2023年8月のMonthly Exclusive Mix selected by roph recordingsは、2023年の5月にリマスター・アルバムをリリースし、唯一無二の存在感を今もなおキープし続けているSeietsuによるエクスクルーシヴ・ミックスを放送中!
彼は元々hydeoutの旗艦店であるtrib recordsから7インチをリリースし、その後、故nujabesのサポートを受けながらsolid state musicというレーベルを立ち上げ、2010年にはFreeform Breaksというアルバムをリリース。当時はCDのみのリリースであり、最近までデジタルで聴くことはできなかったが、2023年5月にリマスターが行われデジタル版をリリース。このアルバムはUyama HirotoのFreeform Jazzの構想の元になった重要な作品であり、roph recordingsにとっても欠かせない存在となっている。
そんなSeietsuのミックスだが、DJとしても活動を行っており、自他共に認めるレコード 愛好家の一人である。また最新の新譜にも精通しており、今回のミックスにも幅広いジャンルで多くの近年活躍するアーティストが盛り込まれている。
ベトナム人の両親を持ちアメリカで活動するシンガー・ソングライターのKeshiからミックスはスタート。Hope Talaの「Easy to love me」やCol3traneの「Pretty ft. Mahalia」などの人気シンガー・ソングライターのスロウ・バラードを中心に前半はゆったりと流れてく。
中盤にかけてはJesse Boykins IIIの「B4 The Night is Thru」やMakaya McCravenの「Autumn In New York」、今年10月には来日公演が決定しているKassa Overallの「Who's On The Playlist ft. Judi Jackson」など前半同様、近年活躍する気鋭のアーティストではあるが内容はJAZZ色が濃くなっていく。
後半に入るとバークリーにも進学したアイスランドのシンガー・ソングライター、Laufeyによる「Dear Soulmate」や、ドイツの名門レーベルECMからリリースを行うAreni Agbabianの「Patience」等張り詰めた静かで美しいJAZZに焦点があたり、最後は冒頭にも収録されたKeshiによる「beside you」が収録されこのミックスは完結する。
全体的には、リラックスして聴けるスローな内容になっており、フレッシュな才能が詰まったJAZZミックスとなっている。ここではその中から象徴的な5曲を紹介する。
- Easy to love me / Hope Tala
- スタジオ・ライヴ映像。Hope Talaのしっとりとしたバラード。
- Pretty ft. Mahalia / Col3trane
- 人気シンガーCol3traneによるバラード。FeaturingされているMahliaもUKの実力派シンガー。
- Misunderstood / Lucky Daye
- こちらもライブ映像。グラミーのノミネートアーティストでElla Maiなどのソングライティングも行っている。Lucky Dayeによるスローな楽曲。
- Who's On The Playlist ft. Judi Jackson / Kassa Overall
- 世界中が注目するアーティストKassa Overallによる変幻自在なJAZZ。スタジオライブ映像。
- Udhero Na ft. Anoushka Shankar / Arooj Aftab
- グラミー受賞経験を持つパキスタン出身のアーティスト。パキスタンの伝統音楽とJAZZの融合がエキゾチックで美しい。こちらもロンドンで行われたライブ映像。
SeietsuのMIXプレイリストはこちら
Seietsu
90年代に音楽活動を開始しアンダーグラウンドでサンプリングを軸としたJazz/Breakbeatsの楽曲を提示しているビートメイカー/プロデューサー。
00年代Hydeout Production傘下のレーベル「Tribe」より7'をリリースした後、レーベル「solid state music lab.」から第1弾アーティストとしてアルバム【Freeform Breaks】をリリース。
Levi's 世界最古のジーンズ「XX c.1879」日本初公開時のドキュメンタリー「OVERALLS THE ORIGIN FILM」に【Freeform Breaks】から楽曲が使用される等、企業広告・ゲーム等の各種コンテンツへの楽曲製作・提供から、書や盆栽等を含めた各種デザイン関連も活動の範疇としている。
2023 年roph recordingsより【Freeform Breaks】のリマスター版が配信開始される。
Seietsu「Freeform Breaks」
束縛からの解放とバンダリズム的精神。混沌としたメッセージが集まり、唯一無二のドラミングとクリスプで強靭なサウンドを作り出した。まさにそれは「Free Breaks」という新たなジャンルの幕開けである。
このアルバムの核となるコンセプトとして、欠く事の出来ない要素。それが、”フリージャズへのオマージュ”だ。
1950年~1960年に調和のとれた制限への不満からそれまであった音楽を破壊し既成概念にとらわれない新しいジャンル「フリージャズ」が生み出された。それから約半世紀コンピューターが音楽を奏で革新的な進歩により不可能を可能にしたそれと同時にソースを同じとする音楽が緩やかに並列を生み、気づかないうちにそれは可能性を狭めて来た。HIP HOPという音楽を起源に限られた世界の中でその限界を何処まで打ち破れるかという”試み”と”破壊”を行ったのがこのアルバムである。
強く深く形成された思考はメッセージへと姿を変え、それが新しく独特なドラミング、クリスプなサウンドを生み出している。それは可能性の解放であり、またその解放によって紡ぎだされたサウンドは今までのどれとも類を同しない新しいジャンル=「Free Breaks」へとストーリーを展開して行く。
Uyama Hiroto「Freeform Jazz」のリリースから7年。歴史的作品が制作された起点ともいうべき作品「Freeform Breaks」がroph recordingsよりリマスターを経て配信スタート。
このアルバムの発端はtribeからリリースされたthought... / 情叉 / 美髯公の7インチである。当時のtribeのオーナーであり「hydeout productions」の主宰であったnujabesと当時レーベルマネージャーを務めていた現roph recordingsのレーベルマネージャーKoizumi Takumiによって実験的な音楽としてリリースを計画。 Seietsuと2人でリリースを計画していく中でより純度の高い実験場を求めてKoizumi Takumiが「Solid State Muisc Lab」というレーベルを設立。
2010年にアルバムとしてリリースされた作品である。
当時のbreak beatsやHip Hopの音源としては類を見ない実験的な内容であり、またJAZZとしての解釈としては早過ぎた作品である。実は後にroph recordingsからリリースされたUyama Hirotoの「Freeform Jazz」の構想の元になった作品でもあり、「Freeform Jazz」というタイトルもここから流用された。roph recordingsにとってはなくてはならない作品の一つである。
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