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EARIN 「EARIN」
実はこれ、2014年にアメリカのクラウドファンディング「Kickstarter」で資金調達を行った製品だ。まったくケーブルのないイヤホンという未来感が、世界中の音楽好きやガジェット好きの琴線に触れたのだろう。公開されるや大きな話題を呼び、目標金額を大きく上回る約97万ポンド(約1億8000万)もの資金を調達した。遡って2008年頃には、ゼンハイザーから同様のコンセプトのイヤホン、MX W1が発売されていた。これも画期的なモデルで、Bluetoothの伝送品質が良好ではなかったことから独自の無線方式を開発し採用したり、レシーバーを必要とする点など試行錯誤を重ねた製品だった。発売当時は大きな話題となったが、後継モデルが作られることはなかった。それから約8年。ようやく登場したのが「EARIN」だ。レシーバーは必要なく、耳栓がちょっと大きくなった程度の大きさ。これはガジェット好きでなくても気になるぐらいのインパクトだ。案の定、2015年12月に店頭に並んでからの注目度は高く、発売されるやいなや1000台が瞬く間に完売。その後の予約も殺到し、一時は品切れ状態となったほど。そんなEARINを試してみた。
[/section] [section heading="軽くて小さいので落ちる心配はない"]実はこのEARIN、音楽データの伝送方法がユニークだ。プレイヤーから飛ばした音楽データは、まず左のイヤホンに行き、そして左から右イヤホンに飛ばす形になっている。プレーヤーから左右に同時伝送ではないので、もしかしてちょっとズレるのではないかとも思っていたが、それはまったく感じなかった。ただし右だけ音が途切れることがたまに起こる。ただし左は鳴り続けているので、両方途切れてしまうよりは違和感なく受け入れられた。
装着感は上々だ。イヤーピースはコンプライが大小2つとシリコンが1つ付属。しっかりと塞いでくれるので音漏れの心配はない。イメージ画像を見ると結構耳から飛び出していて、ちょっとした動きで落ちるのではないかと思っていたが、想像以上にしっかりとフィットしてくれた。ちなみに耳から飛び出す部分には、Bluetooth機器の生命線でもあるバッテリーを内蔵している。しかし、装着した姿を正面から見ると、着けているのがわからないレベルだ。さらに、耳の内側に引っ掛けられる付属のスタビライザーを使えば、スポーツ時などでも安定した装着感を得られるのも嬉しい。
[/section] [section heading="BAらしい繊細な音を楽しめる"]気になる音質はどうだろうか。ドライバーは小型化が可能なバランスド・アーマチュア(BA)。第一印象は悪くない。いやむしろイイ。BAらしい繊細な音で、低音に物足りなさを感じる人もいるかもしれないが、中高音域では解像感のある音を鳴らしてくれた。Bluetoothというと、「どうせ音質は二の次でしょ」というイメージを持つ人も多いだろう。もちろんワイヤードと比べると厳しい部分があることは確かだ。Bluetoothは伝送時にデータを圧縮することがあり、それがネガティブなイメージにつながっているのかもしれないが、EARINは非圧縮のaptXに対応。対応プレイヤーを持っている人はぜひ試して欲しい。サイズと完全にワイヤレスである点を考えると、十分満足できる音質だ。
左右のイヤホンにそれぞれ60mAhのバッテリーが搭載されており、最大3時間(左のみのモノラルだと最大11時間)の再生が可能。たったの3時間と思うかもしれないが、そんな声を予想してか対策も施されている。それが収納カプセルだ。600mAhのバッテリーが内蔵されていて、イヤホンを入れると自動的に充電される。このカプセル、実はかなり有能で、イヤホンを収納すればBluetoothがOFFになり取り出せば自動的にONになる。イヤホン自体にはボタンやスイッチ類が一切なく、3.5g、Φ14.5×20mmという超小型サイズは、このカプセルがあるからこそ実現したといえるだろう。
[/section] [section heading="しまう場所があれば無くさない"]従来のイヤホンは、気になることがいくつもあった。バッグの中で絡まるケーブル問題。満員電車や人混みでケーブルが引っ掛かり耳から抜ける問題。ワイヤレスなのに首の後ろにケーブルがある問題。そして、カナル式ならではのケーブルに触れることで起こるタッチノイズ問題。どれも慣れてしまえばこんなものだと思っていたが、そもそもこのEARINのように、完全にワイヤレス化すればすべて解決される。もちろん音質重視でワイヤードというのもひとつの選択肢だ。しかし、ケーブルがわずらわしいと思っている人にとってEARINは、最も先進的な解決策となることは間違いない。
そうそう、手にする前に予想していた、左右バラバラだと無くしそう問題だが、しまう場所があると無くさないという単純な方法によりあっけなく解決したことを報告しておく。ただ、こんな最新で先進なイヤホンを使っていることを周りに知って欲しいのに、ほぼ気付かれなかったことが少し残念であったことを最後に付け加えておく。
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