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2016年も国境を超えた活動展開を繰り広げていくLOUDNESS。6月から8月にかけ、欧州の大型メタル・フェスへの出演が続々と決まっていることは前回もお伝えしたが、その前に控えているのが5月1日、東京・新木場STUDIO COASTで第二回開催を迎える『LOUD∞OUT FEST』だ。OUTRAGEとの共闘により2015年に生まれたこの“日本のメタル・フェス”への想いを、高崎晃は次のように語っている。

「これから先、この『LOUD∞OUT FEST』を大きく育てていきたいですね。東京での開催に限定せず、徐々に大きくしていきながら、まずは東京と大阪の両方でできたらいいなとも思うしね。第1回はスペシャル・ゲストでsadsにも出てもらって目茶苦茶盛り上がったし、今度はANTHEMをゲストに迎えて、OUTRAGEとの三本立てで……。この3組が揃うということも過去にはなかったはずだし、これは注目してもらっていいんじゃないかな」

「このフェス開催については、正直に言うと、僕らからの発信によるものではないんですよ。元々はレコード会社のレーベル担当者からの発案があって、それが発端にあるんです。僕らの最新作もOUTRAGEのアルバムも、ユニバーサルの同じレーベルから出ていて、だったら何か一緒にできないかな、という話が出てきて。で、そのレーベルは僕らよりも先にOUTRAGEやANTHEMと契約してるんで、実は彼らのほうが先輩なんですよ、その点においてだけは(笑)。芸歴は僕のほうが全然長いんですけどね(笑)。だから実際、2015年の5月に第一回をやる時から、ANTHEMも一緒に3組でどうだろうかという話が出ていたんですけど、ちょうど彼らは自分たちのアニバーサリー・ツアーと日程的に近かったこともあって、スケジュールが合わなくて。だから、そもそもはレーベルのお祭り的な発想だったんだけども、それが結果的にはもう少し広がりのあるものとして始まったというか。日本のメタル・バンドばかりが出てくるフェスというのは無いじゃないですか。『LOUD PARK』は国内最大のメタル・フェスとしてすっかり定着してるけども、基本的には洋楽のアーティスト達が中心になっているわけだし。そこでひとつぐらい、日本のアーティストが主体となって発信するメタル・フェスというのがあってもいいんじゃないか、と考えたわけです」

この『LOUD∞OUT FEST』開催を前にして行なわれた2015年春のインタビューでも、高崎は「まずはとにかく一発目を大成功させて、LOUDNESSとOUTRAGEを中心にしたフェスとして定着させて……。ゆくゆくは、この形でツアーができたらいいなとも思うし、日本のアーティストだけで海外をサーキットするとか、そういうことにでもなればすごいよね」と語っていた。「最近はいろんなバンドが海外をツアーするようになっているけど、そういう形で回るというのは過去に例がないはずだし、実現できればすごく画期的なことだと思う」とも。そうした発想の根源にあるのは、先導者としての使命感と、ヘヴィ・メタルをより盛り上げていきたいという純粋な想いに他ならない。同じ時のインタビューのなかで、彼は次のような言葉を発していたりもする。

「今、国内でもメタル・シーンがまた盛り上がってきてると思うんです。日本のポピュラー・ミュージックのなかでもハードな要素がようやく定着してきたというか。こうなるのにやっぱ、30年ぐらいかかってるわけですよね。もちろん、いつか必ずこうなるはずだっていうのは30年前からわかってましたけど(笑)、今は実際そういう手応えも感じられるようになってきてる。そこで、よりいっそう日本のメタルを盛り上げていくためにも、OUTRAGEとタッグを組んだほうがいいだろう、と。このフェスを切っ掛けに、日本におけるハードな音楽のシーンがもっともっと盛り上がっていけばいいと思うし、メタルが日本国内でももっとポピュラーになっていけばいいな、と思うんです。そういったことの切っ掛けになるようなフェスに育てていきたいですね」

そしてふたたび、現在の彼の言葉から。彼はこの『LOUD∞OUT FEST』がまだ新しいフェスだからこそ持ち得る“自由さ”を大事にしていきたいとも語っている。

「今回はもう、売り切れ必至だと思うんですけど、この第二回を成功させることができれば、来年(=2017年)とかはもっと会場も大規模なところになっていくかもしれない。しかも、どのバンドもみんな日本に住んでるわけだから、1年に何回やっても構わないというのもあるわけで(笑)。べつに、年に一度と決めなくちゃいけないわけではないですからね。そういう自由さというのは残しておきたいな、と思っているんです。そこが『LOUD PARK』には出来へんところやろうとも思うし(笑)」

昨年秋には10回目の開催を迎え、メタル・ファンの間ですっかり定着している『LOUD PARK』は、確かに洋楽主体のフェスではある。が、よくよく考えてみれば、日本で開催されるメタル・フェスで、この国を代表するメタル・バンドがヘッドライナーを務めていないというのは、むしろ不自然なことでもある。もしかすると海外から集まってくる出演者たちの目にも、それは不思議なこととして映っているのではないだろうか? 筆者が「いつかLOUDNESSが『LOUD PARK』でトリを飾るのも見てみたい」と告げると、高崎は「いいですね、それ。『LOUDNESS PARK』にしていきたいですよね!」と言い、周囲の爆笑を誘っていた。

さて、デビュー35周年のアニバーサリー・イヤーである今年にはさまざまな計画があるようで、まず3月30日には1stアルバムから『THUNDER IN THE EAST』に至るまでの各作品、高崎晃と樋口宗孝の各ソロ・アルバムなども含む日本コロムビア時代の旧譜作品、全11アイテムが、1,650円+税という手頃な価格で一斉再リリースされることも決まっている(詳しくはこちら)。

しかもこのリリースに合わせて、『LOUDNESS 35th Anniversary Year Special Live~SHOCKING DEVIL’S LAND』と銘打たれた東京と大阪でのスペシャル公演の開催も急遽決定。3月31日に東京・EX THEATER ROPPONGI、4月6日には大阪・なんばHatchで行なわれるもので、この二公演は初期三作のアルバムからの選曲での貴重なライヴとなる。コアなファンはもちろんのこと、80年代の彼らを知らない世代にとっても見逃せないところだ(詳しくはこちら)。

そしてもちろん、今年の後半には『THE SUN WILL RISE AGAIN』に続くニュー・アルバムが登場する可能性も高い。昨年に続き、かなり盛りだくさんな1年になりそうで、まだ公開できない情報も多々あるはずなのだが、ひとつだけ今のうちからお伝えしておきたいことがある。皆さんの手帳の11月25日の欄には、ぜひ、LOUDNESSの名前を記入しておいて欲しいのだ。

「LOUDNESSがデビューしたのが1981年の11月25日なんで、今年のその日にドカンと35周年記念のライヴをやろうというプランがあって。そこに向けて国内ツアーももちろん組んでいきますし、いろいろ計画中です。もちろん話はもうある程度見えてるんですけど、具体的な話ができるようになるまでもうしばらく待っていて欲しいですね。とにかく2016年は世界的な意味でも飛躍の年になると思うし、いろんな地域での支持を不動のものにしていきたい。しかもバンド自体もすごくいい状態にあるんで、このまま一丸となって突き進んでいきたいですね」

常に先駆者であり続けてきた日本が誇るべきバンド、LOUDNESS。彼らの進撃は、まだまだ止まるところを知らない。

文/増田勇一

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