──先日リリースされた新曲「Only One feat. yoonmirae」。フィーチャリングに迎えたyoonmiraeさんとは古くからのお知り合いだったとか。
「そうなんです。初めて会ったのはたしか2010年とか2011年くらいで、そこからは長い間、直接会っていなかったんです。でも、繋がってはいて。それが一昨年、ソン・シギョンさんのコンサートにお互いゲストで出演していて、“えー! 超久しぶり!”ってなって(笑)。それがきっかけでスタジオに行かせてもらって、初めてお互いのことをいろいろ話をして…そのときに“いつか一緒にできたらいいね”という話はしていて、あとはタイミングだけだったんです」
──そうだったんですね! 今作、「Only One」はフィーチャリングありきで制作されたのでしょうか?
「いえ、この曲は2年前に録音していました」
──えっ!? もともと制作していた楽曲にyoonmiraeさんのラップが追加されたという流れだったんですね。「Only One」という楽曲自体はどういう経緯で誕生したんですか?
「2年前から韓国に行く回数を増やしていて、そこで紹介してもらったプロデューサーのBXNとKeebombと音楽の話…“自分らしいサウンドを作っていきたいステージなんだよね”という話もしていました。デビュー当時のサウンド、R&Bの感じが“クリスタル・ケイっぽい”と思っていて、その大人バージョンというか、今の私がやる“CKサウンド”を確立していきたくて。そういう話をしたうえで、彼らがこの曲を出してくれたんです」
──そういったリクエストを汲み取ってくださっての制作だったんですか?
「実はこの曲、既に彼らが作っていた曲なんです。“できたばかりだよ”と言っていて、しかもT.Kuraさんと作っていた曲だったんです」
──T.Kuraさんと言えば、「Ex-Boyfriend」や「Girl U Love」などクリスタル・ケイさんのキャリアを語る上では欠かせない存在…すごいご縁ですね!
「そうなんです。しかも、プロデューサーの2人は私より少しだけ年下なんですけど、“J-POPが大好きで、m-floとかクリスタル・ケイをめっちゃ聴いていた”と言っていて。初めてこの曲を聴かせてもらったときはT.Kuraさんが参加しているとは知らなくて、“実は…”と言われて、“ええ〜!?”って(笑)。“だから自然としっくりくるんだ”と思いました(笑)。彼らも“この曲は絶対にクリスタルに合う”と思ったらしく、他にもいくつか候補曲はあったんですけど、一番ピンときたこの曲に決まりました」
──リリックには今回、英語、日本語、韓国語が入っています。
「せっかくだから(笑)。3か国語を歌詞に入れるのは初めてだったんですけど、“ここ、韓国語で歌うとよくない?”って韓国語を教えてもらったり、日本語も“こんな感じで入れたらどう?”みたいな感じで。韓国語の部分は、少し早口ですけど誰が聴いてもノレて、わかりやすくてキャッチーだし…というような感じで、みんなで決めていきました」
──2年前の時点でそこまで完成していて、そこからyoonmiraeさんへのオファーというのはいつぐらいに?
「去年の年末です。ずっと“誰がいいかな?”という話はスタッフともしていました。“意味があるもの”にしたいと思っていて、誰でもいいわけではなくて、フィーチャリングする意味を考えたときに、同じくらいのキャリアがあって、やっぱり重みがあるというか…。そんなときにTASHA(yoonmiraeの別名義)…あ、私はyoonmiraeをTASHAって呼んでいるんですけど、彼女の存在感やラップ、もちろん2人のバックグラウンドも含めて、“この曲は絶対にTASHAとやるべきだ”と思って、勇気を振り絞って連絡しました。そしたら、“なんでもやるよ!”って言ってくれて!」
──ラップ・パートをお願いするにあたってリクエストしたことはあるのでしょうか?
