――2021年はお二人にとってどんな年でしたか?
HAYATO「2021年というか、コロナ禍になってから全体的には制限がいっぱいあって。ライブもオンラインだったり、有観客になっても声が出せなかったり、楽曲のリリースも配信がメインになったりと、変化がめちゃくちゃあったなと思います。でも、逆にそこからSNSをより頻繁に更新するようにもなって」
――TikTokのフォロワー数が日本人音楽アーティスト1位になったことも話題になりましたね。
HAYATO「やっぱりそれが一番大きな変化で。TikTokが一つの話題として取材が増えたり、特集を組んでいただけたり、番組に出演できたりっていうのが少しずつ増えてきたので、すごくいい方向にシフトできた1年だったのかなって思います」
――EIKUさんはいかがですか?
EIKU「今HAYATOが言ってくれたこともそうなんですけど、今年は画面をいっぱい見たなって思います」
HAYATO「確かに」
――画面を見た?
EIKU「YouTube配信からインスタライブ、個人ファンクラブ「+KIRARI」での配信など、いろんなことで画面をずっと見ていて。プライベートでもメンバー同士でビデオチャットを繋げたり、人狼をやったりしていたので、カメラを見ることの多い1年でした(笑)。でも、それが活かされる場面もあって。先月、中野サンプラザで行ったライブでは映像もたくさん使ったので、表情を意識することとかも自然とできるようになった気がします」
――それぞれ手応えを感じた1年だったんですね。そんな2021年を締めくくる楽曲が、今回の「We Just Don’t Care」。今年配信リリースされた「L.O.C.A」や「Video Chat」とは、ひと味もふた味も異なるバラードであることが印象的でした。
HAYATO「僕たちはもともと強めのサウンドの楽曲やメッセージ性を込めた楽曲が多いというか。例えば「Video Chat」も、こういう状況になって、会えない分“ビデオチャットを通して一緒に楽しもうよ!“みたいな、時代に沿った楽曲を届けてきたんです。その中で、今回のようなバラードを表題曲として出すのは初の試みとなるんですけど、やっぱりコロナ禍で落ち込んだり、先が見えなくて不安になったりっていう方もすごく多いと思うので、僕たちがこの楽曲で背中を押してあげたいなって。なんか、こういう気持ちって、普段配信などを通してSWAG(ファンの呼称)の子たちと接するなかで感じてきたことだったので、それが今回の楽曲を通して少しは伝えられるかな?と思っています」
――先が見えなくて不安になることは、SWAGの方々だけでなく、みなさんにもそういう時期があったと思います。「We Just Don’t Care」の歌詞で特に刺さるフレーズなどはありましたか?
EIKU「正直、全部がすごく刺さるんですけど、Aメロで僕が歌ってる<摑めそうな全てが思うよりも遠くて/見れない夢になってく>ってところは特にきますね。コロナ禍で色んなことが制限されて”この先どうなるのかな?”って不安になることもあって。これまで活動していく中で、先が見えなかった時期もありました。この楽曲は今までの自分たちの経験も含めて表現できるので、歌っていても最初のイントロから楽曲に入り込めますね、自分たちが体験しているからこそSWAGのみんなにもより伝わるかなと思います」
HAYATO「今回、サビの部分に<綺麗じゃなくたって>とか<一番じゃなくたって>っていうフレーズが出てくるんです。初めて聴いた時、すごくいい曲だなと思ったんですけど、そこがちょっと引っ掛かったんですよね。僕たちはこれまで、「Category」って曲では<Number oneじゃなきゃ fake, fake, fake>と歌っていたり、強気な曲が多かったので。こんなに弱気というか、本音の部分が出てきていいのかなって……」
――自分たちがこれまで歌ってきたメッセージとは違ってしまうんじゃないか?、と。
HAYATO「そうなんです。でも、今の世の中の状況も含めて考えると、<全てが思うよりも遠くて>や<いつの間にかボヤけ始めた夢>も本当その通りだと思うし、僕らも活動し始めた頃は自信に満ち溢れていたけど、現実はそううまくいくことばかりじゃなくて、そういう気持ちになることも、特にこの1年はたくさんありました。なので、この曲を通して僕らの本音を知ってもらえたら。その上で、ありのままの自分を受け入れる。<自分を愛せば 笑い合えるさ>ってフレーズが、僕は大好きなんですよ。コロナ禍になってSWAGとの距離もより近付けた気がするので、そういう弱い部分も認め合ってじゃないですけど、お互い支え合っていきたいなって思いました」
――この曲は先日のツアー(「ONE N’ LIVE 〜Supreme One 2021〜」)でも披露されていましたが、リリース前の楽曲をステージでやる時の気分ってどんな感じなんですか?
