──今夏、全国8都市を巡る『GACKT 魔王シンフォニー 2026 -INFINITY- organized by billboard classics』が開催されますが、ここで改めて“魔王シンフォニー”のコンセプトを教えてください。
「ボクはずっとクラシックを軸に音楽をやってきた人間なので、クラシックに対しての恩恵みたいなものはもともと強くて。ロックを始めたのはその後なんですけど、やっぱりクラシックとは違う魅力が、ロックにはあるんです。特に音の違いという意味では、クラシック…ここではオーケストラのことですけど、その場合、一人ひとりが自分の身体を使って音を出し、その音が集合体となってエネルギーが生まれます。それって凄まじいエネルギーで。一方、ロックというのは電気的に音を発生させて(観客に)届けるものじゃないですか。ただ、実際には、その音にプレイヤーのエネルギーそのものが反映されるものだとボクは認識しています」
──どちらもエネルギーが強いものだと。
「そう。だから、そういう音的にも、プレイヤー的にも、共にエネルギーが強いもの同士を融合させて届けることができたら、どういうことになるんだろう?と考えたのが“魔王シンフォニー”の始まりでした。本当の意味で、オーケストラの中にギターやベース、ドラムが入って、アンサンブルとして成立するレベルまで持っていけるのかをテーマで取り組んだのが、この“魔王シンフォニー”でした」
──本当の意味での“ロックとオーケストラとの融合”を実現させるために、GACKTさんがどれほどの試行錯誤をされたのかは、昨年のインタビューの際にお伺いしました。昨年3月に最初の公演を行ったのち、同12月に“THE REVIVAL”として再演。そして、今年7月からは“INFINITY”と題して“魔王シンフォニー”が全国を巡ります。ツアーはもともと予定していたのでしょうか?
「このスタイルに関しては、スタジオに入って実際に実験をしてみないと(ロックとクラシックの融合が成立するのか)わからないので、スタジオでの実験とコンサート会場での実践、この2つをクリアしない限りツアーのことは一切決められない状態でした。なので昨年、テストケースとしてやってみて、“それが具現化できたならツアーとして考えよう”というプランでやっていました」
──満を持してのツアーとなりますが、どのような内容になりそうか、ヒントを教えていただけますか?
「ヒント?(笑)。そうだな…全体の世界観を、タイトルの“魔王シンフォニー”と呼ばれるものにより近付けていきたいんですよ。会場に足を運んだ人たちが、本当に黒ミサの儀式に参加してしまったかのような錯覚を起こすものを作りたくて。もちろん、今は頭の中のイメージを舞台チームと検証しているところなので、どこまで具現化できるかというのはここからまたトライアンドエラーを繰り返していくことにはなるんですけど」
──より没入感がありそうですね。
「そうですね。ボクの中にある世界観って、昔からそうなんですけど、基本的には“ダーク”なんですよ。それって一つ間違うと、ただただ不快なものになってしまうので。でも、そこに美しさが伴い、妖艶さが存在していると、ある種のファンタジーに近い世界観まで持っていけて、まるで映画の中に飛び込んでしまったかのような錯覚を起こせるので。ボクはリアルをやりたいわけではなくて…ボクにしか表現できない不思議な世界を届けたいという気持ちが昔からあって。だから、歌っている内容も、人間ではないものから人間を見て、人間というものがどういうものなのか?という表現をしていたりします」

