USEN MUSIC AWARDとは?
日本最大シェアを誇る音楽配信事業者である株式会社USENが、創業60周年を迎えた今年、従来の「年間 USEN HIT ランキング 表彰式」を一新。「USEN MUSIC AWARD」として開催することになった。
コロナ禍中の新しい日常に勇気を与えてくれた曲、心の支えになった曲、いつも寄り添ってくれた曲、音楽シーンを牽引してきたアーティストを讃えるというアワードの模様をレポートする。
「USEN MUSIC AWARD」は5つの部門から構成されており、2021年を通じて日本中の商業施設や公共施設、飲食店で"街鳴り"した楽曲を、USENでのオンエア実績、リクエストデータなどを基に集計した「2021 年間USEN HIT ランキング」のJ-POP、洋楽、演歌/歌謡曲各部門1位のアーティストと、新設された「USEN ARTIST OF THE YEAR」アーティスト、そして「USEN 創業60周年記念特別表彰リクエスト累計1位」アーティストに贈られる。
2021年12月10日、記念すべき第1回となる「USEN MUSIC AWARD 2021」の舞台はBillboard Live TOKYO。多くの音楽関係者、プレスを招いての開催となった。
MCの赤坂泰彦が開幕を告げ、続いて株式会社USEN-NEXT HOLDINGS代表取締役社長CEOの宇野康秀が登壇。リクエスト文化に支えられたUSENの音楽放送の意義、そしてアワードの趣旨と、音楽によって日々の生活を豊かにしてくれるアーティストやクリエイターへの賛辞を述べた。
2021 年間 USEN HIT 洋楽ランキング
さて、ここからは各部門のアワードの発表の様子を順にお伝えしていこう。
「2021 年間 USEN HIT 洋楽ランキング」1位に輝いたのは、ブルーノ・マーズ、アンダーソン・パーク&シルク・ソニックの「リーヴ・ザ・ドア・オープン」。
シルク・ソニックは、日本でも大人気のブルーノ・マーズと、シンガー・ソングライター、ラッパー、そしてドラマーというマルチな才能を持つアンダーソン・パークによるスペシャルユニット。ビッグアーティスト同士の夢のようなコラボレーションに期待が高まるなかリリースされたソウルフルなシングルが、堂々の1位を獲得。
登壇したワーナーミュージック・ジャパンの滝川さりか氏がプレゼンターの宇野CEOよりトロフィーを授与されると、「USEN MUSIC AWARD 洋楽部門の1位、心から感謝しております。グラミー賞前にこの賞を頂けて良い勢いが付いたと思います。USENさん、いつもサポートありがとうございます。」と、喜びの言葉を残した。
ブルーノ・マーズ、アンダーソン・パーク&シルク・ソニック「アン・イヴニング・ウィズ・シルク・ソニック」
2021年11月12日(土)発売
WPCR-18451/2,200円(税込)
ワーナーミュージック
2021 年間 USEN HIT J-POPランキング
2021 年間 USEN HIT J-POPランキング栄えある1位は、PORINとatagiのツインヴォーカルと、ギターのモリシーからなる3ピースバンド、Awesome City Clubの「勿忘」。「虹」で10位にランクインした菅田将暉と、有村架純のW主演映画『花束みたいな恋をした』のインスパイア・ソングとして2月の月間ランキングで急浮上した「勿忘」だが、Awesome City Clubの幅広いルーツミュージックが窺える独創的な世界観も手伝って、ランキングトップ10圏内を3ヵ月間にわたってキープ。初登場にして今年一番の街鳴りヒットとなった。
VTRに続いてAwesome City Clubが登場。モリシーが「1位を取ることなんて人生であまりないのでただただ嬉しく思っています。本当にありがとうございます」と感謝の言葉を述べた。
続けてatagiは「実は我々、映画『花束みたいな恋をした』に出演しておりまして完成披露試写会を見させて頂いたのですが、とても素晴らしい映画だったと感銘を受けたので、どうにかミュージシャンとしてこの映画を楽曲にさせてほしいなという思いから制作しました」と、今回の受賞楽曲が映画のインスパイア・ソングとなった経緯を語った。
最後にPORINが「来年はもっともっとAwesome City Clubを愛していただけるような活動を」と2022年の展望を語ってくれた。
Awesome City Clubは、アコースティック・アレンジの「勿忘」をパフォーマンス。2021年のナンバーワン・ソングにふさわしいキャッチーさはもちろんだが、この日のステージは、音数の少ないアコースティック・バージョンとあって、より際立って聴こえるボーカルが印象的だった。
