同展では、100年以上にわたり継承してきた「グッチ」のコードとスピリットをどのようにアイコニックなデザインに生かしてきたか、また、それぞれの時代を象徴するアイテムがいかにして歴代の「グッチ」のクリエイティブ・ディレクターやデザイナーたちにインスピレーションをもたらし、再解釈してきたかを探求した。

 日本発売60周年を迎えた今年、「グッチ」はさまざまなプロジェクトやイベントを開催。3月には東京タワーをライトアップ、「グッチ」を象徴するカラーであるグリーン&レッドの光とイタリア語でありがとうを意味する「GRAZIE」の文字で東京の夜空を照らした。また8月には、「グッチ銀座 ギャラリー」で「Bamboo 1947: Then and Now バンブーが出会う日本の工芸と現代アート」展を開催した。さらに、京都・西陣織の老舗である「細尾(HOSOO)」とのコラボレーションによる「Gucci Nishijin」プロジェクトの第3章として、今秋には日本の伝統的な職人技によるファブリックと「グッチ」のデザインを融合させた数量限定ハンドバッグを発表した。

 「グッチ」と日本の絆をたたえながら、京都と日本に息づいている伝統文化とその革新の歴史に共鳴するストーリーとエレメントも紹介する「GUCCI COSMOS」は、この一連のプロジェクトのフィナーレを飾るものだ。

 同展は、英国の著名なコンテンポラリーアーティストであるエス・デヴリンさんがデザインし、イタリアのファッション研究家かつ評論家のマリア・ルイーザ・フリーザさんがキュレーションを手掛ける。展示品の中心となるのは、フィレンツェのパラッツォ・セッティマンニに収蔵されている「グッチ」のアーカイブだ。その多くは未公開で、グッチのクリエイティブ チームにとって今なおインスピレーションの源泉となっている。


アーカイブと最新作をキュレートした8つの展示室

  • 最初の展示室「時の迷宮」の入口にあるインスタレーション
  • 「時の迷宮」にあるイスタレーションでは創設年から現在までの年を記した同心円が回る
  • 「時の迷宮」のインスタレーションが「赤い糸」に因み赤に変化
  • 二番目の展示室「乗馬の世界」では馬が疾走する動画を投影
  • 「乗馬の世界」では乗馬にまつわるデザインのアイテムをキュレート
  • 三番目の展示室「クリエイティビティの系譜」では歴代のクリエイティブ・ディレクターのルックを展示
  • 四番目の展示室「ライフスタイル賛歌」
  • 「ライフスタイル賛歌」では同館所蔵の美術品を背景に「グッチ」のレジャー、旅、スポーツアイテムを展示
  • 五番目の展示室「バンブーの世界」の展示室では「バンブー1947 」をフィーチャー
  • 「バンブーの世界」では竹林の映像と手のオブジェでかぐや姫の物語を想起させる
  • 「Bamboo 1947: Then and Now バンブーが出会う日本の工芸と現代アート」展の作品も展示
  • 最後の展示室「グッチの絆」では「赤い糸」に因んで赤のアイテムをキュレート
  • 出口の手前では赤い糸を表現したインスタレーションを展示

京都市京セラ美術館で本館北回廊1階と新館東山キューブに跨がる大規模なエキシビション。この規模は同館にとっても珍しいという。

 同展は8つの展示室で構成。順路に沿って歩くと最初に現れる「時の迷宮」では、同ブランドのエポックとなるいくつかの年にフォーカスし、その年のアーカイブ品を展示する。そして、乗馬をテーマにした「乗馬の世界」、歴代のクリエイティブ・ディレクター、トム・フォード、フリーダ・ジャンニーニ、アレッサンドロ・ミケーレの作品を一堂に集めた「クリエイティビティの系譜」、旅やレジャー、スポーツなどのアイテムを同館所蔵の美術品とともにキュレーションした「ライフスタイル賛歌」、「バンブーバッグ 1947」をフィーチャーした「バンブーの世界」、レッドをテーマにした「グッチの絆」という展示室を設えた。

 アーカイブと最新作を映像やVR、音声などでさまざまな表現で展示している没入型展示が魅力だ。

写真左から:マリア・ルイーザ・フリーザさん、ガブリエレ・ジョルジーニさん、向千鶴さん(Photo by apparel-web.com)

 同展でキュレーションを手がけたマリア・ルイーザ・フリーザさんが来日し、9月30日に約1時間のプレスカンファレンスにを行った。

 パラッツォ・セッティマンニのコミュニケーションディレクターであるガブリエレ・ジョルジーニさん、京都市京セラ美術館の青木淳館長が冒頭に挨拶をし、その後、ジャーナリストの向千鶴さんがモデレーターを務め、マリア・ルイーザ・フリーザさん、ガブリエレ・ジョルジーニさんが「グッチ」のアーカイブを探求することの魅力や意義についてカンファレンスを行った。

 カンファレンスの中で何度もキーワードとして上がったのが、「赤い糸」だ。日本では運命の人との縁を表した「赤い糸」であるが、さまざまな解釈ができると登壇者は話した。イタリアと日本の絆、「グッチ」創設の地であるフィレンツェと京都の絆、「グッチ」と既存顧客、潜在顧客との絆など、さまざまな絆を同エキシビションを通して結びたいと話した。

来場セレブリティ

 同展の開幕を記念して、9月30日には同美術館でプレビューイベントを開催。同展のオーディオガイドのナビゲーターを務めている夏木マリさん、「グッチ」のグローバル・ブランドアンバサダーの志尊淳さんをはじめ、京都と縁の深い方々やグッチと親交のあるセレブリティやゲストが参加した。

  • 志尊淳さん
  • 板谷由夏さん
  • 上杉柊平さん
  • 上野樹里さん
  • 黒木メイサさん
  • 永山瑛太さん
  • 夏木マリさん
  • 長谷川潤さん
  • アオイヤマダさん
  • 井上ヤマトさん
  • 大平修蔵さん
  • 窪塚愛流さん
  • けみおさん
  • 桜田通さん
  • 福士マリさん(右)、福士リナさん(左)
  • 萬波ユカさん
  • YOASOBI
  • 青木淳艦長
  • マリア・ルイーザ・フリーザさん

■「GUCCI COSMOS」
会 場:京都市京セラ美術館 本館 北回廊1階、新館 東山キューブ
〒606-8344 京都市左京区岡崎円勝寺町 124
会 期:2024年10月1日(火)~12月1日(日)
開館時間:10:00~18:00(最終入場は17:00 まで)
休 館 日:月曜日(祝・休日の場合は開館)
観 覧 料:一般 2,200円/団体:2,000円(税込)、大学生 1,500円/団体1,300円(税込)、高校生 1,000円/団体800円(税込)、中学生以下は無料
※団体は20人以上
※障害者手帳を持参の場合(付添1人含む)および、京都市内に在住・通学の大学生・高校生は無料で入場
※予約優先制。美術館ウェブサイトからの事前来館予約(日時指定)はこちら

Courtesy of GUCCI

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