──『GACKT 魔王シンフォニー 2026 -INFINITY-』では、そういったGACKTさんの美学を追求したステージが堪能できるイメージでしょうか?
「ステージの構成だったり、世界観だったりはそういう感じです。観に来てくれる人たちに対しては、単純に演出的なことだけではなく、音的な面でも感動を与えたいというか…みんなが想像している感動を超えたい、超えなければいけない。そういう、ボクのエゴみたいなものがあります」
──ご自身のエゴですか?
「そう。やっぱり、ロックを聴いているファンの人たちとクラシックを聴くファンの人たちというのは、同じ“音楽”ではあるものの、まったく交わることがないんですよ。要は、クラシックを聴いている人たちからすると、ロックはただ“うるさい”という印象でしかなかったり、逆にロックを聴いてる人たちからすると、クラシックは“眠くなる”的な(笑)」
──否定はできません(笑)。
「だから、言葉を選ばずに言うと、違う宗教みたいなものなんですよ。でも、この“魔王シンフォニー”がロックとクラシックの架け橋になるようなライブになればいいな…と」
──“2026年を音楽に集中する1年”というふうに位置付けされているGACKTさん。現在はワールドツアー『GACKT YELLOW FRIED CHICKENz 〜WORLD TOUR ATTACK OF YFCz〜』中ですが(※取材時)、現在のコンディションはいかがですか?
「初日の東京公演を経て修正しないといけない部分というのは、やっぱりいろいろ出てきていて。ただ、かなりクオリティの高いところまで持っていけています。なんていうか…リハーサルでできていることがそのまま本番のステージで100%できるか?と言ったら、そんなことは絶対にないので。でも、その確率はかなり上がっていて。昔は、リハーサルでどれだけやっても本番での完成度が自分の想像と大きく乖離するところもあったんですけど。そういう意味では、“魔王シンフォニー”を経て得ることができたものがたくさんありました」
──早速そこに還元されているんですね。
「(“魔王シンフォニー”では)ロックミュージシャンが本来やらないことをやっているので。例えば、ロックのライブでステージ上にアンプがないなんて、ロックミュージシャンからしたら考えられないことなんです。でも、ボクらのバンドは今、ステージ上にアンプは1台もないんです。これは“魔王シンフォニー”で得た知識を、そのまま転用させてやっていることです。今回、たまたま若いミュージシャンたち何人かがリハーサルを見たいと言うので見てもらったんですけど、かなり驚いていました」
──アンプがないことにですか?
「それもですし、通常、ステージの上の音というのは爆音なんです。でも、魔王シンフォニーの場合は、バンドの楽器を全てラインで拾ってミックスしてから出力するという方法を取っているため、音が分離していて非常にクリアです」
──その状態がどういうものなのか、まったく想像がつきませんが…(苦笑)。
「これは体験しないと想像できないだろうね(笑)」
──ステージ上の音はクリアだとして、GACKTさんのイヤモニの中はどうなっているんですか?
「ボクのイヤモニの中はカオスですよ(笑)。ドラムもギターもベースもすべてラインでやっているので、ステージ上でそれらの楽器がオーケストラの楽器のプレイを阻害することは何一つないんですけど、ボーカルだけはラインではできないから。ボーカルはマイクで拾うしかできないので、例えばボクが“自分のボーカルの音を上げてほしい”とリクエストした場合、そのマイクで拾ったオーケストラの音も同時に上がるわけです。それだと意味がないので(笑)、オーケストラの音の周波数の隙間だけに抜けるボーカルの音をイコライザーで調整して耳に返しているので、イヤモニの中のボクの声って宇宙人みたいな声です(笑)」
──そうだったんですか…! その状態では非常に歌いにくそうですが、昨年末に拝見させていただいた“魔王シンフォニー”は、GACKTさんの一挙手一投足、爪の先に至るまで緻密に計算されているような美しさが印象的でした。最後になりますが、GACKTさんがパフォーマンスをする上で意識されていることを教えてください、
「そうだな…例えばそういう自分の立ち振る舞いというのは、特別何かを意識してやっているわけではないんですよ。それはMALICE MIZERをやっているときからずっとやり続けてきたことなので。おそらく当時は意識していたんだろうけど、今は無意識にやっていますね」
(おわり)
取材・文/片貝久美子
LIVE INFORMATION
GACKT 魔王シンフォニー 2026 -INFINITY- organized by billboard classics
<開催日時・会場>
①【埼玉】2026年7月14日(火)ウエスタ川越 大ホール 開場 17:00 開演 18:00
②【宮城】2026年7月18日(土)東京エレクトロンホール宮城 開場 17:00 開演 18:00
③【広島】2026年7月26日(日)JMS アステールプラザ 大ホール 開場 16:00 開演 17:00
④【福岡】2026年8月2日(日)久留米シティプラザ ザ・グランドホール 開場 16:00 開演 17:00
⑤【東京】2026年8月11日(火・祝)文京シビックホール 大ホール 開場 13:00 開演 14:00
⑥【東京】2026年8月11日(火・祝)文京シビックホール 大ホール 開場 17:00 開演 18:00
⑦【愛知】2026年8月15日(土)刈谷市総合文化センターアイリス 大ホール 開場 16:00 開演 17:00
⑧【北海道】2026年8月18日(火)札幌市教育文化会館 大ホール 開場 17:00 開演 18:00
⑨【大阪】2026年8月29日(土)東京建物 Brillia HALL 箕面 大ホール 開場 13:00 開演 14:00
⑩【大阪】2026年8月29日(土)東京建物 Brillia HALL 箕面 大ホール 開場 17:00 開演 18:00
<出演>
GACKT
指揮・管弦楽:
①②⑤⑥⑦⑧指揮:米田覚士 管弦楽:グランドフィルハーモニック東京
③④⑨⑩指揮:村上史昂 管弦楽:グランドフィルハーモニック京都
バンド:YELLOW FRIED CHICKENz
<チケット>
一般発売中
1F ブラックダイヤモンド席 100,000 円(前方 3 列保証/特典グッズ付き)
1F/2F ダイヤモンド席 60,000 円(良席保証/特典グッズ付き)
1F プラチナ席 35,000円(良席保証/特典グッズ付き)
1F/2F S 席 18,000 円
2F 以上 A 席 13,000 円
※1 階オールスタンディング席、2 階以上着席指定
(全席指定・税込)
公演公式サイト >>>
RELEASE INFORMATION

『GACKT PHILHARMONIC 2025 - 魔王シンフォニー』<映像作品>
2025年11月12日(水)発売
極-KIWAMI-盤:UCXS-9004/16,500円(税込)

『GACKT PHILHARMONIC 2025 -魔王シンフォニー』<SHM-CD>
2025年7月4日(金)発売
初回限定盤:UCCS-9066/4,950円(税込)
トールサイズ、スリーヴケース&40Pフォトブックレット付

『GACKT PHILHARMONIC 2025 -魔王シンフォニー』<CD>
2025年7月4日(金)発売
通常盤:UCCS-1401/3,300円(税込)
U-NEXT
GACKT ライブ映像を配信中
■ GACKT 20th ANNIVERSARY LIVE TOUR 2020「KHAOS」
2019年の誕生日7月4日に行われたプレミアムバースデーライブの全国ツアー版として2020年1月より開催。その中から東京国際フォーラム・ホールAで行われた公演を収録。
■ GACKT LAST SONGS 2021 feat. K
2021年7月4日に神奈川・よこすか芸術劇場で行なわれたバースデー公演の模様と、撮り下ろしのインタビューを収録。
■ GACKT LAST SONGS 2023 feat. K
シンガーソングライターのKがピアノとボーカルで参加し、そこにストリングスを加えた編成で、ファンからの人気も高いバラード&ミディアムの曲だけで構成されたステージ。
■ GACKT LAST SONGS 2024 feat. K
GACKTがデジタル音源を一切使わずにバラード&ミディアム楽曲を贈るプレミアムライブ








