前の曲なんですが、当時はMVを制作していなかったんです。だから、ずっと心残りだったんです。それが今になって制作できるということが、すごく感慨深かったです」

──どのようなMVになりましたか?

「清聖で壮大な世界に! オーケストラのみんなさんとのフォーメーションも独特です。特に2コーラス目の終わりから3コーラス目に突入する所が圧巻! その瞬間「おおっ」って声が出ると思います。この曲をリリースした頃はバラエティ番組ばかりのレギュラーを何本も抱えていて、歌手だと思われていないことも多かったんです。そんな時に頂いた曲が「ETERNAL WIND ~ほほえみは光る風の中~」でした。この曲を歌うことで、初めて“森口博子って歌手だったんだ”と認識していただいたメモリアルな曲です。それからたくさんの人とのめぐり逢いが生まれたので、ガンダムと同じように、エネルギーが増幅していく感覚を覚えました。このMVは、そんな私のガンダムとの人生が濃縮された、特別なものになりました」

──森口さんからみて注目してほしいポイントを教えてください。

「MVではドレスを3着、着ているんですが、最初に真っ白のドレスを選びました。それは、歌詞にある<ガラス色の雪>や、平和の象徴、さらには作品でゆりの花がキーワードになっているので、そのゆりを表現したデザインのものなど。そして、3コーラス目では、対照的な真っ赤なドレスが登場するんです。ガンダム F91のモビルスーツに描かれた文字の色、赤を意識しました。それとこの作品には、家族の執着もしっかりと描いているんですが、家族の愛って、いい方向に行けば幸せであたたかいものですけど、歪んでしまうと執着や、とんでもない形になってしまいます。でも根本や最初に存在するのって愛ですよね。その愛は、熱くて、あたたかくて、揺るがないもの。その象徴として、最後に赤いドレスを選びました」

──鳥肌が立ちました…!

「ありがとうございます。今ってMVも最後まで観ずにすぐに飛ばされちゃう時代ですが、この曲は最後まで魅せる力があると手応えを感じています。ですから印象的な赤いドレスも前半に出さずにしっかりと最後までためて3コーラス目に出したんです。そのおかげで大きなインパクトが残せたと思います」

──ぜひ最後までじっくりと見てもらいたいですね。そして、8月からは40周年アニバーサリー・イヤーが始まりますが、どんなことが起きそうですか?

「冬には40周年のアニバーサリーアルバムがリリースされて全国ツアーもスタートします! デビュー曲、機動戦士Zガンダム主題歌「水の星へ愛をこめて」の売野雅勇さんとニール・セダカさんが40年ぶりに再びタッグを組んだ楽曲や、「ETERNAL WIND〜ほほえみは光る風の中〜」の西脇唯さんが書いて下さったそのアンサーソングなど。そして、これまでアニソン以外の楽曲を提供して下さった、数々のアーティストの方々も再集結して下さいました! その全貌は8月に明らかになりますので、楽しみにしていて下さいね。ファンの皆さんと濃厚に駆け抜けたいと思います!」

(おわり)

取材・文/吉田可奈

RELEASE INFORMATION

森口博子『GUNDAM SONG COVERS -ORCHESTRA-』初回限定盤(2CD+Blu-ray)

2025年6月18日(水)発売
KICS-94203/5,500円(税込)

特設サイト

森口博子『GUNDAM SONG COVERS -ORCHESTRA-』通常盤(CD ONLY)

2025年6月18日(水)発売
KICS-4203/3,300円(税込)

特設サイト

EVENT INFORMATION

『GUNDAM SONG COVERS -ORCHESTRA-』リリースイベント

2025年6月18日(水) 東京 池袋サンシャインシティ 噴水広場
18:00スタート
2025年6月19日(木) 東京 タワーレコード新宿店 9F イベントスペース
19:00スタート
2025年6月21日(土) 愛知 プライムツリー赤池 1F プライムホール
[1部] 13:00スタート
[2部] 16:00スタート
2025年6月22日(日) 大阪 くずはモール 南館ヒカリノモール 1F SANZEN-HIROBA
[1部] 13:00スタート
[2部] 16:00スタート

MORE INFORMATION

■ 森口博子40周年記念アルバム 2025年冬発売
■ 全国4都市をまわるコンサートツアー開催決定
・2025年12月20日(土)
【広島】はつかいち文化ホール ウッドワンさくらぴあ 大ホール
・2025年12月21日(日)
【大阪】森ノ宮ピロティホール
・2026年1月10日(土)
【福岡】福岡市民ホール 中ホール
・2026年1月24日(土)
【東京】東京国際フォーラム ホールC
▶チケット販売スケジュール、開場/開演時間、チケット価格など詳細は後日発表

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