──デビューからついに35周年を迎えた今の心境を教えてください。
上地 等「実は、実感があまりないんですよ。でも、35周年を記念した日本武道館で開催した『さにしゃんサンゴ SHOW!!』にたくさんのお客さんが集まってくれて、さらにBEGINの歌をみんなで歌っているシーンを見たときに、さすがに“これが35周年なんだな”って思いました」
島袋 優「35年って、すごく長い年月だとは思うんですが、僕もあの日の日本武道館で、“3人でずっと好きなことを続けてこれたのは、ファンのみなさんが応援してくれていたからなんだ“と、改めて感じました」
比嘉 栄昇「僕たちが“イカ天”(『三宅裕司のいかすバンド天国』)に出場させてもらったのが1989年だったので、デビュー前からテレビに出させていただいていたんです。当時は、自分たちが小さな石垣島から3人そろってデビューするということはありえないと思っていたので、デビュー後に凱旋ライブをしたときに、空港でファンの方に見守られながら自分の親から花束をもらった時はすごく嬉しかったです。ただ、デビューから35年が経って、石垣島で暮らしている今、普通にホームセンターにいてもとくに話しかけられるわけでもなく、当たり前の存在になっているので、“あの時との差はなんだ?”と思うことはありますけどね(笑)」
一同「あはは!」
──そして、7年ぶりとなる待望のアルバム『太陽』が完成しました。どんな想いで制作されたのでしょうか?
島袋「今回は僕たちのルーツである石垣島で3人、顔を合わせて3カ月にわたりじっくりと制作に打ち込みました。ここまで長い間、石垣島にいたことが僕は久しぶりだったので、すごく新鮮でした。石垣島って、いるだけでパワーを感じるんです。“MADE IN 石垣島”、“MADE IN八重山”と胸を張って言えるアルバムになりました」
上地「石垣島にずっと住んでいる栄昇からすると、すべての作品が“MADE IN石垣島”だとは思うんですが、他の場所に住んでいる僕と優は、石垣島で素材を集めて作ったようなアルバムだと思っているんです」
比嘉「僕が石垣島に帰ったのは、家族と一緒に暮らしたかったからなんですが、なによりも、「島人ぬ宝」や「涙そうそう」、「三線の花」を歌っている人として、相応しい人間でありたかったんです。結果的に、“僕にとって、石垣の暮らしで培うバランス感覚があるからこそ、全国のライブ会場に行けるんだ“と言う実感を持つこともできました。それに僕らはいつも“せーの!”で一発録りをするんですけど、石垣島でレコーディングをすると、テンポが変わるんですよ」
島袋・上地「そうそう!」
比嘉「メトロノームを使わないので、演奏する場所や空気感でテンポが変わってくるんですよ。「なんくる君であれ」などのゆったりとしたテンポの曲は、都会では録れなかったと思います(笑)」

──アルバム『太陽』収録曲の中で、それぞれの思い入れが強い曲を教えてください。
上地「僕は石垣島を開拓した話を、親父から聞いていたんです。その人達の想いを写真で見たり、聞いたりして行くうちに、“曲にしたい”と思って「開拓者」を作りました。この曲で、日本中のみなさんにこういった歴史があったことを少しでも紹介できたのなら意味があることなのかな?と思っています」
島袋「等の家庭環境も知っていたので、“お父さんや家族の歌だな”とすぐにわかりました。お父さんのこともよく知っているので、念願が叶って、こうして曲になったのはすごく良かったです」

島袋「僕は「沖縄Sunshine Day」を作りました。沖縄本島に引っ越して12年目になるんですが、それまではずっと東京に暮らしていました。その当時は、沖縄に帰ると、友だちにもてなしてもらっていたんですけど、沖縄に住んでいる友達に対して、ずっと“羨ましい”という、嫉妬に似た気持ちがありました。自分が生まれ育った場所に帰っているだけなのに、みんながいきいきしているように感じていて…。それもあって、12年前に沖縄に戻って来て、上京した友だちを迎える側になって、“当時のみんなはこんな気持ちだったんだ”と気づいたんです。沖縄の良い所を伝えるために、こんなことをしてもらいたい、いろんなところに行きたい、そう思いながら行動している時に、晴れた空を見上げると、すごく気持ちが良いんですよ。その時の気持ちや、“お前とドライブをするのは本当に最高だよな”という気持ちを歌にしました。最高にご機嫌な曲です」

