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BB(ビビ)エムエフシーストア ディレクター
デザインを独学で学びアパレルデザイン勤務などを経て2017年エグザンプルを立ち上げ。2018年にエムエフシーストアをオープン。現在はエグザンプル プロデューサー、エムエフシーストア ディレクターを兼任。
「MFCとは、"My Favorite Closet"から取っていて、その名の通り自分たちの好きな物を集めたクローゼットの中身を紹介する、というのがコンセプトです」とビビさん。
エムエフシーストアを立ち上げたきっかけは、立ち上げメンバーのひとりでもある近藤(浩人)さんとの出会いだったと語る。
近藤氏は、「CHAPTER/atmos(チャプター/アトモス)」でチャプター ディレクター、アトモスでは企画、バイヤーなどを担当した後、現在はエムエフシーストア プロデューサーを務めている。
「僕と近藤さん、そしてオーナーの3人で立ち上げたのですが、それまでは地元の大阪で、ファッションとはまったく別の仕事をしていました」。
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自身のアパレルブランド、エグザンプルを立ち上げたのは2017年だそう。
「それまでは、仕事をやりながら友人のユーチューブチャンネルの企画や出演などで手伝いをしていました」とビビさん。
もともと近藤氏にはブランドについて相談していたという。
「その時は彼もちょうどスニーカーセレクトショップのアトモスから独立を考えていて"一緒にやろう"と。僕の出来ない部分を近藤さんに協力していただく事で、いまに至っているという感じですね。だから、彼と出会った事で、より洋服のカルチャーに近づいたと思っています」。
しかし、「やるなら最初は東京で」という思いがあったが、最初は家族の理解を得られなかったという。
「僕はずっと関西でしたしね。でも、家族の協力があって今があると思っています」。
そして2018年、中目黒にショップエムエフシーストアをオープンさせた。
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オープン当初は、ロサンゼルスやニューヨークなどで買い付けた日本未発売のアイテムを展開していたが、「このコロナの状況で少し変化が生じた」と語る。
「2020年のコロナ当初から海外に行けなくなってしまい、買い付けが出来なくなったんです。困っていたところ、日本のブランドやメーカーに協力していただける事になり、お付き合いが生まれたのはありがたいですよね」と、逆にこの状況もあって、ショップが成長しているように感じていると話す。
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現在の中目黒の店舗は、2019年に元々同じビルの2階にあった店舗を1階へと増床移転させている。
「この場所がたまたま空くお話を聞いた時に、せっかく盛り上がり始めたところに、下の階に別のアパレルが来たら怖いと思ったんですよね(笑)。本当は、2店舗目は原宿に出店したかったのですが、どうしてもここは守りたかったという気持ちがあり、2店舗目が真下のここになってしまったんです」と、この場所に路面店を立ち上げた理由を語った。
エムエフシーストアを立ち上げて約3年。
元々、立ち上げメンバーの地元にはショップを作りたいという目標があったという。
「名古屋は近藤さんの地元で、僕が関西なので大阪ということで、現在、名古屋と大阪に店舗があるんですよ」。
また、展開している商品の方向性についてはあまり変わっていないそう。
「近藤さんと商材を買い付けていく中で、僕らの好きなものがアメリカの西海岸っぽいテイストが多い気がします。あまり西とか、東とかのこだわるつもりはないのですが」。
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エムエフシーストアのオリジナルについては、ビビさんではなく別のデザイナーを立てているという。
「立ち上げ当初は、僕と近藤さんのふたりだけでエグザンプルも含めて、近藤さんの案を聞いて僕が描くという形でしたが、どうしても同じようなテイストになってしまうんですよ。だから、ストアレーベルのエムエフシーストアだけは別のデザイナーを立てながら、自分たちの作りたいデザインをやっています」と話す。
「エグザンプルについては実店舗は立ち上げていません。今まではエムエフシーストアのみで販売しておりましたが、今年からROYAL FLASH(ロイヤルフラッシュ)にもお取り扱いしていただけることになりました」。
22年春夏物を5店舗で展開する予定だそうだ。
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ストアレーベルであるエムエフシーストアは、コラボレーションも積極的に行っている。
「エムエフシーストアのオリジナルで、僕らは"DOBON(ドボンパンツ)"と呼んでいる目玉パンツがあるのですが、"ディッキーズ"や"Lee"など、様々なブランドとのコラボを行っています。ドボンパンツは、オリジナルでも様々な生地での展開も行っているので、男女問わずリピーターの方も多いんです。ちなみに、ドボンパンツのドボンとはドカンとボンタンの略です、僕ら昭和なので(笑)」。
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スニーカーはどの店舗でも必ず展開しているという。
「僕らがスニーカー好きだったので、こういう店になったのは間違いないですね。もちろんお客さんも好きな方が多いですし。子供の時に買っていた靴や服、小物。そういったアイテムのブランドと、いま一緒に仕事が出来ているという環境は、本当にありがたいですよね」とビビさんは言う。
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「僕ひとりだったら、ここまで大きくする事は考えられなかったですし。組織ってすごいですよね。エムエフシーストアは、どんな世代、どんな層にでも利用できるショップにしていきたいです。様々なカルチャーの人に対してもジャンルレスでいたい。だから、どんな方でも利用できるような店にしたいと考えています」と続けた。
中目黒のエムエフシーストア店内には、セレクトされた彼らの好きなもの、着たいものが所狭しと並んでいる。
そこに行けば間違いなく欲しいものが見つかる店のひとつなのだろう。
写真/野﨑慧嗣
取材/久保雅裕(くぼ まさひろ)
取材・文/カネコヒデシ
エムエフシーストア 中目黒※店舗写真 エムエフシーストア提供
住所:東京都目黒区東山1-3-3 アルス中目黒 102,201
TEL:03-6452-4944
営業時間:12:00-20:00
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久保雅裕(くぼ まさひろ)encoremodeコントリビューティングエディター
ウェブサイト「Journal Cubocci(ジュルナル・クボッチ)」編集長。杉野服飾大学特任教授。繊研新聞社在籍時にフリーペーパー「senken h(センケン アッシュ)」を創刊。同誌編集長、パリ支局長などを歴任し、現在はフリージャーナリスト。コンサルティング、マーケティングも手掛ける。2019年、encoremodeコントリビューティングエディターに就任。
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カネコヒデシ
メディアディレクター、エディター&ライター、ジャーナリスト、DJ。編集プロダクション「BonVoyage」主宰。WEBマガジン「TYO magazine」編集長&発行人。ニッポンのいい音楽を紹介するプロジェクト「Japanese Soul」主宰。そのほか、紙&ネットをふくめるさまざまな媒体での編集やライター、音楽を中心とするイベント企画、アパレルブランドのコンサルタント&アドバイザー、モノづくり、ラジオ番組製作&司会、イベントなどの司会、選曲、クラブやバー、カフェなどでのDJなどなど、活動は多岐にわたる。さまざまなメディアを使用した楽しいモノゴトを提案中。バーチャルとリアル、あらゆるメディアを縦横無尽に掛けめぐる仕掛人。