「全部お任せでした。彼女からは、“こういうビートでラップしたことがあまりないから、何回もやったけど本当にイヤだったら使わなくていいからね”と言われたんです。でも、届いた音源を聴いたら、“何、言ってるの! めっちゃカッコいいやん!”って(笑)。聴いた瞬間、鳥肌でしたし、曲が一気に仕上がったというか…」
──足りないパーツがハマった感じだったんですね。
「そうですね。すごく嬉しかったですし、信じられませんでした。“いつかやろうね”で終わってしまうのかな?と思っていたら、このタイミング…韓国のクリエイターたちと作っていて、そこにT.Kuraさんもいて、というスペシャルなタイミングだったので、このプロジェクトは本当にご縁に恵まれたと思います」
──そういう意味では、韓国で撮影したMVもそれに値するのでは?
「まさしく(笑)。まさかの韓国撮影で、しかも知り合いの知り合いでZANYBROS(韓国の著名な映像製作会社)がやってくださることになって」
──やっぱり2年前から渡韓していたことがそこに繋がっているのですか?
「それもあります。韓国でも“チームCK”なるものもできてきているんです(笑)。で、今回MVを監督してくださったキム(・ジュンホン)さんも本当にいい方で、コンセプトとかをしっかり考えてくれて。最初は“少し恋愛っぽい感じも面白いかな?”と思って、提案したんですけど、キムさんは、“せっかく韓国で撮るのであれば名所っぽいスポットをフィーチャーしながら街の中を歩いて、Only One…自分を探すのはどう?”って」
──MVを拝見して、楽曲の聴こえ方がガラリと変わりました。ラストのシーンで“え? ちょっと待って!?”って、もう驚いてしまいました。
「そう。“恋愛”というアプローチではなくて、探していたのは実は“自分”だったっていう。キムさんとは私のバックグラウンドの話とかもいろいろして、彼なりに考えてくれた結果、すごく愛を感じる作品にしてくださったので、本当に感謝しています」
──監督からの提案を受けて、クリスタル・ケイさん自身も「Only One」の聴こえ方が変わったりしましたか?
「変わりました! 私もリスナーみたいな感じでした(笑)。レコーディングしたときも、“素敵なラブソングだな”という印象だったんですけど、でも、大きく見ると深いところにもいける曲で。私にしか出せない唯一無二のアイデンティティとか…」
──ラストシーンに出てくるもう一人の自分は、クリスタル・ケイさんにとってどんな存在だと思いますか?
「“本当の自分”かな? ハイヤーセルフ的な。それは、新しい自分でもいいし、これからの自分でもいいし。ベストバージョンの自分だと思います」
──そのコンセプトを知ると、MVの中で見せているクリスタル・ケイさんの表情がすごく印象的に思えます。髪型のせいもあるのかもしれないですけど、無邪気な少年っぽく見える感じもありますし、逆に大人っぽく見えるところもあって。これまであまり見たことがないクリスタル・ケイさんの表情だと思う部分がたくさんありました。
「新鮮ですよね。メイクも韓国の方にしてもらったんですけど、韓国スタイルって本当にナチュラルなんです。つけまも着けていないですし、ファンデーションもほとんど塗っていないから、裸でいるみたいな感覚でした(笑)。でも、髪の毛も含めて“ナチュラル”っていうこともすごく意味があって…40歳になって、“自分のすべてを受け入れる”というのもあります。ブラックカルチャーでも、白人社会に合わせて髪をストレートにするという歴史があるんです。だから、ナチュラルでいくと、みんなが“イェーイ!”ってなります。“自分に誇りを持っている”というシンボルでもあるので。そういう意味では今回のジャケット写真も、今までにない感じ…でもナチュラルな私なので、とても好きです」
──MVにはyoonmiraeさんも出演されています。一緒に撮影に臨まれていかがでしたか?