2021 年間 USEN HIT 演歌/歌謡曲部門
2021 年間 USEN HIT 演歌/歌謡曲ランキングは、氷川きよし「南風」が見事1位に。2000年に「箱根八里の半次郎」でデビューして以来、演歌界をけん引し続け、今年で22年連続となるNHK紅白歌合戦への出場も決定している氷川きよし。彼が今年リリースした「南風」は、世の中全体に北風が吹くいまの時代に背中を押してくれる温かい歌声が多くの支持を獲得した。
ステージに呼び込まれた氷川が壇上に現れると、会場の雰囲気が一瞬にして華やいだ。MCの赤坂に今の気持ちを聞かれると、「本当に多くの方がリクエストして下さって、おひとりおひとりの方がたの真心に応えて「南風」が流れた結果なので、本当はその皆様にこの賞を差し上げたい気持ちです。この「南風」は、自分の新たな決意を描いてもらった作品なので、そんな曲が賞を頂けて嬉しいですし、より一層、歌に賭ける思いを熱くして多くの方に勇気や励ましを送りたいと思います」と感激の言葉をつづった。
さらに今年1年を振り返って「来年の2月2日でデビュー22年目を迎えますが、振り返ると今年が"いまこそ自分が叫ばなきゃ!”と、いちばん気持ちが入った1年でした」
そして、氷川きよしも生歌を披露。真っ赤なスーツでBillboard Live TOKYOのステージに立つ氷川きよしの、凛とした立ち姿と伸びやかな歌声に酔い痴れる。
2021 USEN ARTIST OF THE YEAR
今年から新設された「USEN ARTIST OF THE YEAR」は、USENランキングでの実績を基にノミネートされたアーティストの活動と作品を対象に、広く一般投票によって選ばれたアーティストへ贈られる賞である。
スクリーンに映し出されたVTRから「うっせぇわ」の、あの刺激的なフレーズが流れ出す。2021年の「USEN ARTIST OF THE YEAR」は19才の若き歌い手、Adoだ。
残念ながら多忙を極めるAdoはこの日のアワードへの参加は叶わず、メッセージを寄せてくれた。メッセージのなかでAdoは、「今年一番印象に残った楽曲ですよね……もう規模感が掴めませんね(笑)。私はだんだん感覚がおかしくなってきて、もはやも他人事のような感じですね。でも本当にただただすごいんだなあ!ってことは感じます。本当にありがとうございます。来年4月のZepp公演は、自分の人生の中でも本当に特別なイベントになればいいなと思っています」と、受賞の喜びとともに、来年2022年4月4日にZepp DiverCityで開催される初ワンマンライブ「喜劇」への意気込みも語ってくれた。
USEN 創業60周年記念特別表彰リクエスト累計1位
有線放送からUSENへとブランド名を変えつつも、創業以来60年にわたって、リスナーからのリクエストに応え続けてきたUSEN。リクエスト開始当初から2021年までのリクエスト数を集計し、累計リクエスト数が最も多かった楽曲が吉 幾三「雪國」であることを発表すると、吉がステージの中央へと歩み出る。その瞬間に立ち会った観客が万雷の拍手で吉を迎える。
赤坂の呼び込みを待たず、自らステージに進み出ると、「今日の表彰式の話、さっき聞いたんだよ。USENの宇野会長が何かくれるからって言うからさ。もらえるものはもらっておこうと思って(笑)」と、出から会場の笑いを誘う。
そして来年の芸能生活50周年に話題が及ぶと、感慨深げに「いろいろな良い人に出会えた。僕の人生は人との出会いで出来た50周年。嫌いな人はいない。人に恵まれた50年だった」と感涙を滲ませる吉の言葉が、居合わせた観客の共感を呼ぶ。
歌唱の準備を整え、マイクを握る吉。「雪國」の<好きよ あなた>というあの歌声が、Billboard Live TOKYOの空間を満たしていく。リクエストという聴き手の思いに磨かれ、ビンテージの風格を纏った「雪國」。まさに圧巻のパフォーマンスであった。
Billboard Live TOKYOという得難いロケーションで、2021年のさまざまな世相とともに私たちの記憶に残るであろう楽曲を讃え、5組のアーティストと喜びを分かち合った「USEN MUSIC AWARD」。
有線の時代から60年の長きにわたって"街鳴り"の音楽を届けてきたUSEN。同じく長きにわたって音楽ファンに愛され続ける楽曲があり、かたやコロナ禍の困難な時代に人々の心を惹きつける新しい楽曲もあった。2022年は果たしてどんな音楽が私たちを、日本の街を楽しませてくれるのだろうか?
(おわり)
取材・文/encore編集部(小篠桃香、内山優希、高橋 豊)
写真提供/株式会社USEN