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――台湾のグラミー賞ともいえる音楽賞「金曲奨(Golden Melody Awards)」でKOBUDO-古武道-がアレンジと演奏を手掛けたペギー・スーさんのが最優秀編曲賞を受賞されましたね。おめでとうございます!

「ありがとうございます。うれしいですね。コラボレーションのきっかけは、たまたまKOBUDO-古武道-のミュージックビデオを見て、アレンジの依頼をいただき、2019年に日本でレコーディングをしました。授賞式をウェブで見ましたが、現地に行きたかったですね。僕はこれまでソロでは2度ほど台湾へ行きましたが、KOBUDO-古武道-としてもいずれぜひ台湾で演奏をしたいですね」


古武道

写真左から「戰(ikusa)」プロデューサーのOwenさん、ペギー・スー(許哲珮)さん、KOBUDO-古武道-



――そもそもKOBUDO-古武道-のみなさんは、3人ともソロで活躍されていたわけですが、どういうきっかけで結成されたんですか。

「結成は2007年ですが、それ以前からそれぞれに知り合っていたんですね。僕の場合は、2004年のアルバム『空-Ku-』に、プロデューサーの千住 明さんがピアニストとして妹尾を千住さんを呼んでくれまして。その時に意気投合して、ふたりでコンサートをやるようになったんですね。その後たまたま妹尾のコンサートに呼んでもらった時に、古川展生君もゲストで来ていて。それぞれ別の曲に参加していたんですが、せっかくだからアンコールは3人でいっしょにやってみようよという話になって、実際に演奏してみたら、"あ、これはすごくバランスがいいな"と思ったんですね。それでお互いのコンサートにゲストで参加したりしているうちに曲ができていって、それならユニットにしようかと始まったのがきっかけです」

――そういう経緯があったんですね。

「妹尾とは今でこそ馬鹿話ばっかりしていますが、最初に会って音楽が始まった時に、"なんだ、このピアノは!"って鳥肌がたちました。それは向こうも同じで"なんだ、この尺八は!"と思ったらしくて。"尺八の藤原道山と聞いて、どんなお爺さんが出てくるかと思った"って後になって言われましたね (笑)。古川君に最初に会った時は、カッコイイ、色気ムンムンのお兄ちゃんだなという印象で(笑)。それでチェロを弾いたら、むちゃくちゃ上手い!すごく惹かれるものがありましたね」

――KOBUDO-古武道-というユニット名も、古川展生さんの古、妹尾武さんの武、藤原道山さんの道の3人のお名前から取られたんですよね。

「そう。"古川展生、妹尾武、藤原道山コンサート"ってスケジュール帳に書くのが面倒だったんですよね(笑)。自分達では略すと古武道になるからという理由で、早くからスケジュール帳に"古武道(仮)"と書いていたんですよ。いざユニット名を考える段になって、KOBUDO-古武道-以上にインパクトのある名前が浮かばなくて」

――今年で結成から14年になりますが、結成当初から変わってきたところや、逆に3人の中で変わらないところはありますか?

「聴いてくださるファンの方が"KOBUDO-古武道-サウンドだね"と言ってくれるんですね。その言葉を聞いた時に"ああ、もうこの3人のサウンドが確立したんだな"と思いました。3人が集まった時に、最初から音で会話していくような感じではあったんですが、より音楽的に密に、深まってきている感じはしますね。何かひとつステップを上がったかなって」

――KOBUDO-古武道-サウンドならではの強み、この3人だからこそ生み出せる音楽の魅力について、ご自身ではどう感じていらっしゃいますか?

「僕としては全然特別なことをやっているつもりはなくて、あくまでも自分がやりたい音楽、サウンドをやっていて、それは2人も同じなんだと思うんです。そういう3人の音楽の方向性も合っているんでしょうね。3つの楽器だけどサウンドはひとつになっていて、そのミックス具合も含めて独特なのかな......お互いソリストもやるし伴奏もできるメンバーなので、出どころ、引きどころがわかっていて、ライブの時は特に3人それぞれが、"ここは自分が行く"、"よっしゃ、次はお前だ!"みたいな駆け引きというか面白さがあるんですよ。それはアルバムで聴くものとはまた違う、ライブならではのものかなと思います。ただ、音響さんが大変なんですけどね(笑)」

――なるほど(笑)。2019年リリースの最新アルバム『HORIZON』は、これまで以上にポップな印象です。1曲目の「Horizon」が始まった瞬間から、心地よさとともにクラシックともジャズとも違う驚きがあって、ぐっと惹き込まれます。制作スタイルや作品に掲げたテーマなどこれまでの作品との違いはありましたか?

「毎回、必ず1人1曲は作るというコンセプトを立てているんですね。それとともにTVやラジオのテーマ曲に使われたものを何曲か入れさせていただくんですが、今回はオリジナル曲が多いアルバムになりましたね。ライブでもクラシックやポップスなどいろんな曲をアレンジして演奏しているので、ライブをやるたびにまだアルバムに入れていない曲が増えていくんですね。最初の頃はアルバムのために曲を作っていたところもありましたけど、いろんな番組の音楽をやらせていただく機会もあり、それと同時にだんだんライブのために作ってきた音楽をアルバムというひとつのかたちにしていった。そういう面もあるかもしれません」

――道山さんの尺八の音色もとても表情豊かです。歌詞はありませんが、まるで歌を歌っているように聴こえる瞬間があります。

「尺八って、声を変えるように音色が変わる楽器なんですよ。もちろん楽器を変えることで音色も変化するんですが、僕はそういうところが魅力だと思っているんですね。それがKOBUDO-古武道-のサウンドに変化をもたらしているひとつかもしれないです。僕自身も音符を吹いているという感覚ではなくて、言葉と同じというか、朗読をするような感じで演奏しているという感覚です。たとえば"こんにちは"という一言も、声の調子によって明るく聴こえたり元気ないように聴こえたりというように印象が変わりますよね。音楽もいっしょで、ドレミファソラシドをただ吹くんじゃなくて、ドレミファソラシドをどう表現しようかというところを考えたい。そんなふうに演奏しています」