「“やっと2つの世界が一緒に重なった”みたいな不思議な感覚でした。TASHAはテレビにも出ないし、“こういうの、あまりやらないんだよね”と言っていましたけど(笑)。私が“自分”を探している途中であの窓があって、その中にTASHAがいて、お互い見つめ合う。私とTASHAが同じ境遇で、同じアイデンティティで、どこかリンクする部分をああいうふうに描くって…“やっぱりキムさん、素晴らしい”と思いました。」
──しかも、ガラス越しに見つめ合った次のシーンで2人が同じ空間にいて! そこも象徴的ですね。
「ね! そこもすごく考えてくれていて。ありがとうの気持ちでいっぱいでした。撮影自体は1泊2日で、TASHAとは初日の夜、2〜3時間くらいの撮影時間であっという間でした。でもすごくスムーズに、楽しく撮影できて。見つめ合うシーンとか、2人で吹き出しちゃって(笑)。最後、笑っちゃったシーンも使われてるんですけど(笑)。いいご縁のプロジェクトを映像に収められて、とても嬉しいです。このMVを私たちと同じ、いろんなミックスカルチャーの子たちが観て何かを感じてくれたら嬉しいです」
──今回、満を辞してyoonmiraeさんとご一緒されて、刺激を受けたことはありましたか?
「やっぱり、“さすがだな”と思いました。だって、本当にメールのやりとりだけでこのラップが上がってくるんですよ(笑)。だから、アーティストとして揺るがないものがあることは、レコーディングでもそうですけど、MVを撮影しているときも感じました」
──クリスタル・ケイさんにとって、yoonmiraeさんは憧れる存在ですか?
「そうですね。少し年上なので、本当にお姉ちゃんって感じです。私もあんなふうにカッコいい姉御になりたいです。彼女もBIBI(韓国の人気シンガー)のプロデュースとかですごく活躍されていて、私も、もちろんずっと歌い続けますけど、次の世代の子たちをアシストするとか、プロデュースするとか、そんなことをしていきたいと思いました」
──韓国チームからの刺激はどうでしょうか?
「感じ方とか見方が深いところはあるかもしれないです。表面的なことだけではなくて、私が持っている良さとか要素をキャッチするのが早くて。あと、イケイケそうに見えて、みんなすごく真面目(笑)。レコーディングしているときもすごく細かくて。歌とかアートに対する取り組み方がすごく情熱的で、昔に戻った感じがしました」
──「Only One」の歌声は、これまでのクリスタル・ケイさんにはないテイストだと思ったんですけど、それも韓国チームからのディレクションですか?
「そうです、そうです。 “もっとソフトな感じで“って、とても細かかったです。でも、嬉しい。逆にそういうのが欲しくて…私、結構1人でディレクションしてることが多いので(笑)」
──周りもなかなか言いにくいでしょうし(笑)。
「そう(笑)。言ってほしいんですけど(笑)。ディレクションしてほしいですし、新しいものを引き出してほしいです。だから、新しい人、情熱がある人と仕事するのがすごく楽しいです」
──韓国のプロデューサーの方々がその刺激を与えてくれたんですね。
「そうなんです。でも、それはもしかすると、私が半分韓国人なのもあると思います。自分たちと同じ血が入っていると応援したくなるのって、多分、どこの国の人にもあると思うんです」
──それは昨年行われた全米ツアー『CK25 THE TOUR』でも感じました?
「はい。アメリカでライブをしたときも、来てくださったファンの方たちの95%くらいが黒人だったんですけど、“私たちをレペゼンしてくれてありがとう”というコメントをたくさんもらったので。“She’s one of us(彼女は仲間だ)”というのがあるのとないのとでは、繋がり方は違うのかもしれないです」
──自分の“ホーム”が増えた感じでしょうか?
「とても素敵な言い方ですね! そう、ホームが増えた気がします」
──今後は海外でどんどん活動したいという気持ちもありますか?
「チャンスがあればしていきたいです。やっぱり昨年のツアーがとても楽しかったですし、“こんなにたくさん聴いてくれている人がいるんだ”というのがわかったので。「Only One」も、アジアっぽいけど洋楽っぽい感じで、どの国の方が聴いても入り込みやすい曲に仕上がっているので、どんなふうに聴かれていくのかがすごく楽しみです!」
取材・文/片貝久美子
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