比嘉「今回、僕は“真っ直ぐに伝える”ということをテーマに曲を作りました。BEGINって、年代によってサウンドも違いますし、その時々に感じたことを曲にしているので、どんどん変化しているんです。だからこそ、この曲の続きはどうなっているのかな?ということを考えて作っていきました」
──ちなみにどの曲になりますか?
比嘉「1992年に作った「この街はなれて」の続きとして、「ただ雲になる」を作りました。歌って不思議なもので、完成した歌の中にはしっかりと世界観が出来るからこそ、“ずっとその中にいたい”と思う時があるんです。“ファンのみなさんを、そんな世界観にお連れしたいな“という想いから制作していきました。ただ、どれだけの人が気づくかわからないですけどね(笑)」
──そして6月28日には『沖縄からうた開き!うたの日コンサート2025 in 那覇』が開催されます。
上地「今回は“沖縄からうた開き!”ということで、歌力のある方に集まっていただきました。その歌声をいろんな人に聴いてほしいですし、たくさんの人に見てもらいたいですね」
島袋「25回目にして1回目以来のの那覇での開催となります。25年前と比べると、規模もものすごく大きくなっているんですが、決して大きくしようとしてこのイベントを始めたわけではないんです」
比嘉「単純に“うたのお祝いをしよう”というイベントなので、そこに人種も宗教も、政治的なことも存在しないんです。ただ、いつもそばにある“うた“に対して“ありがとう”を言おうという日を作りたかったんです。この日に、“あなたにとってのうたは何ですか?”ということを感じてもらえると嬉しいです」
──9月からはホールツアーが開催されます。どんなライブになりそうですか?
比嘉「7年ぶりのオリジナルアルバム『太陽』をひっさげてのツアーになるので、セットリストに悩んでいます。新曲も演奏したいですし、ライブから外せない曲もありますし…。ファンの方も、若い人もいれば、年齢的に、今回のライブが最後になるかも…という方もいらっしゃるんですよ。いつか僕たちもそうなる日が来るからこそ、みなさんが聴きたい曲を演奏したいんです。…でも、今回は35周年というアニバーサリーイヤーということもあり、甘えさせていただいて、新曲を多めに届けたいと思っています。その分、テンポも速くしようか?(笑)」
一同「あはは!」
──お話を聞いていると、BEGINのみなさんの仲のよさをとても感じられますが、35年間、ずっと続けられている秘訣を教えてください。
比嘉「難しい事ではないんですよ。ただ同級生と一緒にいるだけなので(笑)。それよりも、沖縄に帰るとか、うたの日コンサートをやり続けるとか、そういったわがままを言い続けているのにずっといさせてくれる今の事務所のおかげだと思います(笑)」
一同「あはは!」
比嘉「以前、罪悪感がありすぎて“僕たちをクビにしてください”って言ったんです。でも、クビにすることなく自由にやらせてくれているので、本当に感謝しています。なので、これからも自由に、楽しく続けていきたいですね」

(おわり)
取材・文/吉田可奈
RELEASE INFORMATION

BEGIN『太陽』通常盤
2025年7月2日(水)発売
AMEJ-1002/3,500円(税込)

BEGIN『太陽』初回限定盤(CD + Blu-ray + 32Pフォトブック)
2025年7月2日(水)発売
AMEJ-1001/8,800円(税込)
数量限定生産 アスマート限定スペシャルセット(CD + Blu-ray + 32Pフォトブック + “太陽“オリジナルグッズ フード付き冷感タオル)/AMEJ-1003/10,350円(税込)
- 先行配信情報
- アルバムから先行配信中
「なんくる君であれ」 >>>
「太陽」 >>>
LIVE INFORMATION

沖縄からうた開き!うたの日コンサート2025 in 那覇 supported by 第一興商
日程:2025 年6 月28 日(土)
時間:開場12:00 / 開演14:00
会場:奥武山公園 陸上競技場
会場住所:沖縄県那覇市奥武山町45
出演:BEGIN / 森山良子 / 川中美幸 / 中村耕一 / エルボーズ / 宮良あゆみ
ゲスト出演者:宮城姉妹 / Na lei aloha i kamakani / 琉球國祭り太鼓 / 創作舞踊集団「琉球美やらび」
司会:きゃんひとみ
チケット料金:一般:7,000 円(税込) / 高校生:3,500 円(税込)
※未就学児・小中学生は入場無料
- BEGINの35周年を彩る全35公演 全国ホールコンサートツアー開催決定!

BEGIN 「さにしゃんサンゴSHOW!!」 〜35年目の音楽旅団ツアー〜
[2025年]
9月19日(金) 東京・かつしかシンフォニーヒルズ モーツァルトホール
9月20日(土) 神奈川・小田原三の丸ホール
9月23日(火・祝) 新潟・りゅーとぴあ 新潟市民芸術文化会館 劇場
9月27日(土) 静岡・静岡市清水文化会館マリナート大ホール
9月28日(日) 三重・イスのサンケイホール鈴鹿(鈴鹿市民会館)
10月3日(金) 石川・金沢市文化ホール
10月4日(土) 長野・長野市芸術館 メインホール
10月11日(土) 鹿児島・宝山ホール(鹿児島県文化センター)
10月12日(日) 宮崎・日向市文化交流センター 大ホール
ほか、全35公演。
詳しくは、ツアー特設サイトへ。
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BEGIN 35周年記念公演「さにしゃんサンゴSHOW!!」
BEGIN約15年ぶりとなる日本武道館単独公演の模様を映像化!
※視聴可能デバイスに関してはこちらをご確認ください
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