いい歌でありさえすれば必ずヒットする。
これが歌の本来あるべき姿です。しかし、現実は強力なタイアップが付いていなければ売れない時代です。いかがなものか?と思います。この風潮に私はあえてアンチテーゼを投げかけたい。いい歌は売れるべきだし、たくさんの人たちに聴いてもらいたい。そんな“音楽愛”が私のポリシーです。

音楽評論家の富澤一誠です。
いい歌を見つけて紹介するのが私の仕事です。「演歌・歌謡曲」でもない、「Jポップ」でもない。良質な大人の歌を「Age Free Music」と名づけて私は推奨していますが、まさにそんなアーティストを今回紹介したいと思います。というわけで、今回ゲストにお迎えするのは大人のラブソング「熟恋歌」を歌わせたらピカ一の蘭華さんです。

★ニュー・アルバム『遺書』はメッセージ・アルバム!

『悲しみにつかれたら』以来、5年ぶりとなるメジャー・アルバム第3弾『遺書』は蘭華さん自身が体験した現代の闇に鋭い視点で切り込んだメッセージの数々など社会への問題定義を問う意欲作です。誹謗中傷、いじめ、ひきこもり、鬱、自死…。現代を生きる人々の心の闇と葛藤を描くメッセージ・アルバムはどのようにして生まれたのでしょうか?

蘭華さんには、アルバム、シングル(配信シングルを含む)がリリースするたびに、私のラジオ番組にゲスト出演してもらいましたが、今回はなぜメッセージ・アルバムとなったのか?その辺のことを尋ねたいと思いました。そこで今回のゲストに、というわけですが、そこにたどり着くには伏線があるのです。

ファースト・アルバム『東京恋文』があったからこそセカンド・アルバム『悲しみにつかれたら』が生まれ、そしてその延長線上にサード・アルバム『遺書』が生まれたのです。
というわけで、ちょっと振り返ってみましょう。

まずは『東京恋文』のゲストのときは2017年10月3日、4日オンエアでした。

昨年、「ねがいうた/はじまり色」でメジャー・デビューした今注目のシンガー・ソングライター蘭華さん。「『Jポップ』でもない、『演歌・歌謡曲』でもない。良質な大人の音楽をお届けする」というこの番組の趣旨に、ぴったりと当てはまるということでゲストにお越しいただきました。ファースト・アルバムとなる『東京恋文』では、大人のラブソングをハイトーンボイスにのせて色っぽく情緒的に歌い上げています。

「初めの頃は、特に楽器が弾けるわけでもないし、音楽理論もわからないし、どうやって作曲したらいいのか? と考えて、まずレコーダーを買って鼻歌を録音して、それをたくさん集めてその中でこのフレーズとこのフレーズを足そうかなとか、これはAメロに使えるなとかサビに使えるなとかやって、なんとか曲を作るというスタートでした。完全に独学ですね」(蘭華)

ほとんど音楽知識がないところから、自分の中の感覚だけを信じ、生み出したメロディーだからこそ、人の心を動かすような素晴らしい音楽が完成したようです。

続いて『悲しみにつかれたら』のゲストのときは2018年10月8日、9日オンエアでした。

2015年に「ねがいうた/はじまり色」でメジャー・デビューしたシンガー・ソングライターの蘭華さん。ファースト・アルバム『東京恋文』では、日本レコード大賞企画賞を受賞するなど活躍中。今回のセカンド・アルバム『悲しみにつかれたら』のテーマは「愛と喪失」「喪失と再生」ということで、今までの和とオリエンタルな世界にプラスして、洋楽のエッセンスをも取り入れたようです。

「大切な誰かや大切な何か、たとえば恋人だったり伴侶だったり、大切な夢だったり人生の希望だったり、そういったものを失ってしまった人たちを主人公にした10作を収めてみました」(蘭華)

アレンジャー、プレイヤーには押尾コータローやパトリック・ヌジェ、松武秀樹、佐藤準が参加。1枚のアルバムでさまざまな世界の音が楽しめる素敵な作品となったようです。

今回はアルバム『東京恋文』『悲しみにつかれたら』を受けてニュー・アルバム『遺書』の真意にせまります。興味を持った人はぜひ「こんないい歌、聴かなきゃ損!」(音声版)をお聴きください。

radio encore「富澤一誠のこんないい歌、聴かなきゃ損!」 第19回 大人のラブソング「熟恋歌」を歌わせたらピカイチ!蘭華さん

「こんないい歌、聴かなきゃ損!(音声版)」第19回目のゲストには2023年12月13日にニュー・アルバム『遺書』をリリースされた蘭華さんをお迎えしてお送りします。自分の感覚を大切に、伝えていきたい想いを歌に込めていく歌手としてスタンスなどを語っていただきました。ぜひお楽しみください。

蘭華サードアルバム「遺書」
蘭華プロデュースによる、待望の3rdアルバム「遺書」が遂に完成!
『遺書』 それは美しく気高い一通の手紙…
明日死んでしまうかもしれないと思ったことはありますか?
アルバム「悲しみにつかれたら」以来、5年振りとなる新作は、自身が体験した現代の闇に鋭い視点で切り込んだメッセージの数々…社会への問題定義を問う意欲作です。

2023年12月13日(水)リリース
アルバム「遺書」TKCA-75159
定価:2,500円(税込)全10曲

蘭華ホームページ(徳間ジャパン)

蘭華「With you」Music Video|Official

富澤一誠

1951年、長野県須坂市生まれ。70年、東大文Ⅲ入学。71年、在学中に音楽雑誌への投稿を機に音楽評論家として活動開始し、Jポップ専門の評論家として50年のキャリアを持つ。レコード大賞審査員、同アルバム賞委員長、同常任実行委員、日本作詩大賞審査委員長を歴任し、現在尚美学園大学副学長及び尚美ミュージックカレッジ専門学校客員教授なども務めている。また「わかり易いキャッチコピーを駆使して音楽を語る音楽評論家」としてラジオ・パーソナリティー、テレビ・コメンテーターとしても活躍中。現在FM NACK5〈Age Free Music!〉(毎週木曜日24時から25時オンエア)、InterFM〈富澤一誠のAge Free Music~大人の音楽〉(毎月最終水曜日25時から26時オンエア)パーソナリティー。また「松山千春・さすらいの青春」「さだまさし・終りなき夢」「俺の井上陽水」「フォーク名曲事典300曲」「『こころの旅』を歌いながら」「私の青春四小節~音楽を熱く語る!」など著書多数。

俺が言う!by富澤一誠

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