EIKU「僕は楽しみでしたね。特に今回はいつもと違う振付師さんが振りを付けてくれたので、また違ったワンエンの良さが見せられるような気がしたので」
HAYATO「バラードの割にサビでは力強く踊っているのが見どころです。それに、全員で踊るところってサビだけなんですよ。他のところはストーリー調というか、振付けというよりコンテンポラリーに近い感じで、僕らが今まで歩んできた道のりを振り返るようなものになっていて。今までやったことのないような振りが新しいし、サビの部分では僕らの力強い感情を受け取ってもらえたらと思いながらパフォーマンスしました」
――新しいといえば、全身真っ白の衣装も。
EIKU「これまでが黒い衣装ばかりだったので、最初は僕らも違和感というか、“白!?”っていう感情になりました(笑)。でも、今回の楽曲には、こういう白が合うのかなって」
HAYATO「見てる方もそうだと思いますが、着ている僕らも新鮮です」
EIKU「もうだいぶ見慣れてきたけどね(笑)」
HAYATO「ライブの時も、アンコールにこの衣装でステージに出たら、ちょっとザワザワしてて。やっぱりそうなるよねって(笑)。でも、こういうワンエンもいるんだってことを見せられてよかったです」
――ところで、今回のインタビューはメンバーにペアでお話をじっくり伺う企画です。最初に着席された時、お互いに“よかった”と言ってましたが、その理由は?
HAYATO「この2人はいつも遠征先のホテルの部屋が同じなんです」
EIKU「毎回一緒だよね」
HAYATO「かなり前からだから、家族の何倍も一緒に過ごしてます」
――お互いにしか見せない姿って何かありますか?
HAYATO「何だろう……。最近よく言われるのは、“アラームがうるさい!”とか」
EIKU「そうそう、この間のツアーの遠征でも、集合時間が8時だからって6時にアラームをかけてて。でも、起きないんですよ。5分おきくらいにアラームが鳴って、最終的に7:30に起きるっていう。意味わかんない(笑)」
HAYATO「不安だから(アラームを)かけたくなっちゃうんですよ」
EIKU「すぐ消すのに(笑)。“起きたいの?起きたくないの?どっち?”みたいな。あと、“最近は曲を流しながらじゃないと寝られない”とか言い始めて。別に小さな音で流すなら問題ないんですけど、結構大きな音量だし、めちゃめちゃ寝るの早いんですよ」
HAYATO「本当、30秒ぐらいで寝ちゃうんです」
EIKU「でも、変わらず音楽が流れてて。僕はそんなに寝付きがいいほうじゃないので、“うっせぇなぁ”と思いながらも寝ようとしたんですけど、途中からヒップホップが流れてきたので、仕方なく音量を下げにいきました」
――騒音被害が(笑)。
EIKU「本当、HAYATOの騒音被害はひどいです(笑)」
――逆にHAYATOさんからEIKUさんに対して思うことは?
HAYATO「EIKUは遠征先でライブ翌日に帰るときとかによくあるんですけど、ライブが終わってホテルに戻っても、疲れてお風呂に入らないまま寝ちゃうんですよ」
EIKU「ワンエンTV(ONE N’ ONLYのYouTubeチャンネル)に上がってるよね」
HAYATO「みんなにイジられ続けてるよね(笑)。でも、この間のツアーでも寝ちゃって、“おい、EIKU起きろ!”って起こすんだけど、“30分寝る”とか言って全然起きない」
――寝付きは悪いけど、1回寝たら熟睡するタイプなんですね。
EIKU「1回寝たら起きないですね(笑)」
HAYATO「本当そう。だから、寝起きも結構悪くて、ずっと怒ってる」
EIKU「嘘!?」
HAYATO「起こしてあげてるのに機嫌が悪い(笑)」
EIKU「それは無意識だった〜」
――2人でいるときに音楽の話やグループの今後についても話したりしますか?
HAYATO「たまにありますね。EIKUとは歌やダンスの話も結構深いところまでできる印象があって。EIKUって歌もダンスも楽器も、何でもできるんですよ。細かい質感まで話せるのはすごく楽しい」
EIKU「今回の「We Just Don’t Care」についても、声のニュアンスからダンスの質感まで、めちゃめちゃ話したよね。特にダンスに関しては、HAYATOって振りを教えるときに“バスッ”とか“ブンッ”とか擬音で表すんですけど、僕もそういうタイプなのでわかりやすいというか」
HAYATO「フィーリングが合うんだよね」
――お互いのことをよくわかり合っているからこそ思う、今回の楽曲のそれぞれの聴きどころは?
HAYATO「EIKUが担当しているこの曲の歌い出しはすごくいいなと思いました。EIKUは高音もいいけど、個人的にはEIKUの中音域がすごく好きなので。そのとき僕は隣で踊ってるんですけど、EIKUを見るとめっちゃいい顔して歌っているので、ぜひ注目して欲しいなと思います」
EIKU「HAYATOは今まで声をがならせるとか、攻撃的にラップをしてるイメージがあると思うんですけど、今回はそうじゃなくて、息遣いも含めてすごく繊細に表現していて、それがすごいなって思います」
――HAYATOさん、すごくうれしそう。
HAYATO「それはもう、うれしいです。EIKUの歌は自分がラップをやる前からずっと聴いてきて、影響を受けたというか、真似して歌ったりもしていて。この曲のラップもメロディっぽく歌う部分もあるので、EIKUにそう言われるとめちゃくちゃうれしい」
EIKU「特に<SO, We just don’t care>の“SO,”の部分、エッジが効いててすごくいいので、ぜひ聴いてみてください!」
(おわり)
取材・文/片貝久美子
写真/野﨑慧嗣
(次回更新はTETTA×KENSHINの登場です!)
ONE N’ ONLY「We Just Don't Care」