――これから初めて『HORIZON』を聴く読者もいるかもしれません。特におすすめの曲があれば教えてください。

「そうですね......1曲1曲に思い入れが強いので難しいんですが、1曲目の「Horizon」は、歌詞がないんですがコンサートでみんなに歌ってもらおうという思いで作りました。古川君の息子さんが鼻歌で作ったメロディーがこの曲の着想になっていて、集まってくれたみんなで歌を歌うように、みんなが一体感を感じられるものにというイメージで作りましたね。そうやって大勢の人といっしょに作った温かい作品だなと思います......と、話し始めると、全曲について語ってしまいそうです(笑)」

――ですよね(笑)。道山さん作の「風薫る」も、曲の持つ柔らかい雰囲気に包み込まれるようです。

「この曲は、八ヶ岳高原音楽堂で3人で演奏した時の思い出が詰まっていますね。会場の大きなガラス窓から見える風景がとても美しくて、昼から夕焼け空へと変わっていく空の色や風、そういった広がりのあるものが表現できたらと思って作った曲です。アルバムの曲順にも毎回こだわりがあって、僕らはアルバム全体でひとつの作品だと思っているんですね。今はダウンロードやストリーミングで1曲ずつ聴く楽しみ方もありますが、アルバム全体の流れとともに聴いていただけたらと思いますし、アルバムで楽しんでいただくのはもちろんなんですけど、ライブ会場で肌を通してみんなと音楽を共有したいという思いがやっぱり強いですね」

――やはりライブは格別ですね。

「そうですね。僕たちもお客さんに乗せられて演奏している部分もあるんですよね。配信ライブもやりましたけど、お客さんからの反応が返ってくるってすごくうれしいことなんですよね。我々は3人しかいないけどお客さんはもっと多いわけで、拍手ひとつでもそのパワーが伝わってくる。それはすごくうれしいし、励まされるし、それによって僕たちもテンションが変わってくるんですよね。お客さんといっしょに音楽を作っているなという感じがありますし、ライブは自分たちにとっても大切ですね」

――2022年にはKOBUDO-古武道-として結成15周年を迎えますが、"こんなことをやってみたい"と考えていることはありますか?

「3人で会うといつも、"次はこんなことをしたいね"って話になるんですよ。これからコンサートのリハで会って話す予定なので、もう少しだけお待ちください(笑)。KOBUDO-古武道-はだいたい隔年でアルバムを作っているので、2021年は制作期間になると思います。3人それぞれがソロで培ったものをKOBUDO-古武道-に持ち寄ってミックスすることによって、新しいものを得ることができるし、それがそれぞれのソロにも生きてくる。そうやって行き来できるのはとても大きなことだと思います」

――KOBUDO-古武道-にとって2021年の幕開けとなる『HORIZON』リリースツアーのビルボードライブ大阪が控えていますが、ビルボードライブ大阪としても2021年最初の公演が1月4日のKOBUDO-古武道-のステージです。

「うれしいですね。お正月ボケしないようにちゃんと練習しておかないと(笑)」

――そして1月24日には、渡辺真知子さんをゲストに迎えての「古武道新年会 Vol.7 ~初春の狂詩曲(ラプソディー)~」が世田谷パブリックシアターで、さらに3月20日には道山さんのソロ公演が住友生命いずみホールで開催されます。

「僕は大学時代に演奏活動を始めたんですが、さかのぼれば舞台に上がる経験をしたのは中学の頃で、これまでは舞台に上がることが日常のような生活をしていたんですね。最低でも1ヵ月に1本はコンサートがあって、コロナ前は年間100公演以上はやっていましたが、それがコロナ禍でぱたっとなくなってしまった。この間、いろんなことを考えさせられましたし、自分が本当に何をやりたいかということも考えました。それを経て、舞台に戻ってきた時の喜びはひとしおでしたし、この喜びを自分は忘れていたかもしれないと思ったんですね。ステージに立てなかったその3ヵ月半があったことでそれに気付くことができて、改めて喜びが増した気がするし、来てくれる皆さんに楽しんでいただきたいという気持ちがさらに強くなりました。ライブではその喜びを分かち合いたいですね」

――ファンの方も待ちに待ったステージです。

「それは折々感じました。コンサート後の感想などを聞いていると、生の音を聴きたいと思ってくださっているんだなって。CDでもストリーミングでも音楽は聴けますが、会場に足を運んで肌で感じる音楽はまた違いますから、それが出来ることをうれしく思います。感染が拡大している大変な時期ですけど、万全の対策をとりつつ良い音楽を聴いてもらいたいと思っていますので、ぜひ足を運んでいただけたらと思います」

(おわり)

取材・文/梶原有紀子
協力/Billboard Live 大阪





■KOBUDO-古武道- アルバムリリースツアー"HORIZON"
2021年1月4日(月)ビルボードライブ大阪 ビルボードライブ大阪

■古武道新年会 Vol.7 ~初春の狂詩曲(ラプソディー)~
2021年1月24日(日)世田谷パブリックシアター 世田谷パブリックシアター

■藤原道山 20th Anniversary コンサート「雙 -SO-」
2021年3月20日(土)住友生命いずみホール(大阪)
2021年4月9日(金)福岡シンフォニーホール(福岡)





古武道
KOBUDO-古武道-『HORIZON』
2019年10月30日(水)発売
CVOV-10059/3,300円(税込)
キャピタルヴィレッジ




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